人とくるまのテクノロジー展 2018:システムサプライヤーのCASE対応

Bosch、Continental、デンソー、アイシンの展示取材

2018/05/31

要約

人とくるまのテクノロジー展2018 会場風景

 人とくるまのテクノロジー展 2018(会期:2018年5月23日~25日、会場:パシフィコ横浜)で、サプライヤー各社はCASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)対応の製品・技術を出展していた。本稿では、代表的なTier1システムサプライヤーであるBosch、Continental、デンソー、アイシンの展示内容を振り返ることで、CASE対応製品や要素技術の最新動向を探る。

 世界各国・地域でZEV(Zero emission vehicles)規制やCAFE(Corporate average fuel economy)規制が強化される中、自動車メーカーはEV(電気自動車)を中心にZEV規制に対応するとともに、HV(ハイブリッド車)のラインアップを増強してCAFE規制に対応する動きが見られる。Tier1大手も2025年ごろまではHVを含めてICE(内燃エンジン)搭載車が主流を占める状況が続くと見ており、電動モビリティを見据えながら、48VシステムやICEのさらなる進化に注力している。

 今回の展示会でも、電動化とともに、低燃費、低エミッション、軽量化ソリューションに関する製品・テクノロジーが多く見られた。Boschは2018年末から中国で48Vバッテリーの生産を開始する予定。プラスチック製ハウジングを採用し、あらゆる車種に搭載できるよう小型化・標準化している。ContinentalはEV駆動ユニットや48Vシステムのほか、軽量化ソリューションとしてポリアミドを使用したリアクレードルなどを展示。デンソーは開発中のSiCパワーデバイスや冷却システムを搭載するインバーターを紹介していた。

 自動運転に向けた車両の統合制御システムとしては、Boschやアイシンなどが、eAxle(電動アクスル)、EPS(電動パワーステアリング)、EBS(電動ブレーキシステム)といった駆動系の電動化製品を展示していた。

 自動運転・コネクテッド分野は展示会場全体にわたって各社から多様な製品・技術が紹介されていた。車載カメラやセンサー、衛星測位システムによる位置情報技術、それらを活用する自動運転・自動駐車システム、カーナビやスマートフォンと連携するサービスなどがあげられる。特に、CMS(カメラモニタリングシステム)、HMI(Human Machine Interface)システムは、電機メーカーも含めて多数の出展があり、ハプティクス(触覚)やジェスチャーコントロールなどの機能をデモ機で紹介していた。また、シミュレーターなどによる自動運転の体験デモも行われていた。

 

CASE関連の主な展示内容

展示テーマ

電動化 自動運転 コネクテッド

Bosch

48Vバッテリー
EV駆動システム
 eAxle、コンバーター、バッテリー
 VCU (Vehicle Control Unit) など
自車位置推定技術
 VMPS (Vehicle Motion and Position Sensor)
サイバーセキュリティ対策
 CGW (Central Gateway)
EPS (Electric Power Steering) システム
触感フィードバック・タッチスクリーン
パーフェクトリーキーレス(スマートキー)
コネクテッドパーキング

Continental

HV・EV向けアクスルドライブシステム
48Vハイブリッドシステム
ポリアミドを使用した軽量化ソリューション
カーブドセンタースタックシステム
3Dフラッシュライダー

デンソー

SiCパワーデバイス、インバーター
電動化車両向けのパワートレイン
 PCU (Power Control Unit)
 電池ECU (Electronic Control Unit)
 モータージェネレーター
 クリーン排気システム
自動運転シミュレーター
Global Safety Package
 画像センサー、ミリ波レーダー

アイシン

FF 1モーターハイブリッドトランスミッション
電気式4WD駆動ユニット (eAxle)
車両運動統合制御
 CMS (Camera Monitoring System)
 EPS (Electric Power Steering)
 EBS (Electronic Braking System) など
位置情報技術シミュレーター
 ナビ連携ニューマチックシート

 

関連レポート
WCX18: SAE World Congress Experience - 環境対応技術(2018年5月)
WCX18: SAE World Congress Experience - 自動運転テクノロジー(2018年5月)
オートモーティブワールド2018:自動運転ソリューションの展示(2018年1月)
東京モーターショー2017:Bosch、デンソー、アイシン、三菱電機の展示 (2017年11月)

 



Bosch:触感フィードバック・タッチスクリーン、自車位置推定技術、48Vバッテリー

 Boschは、モビリティのネットワーク化、モビリティの自動化、パワートレインとモビリティの電動化、をテーマに、コネクテッド製品、自動運転向けシステム、電気自動車向けシステムなど幅広い製品群を展示していた。

 

ネットワーク化ソリューション

触感フィードバック・タッチスクリーン
 12.3インチの有機EL(OLED)ディスプレイのタッチパネルにハプティクス(触覚)機能を備える。従来のタッチセンサーに加えて、指で押す圧力の強弱を測定するセンサーを搭載。各種機能の操作を異なる圧力で設定することができる。ドライバーはオーディオやエアコン操作などの際にスクリーンを見なくても指の感触でキーを識別できるため、道路からあまり視線を逸らすことなく、運転の安全性が高まるとしている。

触感フィードバック・タッチスクリーン
操作ボタンを押す感覚や、模様に沿った凹凸感を体験するデモ機。エアコン操作や自動的に選曲する機能なども紹介。
操作デモ動画
パーフェクトリーキーレス(スマートキー)
スマートフォンを持って車両に近づくと自動的に開錠される機能などのデモンストレーションを行っていた。

 

パーフェクトリーキーレス (スマートキー)
 Bluetooth接続により、スマートフォンを使って車の施錠やエンジン始動を行うシステム。専用アプリをダウンロードしたスマートフォンを持って、近接センサーとコントロールユニットを装備する車両に近づくと(2m以内)、ロックが解除され、シートポジションなどの個人設定が有効になる。スマートフォンが車内にあることが認識されると、スタート/ストップ機能ボタンに触れるだけでエンジンが始動する。レンタカー、カーシェアリングなどでの利用も想定している。

コネクテッドパーキング
・アクティブ パーキング ロット マネジメント:駐車スペースに埋め込まれたセンサーが空き状況を検知し、リアルタイムでマップデータに取り込まれる。ドライバーはスマートフォンなどからマップデータにアクセスして、空きスペースを予約し、ナビゲーションに従って、その駐車スペースに移動することができる。
・バレットパーキング:ドライバーレスによる自動駐車システム。降車した場所に車両を呼び出すことも可能。Boschは駐車場と車両のそれぞれに要求されるシステムやコンポーネント、ネットワークの開発を進めている。

 

自動化ソリューション

自車位置推定技術
 衛星測位システムと車載のカメラ、レーダー、センサーを組み合わせた自動運転のための自車位置推定技術を紹介。
 今回展示していたVMPS (Vehicle Motion and Position Sensor)は2020年に生産開始予定。GNSS*受信機、3軸慣性センサーを備え、自動運転に必要となる高精度(50cm単位)な絶対位置、相対位置を算出することができる。また、複数の画像認識アルゴリズムを組み合わせ、安全性を高めた次世代の前方監視用カメラも展示、2019年に生産開始予定。
*GNSS:Global Navigation Satellite System (全地球航法衛星システム)

自動運転のための自車位置推定 VMPS
(Vehicle Motion and Position Sensor)
次世代前方監視用カメラ
1) 多目的カメラ 2) ステレオビデオカメラ

 

サイバーセキュリティ対策
 自動運転の進行とともに、電子制御ユニット(ECU)やドメインコントローラー、セントラルゲートウェイ(CGW)など車載電気・電子機器の構成が複雑化している。また、車外データとの通信が増加し、不正なアクセスから車載ネットワークを保護する対策が必要となる。
 サイバーセキュリティ対策では、個々のECUやCGW、車内外のネットワークを保護する手法を5段階に分けた図で説明している。展示製品はセキュアなデータ交換が可能なCGW。また、電気・電子制御システムを統合設計するE/Eアーキテクチャを視覚化した展示も行っていた。

セントラルゲートウェイ
無線アップデート(FOTA)用のCGW
CGWの拡大画像
サイバーセキュリティ対策 E/Eアーキテクチャの視覚化

 

フェールオペレーショナル対応のEPS
 高度な自動運転 (HAD: highly automated driving) 向けに冗長設計されたフェールオペレーショナル対応の電動パワーステアリング (EPS) システム。モーターとECUの電子回路が二重設計となっており、1つの系統が故障しても、独立したもう1つの系統が最低50%の機能を継続することで、安全な走行を維持することができる。

Servolectric
Boschの乗用車向けフェールオペレーショナル対応EPS
冗長設計のECUとモーター

 

電動化ソリューションとパワートレーン向けソリューション

48Vバッテリー
 Boschの48Vバッテリーは、CO2排出量を低減し、小型化を実現、コストも抑えられるというコンセプトで開発された。リチウムイオンセルのサイズを小型化し、プラスチック製のハウジングを採用。高さ90mmに抑え、シート下にも設置可能なサイズを実現した。小型車から大型車まで組み込み可能な標準化された設計により、スタートアップ企業の短期開発と開発コスト低減も可能としている。

 Boschは2018年末から中国で48Vバッテリーの生産を開始する予定。中国市場では相次ぐNEV(新エネルギー車)の投入とともに、48Vバッテリーに対する需要も高まっているという。世界各国・地域でZEV(Zero emission vehicles)規制やCAFE(Corporate average fuel economy)規制が強化される中、自動車メーカーはEVを中心にZEV規制に対応していく一方で、48Vシステムを採用したハイブリッド車のラインアップを増強してCAFE規制に対応する動きが見られる。Boschは48Vバッテリー搭載ハイブリッド車の市場について、2025年までに約1,500万台以上と予測している。

48Vバッテリー
2018年末から中国で生産開始予定
電気自動車の駆動システム
eAxle/バッテリー/コンバーター/VCUなど


Continental:カーブドセンタースタックシステム、3Dフラッシュライダー、電動化・軽量化ソリューション

 Continentalは、Making Mobility A Great Place To Live (モビリティを素晴らしい空間へ)をブースコンセプトに、自動運転、電動化、コネクティビティのイノベーションを紹介。自動運転、コネクティビティでは、曲面ディスプレイを採用した「カーブドセンタースタックシステム」や3Dフラッシュライダー、電動化ではEV駆動ユニットなどのほか、ポリアミド樹脂を使用した軽量化ソリューションを展示していた。

 

自動運転・コネクティビティ

カーブドセンタースタックシステム
 2つの曲面ディスプレイを利用したセンタースタックの試作品。縦型、横型のAMOLED(アクティブマトリクス式有機EL)を使用、12.3インチタッチパネルにハプティクス(触覚)フィードバック機能を搭載。また、上下のディスプレイ間にカメラが内蔵され、ジェスチャーコントロールにも対応する。Continentalは直感的なHMI (Human Machine Interface) により、ドライバーの注意散漫を防止して安全性を向上する提案を行っている。

カーブドセンタースタックシステム
操作デモ動画
自動運転関連コンポーネント
3Dフラッシュライダーにより生成される3D点群
Computer Vision

 

3Dフラッシュライダー
 Continentalの3Dフラッシュライダーは近距離検出を目的として開発され、視野角120度内で毎秒30回の高解像度3D点群を生成する。赤外線センサーにより、昼夜を問わず、悪天候においても、正確な視野を提供することが可能。自動運転の実現に向けて、レーダーやカメラなど車両周囲をモニタリングする他のコンポーネントとともに、車両周辺に存在するあらゆるものを常に検出することができる。

 

電動化

 Continentalはガソリンエンジンとディーセルエンジンの台数が徐々に減り始めるのは2025年以降と考え、電動モビリティを見据えながら、内燃エンジンのさらなる進化にも注力している。また、効率的で環境にやさしいモビリティの鍵を握るのは、低燃費、低エミッション、軽量設計であるとし、今回の展示会ではHV・EV向けのアクスルドライブシステムや48Vシステムのほか、ポリアミドを使用したリアクレードルやエンジンマウントなどの軽量化ソリューションを紹介していた。

パワートレインの全方位アプローチ HV・EV向けアクスルドライブシステム
インバーター、発電機、減速機を統合した電気駆動システム
軽量化ソリューション
ポリアミド製リアクレードル(中央)
エンジンマウント(手前中央)


デンソー:SiCパワーデバイス、Global Safety Package

 デンソーは、「環境」と「安心・安全」分野に関連する技術や製品を展示。環境分野では、PCU、モータージェネレーター、電池ECUなど電動化を支える製品や、クリーン排気システムに加え、インバーターなどに搭載する開発中のSiCパワーデバイスを紹介。安心・安全分野では、画像センサー、ミリ波レーダーなどセンシングユニットを展示していたほか、自動運転車の動きを体験するシミュレーターでデモンストレーションを行っていた。

 

環境分野

パワートレイン
 電動化車両向けの技術・製品として、パワーコントロールユニット(PCU)、モータージェネレーター、電池ECUなどを展示。デンソーのPCUはトヨタCamry Hybridなど多数のハイブリット車に搭載されている。また、空燃比センサー、モノリス担体などのクリーン排気システムを紹介していた。

パワートレイン
PCU/モータージェネレーター/電池ECU/
クリーン排気システム
パワーコントロールユニット (PCU) モータージェネレーター(ステーター)

 

 パワートレインの横には、SiCパワーデバイス(開発中)を活用したインバーター(試作品)を展示。SiC(炭化珪素)は半導体部品に用いる新材料で、従来の材料(Si:シリコン)に比べて電気の無駄を減らし効率的に使えるため、自動車の燃費や電費が向上する。SiCウェハは、デンソー、昭和電工、豊田中央研究所の共同開発。SiC-MOSFETは、トヨタ、デンソー、豊田中央研究所の共同開発で、2020年の実用化を目指している。SiC-MOSFETはチップサイズを12mmと大型化することで、電流の流れを効率化している。

 200kVA SiCインバーターは、SiCパワーデバイスを使用するとともに、両面直接冷却2in1パワーモジュール(試作品)を搭載。EV・HV用のインバーターでは、パワーデバイスの温度上昇を抑えるために新たな冷却技術が必要とされる。試作品の冷却モジュールは、従来の冷却システムに比べて小型化を実現するとともに冷却効率も向上した。

SiCパワーデバイス
SiC-MOSFET(拡大画像)
展示パネル
SiCインバーター
両面直接冷却2in1パワーモジュール(拡大画像)

 

安心・安全分野

 デンソーブースに置かれていたシミュレーターでは、ドライバーは左車線から合流してくる自動運転車の行動を体感できる。自動運転車の合流パターンと車列の状況変化との組み合わせを評価しながら、最適な運転行動を選択するアルゴリズムを紹介している。

 また、ブース正面には同社が掲げる「Global Safety Package」の製品として、画像センサーとミリ波レーダーを展示。自転車や夜間の歩行者などを認識し、車両の安全性能を向上する普及型の製品と説明している。

自動運転車の行動を体感できるシミュレーター
周囲と協調できる自動運転車の行動計画を紹介している。
モニター画面の拡大画像 / 展示パネル
操作デモ動画
Global Safety Package
拡大画像:画像センサー / ミリ波レーダー
展示パネル





アイシン:車両運動統合制御、ナビ連携ニューマチックシート

 アイシングループは、自動車業界を取り巻く構造変化に対応するため、「ゼロエミッション」「自動運転」「コネクティッド」の3つの重点開発領域に取り組んでいる。今回の出展ではその実現に貢献する製品や技術を紹介していた。

 

ゼロエミッション

FF 1モーターハイブリッドトランスミッション
 既存ATのトルクコンバーター部分にモーターとクラッチを配置。エンジンとトランスミッションをクラッチで切り離すことでEV走行が可能になり、大幅な燃費向上を実現する。トヨタと共同開発した既存の2モーターハイブリッドトランスミッションは市街地走行時の燃費の良さが特長。アイシン独自で開発中の1モーターハイブリッドトランスミッションは高トルク車との相性が良く、高速走行時の燃費の良さが特長。HV向けの製品ラインアップを拡充し、電動車の需要増加に対応する。

電気式4WD駆動ユニット (eAxle)
 現行Priusに搭載されている電気式4WD(e-4WD)ユニットを高出力化。プレミアム4WD車向けとして、SUVやミニバンなど大型車への搭載を視野に入れている。リアアクスルへのアドオン搭載でPHVシステムとして使用可能。将来的にEVユニットへの展開も可能。

FF1 モーターハイブリッドトランスミッション
展示パネル
電気式4WD駆動ユニット (eAxle)
展示パネル

 

自動運転

 車両運動統合制御や自動バレー駐車の実現に向けた、画像認識システム、シャシー製品、ブレーキ製品などのシステム展示を行っていた。

車両運動統合制御 カメラモニタリングシステム
ブレーキシステム
拡大画像:電子制御ブレーキシステム / 電動パーキングブレーキ
ステアリングシステム

 

ナビ連携ニューマチックシートのシミュレーター

コネクテッド

 新型Lexus LSに搭載された「ニューマチックシート」に、ナビゲーションによる位置情報技術を組み合わせたシミュレーターをブース前に置き、デモンストレーションを行っていた。

 

位置情報活用サービス
 カーナビ開発で培った位置情報活用技術やコネクテッドカーから集めたビッグデータを活用することで運転をサポートする。

ニューマチックシート
 空気圧でサポート調整を行う機能に、リフレッシュ機能を備えたシートシステム。シートサポート調整機能は世界最大の28Way。リクライニングやスライド、ヘッドレストの上下・前後といったメカ機構による調整に、ランバーやショルダーといった部分のエア作動による調整を新たに追加した。リフレッシュ機能としては、空気を入れて膨らませるブラダ部分の設計、配置の工夫、溶着条件の最適化により、小型、軽量かつ低作動音でより高い押圧性能を実現した。

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キーワード
Bosch、ボッシュ、Continental、コンチネンタル、デンソー、アイシン、CASE、電動化、EV、自動運転、自動駐車、ADAS、コネクテッド、軽量化、48V、eAxle、EPS、EBS、SiC、バッテリー、モーター、インバーター、ECU、カメラ、センサー、LiDAR、ライダー、OLED、ハプティクス、CMS、HMI

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