日本市場の新型車装備(上):トヨタ、レクサス、日産編

対歩行者自動ブレーキの搭載拡大、同一車線自動運転技術の採用開始

2017/03/06

概要

同一車線自動運転技術を採用したNissan Serena (写真:Nissan)
同一車線自動運転技術を採用したNissan Serena (写真:Nissan)

 日本の自動車メーカーが2015年8月~2017年2月に国内販売した、新型乗用車の主要装備の概要を3本のレポートに分けて報告する。初めの2本のレポートでは軽自動車を除く、主に新モデルとフルモデルチェンジの乗用車を取り上る。スズキは5車種、ホンダは4車種、トヨタとレクサスは各3車種、日産、富士重工、ダイハツは各2車種、マツダは1車種で、計22車種 (うち1車種は一部改良車。OEM車は含まない)。

 走行性能装備では、左右駆動輪に伝達する駆動力の配分により旋回性能を高めるトルクベクタリングの採用が増加。また、高性能車を中心に、走行状況に応じて減衰力を制御する可変減衰ダンパーシステムの搭載が拡大した。衝突安全装備では、歩行者と衝突すると、フロントガラスとAピラーの下端をエアバッグで覆う歩行者保護エアバッグを、富士重工が国産車で初めて採用した。

 運転支援装備では、対歩行者の自動ブレーキの搭載が大幅に拡大している。国土交通省は予防安全性能アセスメントにおいて、2014年度から対車両自動ブレーキと車線逸脱警報装置、2016年度から対歩行者自動ブレーキの評価を開始している。このほか、同一車線での自動運転技術を日産が日本メーカーとして初めて量産車に採用した。

 視認性確保では、1灯でハイ/ロービームを切り替える小型・省電力のLEDヘッドランプの搭載が拡大。右左折時に車両内側から外側に流れるように点灯するLEDシーケンシャルターンランプの採用が開始。快適・利便性装備では、手を使わずにドアを開けることができるハンズフリーオートスライドドア/バックドアが採用された。また、トヨタとホンダを中心に、路車間・車車間通信(ホンダは信号情報)により安全運転を支援するシステムの搭載が拡大した。

 以下の上巻では、トヨタ/レクサス車、日産車を取り上げる。続いて、中巻ではホンダ/スズキ/マツダ/富士重工/スズキ/ダイハツのモデルの新型車装備の概要を報告し、下巻では軽自動車について同様のレポートを取りまとめる予定。

日本の自動車メーカーが新型車に設定した主な先進装備

(2015年8月~2017年2月に日本で発売した新型車)

装備 設定車種
走行性能 トルクベクタリング Lexus GS F, Subaru Impreza Sport/Levorg STI Sport
可変減衰ダンパーシステム Lexus GS F/RX/LX, Honda NSX/Accord, Subaru Levorg STI Sport
衝突安全性 歩行者保護エアバッグ Subaru Impreza Sport
運転支援 対歩行者自動ブレーキ Toyota Prius PHV/C-HR/Prius, Lexus GS F/RX/LX, Honda Freed/Accord/Clarity Fuel Cell, Mazda CX-5, Subaru Impreza Sport/Levorg STI Sport, Suzuki Swift/Ignis/Solio Bandit
同一車線自動運転技術 Nissan Serena
視認性確保 1灯式ハイ/ロービーム切替型 LEDヘッドランプ Toyota C-HR/Prius, Mazda CX-5, Subaru Impreza Sport, Suzuki Swift/Ignis/Solio Bandit, Daihatsu Boon
LEDシーケンシャルターンランプ Toyota C-HR, Lexus RX/LX
快適・利便性 ハンズフリーオートスライドドア/バックドア Lexus RX, Nissan Serena
路車間・車車間通信利用安全運転支援システム Toyota Prius PHV/Prius, Lexus RX, Honda Freed/Accord



新型車装備レポートシリーズ:

欧州メーカーの新型車装備 (2016年11月掲載)、
米国の新型車装備  (2016年8月掲載)
Mercedes-Benz, BMW, Audiの予防安全装備  (2015年10月掲載)、
日本の新型車装備  (2015年7月掲載)、日本の新型軽乗用車の装備  (2015年7月掲載)
Hyundai/Kia の新型車装備  (2015年6月)、



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