タイ: 2017年の生産台数は前年比2.6%増の200万台の見通し

買い替え需要増加で国内市場は回復、世界経済の低迷により輸出は横ばい

2017/01/16

要約

タイの自動車生産・輸出・国内販売台数
タイの輸出データ(メーカー別/仕向地別/月次)はこちらよりご覧ください(エクセルファイルがダウンロードされます)。

購買力の低下により2016年の国内販売は低迷、2017年は増加

 タイでは2016年1月から排出量基準の新たな物品税が導入され、一部モデルが増税になったために2015年終盤に駆け込み需要が発生し、2016年初頭からの販売に悪影響を与えた。その後も自動車ローン審査の引き締めや購買力の低迷により販売は軟調に推移。10月には前国王が崩御し、消費等の自粛の影響もあり、タイ工業連盟(FTI)が12月に発表した2016年通年の販売実績見込みは前年比6.2%減の75万台。

 2017年は、2011-2012年に実施された初回購入支援策の際のローンが終了するほか、購入から5年間という転売禁止期間が終わって買い替えが可能となるため、国内販売は増加に転じ、前年比6.7%増の80万台の見込み。

2017年の生産は微増、輸出は前年並みの見込み

 FTIは、2017年の生産台数見通しを前年比2.6%増の200万台と予測。タイ全体の年産能力は300万台以上あり、生産能力が過剰な状況が続く。そのため、ホンダは生産ラインの集約を2017年3月末以降に行い、生産効率を高める。
 生産のうち、輸出向けは前年と同水準の120万台を見込む。世界経済、特に中東地域の市況の低迷により輸出は伸び悩む見通し。また、米国の新政権による経済政策の転換も、米国への輸出に影響を与える可能性がある。

タイ政府:EV振興策を策定

 タイ政府はハイテク産業による経済発展と環境に配慮した車の普及を目指し、タイをEV生産のハブとするため、2016年3月にEVの本格的普及ロードマップを作成。8月には、EV製造に対する税制優遇措置を承認した。しかし、10月になっても申請はなく、一部の専門家やOEMは政策の方向性や時期について見直しを求めていた。12月の報道では、政府が近く公表する新たなEV振興策にはプラグインハイブリッド車(PHV)も含まれる予定。


関連レポート:
タイ市場分析:SUVが好調で販売は底打ち、2017年からは回復期待(2016年9月)



2016年1-10月は中東向け輸出が大幅に減少

 2016年1-11月のタイの自動車生産台数は前年同期比2.7%増の181万台。国内販売は、2015年末に駆け込み需要が発生した反動と、初回購入支援策のローン負担等により購買力が低下しているため、前年同期比2.3%減の68万台。輸出も世界経済の低迷により1.4%減の110 万台にとどまった。生産台数に占める輸出比率は61 %に縮小した。

 車種別生産台数では、2016年1-10月は乗用車が前年同期比5.9%増加。乗用車のうち、タイ政府が認定する低燃費小型車のエコカーは2.3%増と小幅増だが、エコカー以外の小型車(排気量1500cc以下)は13.4%増加した。商用車は全体では0.3%増と微増。そのうち1トンピックアップトラック(乗用ピックアップ(PPV)を含まない)は6.6%減少し、生産全体に占める比率も46.6%に縮小した。1トンピックアップトラックの国内販売は増加しているため、中東向け等の輸出が減少した影響と考えられる。一方、その他の商用車(PPV、バン、中・大型商用車を含む)は41.6%増加した。

 タイからの自動車輸出は、2016年1-10月には主な仕向け先であるアジア(日本含む)とオセアニア向けは前年同期より約10%増加したが、中東は26.6%減と大幅に減少した。中東は石油や各種鉱物の価格下落により市況が低迷している。市場回復により昨年は大幅に輸出が増えた欧州向けは、英国のEU離脱決定等の影響で伸び悩み、1.1%減少した。米国向けは前年に続き、44.7%と大幅に増加した。



タイの車種別自動車生産台数 タイからの仕向地別自動車輸出台数



タイの自動車生産・輸出・新車販売台数

(台)

  2013年 2014年 2015年 2016年
(実績見込み)
2017年
(見通し)
2015年
1-11月
2016年
1-11月
生産台数 2,457,057 1,880,007 1,913,002 1,950,000 2,000,000 1,760,310 1,808,625
輸出台数 1,119,205 1,128,102 1,204,895 1,200,000 1,200,000 1,118,245 1,102,395
国内販売 1,330,678 881,832 799,632 750,000 800,000 698,168 681,930
(輸出/生産) 45.9% 60.0% 63.0% - - 63.5% 61.0%
資料:生産と輸出はタイ工業連盟 (The Federation of Thai Industries: FTI)、国内販売は小売販売台数で Toyota Motor Thailand (TMT)
(注) 1. 国内販売には輸入車も含む。
2. 「2016年実績見込み」と「2017年見通し」は、FTIが2016年12月に発表した予測。



タイの車種別自動車生産台数

(台)

  2012年 2013年 2014年 2015年 2015年
1-10月
2016年
1-10月
乗用車 957,623 1,071,076 742,678 760,688 642,707 680,384
商用車 1,496,094 1,385,981 1,137,329 1,152,314 954,433 957,457
(内数) 1t pickup 1,291,641 1,220,096 999,733 966,919 817,695 763,866
自動車生産 2,453,717 2,457,057 1,880,007 1,913,002 1,597,140 1,637,841
1t pickup 比率 52.6% 49.7% 53.2% 50.5% 51.2% 46.6%
(注) 1t pickup はPPV(乗用ピックアップ)を含まない。1t pickup 比率は、乗用車を含む自動車生産に占める比率。


タイの国内市場:トップのトヨタは新型Hiluxの不振でシェアが31.7%に低下

 2016年1-11月のタイの車種別販売台数は、乗用車が前年同期比5.3%減で依然として低迷、商用車は0.5%減となった。商用車のうち、1トンピックアップトラック(PPVを含む)は3.9%増加、他の商用車(SUV、中・大型商用車を含む)は15.2%減少した。

 タイの自動車市場シェアの9割近くは日系メーカーが占めている。2016年1-11月は、トップのトヨタが新型ピックアップのHilux Revoと乗用車の販売低迷により、シェアを2015年の33.2%から31.7%に落とした。一方、第2位のいすゞは2015年に改良型を発売したピックアップのD-MAXが好調で、シェアを18.0%から18.7%に拡大。第3位のホンダも、新型Civicや小型SUVのBR-VとHR-Vが販売を牽引し、シェアを14.0%から14.2%に引き上げた。

 トヨタは2016年末に日本で発売したSUVの新モデルC-HRを、2018年からタイで生産・販売する計画。2018-2019年にはCamryやYarisなど乗用車のモデルチェンジも予定しており、販売回復を図る。



タイの車種別自動車販売台数 タイの自動車市場シェア(2012年~2016年11月)


タイ政府:EV振興策、商用車税制優遇措置を実施

 タイでは、2014年5月のクーデター以降、軍事政権が続いている。2016年8月に新憲法草案が承認され、民政復帰に向けた総選挙は2017年末に実施される予定だった。しかし、2016年10月に前国王が崩御し、12月に即位した新国王が新憲法案の一部修正を求めており、総選挙は2018年半ば以降に先送りされる見込み。王位継承が比較的円滑に行われ、経済回復が期待されていたタイ社会だが、民政復帰の遅れにより、経済の低迷脱出も遅れかねない。

 タイ政府は、高付加価値型・先端型産業の外資誘致と環境に配慮した車の普及を目指し、タイをEV生産のハブとするため、2016年3月にEVの本格的普及ロードマップを作成。日本政府はこれに対応し、次世代自動車普及のためにタイ政府に5億円を無償提供する協定を締結した。タイ政府は、8月にEV製造に対する税制優遇措置を承認したが、EVのみを対象とすることに批判が出たため、同措置を見直してPHVも含める見込み。

 また、タイ政府は国内企業の競争力向上や景気刺激策の一環として、商用車に対する税制優遇措置を2015年11月~2016年末まで実施。FTIによると、2016年1-10月のトラック・バス販売は前年同期比4.3%増となった。



タイ政府のEV振興策:EVの本格的普及ロードマップ

タイ国家エネルギー政策委員会(NEPC)は2016年3月、EVの本格的普及ロードマップを承認。2036年までにタイ国内のEV台数を120万台、充電ステーションを700-800カ所以上、最大で1,000カ所整備する計画。
第1段階 関連のインフラ、税制、法律、規制、サービスの料金を検討。2016年内にバンコク大量輸送公団が EVバス 200台を導入。地方電力公社が Suvarnabhumi国際空港と Pattaya間の EVバス運行を行う。
第2段階 2017-2019年 EVの配備を拡大。民間企業が公共交通事業へ参入することを許可。
第3段階 個人向けEVの促進、政府が基本インフラ、スマートグリッドの支援を行う。



タイ政府のEV税制優遇措置

タイ内閣は2016年8月、EV製造に対するタイ投資委員会(BOI)の税制優遇を承認。BEV (バッテリーだけが動力源のEV) の完成車に対する輸入関税を2年間免除。その2年間にBEV組立工場をタイ国内に開設し、組立工場稼働から2年以内にバッテリーやモーターなどの重要部品の1つを生産開始する企業に、部品の輸入関税を免除する。
2016年10月時点、上記優遇措置への申請はまだない。タイをEV製造のハブにする方針は次期尚早で、既存の自動車および部品メーカーに大きな影響を及ぼすとの批判もある。12月の報道では、タイ投資委員会は、上記のEV振興策にPHVを含める意向。



日本政府:次世代自動車普及のためタイに5億円を無償提供

日本政府は2016年3月、次世代自動車の普及のため、タイ政府へ資金を無償提供する協定を締結した。日本製のハイブリッド車や電気自動車等の次世代自動車を購入する資金として5億円を提供する。タイの経済社会開発の支援に加え、次世代自動車に対する認知度の向上を図り、継続的な需要を創出するとともに、日本方式の普及を促進し、日本企業の海外展開を支援することが目的。



タイ政府の商用車税制優遇措置

タイ政府は、国内企業の競争力向上のため、税制優遇措置を商用車に適用した。これは、2015年11月3日~2016年12月31日に商用車に投資した国内企業は、法人税額の計算の際、減価償却費を最大2倍まで収入から控除できるというもの。日野自動車は、この優遇措置により、2016年のタイにおけるトラック・バス販売は前年比 10%増の 3万台に達すると見込む。2017年は優遇措置がなくなるので横ばいの3万台の見込み。


生産拠点:ホンダは新工場稼働/既存工場は生産ラインを集約化、マツダはエンジンの、BMW/SAICは車両の生産能力増強へ

 ホンダはタイで3つ目の工場を建設し、2016年3月に新型Civicの生産を開始した。新工場の年産能力(2直)は12万台。当初は1直体制で生産していたが、2017年1月末より2直体制に切り替える。一方、既存のアユタヤ工場では、2017年1月現在、2つのラインがそれぞれ1直体制で生産を行っているが、同年3月末以降、生産車種を第2ラインに集約して2直体制で生産する。第1ラインは休止させる。なお、2017年の生産台数は前年比10%増の22万台の計画と報じられている。

 マツダはエンジン工場に投資し、エンジンの年産能力を3万基から10万基に増強する。生産したエンジンはタイ国内だけではなく、他のアジア諸国へも輸出する。

 BMWもタイ工場を拡張し、年産能力を25%増の2万台に引き上げた。全ラインナップを現地生産し、値下げを実施している。SAIC Motor-CPは、2016年11月に年産能力30万台の新工場の建設を開始した。完工後は、年産5万台の旧工場に置き換わる予定。
「主要メーカーの生産拠点」の表は巻末に掲載しました



ホンダ:新工場稼働し2017年1月より2直化、アユタヤ工場では生産ラインを集約

Prachinburi工場稼働開始 ホンダは2016年 3月、Prachinburi県ロジャーナ工業団地内に設立した新四輪車工場で、新型 Civicの生産を開始した。総投資額は約 530億円で、年産能力(2直)は 12万台、従業員は約 1,400名。2015年 10月に樹脂工場、2016年 2月にエンジン工場を稼働していた。新工場ではCivic、Jazz、Cityを生産し、タイ国内販売に加え、輸出も行う。生産車種の販売が好調であるため、2017年1月末から2直化する。
最新の
生産技術
同工場には最新の生産技術を採用。完成車組立ラインは、「ARC(Assembly Revolution Cell) ライン」と称する流動型セル生産方式ライン。1台の車体と1台分の部品を積載した搬送ユニットに4人の組立作業者が乗り込み、車体と一緒に移動しながら組み付け作業を行う。従来の製造工程に比べ、無駄な付帯動作が少なく、生産効率の大幅な向上を実現した。
アユタヤ工場で第1ラインを休止して、第2ラインに集約 一方、既存のアユタヤ工場には2ラインあり、生産能力(2直)は共に15万台。現在、第1ラインはBrio, Brio Amaze、第2ラインはAccord, Mobilio, CR-Vなどを、1直体制で生産している。ホンダは生産効率を向上させるために2017年3月末以降に、第2ラインを2直化し、第1ラインで生産している車種を第2ラインに集約させる。第1ラインの人員は雇用を維持し、第2ラインの2直化に対応する。第1ラインの設備はそのまま残し、休止させる。



マツダ:ピックアップの自社開発・生産から撤退、エンジンの年産能力を増強

ピックアップに代えてSUVを生産 マツダは2016年 7月、ピックアップトラックの自社開発・生産から撤退すると発表。Fordと折半出資するタイ工場、AutoAlliance (Thailand) での BT-50の生産を数年後に終了する。Ford向けの生産は続ける。マツダはピックアップに代えて、世界で需要が高まっている SUVを年 4万台程度生産する計画。また、ピックアップについてはいすゞの D-MAXを OEM調達する。
エンジン年産能力を10万基へ 2016年8月、Chon Buri県のパワートレイン生産拠点に221億円を投じて、エンジン組立工場の年産能力を3万基から2018年上期には10万基に増強すると発表。従来は SKYACTIV-D 1.5、SKYACTIV-G 1.3を組み立て、AutoAlliance (Thailand) で生産されるMazda2(日本名:Demio)に搭載していたが、SKYACTIV-G 2.0の生産を追加し、マレーシア、ベトナムへの輸出を開始する。マツダにとって海外初のエンジン輸出拠点となる。



Ford:ピックアップのRangerを自社工場でも生産

Fordは2016年10月、アジア太平洋地域での需要増に対応するため、ピックアップの Rangerの生産を、Ford Manufacturing Thailand (FMT) の工場でも開始した。同モデルはマツダとの合弁工場、AutoAlliance (Thailand) (AAT) でも生産しており、AATがアジア太平洋地域における Rangerの主力工場であることには変わりはない。AATでの生産能力が近いうちに限界に達する見通しのため、Fordは1億8,600万ドルを FMTに投資して、Rangerの生産を開始した。



BMW:Rayong工場の年産能力を2万台に引き上げ、輸出拡大を目指す

年産能力増強 BMWは2015年9月に発表した世界戦略の一環として、Rayong工場に11億バーツを投じて拡張。2016年初めには年産能力を25%増の2万台に引き上げた。全ラインナップの現地生産化により、製造コストが低減されたため、同年7月には全商品の販売価格を10-20%値下げした。
輸出拡大へ 今後はタイから年1万台の完成車輸出を計画している。輸出する商品は主にBMW X3とX5で、輸出先は中国およびマレーシアになる模様。



Mercedes-Benz:生産委託契約を延長し、工場拡張へ

Mercedes-Benzは2016年12月、現地パートナーThonburi Automotive Assembly Plant (TAAP) との生産委託契約を12年間延長。自社工場を設立する可能性はなくなったと報じられた。2016年には過去最高の9,000台を生産する見込み。TAAPは2017年にMercedes-Benz向けの工場を拡張し、隣接するもう一つの工場と結合させる計画。



SAIC Motor-CP:年産能力30万台の新工場の建設開始

SAIC Motor-CPは2016年11月、タイの新工場の建設を開始したと発表した。この新工場はChon Buri県 Hemaraj Eastern Seaboard工業団地の70万平方メートルの敷地に建設され、完工後は、2014年に稼働開始した旧工場に置き換わる予定。新工場は、MGの右ハンドル仕様車の東南アジア地域におけるハブとなる。年産能力は、旧工場の5万台から、新工場では最終的に30万台とする計画。総投資額は300-400億バーツと報じられている。


日本メーカー:トヨタ、ホンダ、三菱、日産、富士重工の動向

トヨタ:MPVのSientaとInnova Crystaを発売

新型 Sienta 2016年8月、3列シート7人乗りの新型 MPV Sientaをタイに投入した。同モデルをタイに投入するのは初めて。1.5L 4気筒エンジンに CVTを組み合わせる。価格は75万-86.5万バーツ。2016年末までの販売目標は1,700台。生産はインドネシアの Karawang工場で行われる。
新型 Innova Crysta 2016年9 月、MPVの Innovaのフルモデルチェンジ車である Innova Crystaを発売。新興国向け戦略車 IMVシリーズの第3弾。(第1弾は、2015年5月発売の1トンピックアップトラック Hilux Revo、第2弾は同10月発売の SUV Fortuner。)2016年の販売目標は600台。生産はインドネシアのKarawang工場が担当する。



トヨタ:販売低迷で 800名の自主早期退職者を募集

トヨタは2016年7月、生産調整のために800名の自主早期退職者の募集を開始した。募集対象は契約社員。トヨタのタイ工場の従業員は16,477名で契約社員はその約40%。2016年1-5月のトヨタの販売は前年同期比13.4%減の87,715台、自動車市場は2.0%減の302,581台で、トヨタの不調が顕著だった。ピックアップトラック Hilux Revoと乗用車の販売低迷により、トヨタの販売不振が続いている。



ホンダ:新型Civicと新モデルのBR-Vを発売

新型Civic 2016年3月、第10世代となる新型Civicを発売。価格は86.9万~119.9万バーツ。Prachinburi新工場で生産される最初のモデル。タイ国内で年間2.5万台の販売を目指す。年間6万台以上生産し、輸出は完成車とKD部品がそれぞれ約2万台の予定。
BR-V 2016年1月、新興国向けコンパクトカー BrioベースのSUVの新モデル BR-Vを発売。SUVらしい外観とハンドリングに加え、3列シート7人乗りの広々とした室内空間と多彩なユーティリティを兼ね備えたモデル。アジア市場をメインターゲットとして開発された。1.5L i-VTECエンジンに、6速MTまたはCVTを組み合わせる。当初はインドネシアから輸入していたが、2016年3月からAyutthaya第1工場で生産。



三菱自動車:新型Pajero Sportを発売、ピックアップを FCAに OEM供給

新型 Pajero Sport Laemchabang工場で生産しているミッドサイズSUV Pajero Sport を7年ぶりにフルモデルチェンジし、2015年秋からタイで販売を開始。その後、豪州、アセアン、中東、アフリカ、中南米、ロシアなどに順次展開を拡大し、先代モデルと同様に約90ヶ国で販売する計画。新たに採用した 2.4L MIVECディーゼルターボエンジンと新開発の8速ATを組み合わせる。
TritonをOEM供給 三菱自動車は、Laemchabang工場で生産するピックアップトラック Triton/L200 を FCAに OEM供給する。FCAは2016年6月から、Fiat Professional Fullbackとして欧州・南米で販売を開始。2017年には Ram 1200 として中東で発売する予定。



富士重工:マレーシア製Foresterをタイで販売

富士重工は、マレーシアでKD生産するForesterを、2016年春からタイでも販売している。Foresterはスバルの旗艦SUV。同社は、2014年5月に発表した中期経営ビジョン「際立とう2020」において、東南アジア地域での強固な事業基盤の構築に取り組むとしており、今回のForesterの販売はその一環をなすもの。



日産:X-Trail HVの生産開始、R&Dセンターにテスト機能を追加

X-Trail HVを生産 2015年10月からSamutprakarn工場で X-Trailのハイブリッドモデルを生産し、11月から受注を開始した。同車種のHVの海外生産は初めて。これまでは日本の九州工場から輸出していた。
R&Dテストセンター開設 2016年4月、タイにR&Dテストセンターを開設すると発表した。2003年に設立したR&Dセンターに10億バーツを追加投資し、商品の品質保証からプロトタイプの評価テストまで、その役割を拡大する。インドネシア、フィリピン、マレーシア、ベトナム、タイのASEAN5カ国を中心にサービスを展開するが、タイ工場から輸出する90カ国以上の車両もテストする。


その他のメーカー:GM、BMW、VWの動向

GM:中型ピックアップの新型Coloradoを発売

GMは2016年7月、中型ピックアップの新型Chevrolet Coloradoを発売した。改良された 2.5L Duramax 4気筒ターボディーゼルを搭載。リモートスタート、Siri Eyes Free 音声認識システム、Apple CarPlay、車線逸脱警報、前面衝突警報、フロント/リア駐車アシスト等の先進装備も搭載する。価格は59.4万-106.8万バーツ。



BMW:バンコクに国際調達拠点を開設

BMWは2016年8月にも東南アジアにおける初の国際調達拠点をバンコクに開設すると報じられた。品質基準を満たすタイ製の部品を調達し、世界14カ国にあるBMWの30余の工場へ送る計画とされる。



VW:ASEANの部品調達事務所をマレーシアからタイへ移転

VWはASEANの部品調達事務所を、マレーシアのクアラルンプールからタイのScaniaの工場内に移転して、2016年8月に操業を開始すると報じられた。同社は2015年、前年比21%増の1億3,600万ユーロに相当する自動車部品をASEANからドイツ本国に出荷。そのうち半分がタイからだった。


商用車メーカー:北汽福田汽車、東風商用車の動向

北汽福田汽車:タイでのトラック、ピックアップの販売開始、生産能力拡充も計画

Aumarkブランド トラックの販売開始 北京汽車集団傘下の商用車メーカー、北汽福田汽車は2016年9月、Aumarkブランドの軽型トラックを発売し、タイで本格販売を開始した。ディーラー数は2016年末までに25、2017年末までには60拠点に拡大する計画。生産は現地製造会社のBangchan General Assembly Co (BGAC) に委託する。
ピックアップ Tunlandを発売 2016年12月に新型ピックアップトラック Tunlandを発売。米 Cumminsのターボディーゼルエンジン、独 Getragのトランスミッション、独 Boschの電子部品やABSシステム、米 Borg Warnerの4輪駆動システム、米 Danaのドライブシャフトやギアを搭載することで高性能を獲得したとしている。価格はシングルキャブで50万バーツから。
工場拡張を計画 2016年12月、ここ2、3年内にタイ工場を拡張する計画と報じられた。第1期では、生産を委託している BGACの工場に 5-6億バーツを投じて、年産能力を 1万台に拡大する。第2期では10億バーツを投資し、第2工場を建設する。豪州への輸出も視野に入れている模様。



東風商用車:タイのトラック・バス市場へ進出

東風商用車(東風汽車とVolvo Groupの合弁会社)はタイのトラック・バス市場への進出を図っている。同社は、タイ拠点をASEAN地域における右ハンドル仕様のトラック・バス生産ハブとする。2015年に、タイ販売・サービス合弁会社 Dong Sheng Motor Thailand を設立し、2016年に200台、2017年に500台を販売する計画。2025年までにタイのトラック・バス市場でのシェアを5-10%まで拡大させたいとしている。


(資料)

タイの主要自動車メーカーの自動車生産拠点

  組立工場 年産能力
(1,000台)
生産実績
(1,000台)
(2015年)
生産車種
Toyota Motor Thailand (TMT) Samrong 230 632 Toyota Hilux Vigo, Hilux Revo (2015年5月-)
Ban Pho 220 Toyota Hilux Vigo, Fortuner, Hilux Revo (2015年5月-)
Gateway 1 220 Toyota Camry, Camry HV, Vios, Corolla, Wish, エコカー (Yaris)
(Prius は2015年9月末で終了)
Gateway 2 80
Toyota Auto Works Samutprakarn 20 Toyota Hiace
Hino Motors Mfg. (Thailand) Bang Pakong 20 11 Hino trucks & buses
Nissan Motor (Thailand) Samutprakarn 1 220 140 Nissan Navara, Teana, Sylphy, Pulsar,
X-TRAIL, H-TRAIL HV (2015年10月-),
エコカー (March, Almera/Latio)
Samutprakarn 2 150 NP300 Navara
Honda Automobile (Thailand) Ayutthaya 1 150(2017年3月末以降休止予定) 94 Brio, Brio Amaze (2017年3月末以降、休止しAyutthaya 2に集約)
Ayutthaya 2 150 77 Accord, Mobilio, CR-V, HR-V, BR-V (2017年3月末以降、Ayutthaya 1の生産車種も生産する)
Prachinburi 120 -

Civic, City, Jazz(Fit):(2016年3月稼働開始)
樹脂工場は2015年10月、エンジン工場は2016年2月に稼働開始

Mitsubishi Motors (Thailand) Laemchabang 1 90 194 Lancer EX, Pajero Sport
Laemchabang 2 220 Pajero Sport, Triton (L200)/Fiat Fullback/Ram 1200 (2016-)
Laemchabang 3 200 136 エコカー (Mirage, Attrage)
Isuzu Motors Company (Thailand) Samrong 260 239 Isuzu D-Max, mu-X, 小・中型トラック
Gateway 140 Isuzu D-Max, mu-X, 商用車
ピックアップ (輸出向けKD部品)
Suzuki Motor (Thailand) Rayong 78→100 (計画) 54 エコカー (Swift, Celerio, Ciaz)
AutoAlliance (Thailand) Rayong ピックアップ:140
(CKD:55を除く)
149 Ford Ranger, Everest, Mazda BT-50
乗用車:120 82 Mazda2, Mazda3, CX-3
Ford Thailand Manufacturing Rayong 150 32 Ford Focus, EcoSport, Fiesta, Ranger (2016-)
General Motors (Thailand) Rayong 180 51 Chevrolet Sonic, Cruze, Captiva, Colorado, Trailblazer
BMW Mfg. (Thailand) Rayong 20 9 BMW 1 Series, 3 Series, 5 Series, 7 Series, X1, X3, X5, MINI Countryman
VW (計画)   0→100 (計画)   (計画再検討中)
Thai-Swedish Assembly Samutprakarn Volvo: 4.5 Volvo: 0.7 Volvo トラック、バス
UD: 20 UD: 1.7 UD Quester (大型トラック)
Tan Chong International Bangkok 20 Fuso: 0.6 Fuso トラック, 北汽福田汽車 Aumanトラック
Thonburi Automotive Assembly Plant Samutprakarn 19 8 M-Benz C-Class, E-Class, S-Class, M-Class, PHV(C, S, GLE)
15 0.2 Tata Xenon (計画中:Super Ace)
Y.M.C. Assembly Bangkok 24 N/A Mitsuoka 車, VW車
SAIC Motor - CP Rayong 1 50→0(計画) 5 MG6, MG3, MG5, MG GS (2016年3月-)
Rayong 2 0→300 (計画)   (2016年11月着工、
完成後は旧工場に置き換わる予定)
資料:各社ウェブサイト、リリース、各種報道


LMC Automotive 生産予測:タイの生産台数は2020年に237万台となる見通し

(LMC Automotive,2016年11月)

タイのグループ別ライトビークル生産予測  (LMC Automotive)

 2016年上期のタイの生産台数は前年同期比6.7%増。新モデルのホンダBR-VやマツダCX-3のほか、新型車のトヨタFortuner、Ford Everest、三菱自Pajero SportなどSUVの堅調な販売が牽引した。しかし、同期の生産台数は需要(同0.1%減)と輸出(同3.5%増)を大幅に上回っており、タイにおける在庫を積み増すこととなった。その結果、LMC Automotiveは、2016年の生産台数は194万台となると予測している。2017年は前年比0.7%増と微増の見込みだが、2018年以降は着実に増加し、2020年には237万台に達する見込み。

 タイにおける2016年1-9月の販売台数は、不安定な政治情勢と家計債務の拡大の影響により、前年比0.5%増と微増にとどまった。同年第4四半期は、10月にプミポン前国王が崩御し、公式的な服喪期間が続いていることから、販売は減少する見込み。同国の長期的な販売見通しは、長引く政治不安により不透明である。

 各メーカーの動きでは、トヨタが最近の販売低迷と輸出減少により、契約社員の中で800人の自主退職者募集を開始した。タイにおけるトヨタの乗用車は、競合車に対して勢いを失っている。また、同社はコンパクトおよびサブコンパクトSUVという重要なセグメントのモデルがないことに苦しんでいる。LMC Automotiveの予測によると、トヨタの2016年の生産台数は前年比10%減となるが、その後4年間は増加し、2020年には80万台に達する見込み。新モデルのコンパクトクロスオーバーSUV C-HRの生産が2018年から開始され、2018-2019年にモデルチェンジされる予定のCamry、Corolla、Vios、Yaris等の生産もトヨタの生産台数を押し上げる見込み。



タイのブランド別ライトビークル生産予測 (LMC Automotive)

(台)

SALES GROUP GLOBAL MAKE 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020
Total 1,872,677 1,891,874 1,937,423 1,951,516 2,132,693 2,301,261 2,369,210
Toyota Group Toyota 732,027 632,887 568,328 612,719 718,155 780,838 795,267
Hino 0 255 1,196 121 108 117 108
Toyota Group sub-total 732,027 633,142 569,524 612,840 718,263 780,955 795,375
Renault-Nissan Group Mitsubishi 323,179 330,170 359,046 339,109 328,193 349,472 348,469
Nissan 128,240 139,951 113,914 142,036 181,843 184,070 185,349
Renault-Nissan Group sub-total 451,419 470,121 472,960 481,145 510,036 533,542 533,818
Isuzu Motors Isuzu 234,673 229,752 241,359 246,729 245,159 278,262 218,407
Ford Group Ford 147,202 138,473 164,705 152,225 186,287 204,938 237,528
Honda Group Honda 143,685 170,598 213,264 194,689 205,706 204,490 216,721
Mazda Motors Mazda 69,205 121,130 135,616 121,964 124,080 143,468 118,682
Isuzu 0 0 0 0 0 0 91,943
Mazda Motors sub-total 69,205 121,130 135,616 121,964 124,080 143,468 210,625
Suzuki Group Suzuki 23,297 54,371 54,818 57,976 65,264 61,263 59,693
General Motors Group Chevrolet 55,410 51,077 49,844 45,975 44,438 59,209 61,649
BMW Group BMW 6,779 8,617 16,253 19,570 15,948 16,921 17,750
MINI 363 390 455 412 456 467 489
BMW Group sub-total 7,142 9,007 16,708 19,982 16,404 17,388 18,239
Daimler Group Mercedes-Benz 4,638 7,830 8,395 10,805 10,418 10,391 9,740
Fuso 37 1 56 92 98 108 100
Daimler Group sub-total 4,675 7,831 8,451 10,897 10,516 10,499 9,840
SAIC Group MG 0 4,538 8,096 3,439 3,467 3,493 3,494
Roewe 1,322 559 382 561 230 257 274
SAIC Group sub-total 1,322 5,097 8,478 4,000 3,697 3,750 3,768
Dongfeng Motor Dongfeng 1,895 1,103 1,229 1,389 1,606 1,971 1,992
Tata Group Tata 725 172 467 1,705 1,237 1,526 1,555
Source: LMC Automotive "Global Automotive Production Forecast (November 2016)
(注) 1. データは、小型車(乗用車+車両総重量 6t以下の小型商用車)の数値。
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キーワード
タイ、トヨタ、ホンダ、SUV、D-Max

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