タイ市場分析:SUVが好調で販売は底打ち、2017年からは回復期待
オセアニア、アジア向けの輸出が増え、生産を支える
2016/09/12
- タイ市場の概況
- ライトビークル市場 セグメント別:市場が底を打ち、SUV市場が伸びる
- ライトビークル市場 モデル別登録台数ランキング:いすゞ D-Maxがトップ
- ライトビークル市場 メーカー別:トヨタのシェア縮小、いすゞは拡大
- 輸出台数 仕向地別:オセアニア向けがアジア向けを抜く
- 輸出台数 メーカー別:トヨタの輸出が減少、三菱自は輸出拠点化
タイ市場の概況
タイの2015年の小売販売台数(乗用車+商用車)は前年比9.3%減の80.0万台と、初回購入支援策(ファーストカー減税:2011年10月-2012年12月)終了後、3年連続の減少。支援策が始まった2011年を、やや上回る水準まで販売台数は減少。2015年は、干ばつと農産物価格下落に伴う消費者の購買力の低下、自動車ローン借入条件の厳格化などが要因。
2016年1月からは、排出量基準の新たな物品税が導入されたため、一部モデルが増税。2015年年末の駆け込み需要の反動減もあり、当初は2016年の販売台数は10%程度減少するものとみられていた。
しかし、当初は反動減で前年に比べて減少したが、SUVの販売好調と税制影響の比較的少ないピックアップトラックの下支えにより徐々に持ち直し、2016年1-7月累計の販売台数は前年同期比0.2%減の42.9万台と、微減にとどまった。FTI(The Federation of Thai Industries)は、2016年の通年の販売台数は前年を若干下回る75-78万台と予測している。
また、2011年10月より実施されていた初回購入支援策は、5年以上の保有が条件であるため、2016年10月以降、この支援策で購入した車の買い換え需要が起きるとされている。
2017年は、この買い換え需要に加えて、年末に予定されている総選挙に伴って景気回復が予測される。そのため、2017年後半からは、自動車の販売台数は拡大すると予想されている。
輸出は、国内販売が不振な中でも、着実に増加しており、2015年は前年比6.8%増の120.5万台。2016年1-7月累計では前年同期比2.3%増の69.4万台と増加が続いている。ただし、通年では中東市場の先行き不透明感により、上期ほどの輸出増加は見込めないとされている。
また、自動車生産台数は、輸出に支えられて回復が続いており、2015年は前年比1.8%増の191.3万台。2016年に入っても増加が続いており、3年ぶりに200万台に達する見通し。
タイでの生産・販売・輸出台数
2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 見通し |
1-7月 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2015年 | 2016年 | |||||||
生産台数 | 1,457,795 | 2,453,717 | 2,457,057 | 1,880,007 | 1,913,002 | 200万台 | 1,101,114 | 1,147,330 |
輸出台数 | 735,627 | 1,026,671 | 1,119,205 | 1,128,102 | 1,204,895 | 122-125万台 | 678,432 | 693,978 |
国内販売 | 794,081 | 1,436,335 | 1,330,678 | 881,832 | 799,632 | 75-78万台 | 429,972 | 429,265 |
(輸出/生産) | 50.5% | 41.8% | 45.6% | 60.0% | 63.0% | - | 61.6% | 60.5% |
資料:The Federation of Thai Industries:FTI、Thailand Automotive Instituteなどから作成。 | |
(注) 1. | 国内販売は、輸入車も含む小売り台数。 |
2. | 2016年の見通しの欄はFTIの2016年8月時点の見通し。 |
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タイ: 2015年の生産台数は3-4%増の193万-195万台の見通し(2015年12月)
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