トヨタの欧米事業:レクサスブランド車と高性能車を拡充

2013年度から欧米地域での売上高と営業利益が拡大

2014/10/02

要 約

 本レポートは、トヨタの欧米事業について、商品計画を中心に報告する。

 これまで日本車は、品質・信頼性の評価を得てきたが、トヨタはさらにエモーショナルな走りを実現する高性能車を開発し、Toyota、Lexusブランドのイメ-ジを高める計画。高性能車Lexus Fシリーズを拡充し、Supra後継のスポーツカーとスポーツクーペLexus LF-LCを開発する。TNGAの採用、内燃エンジンの大幅改良とともに、トヨタの開発・商品計画の柱になっている。

 なお、トヨタは2013年度、2014年度4~6月期に過去最高の営業利益を計上したが、欧米地域での好業績が目立つ。ここ数年拡大してきたアジア他の新興国地域は、タイ国内販売の不振などでやや足踏み状態である。

RC F
2014年秋に米国発売する高性能車"RC F" (写真:トヨタ提供)
RC F
高性能車"RC F"の運転席まわり (写真:トヨタ提供)


関連レポート: トヨタの開発戦略:高熱効率・低燃費エンジン14機種を2年間で投入(2014年9月掲載)



北米のモデル計画

 トヨタは、LexusブランドのF、F SPORTタイプやBMWと共同開発中のスポーツカーなど高性能車を開発する。トヨタは「もっといいクルマづくり」を掲げているが、同時に運転の楽しさを提供できないとしたら、それはいいクルマとは言えないとしている。

 トヨタは収益の回復を背景に、成長の糧となる新技術、「イノベーション」への取り組みを加速させる。研究開発費を、2012年度の8,074億円、2013年度の9,105億円から2014年度計画は9,600億円に増額している。

ブランド別北米モデル計画 (後出の表も参照ください)

トヨタ レクサス サイオン
2014年 新型Yaris (表1) RCクーペ (表5)、NX (表6)
2015年 新型Sequoia、新型Tacoma、
新型Prius (表2)、FCV発売
GS F (表7)、新型RX xB後継車、xD後継車 (表10)
2016年 新型4Runner、新型Land Cruiser、 RCコンバーティブル、
TXクロスオーバー (表8)、
新型LX
新型tC
2017年 Supra 後継車(表3)、新型Camry (表4)、
新型PriusV
新型CT、新型GX、LF-LC (表9)、
新型LS、新型ES
新型FR-S (表11)、
新クロスオーバー
2018年 新型RAV4、新型Sienna

資料:Automotive News 2014.7.28


 

Toyotaブランド:TNGAベースのPrius、Camryを発売、Supra後継車を開発

 

FT-1コンセプト
Supra後継車のベースとなるとされるFT-1コンセプト
(Detroit Auto Show 2014、写真はトヨタ提供)
FT-1コンセプト
FT-1コンセプトの運転席まわり (写真はトヨタ提供)

 
2015年末に、TNGA適用車第一弾となる新型Priusを米国で発売する。その後Camry、RAV4などTNGAを適用するモデルの発売が続く。

 新型Yarisは、マツダがメキシコで生産するMazda2ベース車となる見込み。

 2017年後半に、BMWと共同開発するSupra後継車を発売する見込み。2014年1月にDetroit auto showに出展されたFT-1コンセプトが、その方向性を示すとされている。

トヨタブランド

表 (1)
Yaris
 新型Yarisは、Mazda2ベース車となる。マツダがメキシコ工場で生産し、1.5L SkyActivエンジンを搭載するMazda2(日本名Demio)ハッチバック車の供給を受け、新型Yarisとして発売する(デザインはトヨタが担当)。またトヨタは、2015年にMazda2セダンの供給を受け、サイオンxD後継車として発売する。
(2)
Prius
 米国発売時期は、当初の2015年4月から12月に延期された。二つの大きな新技術(TNGAと新世代ハイブリッドシステム)を初めて採用するモデルとなるため、予定より時間がかかっているとされる。また、当面米国での生産は計画されていない。
 最大熱効率を、現行HV用エンジンの38.5%から40%以上に高めたガソリンエンジンを搭載。駆動用電池は、エントリークラス車にニッケル水素電池を、上級仕様車にはリチウムイオン電池を搭載し、選択できるようにする見込み。またTNGAベースのプラットフォームは、最大20%軽量化する計画。これらの効果で、新型Prius では燃費を8~10%改善する。また、頻繁にエンジンを停止するHVとして、エンジン始動に電気二重層キャパシタを使用する模様。
 Prius PHVは、2016年10月に日本で生産開始。Prius v(日本名Prius α)は2017年後半に発売予定。現行車にないAWD設定も検討中とされる。
(3)
Supra後継車
 2002年に生産を終了したスポーツカーSupra(直列6気筒自然吸気およびターボ3000ccエンジンを搭載)の後継車を計画。トヨタはBMWとスポーツカーを共同開発しており、その成果がトヨタブランドのSupra後継車に具体化される見込み。(下記のFT-1コンセプトを参照ください)
(4)
Camry
 TNGAを適用し、モデルチェンジを計画。搭載するエンジンは、4気筒2.5L自然吸気、4気筒ターボ、ハイブリッドを設定し、V6エンジンは廃止する見込み。
FT-1コンセプト
 2014年Detroitオートショーに出展した、「Toyota FT-1」がSupra後継車の方向性を示すとされる。FTはFuture Toyota、1は「頂点"Ultimate"」を表す。将来のスポーツカーデザインに向けたスタディコンセプトで、全体的に曲線美を強調しながら、レースカーらしい力強さを感じさせるデザインに仕上げた。2000GT、Celica、Supra、MR2そして最近ではFR-Sなど、トヨタの豊富なスポーツクーペの経験を集約したとしている。
 スペックの詳細は発表されていないが、フロントエンジン、リアドライブで、コックピットはホイールベース内の後方に置き、重量のバランスをとった。サーキットで走行できるスポーツカーのコンセプトである。FT-1のデザインは、トヨタの伝統である社内の関連する部門の同意・合意というプロセスを省き、それにより、より顧客の感性に訴えるデザインの実現を目指している。


 

Lexusブランド:LF-LCやFシリーズの高性能車を投入

 Lexusブランドは、米国で発売以来品質の高さで定評を確立してきたが、さらにエモーショナルな走りの実現を目指している。BMW M、Mercedes-Benz AMG、Audi S/RSなどは、販売台数は多くないが各ブランドのイメ-ジアップに大きな役割を果たしているとされる。Lexusでは、これまで高性能シリーズはIS Fのみであったが、2014年後半にRC Fを投入、さらに2015年にGS Fを投入する(Fシリーズは、サーキットでの走行にも適した高性能車)。

 また、2017年初めに、価格12万ドル程度とされるスポーツクーペLexus LF-LCを発売する。BMWと共同開発中のSupra後継車と足回り他多くの部品を共有するとされる。

 レクサスブランドでは、今後数年の間これまでより若い顧客層にアピールする車種を多く投入する計画。NXに搭載する2.0Lターボエンジンは、IS、ES、GS、RCなどにも設定される見込み。

レクサスブランド

RCシリーズ
(表5)
RC350
 東京モーターショー2013で初披露した、IS/GSプラットフォームベースのスポーツクーペ。セダン派生の2ドア車ではなく、クーペ専用車として開発した。米国では2014年秋にV6 3.5Lエンジンと、IS Fと同じ8速Direct-shift transmissionを搭載し発売。2016年春にコンバーティブルを発売する。将来2.0Lターボエンジンも設定する見込み。
RC350"F SPORT"  RC "F SPORT"は、走行状態に応じて最適な制御を行うAdaptive Variable Suspension system、車速やステアリング操作に基づき4輪のタイヤ切れ角を最適に制御するLexus Dynamic Handling system(Dynamic Rear SteeringとVariable Gear Ratio Steeringで構成する)などを装備する。また、専用のアルミホイール、ステアリングホイール、シフトノブなどの装備を採用した。
RC F  さらにサーキット走行にも適した高性能クーペRC Fを発売する(Detroitオートショー2014で世界初披露した)。V8 5.0L、最高出力330kW以上、最大トルク520N・m以上、直噴機構D-4Sを搭載する2UR-GSEエンジンを搭載する。定常走行域ではアトキンソンサイクル化し、燃費・環境性能も向上させた。BMW M4、Audi RS5、Mercedes-Benz C63 AMG対抗車とされる。
 "F"は、Fuji Speedwayに由来し、運転のFunに通じるとしている。また、RC Fは、サーキットにおいても、公道においても最大の運転の楽しさを提供するとし、両面での楽しさをアピールする。

(注)RCは、シリーズ全体で年間15,000台、うち"F SPORT"が約半数、RC Fが2,500台程度の販売を見込む。

その他のLexus車
(6)
NX
 Lexus初のコンパクトCrossover車NXを、11月に発売予定(日本では2014年7月に発売済み)。2.0Lターボエンジンとハイブリッド仕様を設定し、販売の90%はターボエンジン車になるとされる。RAV4のプラットフォームを使用するが、ハイテンシル材の多用や、より高級感のある乗り心地を実現するサスペンションなど、大幅に改良した。
 NXの年間販売目標は36,000台だが、控えめな目標で供給体制が整えば販売はもっと伸びると見られる。サイズは、BMW X1とX3の中間になる。トヨタは1998年に北米で、Luxuryブランド初の乗用車ベースCrossover車 Lexus RX300を発売し、年販10万台前後のヒット車に育てた歴史があり、その再現を目指している。
(7) GS F  GSにも、V8 5.0Lエンジンを搭載するF仕様を設定する。
(8)
TX
 乗用車ベースの7人乗りクロスオーバーを計画。RXのプラットフォームを延長するか、またはより大きなプラットフォームを使用するか、検討中。Lexusで発売すれば、年間3.5万台程度の販売が期待できるとしている。(トラックのプラットフォームベースでは、Lexus GX460(日本名ランドクルーザープラド) 7人乗り車を販売している。)
(9)
LF-LC
 Detroit auto show 2012とParis motor show 2012に出展したLF-LCコンセプトをベースとする車を、2017年初めに投入予定。トヨタは、LF-LCは、Lexusの今後の方向性を示すデザインスタディモデルであり、次世代スポーツクーペにふさわしい躍動的なスタイリングだとしている。
 フロントエンジン、リアドライブの、2 + 2座席、ハイブリッド仕様で、BMWと共同開発しているトヨタSupra後継車とプラットフォームを共有する見込み。米国価格は、12万ドル程度で、Mercedes-Benz SLの対抗車とされる。


 サイオンブランドについては、新型車供給が遅れ、2013年、2014年1~8月期の販売が下降しているが、トヨタといえど経営資源の限界があり、ディーラーにしばらく待って欲しいと伝えている。

 

サイオンブランド

(表10) xD  トヨタは、マツダがメキシコで生産するMazda2セダンの供給を受け、サイオンxDとして発売する(Mazda2ハッチバックは、トヨタヤリスとして発売する)。
(11) FR-S  サイオンFR-S(日本ではトヨタ86)は、2012年に発売した(同時にスバルBRZも発売された)。2017年に次期型を発売する見込み。

 

 



米国販売:Lexus車販売が、2013年、2014年1~8月期に二桁の拡大

 トヨタの2013年米国販売は223.6万台で、シェアは14.4%。2009年の米国市場シェア17.0%には回復していないが、トヨタは急いでシェアを追いかけるのではなく、「もっといいクルマづくり」と「持続的成長」を優先するとしている。2014年の通年目標は230万台(2014年1~8月実績の前年比6.1%増で計算すると約237万台となる)。

 2014年1~8月販売実績を前年同期と比較すると、Toyotaブランドの5.6%増に対して、Lexusブランドは16.1%増加した(モデル別には、マイナーチェンジしたISとGXが貢献)。2014年8月8日付Automotive Newsによると、同年1~7月の米国Light vehicle市場全体の伸び率(約5%)に対して、Lexus、Lincoln、Land Rover、Audi、Infiniti、BMWのLuxuryブランドが二桁の伸びを示している。低価格Luxury車の投入、リース販売の普及、米国経済全体の明るさなどによるとしている。

米国でのブランド・Car/Truck別販売台数

2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2013年
1~8月
2014年
1~8月
Lexus car 112,745 113,106 101,181 132,741 153,166 96,565 113,133
Lexus truck 103,320 116,223 97,371 111,425 120,681 74,673 85,698
Lexusブランド計 215,975 229,329 198,552 244,166 273,847 171,238 198,831
Scionブランド計 57,961 45,678 49,271 73,505 68,321 48,959 41,949
Toyota car 938,468 850,601 785,765 1,035,733 1,073,070 761,345 772,450
Toyota truck 557,743 637,987 611,072 729,100 820,804 552,180 614,279
Toyotaブランド計 1,496,211 1,488,588 1,396,837 1,764,833 1,893,874 1,313,525 1,386,729
米国トヨタ合計 1,771,147 1,763,595 1,644,660 2,082,504 2,236,042 1,533,722 1,627,509
トヨタのシェア 17.0% 15.2% 12.9% 14.4% 14.4% 14.4% 14.5%
米国全体需要 10,431,509 11,589,844 12,779,007 14,492,398 15,582,136 10,651,957 11,191,068

資料:Automotive News 2014.9.8

 

 



欧州事業:Lexus NX、RCを投入、生産体制を効率化

 

Aygo
2014年夏に発売した新型Aygo
C-HR
2014年10月のParis Motor Showに出展するC-HRコンセプト


 欧州事業は、リーマンショック後の2008年度に、1,433億円の営業赤字となった。その後、台数・シェアを追うより効率を高めて収益を確保する方向に転じて、2010年度に営業黒字化し、2013年度の営業利益は582億円。

 商品面では、2014年夏に、チェコでPSAと合弁生産するAygoのフルモデルチェンジを実施した(Aygoは、初代モデルを、2005年に投入した)。

 また、2014年から2015年にかけてLexus NX、RCシリーズを投入する。NXは、欧州での2015年Lexus販売の1/3を占めるであろうとしている。

 生産面では、従来英国とトルコで行っていたオーリスの生産を2013年から英国工場に集約した。また、日本と南アフリカから輸出していたカローラ生産は、トルコ工場への集約を進める。

欧州市場に投入する新型車の計画

Lexus NX  トヨタは、欧州市場向けに、ハイブリッド車NX300h、自然吸気エンジンを搭載するNX200、ターボエンジンを搭載するNX200tを投入する。うちNX200tを2015年2月から主要欧州市場で、NX200を2014年12月からロシアで発売すると発表した。NXシリーズは、2015年欧州でのLexus販売の1/3を占める見込み。
Lexus RC  欧州市場においても、RC350、ハイブリッド車RC300h、スポーツ仕様を充実させたRC350 F Sport、5.0Lエンジンを搭載するシリーズ最高の高性能車RC Fを設定する。 うち、RC Fを2014年末から欧州主要市場で、RC300hを2015年中に発売する。
C-HR コンセプト  2014年10月のParis Motor Showに、コンパクトクラスのクロスオーバーのデザインスタディモデルである、C-HRコンセプト、を出展する。トヨタ・ブースの中央に展示するとしている。ハイブリッド仕様も設定する。RAV4の下のクラスに位置し、日産ジューク対抗車とされている。2016年から、トルコ工場で、C-HRコンセプトベースの小型クロスオーバー車を年10万台規模生産する計画。
その他  2014年10月のParis Motor Showには、上記の他に、CT 200h F SPORT、IS 300h F SPORTも出展する。

 

欧州向け生産体制を再編

Auris  Aurisは、これまで英国工場とトルコ工場で生産していたが、2013年から英国工場に集約した。英国工場でのAuris生産は、2012年の48,821台から2013年に142,751台に拡大した。同工場は、Avensisも生産している(2013年に36,482台)。
Corolla  欧州向けCorollaは、従来南アフリカと日本から供給していたが、2013年7月からトルコ工場で新型Corollaの生産を開始した。トルコ工場では、Versoも生産している。
 南アフリカでは、2014年2月に新型Corollaの生産を開始したが、前モデルのように欧州への輸出はせず、南アフリカを初めサハラ以南の地域の国々へ供給する。日本からの欧州へのCorolla輸出も、減らしていくとしている。

 

 



2014年4~6月期の地域別状況:北米と欧州で増収・増益、アジアは伸び悩み

 トヨタの2014年度4~6月期決算では、連結営業利益が第一四半期として過去最高を更新した。所在地別売上高と営業利益を見ると、北米と欧州で売上高・利益とも拡大し、営業利益は両地域とも前年同期比倍増した。ここ2~3年急拡大したアジア地域では、2014年4~6月期に売上高は微減、営業利益は6.0%増にとどまり営業利益海外第一位の座を北米に譲った。

所在地別売上高と営業利益

(億円)
2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2013年度
4~6月期
2014年度
4~6月期
4~6月期
前年同期比
売上高 日本 109,862 111,673 128,210 142,974 34,562 32,965 95.4%
北米 54,291 47,518 62,844 81,170 21,051 22,591 107.3%
欧州 19,814 19,939 20,831 27,249 5,959 6,506 109.2%
アジア 33,746 33,342 43,854 48,776 12,180 11,974 98.3%
その他 18,091 17,601 20,942 23,366 6,090 5,919 97.2%
消去又は全社 (45,868) (44,239) (56,041) (66,619) (17,291) (16,050) -
連結 189,936 185,836 220,641 256,919 62,553 63,906 102.2%
営業利益 日本 (3,624) (2,070) 5,763 15,101 4,560 3,659 80.2%
北米 3,395 1,864 2,219 3,260 826 1,655 200.4%
欧州 131 177 264 582 52 108 207.7%
アジア 3,130 2,567 3,760 3,957 1,041 1,103 106.0%
その他 1,601 1,088 1,337 425 425 340 80.0%
消去又は全社 49 (71) (136) (406) (273) 59 -
連結 4,682 3,556 13,208 22,921 6,633 6,927 104.4%
資料:トヨタの決算発表資料
(注) 1. 2013年度北米営業利益は、トヨタが米国司法省(Department of Justice)に12億ドルを支払った後の利益額。トヨタ車の「急加速」のトラブルに関して、顧客への情報提供が十分でなかったとして、罰金を課せられていた。
2. 上記は、持分法が適用される中国事業を含まない。
3. ダイハツ・日野を含む。

 

 



連結販売台数:2014通年度見通しを、北米は上方修正、アジアは下方修正

 2014年5月、2013年度決算と同時に発表した2014年度連結販売台数見通しは、世界で910万台。地域別には、日本とオセアニアを除く全て地域で拡大するとしていた。

 しかし2014年4~6月期の連結販売台数は、アジア、アフリカ地域で減少し、8月の発表では、世界販売は910万台で変わらないが、北米と欧州を上方修正し、アジア他新興国地域の販売見通しを下方修正した。タイ、インド、ブラジルなどの需要が弱含みだとしている。

 なお低迷するタイ市場は、2015年度以降回復に向かうであろうと予測している。

連結販売台数

(1,000台)
2011年度 2012年度 2013年度 2014年度見通し 2013年度
4~6月期
2014年度
4~6月期
4~6月期
前年同期比
5月発表 8月発表
日本 2,071 2,279 2,365 2,210 2,210 526 506 96.2%
北米
欧州
1,872
798
2,469
799
2,529
844
2,620
850
2,710
860
689
193
710
207
103.0%
107.3%
アジア
中南米
オセアニア
アフリカ
中近東
その他
1,327
289
223
214
550
8
1,684
364
271
259
741
5
1,609
413
259
267
824
6
1,630
430
250
280
830
-
1,580
420
240
270
810
-
394
106
60
67
196
1
385
106
58
61
206
2
97.7%
100.0%
96.7%
91.0%
105.1%
200.0%
世界 7,352 8,871 9,116 9,100 9,100 2,232 2,241 100.4%
資料:トヨタの決算発表資料
(注) 1. 持分法が適用される中国事業は含まない。
2. ダイハツ・日野を含む。

 

 



LMC Automotive 生産予測:トヨタグループの2017年Light Vehicle生産は1,073万台

(LMC Automotive社、2014年8月)

国別生産台数予測 LMC Automotiveの2014年8月時点の予測によると、2017年のトヨタグループ世界生産は、2013年比7.4%増加し、1,073万台に拡大すると予測している。現在は日本が生産の中心であるが、中長期的には国内需要は減少し、輸出が急増することも期待できないので、国内生産は360~370万台に収斂する。

 トヨタの2番目の生産国である米国での生産は、2017年に157万台(2013年比21.9%増)に拡大すると予測。ケンタッキー州ジョージタウンの工場では、2015年に設備を増強し、2017年には15万台を増産する計画。

 3番目の生産国である中国では、2017年に112万台(2013年比30.6%増)を生産する見込み。日中の政治的緊張も、2014年から徐々に和らぐだろうと、LMCA社は予測している。

 タイ、インドネシア、インドでの生産も長期的に成長すると期待されている。中国、インドネシア、インドという人口の多い国では、国内需要が成長を牽引する。また、タイは輸出基地として、より重要になると思われる。これらの国々での2017年生産は、タイで805,737台、インドネシアで881,904台、インドで304,764台と予測している。


トヨタグループLight Vehicle生産予測 (情報提供:LMC Automotive)

GLOBAL
MAKE
2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017
Toyota Group Toyota 6,501,798 8,210,368 8,447,941 8,538,476 8,570,925 8,888,532 9,000,411
Daihatsu 698,386 849,363 896,375 934,419 812,027 804,473 815,755
Lexus 388,874 481,765 507,675 563,941 646,193 737,405 748,013
Scion 42,702 57,052 55,266 60,319 72,962 95,504 93,877
Hino 45,911 80,011 83,513 51,643 65,979 67,708 68,752
Toyota Group total 7,677,671 9,678,559 9,990,770 10,148,798 10,168,086 10,593,622 10,726,808
Japan Toyota 2,386,555 3,140,368 2,949,708 2,787,465 2,600,823 2,575,769 2,483,174
Daihatsu 564,957 682,546 675,513 716,616 605,637 585,584 579,264
Lexus 323,632 395,068 421,439 465,120 530,170 575,316 583,661
Scion 42,702 57,052 55,266 60,319 69,448 75,387 75,250
Hino 38,137 58,484 60,022 29,536 41,415 40,110 39,377
Japan sub-total 3,355,983 4,333,518 4,161,948 4,059,056 3,847,493 3,852,166 3,760,726
USA Toyota 793,272 1,201,118 1,288,714 1,325,779 1,354,131 1,513,185 1,519,888
Lexus 0 0 0 0 10,282 49,361 50,961
USA sub-total 793,272 1,201,118 1,288,714 1,325,779 1,364,413 1,562,546 1,570,849
China Toyota 800,796 752,470 857,732 953,144 1,013,386 1,074,511 1,120,531
China sub-total 800,796 752,470 857,732 953,144 1,013,386 1,074,511 1,120,531
Thailand Toyota 515,813 888,500 863,912 803,450 772,656 759,483 805,440
Hino 152 320 264 253 263 274 297
Thailand sub-total 515,965 888,820 864,176 803,703 772,919 759,757 805,737
Indonesia Toyota 319,994 351,710 430,625 521,364 575,975 591,505 628,638
Daihatsu 132,126 165,947 220,452 217,641 206,148 218,514 235,954
Hino 1,858 13,014 15,233 12,665 14,521 16,469 17,312
Indonesia sub-total 453,978 530,671 666,310 751,670 796,644 826,488 881,904
Canada Toyota 347,587 432,525 419,100 453,659 455,766 443,012 446,294
Lexus 65,242 86,697 86,236 98,821 105,741 112,728 113,391
Canada sub-total 412,829 519,222 505,336 552,480 561,507 555,740 559,685
France Toyota 167,861 194,483 192,135 207,770 208,880 192,359 189,921
France sub-total 167,861 194,483 192,135 207,770 208,880 192,359 189,921
UK Toyota 128,146 109,429 179,233 179,667 180,373 171,569 159,242
UK sub-total 128,146 109,429 179,233 179,667 180,373 171,569 159,242
Taiwan Toyota 153,899 169,098 170,257 163,205 176,399 188,362 194,975
Hino 1,364 2,328 2,486 2,606 2,744 2,852 2,988
Taiwan sub-total 155,263 171,426 172,743 165,811 179,143 191,214 197,963
South Africa Toyota 153,244 151,848 155,233 162,924 186,109 196,671 201,285
South Africa sub-total 153,244 151,848 155,233 162,924 186,109 196,671 201,285
India Toyota 136,437 194,164 173,773 158,562 195,110 238,659 304,764
India sub-total 136,437 194,164 173,773 158,562 195,110 238,659 304,764
Turkey Toyota 91,639 76,925 102,260 134,456 130,742 185,320 252,944
Turkey sub-total 91,639 76,925 102,260 134,456 130,742 185,320 252,944
Brazil Toyota 60,456 66,514 134,721 132,914 131,555 141,180 147,138
Brazil sub-total 60,456 66,514 134,721 132,914 131,555 141,180 147,138
Australia Toyota 92,825 91,217 108,065 100,307 113,324 114,116 0
Australia sub-total 92,825 91,217 108,065 100,307 113,324 114,116 0
Argentina Toyota 68,929 93,570 94,468 90,279 87,262 83,747 90,199
Argentina sub-total 68,929 93,570 94,468 90,279 87,262 83,747 90,199
Malaysia Toyota 64,045 73,668 72,750 79,921 81,991 86,020 88,328
Hino 4,330 5,850 5,508 6,583 7,036 8,003 8,778
Daihatsu 325 0 0 0 0 0 0
Malaysia sub-total 68,700 79,518 78,258 86,504 89,027 94,023 97,106
Czech Republic Toyota 90,667 73,086 69,383 70,755 106,290 100,692 100,721
Czech Republic sub-total 90,667 73,086 69,383 70,755 106,290 100,692 100,721
Mexico Toyota 49,596 55,676 63,677 67,268 71,706 87,556 89,904
Scion 0 0 0 0 3,514 20,117 18,627
Mexico sub-total 49,596 55,676 63,677 67,268 75,220 107,673 108,531
Russia Toyota 14,131 28,282 42,816 57,397 51,239 62,627 88,878
Russia sub-total 14,131 28,282 42,816 57,397 51,239 62,627 88,878
Philippines Toyota 27,023 29,886 34,869 51,250 36,487 36,840 37,839
Philippines sub-total 27,023 29,886 34,869 51,250 36,487 36,840 37,839
Vietnam Toyota 27,227 22,042 33,949 31,150 32,120 34,417 36,661
Hino 70 15 0 0 0 0 0
Vietnam sub-total 27,297 22,057 33,949 31,150 32,120 34,417 36,661
Venezuela Toyota 9,853 11,959 8,930 2,576 4,345 6,209 8,637
Daihatsu 978 870 410 162 242 375 537
Venezuela sub-total 10,831 12,829 9,340 2,738 4,587 6,584 9,174
Kazakhstan Toyota 0 0 0 1,698 2,522 2,730 2,894
Kazakhstan sub-total 0 0 0 1,698 2,522 2,730 2,894
Portugal Toyota 1,803 1,830 1,631 1,516 1,734 1,993 2,116
Portugal sub-total 1,803 1,830 1,631 1,516 1,734 1,993 2,116
資料:LMC Automotive "Global Automotive Production Forecast (August 2014)"
(注) 1. データは、小型車(乗用車+車両総重量6t以下の小型商用車)の数値。
2. 本表の無断転載を禁じます。転載には LMC Automotive 社の許諾が必要となります。
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