フランクフルトモーターショー 2013 (3) :米日メーカーの展示取材

Opel Monza Concept、Ford S-MAX Concept、LEXUS LF-NX、Infiniti Q30 Concept等の展示

2013/10/04

要 約

トヨタブースの様子
トヨタブースの様子
(ル・マン24時間レースに出場したTS030 HYBRID)


 IAA 65 フランクフルトモーターショー2013がMesse Frankfurtで2013年9月10日から22日にかけて開催された(プレスデーを含む)。本レポートは米日メーカーを取り上げる最終回。

 GMは、Opel ブランドの次世代車の方向性を示す、クーペのコンセプトMonza Conceptを展示していた。他にChevroletブランド、Cadillacブランドでも出展。FordはミニバンS-MAXの次期モデルを示すコンセプトカーと、欧州部門の上級バージョンとして展開していく Vignaleバージョンのコンセプトカーを出展した。オランダに大型EVセダンの組立工場を2013年8月に開所したTeslaも出展。

 トヨタはトヨタブランド、レクサスブランドともハイブリッドモデルだけを展示し、ハイブリッド技術を欧州市場でも強く打ち出していた。日産は、日産ブランド、Infinitiブランドの2ブランドで出展し、新型X-TRAILとInfiniti Q30 Conceptを初披露。日本メーカーは、他に、ホンダ、富士重工、スズキ、マツダ、いすゞが出展。


関連レポート
フランクフルトモーターショー 2013 (1):BMW、VW、Daimlerの展示取材
フランクフルトモーターショー 2013 (2):欧州・アジアメーカーの展示取材


GM:Opelブランドで4人乗りクーペのコンセプトカーMonza Conceptを披露

 米GM傘下のOpelは、4人乗りクーペコンセプト Monza Conceptを初披露。このコンセプトカーに用いられている、新開発の1.0L ターボ付ガソリンエンジンも公開。Opelは2016年までに、全体に80%のパワートレインを刷新する計画。

 また、Chevroletブランドでは2014年型Camaro convertibleを、Cadillacブランドでは大型クーペコンセプトElmirajを公開した。

 

Monza Concept
大きなガルウィングが特徴的なMonza Concept
1.0L  ターボ付ガソリンエンジン
新開発の1.0L ターボ付ガソリンエンジン

 

Opel:4人乗りクーペコンセプトのMonza Conceptと1.0Lターボエンジンを展示

Monza Concept  Monza Conceptは、次世代のOpelブランド車の方向性を示すコンセプトモデル。4人乗りのクーペで、全長4,690mm、全高1,310mmと車高の低いスタイルを持つ。Bピラーのない大きなガルウイングドアを採用しているのが特徴。車高が低いが、車室全体が他のOpelブランド車と比べて約150mm低く設計されているため、通常の中型車と同様の車室空間が提供されるとのこと。
様々なパワートレインを搭載することを想定している。展示モデルは、天然ガス仕様の1.0L 3気筒ターボエンジンSIDI (下記)を発電用として搭載するPHV。このレンジエクステンダーシステムはAmpera(PHV Chevrolet Voltの姉妹車)のシステムの発展形を示すもの。
1.0 SIDI Turbo  新開発の1.0L3気筒ターボ付ガソリンエンジンで、既存の1.6Lエンジン同等の最高出力85kW(115hp)を発揮し、最大トルクは166Nm/1,600rpmと約30%上回る(同じ回転数の時の比較)。燃費は約20%改善。2014年発売予定の小型車Adamに搭載され、新型6速MTとの組み合わせでCO2排出量は100g/kmを大きく下回る。
 同社は、2016年までに、新開発の3つのエンジン・ファミリーと13種類のエンジン・バリエーション、および新型トランスミッションを投入し、全体の80%のパワートレインを刷新する計画になっている。

 

Chevroletブランド車とCadillacブランド車の展示

Chevrolet Camaro Convertible  2014年型Camaro convertibleには6.2L V8エンジンと、6速MTもしくは6速ATが設定される。出力は432hp(318kW)、トルクは569Nmを発揮(MT車)。
Cadillac Elmiraj  2013年8月に米国で初公開された、4人乗りの2ドアの大型クーペコンセプト。全長は5,207mm。4.5L V8ツインターボエンジンを搭載し、最高出力373kW、最大トルク678Nmを発揮する。

 

Chevrolet Camaro Convertible
2014年型Chevrolet Camaro Convertible
Cadillac Elmiraj
大型クーペコンセプトCadillac Elmiraj

 

 



Ford: S-MAX Conceptと上級バージョンを予告するMondeo Vignale Conceptを展示

 Fordは、2台のコンセプトカーを展示。1台は次期S-MAXを予告する、S-MAX Concept。もう1台は、Fordの欧州部門の上級バージョンとして展開していく、Vignaleバージョンの第一弾となる予定のMondeo Vignale Concept。共に、車体は金色をベースとした色をしており、展示会場に高級感ある雰囲気を与えていた。

 他に、欧州で2014年にも発売される電動車両 C-MAX Energi (PHV)、Mondeo Hybridも展示。

 

S-MAX Concept
S-MAX Concept
Mondeo Vignale Concept
Mondeo Vignale Concept

 

S-MAX Concept  次期ミニバンS-MAXを予告する、S-MAX Conceptを初披露。最新のFordのデザイン言語を基に設計された、Mondeoと共通性のあるエクステリア・デザインが特徴。3列目シートはワンアクションでの収納が可能で、2列目シートの真ん中の席も床下に収納できるように設計されている。
 車車間の通信が可能な最新のインフォテインメントシステム、歩行者を検出できる衝突被害軽減システム、アクティブ・パーキングアシストシステムを搭載。運転席はに心拍数などを計測して、運転手の健康状態を記録する機能も持つ。パワートレインはターボ付1.5LのEcoBoostを搭載。2015年に欧州向けに発売される計画で、このコンセプトモデルは生産モデルに近いとのこと。
Mondeo Vignale Concept  Ford欧州部門は、2015年初頭よりVignaleを各モデルの上級バージョン名として展開する。その第1弾となる、新型中型セダンMondeoのVignaleバージョンのコンセプトを初披露。ベースモデルと比較して、グリルにクロームめっきを仕上げるなど内外装に高級感を与えた。VignaleバージョンをMondeoのセダン/ワゴンに続いて、幾つかのモデルでも展開する。
 なお、Fordによれば、現在の欧州販売のうち半分以上は上級仕様グレードになっているとのこと。

 

C-MAX Energi (PHV)
C-MAX Energi (PHV)
Mondeo Hybrid
Mondeo Hybrid

 

 



Tesla:大型EVセダンModel Sを展示

 米国の新興EVメーカー Teslaは、大型EVセダン Model Sを展示。電池容量が60 kWhのグレードと80kWhのグレードがあり、後者の航続距離は最大500km(NEDC)。欧州では2013年8月からノルウェーで発売し、順次、ドイツ、ベルギーなどに拡大していく。
 同社は、2013年8月、オランダ Tilburg に組立工場を設置。部品は米国から運んでModel Sの組立が行われる。


Tesla Model S
Tesla Model S
Tesla Model Sの子供用の補助座席
Tesla Model Sの子供用の補助座席

 



トヨタ:展示車を全てハイブリッド車に統一

 トヨタは、トヨタとレクサスブランドで出展。両ブランドとも展示車はすべてハイブリッド車。初披露したモデルは、トヨタブランドではスポーツモデルYaris Hybrid-R Concept、レクサスブランドではコンパクト・クロスオーバーのコンセプトモデルであるLF-NX。

 同社はHVモデルを欧州で2012年に11万台以上販売し、欧州のHV市場の75%のシェアを占めたとしている。そして、2015年までにFCV含めた15の新モデルまたはモデルチェンジしたHVモデルを発売する予定(詳しくはこちらをご覧下さい)。

 

Yaris Hybrid-R Concept
Yaris Hybrid-R Concept
LF-NX
LF-NX:コンパクト・クロスオーバーSUVコンセプト

 

トヨタ

Yaris Hybrid-R Concept  ドイツのToyota Motor Sports GmbHが開発した4輪駆動のスポーツモデル。1.6Lターボエンジン(最大出力300hp)、後輪を駆動する2つのモーターを組み合わせた(システム最大出力420hp)。後輪のモーターはYaris hybridに使われているものと同じ。エンジンとトランスミッションの間にはジェネレーターが設置されている。レース場での頻繁な加減速に対応するために、充放電効率に優れる(パワー密度の高い)スーパーキャパシターを採用。

レクサス

LF-NX  レクサスブランドで販売していないセグメントに属する、コンパクト・クロスオーバーSUVのコンセプトカー。トヨタ RAV4のプラットフォームを用いており、全長は4,640mmとレクサスRXの4,770mmより小型。フロントエンド、リアエンドとも鋭角的なデザインを施している。2014年からターボ付エンジンモデルと2.5L4気筒エンジン搭載のハイブリッドモデルを発売する見込み。

 

 



日産:新型X-TRAILとInfiniti Q30 Conceptを初披露

 日産は、デザインを大幅に変更した新型X-TRAILとInfinitiブランド初のコンパクトモデルとなるQ30 Conceptを初披露。また、世界展開を図っている、日産ブランドの高性能バージョンNismo車も展示。

 同社は欧州で2016年までに一番のアジア・ブランドとなることを目標としており、2014年までの間に7つの新モデルまたは大幅改良したモデルを投入する計画。それにはNote、Micra、X-TRAIL、新しいCセグメントのハッチバック、欧州での最量販車Qashqaiの後継モデルが含まれる。

 

新型X-Trail
新型X-TRAIL:欧州では2014年7月から発売予定
EV e-NV200のタクシーモデル
スペインで生産されるEV e-NV200のタクシーモデル

 

日産

X-TRAIL  コンパクトSUV X-TRAILの3代目を初披露。米国ではRogueの名前で販売。Renault-日産の新しい車両設計技術Common Module Family (CMF)を初めて採用するモデルとなる。欧州では2014年7月から販売される(米国では2013年11月から)。新型X-TRAIL は、先代の直線的なデザインを大きく変え、Muranoのような曲線的なデザインとなった。欧州向けモデルのパワートレインの詳細は2014年に公表される(米国モデルは2.5L4気筒ガソリンエンジンにCVTが組み合わされる)。
e-NV200  スペインBarcelona 工場で2014年半ばから生産されNV200のEV版。Barcelona市内でタクシーとして利用される予定。

Infiniti

Infiniti Q30 Concept  Q30 Conceptは、Infinitiブランド初のプレミアムコンパクトカーを予告するもの。2011年のジュネーブモーターショーで初披露したコンセプトカーEthereaの発展版。クーペのスポーティさ、ハッチバックの室内の広さ、クロスオーバーの背の高さを融合したものだという。ダイムラーのプラットフォームを活用。量産モデルを、日産の英国工場で2015年から生産予定。
 プレミアムコンパクトカーは中国/欧州市場での成長に欠かせないとしている。

 

Juke Nismoバージョン
Juke Nismoバージョン
Infinite Q30 Concept
Infiniti Q30 Concept

 

 



ホンダ、富士重工、スズキ、マツダ、三菱、いすゞの展示

 

ホンダ

Civic Tourer  欧州専用の新型ワゴンCivic Tourerを初公開。新世代技術Earth Dreams Technologyの一つである1.6L 4気筒ディーゼルターボエンジン「1.6 i-DTEC」と、1.8L 4気筒ガソリンエンジン「1.8 i-VTEC」の2機種を用意。CO2排出量はそれぞれ99g/km、149g/km。Fitと同じセンタータンクレイアウトを採用して、車室内を広くし、荷室容量は624L。2014年初めに発売開始予定。

 

Civic Tourer
新型ワゴン Civic Tourer
1.6 i-DTEC
Earth Dreams Technologyの一つである1.6L 4気筒
ディーゼルターボエンジン「1.6 i-DTEC」



富士重工

WRX Concept  次世代のWRXのデザインを示唆するコンセプトカー(2013年ニューヨークショーで初披露)。現行モデル(セダン)と比べて全長は4,520mmと60mm短くなり、ホイールベースは2,760mmと135mm長くなっている。
VIZIV CONCEPT  ディーゼルエンジン使ったPHVコンセプト(2013年ジュネーブショーで初披露)。前輪部分に水平対向2Lディーゼルエンジンと駆動/発電用のモーター、後輪部に2輪を個別に駆動するモーターを2個搭載。次世代の運転支援システムEyeSightのコンセプトも搭載(注)。

(注) 富士重工は、2013年10月、次世代のEyeSightを開発したことを発表。ステレオカメラをカラー化した上、視野角・視認距離を約40%拡大。カラー化によって、先行車のブレーキランプを認識し、クルーズコントロール時などに早めの減速が可能となった。そして、操舵制御機能も追加し、車線中央維持/逸脱防止機能を追加。さらに、プリクラッシュブレーキによる衝突回避条件を速度差約30km/hから約50km/hに拡大した。2014年より日本で販売する新型車に順次搭載していく。

 

WRX Concept
WRX Concept
VIZIV CONCEPT
VIZIV CONCEPT


 

スズキ

iV-4  コンパクトSUVのデザイン・コンセプトモデル。全長は4,215mm。2015年からハンガリー工場で生産開始予定。
SX4 S-CROSS  2013年9月よりハンガリー工場で生産を開始した、同社初のCセグメント・クロスオーバー。SX4の名前を継いでいるが、先代モデルと比べると全長で150mm大型化し、デザインも異なる。1.6Lのガソリンエンジンとディーゼルエンジンを選ぶことができ、ディーゼルエンジンと6速MT搭載の2WD車(アイドリング・ストップ機能付)の燃費性能は4.2L/100km。

 

iV-4
コンパクトSUVコンセプトモデル iV-4
Cセグメント・クロスオーバー
Cセグメント・クロスオーバー SX4 S-CROSS


 

マツダ

Mazda3 (Axela)
セダン
 マツダの最量販車Mazda3 (Axela)をフルモデルチェンジして、セダンモデルを初公開(ハッチバックモデルは6月に公開済み)。SKYACTIV技術とデザインテーマ「魂動(こどう)-Soul of Motion」を全面的に採用。新開発のガソリンエンジンSKYACTIV-G 1.5を加えて、1.5L~2.5Lのガソリンエンジンと、2.2Lのディーゼルエンジンを市場に合わせて設定する。日本向けには、ハイブリッドシステムをセダンモデルに搭載する予定。
 走行安全性を最優先に考えた、ヘッドアップディスプレイなどを備える新しいカーコネクティビティーシステム「マツダコネクト」を初めて搭載する

 

WRX Concept
Mazad3 セダンモデル
「マツダコネクト」の体感モデル
スマートフォンを通じてインターネットラジオなどを利用できる、カーコネクティビティシステム「マツダコネクト」の体感モデル


 

三菱

Outlander PHEV  同社初のPHVであるOutlander PHEVをドイツで初披露。欧州では2013年10月にオランダ・スカンジナビア諸国で販売を開始し、同年11月から2014年第1四半期にかけて欧州全域に展開していく予定。

いすゞ

D-MAX  ドイツでは2012年6月に発売された新型D-MAX。いすゞのドイツ法人は2012年に956台のD-MAXを販売した。

 

Outlander PHEV
三菱 Outlander PHEV
D-MAX
いすゞ D-MAX

 

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>