第4回国際二次電池展取材報告

アイドリングストップやエネルギー回生の市場で、電池とキャパシタが競う

2013/03/14

要 約

 本レポートは、2013年2月27日~3月1日に、東京ビッグサイトで開催された「第4回国際二次電池展」での、車載用途関連の出展概要につき報告する。

 リチウムイオン電池については、日本の電池メーカーでは、三菱重工とIHI/A123 Systemsが出展した。

 鉛電池については、アイドリングストップやHV(Hybrid vehicle)搭載への対応が進んでいる。各社が、鉛電池の価格の低さや安全性を活かしつつ、鉛電池の弱点である充電受入れ性を強化し、また部分充電環境での長寿命化を図った電池を出展した。

 キャパシタについては、既にマツダとPSAが電気二重層キャパシタを採用しているが、リチウムイオンキャパシタも含めて、各メーカーが自動車メーカーと試作・評価を行っている模様。

 なお、リチウムイオン電池を12Vスタータ用電池に使用する動きが始まっている。既にPorscheが2010年から一部車種にオプション設定し、A123 Systemsは、欧州の自動車メーカー3社(McLaren、Mercedes-Benzおよびもう1社)に供給する。価格は高いが、軽量・長寿命・ブレーキエネルギー回生力を強化するなどの効果があり、A123 Systemsは当面高級車をターゲットに拡販する計画。

 今後も、世界各地域の燃費規制強化に対応するため、アイドリングストップやブレーキエネルギー回生市場のさらなる拡大が予想されている(2017年に、世界で3,900万台との予測もある)。この市場を狙って、現在の主流は鉛電池だが、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、さらにリチウムイオン電池も加わって、各装置の長所をアピールしながら競い合う構図となっている。


関連レポート:第3回国際二次電池展2012取材報告(2012年3月掲載)


※写真はクリックすると拡大されます。



リチウムイオン電池の出展

 日本のリチウムイオン電池メーカーでは、三菱重工とIHI/A123 Systemsが出展した。IHI/A123 Systemsは、Mercedes-Benz車に供給するスタータ用リチウムイオン電池を展示した。A123 Systemsは、他に自動車メーカー2社と契約を結んでいる。

 中国と台湾のリチウムイオン電池メーカーも出展した。三幸セミコンダクターは、台湾の尚志精密化學からリチウムイオン電池をスタータ用電池として輸入し日本のアフターマーケットで展開する計画。

 なお昨年の第3回二次電池展に出展したパナソニック、GSユアサ、東芝など車載電池に注力している電池メーカーの出展は、今回は見られなかった。


三菱重工のリチウムイオン二次電池
三菱重工のリチウムイオン二次電池"MLiX"を搭載し、「パイクスピーク・
インターナショナル・ヒルクライム 2012」に参戦したレーシングカー


IHI/A123 Systemsが出展した3機種のリチウムイオン電池
IHI/A123 Systemsが出展した3機種のリチウムイオン電池
(中央の"ALM 12V7"は車用途以外)


Mercedes-Benz車に供給するスタータ用リチウムイオン電池
Mercedes-Benz車に供給するスタータ用リチウムイオン電池
(IHI/A123 Systemsの出展)


中国の浙江谷神能源科技(Godsend)が出展した、リチウムイオン電池のセルとパック
中国の浙江谷神能源科技(Godsend)が出展した、リチウムイオン電池の
セルとパック


台湾の尚志精密化學(Tatung Fine Chemicals)/三幸セミコンダクターが出展した、スタータ用リチウムイオン電池
台湾の尚志精密化學(Tatung Fine Chemicals)/三幸セミコンダクターが
出展した、スタータ用リチウムイオン電池

三菱重工のリチウムイオン電池MLiXシリーズ

標準型 高出力型 高容量型
(開発中)
製品名 50 High Power 40 High Power 20 High Capacity 60
主な車載用途 EV HV EV
質量(kg) 1.4 1.4 0.85 1.4
寸法(W×D×H)mm 110×38×166.5 110×38×166.5 110×28×130 110×38×166.5
公称容量(Ah) 50 40 20 60

(注)三菱重工のリチウムイオン電池MLiXは、定置用に適した高容量タイプと車両搭載に適した高出力タイプをラインアップ。車載用途では、自社のディーゼルエンジンHVフォークリフト、京都市と青森市で運行するバスに供給している。

 

IHI/A123 Systemsが展示したリチウムイオン電池

円筒型 プリズマティックセル(ラミネート型)
ANR26650 AHR32113
主な用途 HVバス、
航空機始動用
HV乗用車、HVバス EV、PHV スタータ用電池
BMWのHVに供給
(注3)
GM Chevrolet
Spark EVなど
M-Benz車(注4)
容量(Ah) 2.5 4.4 19.6
エネルギー量(Wh) 8.2 14.5 65.0
(注) 1. A123 Systemsは、2013年1月に中国の万向集団(Wanxiang Group)に買収されたが、社名とロゴを維持して事業を継続する。
2. 日本国内のバスでは、東京都羽村市のコミュニティーバスと、墨田区の循環バスに供給している。
3. BMWのActiveHybrid 3とActiveHybrid 5に供給する。
4-1. A123 Systemsは、欧州の自動車メーカー3社(McLaren (MP4-12C)、Mercedes-Benz車(モデルは未詳)、およびもう1社)にスタータ用リチウムイオン電池を供給する(2012年3月発表)。
4-2. A123 Systemsは、本展示会では、Mercedes-Benz車に供給する12V80Ahのリチオウムイオン電池を展示した。また他に、より小型の乗用車に供給する12V40Ahの電池と12V60Ahの電池も参考出品した。
4-3. 最初にリチウムイオン電池をスタータ用に搭載した自動車メーカーはPorscheで、2010年2月に、米独に本部を置くGAIAから調達し、911 GT3、911 GT3 RS、Boxster Spyderの3車種にオプション設定した(価格は1,700ドル)。「軽量化」が目的。ユーザーが注文すると、鉛電池とリチウムイオン電池両方の電池付で納車され(零度℃以下ではリチウムイオン電池の性能が落ちるため)、簡単に交換できる。
4-4-1. (本展示会での出展ではないが)スズキは2012年9月に発売した新型ワゴンRに、アイドリングストップ専用の鉛電池と東芝製SCiBリチウムイオン電池を組み合わせて使用する減速エネルギー回生機構「エネチャージ」を採用した。オルタネータで発電した電力を二つの電池に充電し、オーディオなど電装品に供給する。デンソーが電池パックを開発した。
4-4-2. 二つの電池(パック)は、電圧がともに12Vでかつ電圧特性に類似性が高いことから、通常必要な電圧変換器が不要であるとのこと。

 

日本のリチウムイオン電池メーカー

三菱重工 MLiX電池を
搭載する
レーシングカー
 2012年7月に、米国コロラド州で開催された「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」に、三菱重工のリチウムイオン電池MLiXを搭載して参戦したレーシングカー、「E-Runner」を出展。

中国のリチウムイオン電池メーカー

Sinopoly
中聚電池
リチウム
イオン電池
 Sinopolyは、香港に本社を、吉林市と天津にリチウムイオン電池工場を持ち、15年前からリチウムイオン電池を生産している。車載用途では、バスとタクシーに供給している。タクシーは全車、充電ではなく電池を交換するシステムを採用しているとのこと。
Godsend
浙江谷神
能源科技
リチウム
イオン電池
 Godsendは、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)を正極に持つリチウムイオン電池の開発、生産、販売を行っている。リチウムイオン電池を用いた大容量の蓄電システムからEVなどの移動体用まで、幅広く開発している。

台湾のリチウムイオン電池メーカー

Tatung Fine Chemicals
(尚志精密化學)/三幸セミコンダクター
リチウム
イオン電池製
スタータなど
 日本の三幸セミコンダクターは、台湾のリチウムイオン電池メーカー「尚志精密化學"Tatung Fine Chemicals"」から、正極にリン酸鉄リチウム(LiFePO4)を使用するリチウムイオン電池を輸入し日本で展開する計画。
 リチウムイオン電池を使用する自動車用スタータ電池(寿命の長さ、軽量、エネルギー回生などがポイント)と、ポータブル電源(車の緊急時始動セットや携帯電話用充電コンセントなど)を展示した。これらの製品を手始めに、尚志精密化學の製品を日本市場へ導入したい考え。アフターマーケットに導入する計画。
Phoenix Silicon International(PSI) リン酸鉄リチウム
イオン電池
 台湾のPhoenix Silicon International(PSI、昇陽國際半導体)は、リン酸鉄リチウムイオン電池を生産・販売する。リン酸鉄リチウムは、住友大阪セメントと、三井造船と戸田工業が共同で設立した「M&T オリビン」の2社から調達する。
 エナックスはPSIと提携し、PSIが生産するリン酸鉄リチウムイオン電池を、定置用を中心に日本で展開する計画(2012年2月発表)。
 PSIは、台湾のゴルフ場のゴルフカートに、リン酸鉄リチウムイオン電池を供給している。また台湾や中国の自動車メーカーのEV/HVへの供給を目指す。
Chang Hong
(長泓エネルギー科技)
LFPOを
使用する電池
 台湾のChang Hongは、正極に「リチウム鉄リン系複合化合物(Lithium Iron Phosphate Oxide, LFPO)を使用する電池を開発した。LFPOは、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)とは別の材料で、コストが低くかつより優れた特性を持つとしている。
 定置用から、EV/HV、ゴルフカート、電動バイクなど移動体分野も幅広く開拓していく計画。

 

 



鉛電池を改良し、アイドリングストップやHV搭載に対応

 車載用鉛電池メーカー各社が、アイドリングストップ用電池、HV用電池を出展した。鉛電池の価格の低さや安全性を活かしつつ、充電受入れ性を強化し、また部分充電環境での長寿命化を図り、新しい用途に対応している。充電制御システム搭載車用鉛電池も出展された。

 各社が搭載したAGM(Absorbent Glass Mat)Technologyは、アイドリングストップなどへの対応で現在最も進んだ鉛電池とされている。

 古河電池は、負極に鉛負極とキャパシタ負極を並列につないだ、アイドリングストップ用UltraBatteryを開発した。大電流の放電に強い鉛電池と、大電流の充電に強くサイクル寿命の長いキャパシタを組み合わせた。


新神戸電気が出展したHV用鉛電池「TuflongHV」
新神戸電機が出展したHV用鉛電池「TuflongHV」


Ceilブランドのフォークリフト向け鉛電池
井上鋲螺工業がインドから輸入している、Ceilブランドのフォークリフト向け
鉛電池、縦長(高さ40cm超)の鉛電池24セルのモジュール。
表面上の黒茶色の部分は溶接し接続した跡。
白いホースは、24個のセルに集中して給水するシステム


韓国のATLASBXが出展した鉛電池、左上がAGM方式のHV用電池
韓国のATLASBXが出展した鉛電池、左上がAGM方式のHV用電池、
右上がAGM方式を採用したStart-Stop用電池、左下が通常の液式
Start-Stop用電池、右下が充電制御システム採用車向け電池


欧州でのマイクロHV車用鉛電池
欧州でのマイクロHV車用鉛電池
(AGM Technologyを採用、Exide Technologies社の日本代理店 岡田商事が出展)

 

充電受け入れ性など、性能を強化した鉛電池

新神戸電機 HV用Tuflong HV  HV補機用鉛電池。HV車ではエンジンルームに機器類が多く鉛電池を置くスペースがないため、後部座席の下などに配置している。このため、水分が外に漏れない、水分補給の必要がない、などの特性が求められる。VRLA(Valve Regulated Lead Acid)構造(注1)とAGM Technology(注2)を採用。
アイドリング
ストップ車用
TuflongECO-IS
 アイドリングストップ車用電池は、(通常車に比べ)低い充電状態で、かつ充放電の頻度が高い環境で使用される。一方通常の鉛電池は、充電に時間がかかり、満充電に近い状態で使用しないと寿命が短くなるとの課題があった。
 TuflongECO-ISは、入力特性を1.5倍に高めた。また満充電でない状態で使用しても寿命が長くなるよう改良した。 アイドリングストップは、電池の残容量が少ないと作動しない設計になっている(エンジン駆動による充電が行われる)が、この電池は短時間で満充電にできるので、より頻度高くアイドリングストップできる。
 TuflongECO-ISは、日産・マーチ/セレナ、トヨタ・ヴィッツ/ピクシススペースなど、多くのモデルに搭載されている。
(注)1-1. VRLA(Valve regulated Lead Acid)電池は、密閉構造で補水、液量チェックが不要。バルブは、内部に高圧など異常が発生した場合には安全弁として機能する。
1-2. 通常の鉛電池は定期的に水の補給が必要だが、VRLA電池では、充電中に正極板から発生した酸素ガスを負極板で発生する水素と結合させて水にし、これにより電解液(希硫酸)が減ることを抑制する。
2. AGMはAbsorbent(またはAbsorbed)Glass Matの略語で、VRLA電池(注1)の一種。グラスマットセパレータに電解液を吸着させる構造で、始動性、耐久性を向上させる。
古河電池 アイドリング
ストップ車用
UltraBattery
 古河電池は、アイドリングストップ車用鉛電池「UltraBattery」を開発した。アイドリングストップ車では、鉛電池は、常にPSOC(Partial state of charge)と呼ばれる充電不足状態に置かれ、しかも大電流の急速放電が行われるなど、従来にない過酷な使用条件が要求される。
 鉛電池では、正極が二酸化鉛、負極は海綿状鉛だが、UltraBatteryでは、正極は同じ二酸化鉛、鉛負極とキャパシタ負極(多孔質カーボン)を並列に接続して負極とした。
 これにより、充電受け入れ性を高め、PSOC条件下での寿命を延ばし、鉛電池がもともと持つ安全性も保持することが出来る。
海外メーカー製の鉛電池製品
Chloride/
井上鋲螺工業
Ceilブランド
鉛電池
 井上鋲螺工業は、英国の蓄電池企業クロライド社(EXCIDEブランドを製造・販売)のインド現地法人(Ceilブランドを製造し世界規模で販売している)の販売代理店。Ceilブランドは世界で鉛電池を年間10億ドル販売している。
フォークリフト用
鉛電池
 主にフォークリフト用鉛電池を輸入し、トヨタ・日産のフォークリフトやコマツに納入している。現在日本のフォークリフト用鉛電池メーカーは2社のみで競合が少なく価格が高止まりしているため、輸入品が割安であるとのこと。
ATLASBX
(韓国)
HV用電池  HV補機バッテリー用鉛電池。AGM Technology(注2)を採用し高容量、高耐久性を実現した。トヨタ・プリウスに供給している。
Start-Stop用
電池
 AGM Technologyを採用した電池(写真右上)と、通常の液式(Flooded)タイプの電池(左下)を揃えている。サイクル寿命は、同社一般製品の1.8万回に対してAGM式は12万回、液式は4万回。
充電制御車用
電池
 充電制御システム(注3)採用車に向く鉛電池。充電受け入れ性を同社従来品比50%向上させ、高温耐久性、始動性も向上させた。

(注)3. 充電制御システム(Alternator management system)は、充電が一定量に達するとオルタネータを止めて充電を中断し燃費を向上させる。素早く充電するため、充電受け入れ性の高い電池が必要になる。

Exide Technologies/
岡田商事
マイクロHV用
鉛電池
(欧州車用)
 Exide Technologies社(上記Chlorideのグループ会社)の、日本の代理店岡田商事が出展した、欧州のマイクロHV車用鉛電池。アイドリングストップとブレーキエネルギー回生のため性能を強化した。Exide Technologiesが欧州の主要自動車メーカーと共同開発したECM(Enhanced cycling mat)方式と、さらにVRLA構造とAGM方式で強化したAGM Technology仕様とがある。

 

 



電気二重層キャパシタ

 電気二重層キャパシタ(EDLC, Electric Double Layer Capacitor)は二次電池のような化学反応ではなく、電解液中のイオンの吸脱着による蓄電であるため、急速・大電流の充放電ができる。長期間使用しても劣化が非常に少ない。しかし蓄電容量は小さいので、鉛電池またはリチウムイオン電池との併用が見込まれている。

 マツダとPSAが電気二重層キャパシタ(EDLC)を本格採用した。マツダの"i-ELOOP"は減速エネルギー回生システムで、キャパシタに蓄電したエネルギーを電装機器の電力に使用することが目的。PSAのアイドリングストップシステム"e-HDi"では、ディーゼルHV車の始動に活用する。


日本ケミコンが、マツダの減速エネルギー回生システム
日本ケミコンが、マツダの減速エネルギー回生システム"i-ELOOP"に
供給する電気二重層キャパシタ・モジュール


Maxwell社のUltracapacitor
Maxwell社のUltracapacitor(電気二重層キャパシタ)、左端はPSAの e-HDi Start-Stop
システムに供給するE-Boosterシステム(システム製造はContinental AG)

 

電気二重層キャパシタ

日本ケミコン 低抵抗化、
高耐熱化を推進
 日本ケミコンは、電気二重層キャパシタについて、低抵抗化、高耐熱化を進め、第1世代、第2世代、現在の第3世代と開発を進めてきた。耐熱性を85℃に高めた開発途上品も展示した。
マツダの
減速エネルギー
システムに供給
 マツダが2012年11月に発売した新型アテンザが搭載する減速エネルギー回生システム「i-ELOOP(アイ・イーループ)」に、第3世代の電気二重層キャパシタを供給している。
 減速時に発生する回生エネルギーをキャパシタに蓄電し、蓄電したエネルギーをヘッドライトなど電装機器の電力の一部に使用する。充電力を高めるため、オルタネータは25Vまで昇圧できる可変電圧式を採用した。これによりオルタネータの稼働時間が減り、頻繁に加減速がある実用走行領域において10%程度の燃費改善を見込んでいる。
 減速エネルギー回生システムでは、減速するたびに大電流での充電が頻繁に繰り返されるため、日本ケミコンは独自の改良で従来品の約1/3に相当する内部抵抗値を実現。また耐熱性を従来の60℃から70℃に高め、エンジンルーム内への搭載を可能にした。
Maxwell
(米国)
E-Booster  PSAのディーゼル車向けStart-Stopシステム "e-HDi"に供給するUltracapacitor(電気二重層キャパシタ)。赤信号の手前などで時速20km以下の走行状態になった場合もエンジンを停止し、市街地を含む走行の場合燃費を最大15%節減する。キャパシタ・モジュールはContinental AG製。
 ディーゼルエンジンの始動、特に寒冷地での始動には大きなパワーが必要なため、2.2kWのStarter-generatorとキャパシタを組み合わせて、その他の車載電気機器に影響することなく、瞬時の再始動を可能にした。
Engine Start
Module
 北米の寒冷地域や、アイドリングを禁止する重量検査所などのため始動が困難になる場合に備える、Class 6-8の大型トラック向け始動支援システム。複数個搭載する鉛電池の一つをキャパシタに交換することで、-40℃から60℃の条件下での始動を容易にする。
LS Mtron
(韓国)
電気二重層
キャパシタ
 LS Mtronは、2003年にLGグループから電気二重層専業メーカーとして別会社となった。"LG"を"LS"に変更した。
 中国のHVバス向けに、1)ブレーキエネルギーを活用し、ピーク時の動力をアシスト、2)ブレーキに異常が発生した時のバックアップパワー、とするためのキャパシタを供給している。
 その他に、電気機関車のピーク時パワー補助システムや、ハイブリッド建機を実用化した。燃料電池車について、出力負荷補償(持続的に一定のパワーで走行させる)用途向けを開発中。
Ioxus(米国)/
パワーシステム(日本)
電気二重層
キャパシタ
 2012年2月、オムロンと三井物産は、両社が主導してきた(株)パワーシステムの株式を米国同業大手のIoxusに売却し、電気二重層キャパシタ事業から撤退した。Ioxusは、パワーシステムを拠点に、日本、韓国、中国ほかアジア地域の自動車メーカーへの納入を目指す。

 

 



リチウムイオンキャパシタ

 リチウムイオンキャパシタは、正極にEDLCの正極と同じ活性炭を、負極にリチウムイオン電池の負極と同じ炭素材料を使用する。充放電は、正極が電解液中のイオンを吸脱着し、負極がリチウムイオンを吸蔵・放出することで行う。EDLCを上回る高出力とエネルギー密度を持つ。

 アドバンスト・キャパシタ・テクノロジーズは、走行中にバス停で頻繁な充電が可能なマイクロバス用途の引き合いがあるとのこと。また各社が、アイドリングストップ、エネルギー回生などの用途について自動車メーカーとの協議を進めているが、価格条件は厳しいとしている。


旭化成FDKエナジーデバイスが出展した大容量リチウムイオンキャパシタ「EneCapTen」
旭化成FDKエナジーデバイスが出展した大容量リチウムイオンキャパシタ「EneCapTen」。
サイクル用途(繰り返し使用)向けモジュールで、充放電サイクルは10万回以上、
左右に放熱用ヒートシンクがついている。写真右は高容量の新開発品。


リチウムイオンキャパシタのみを駆動用電源とする小型EV "Miluira"
リチウムイオンキャパシタのみを駆動用電源とする小型EV "Miluira"
(旭化成FDKエナジーデバイスの出展)

リチウムイオンキャパシタ

旭化成FDKエナジーデバイス 「リチウムイオン
キャパシタ併用」
の提案
 リチウムイオンキャパシタを、リチウムイオン電池または鉛電池と併用した場合の効果を、シミュレーションして示した。それぞれ、ピーク電流と電圧変動を低減し、サイクル寿命を延ばす、電源システムをコンパクト化できる等の効果がある。
車載用途の提案  アイドリングストップや回生・アシスト(燃費改善、二次電池寿命向上が期待できる)、非接触充電(充電時間ロス解消、電池搭載量削減)、バックアップ電源などの分野で貢献できる、と提案する。EV/HVへの搭載も提案している。
EneCapTen  旭化成FDKエネジーデバイスの、大容量リチウムイオンキャパシタ45Vモジュール"EneCapTen"を展示した。回生アシストなど繰り返し使用する「サイクル用途向け」の充放電サイクルは10万回以上でヒートシンク付、バックアップなど「スタンバイ用途向け」の充放電サイクルは1万回以上。
リチウムイオン
キャパシタを
搭載するMiluira
 世界初の、リチウムイオンキャパシタのみを駆動電源とするEV "Miluira"を出展(製作は(株)Takayanagi)。リチウムイオンキャパシタ・モジュールを24個搭載し(2直列、12並列)、電力量864Wh、200Aの急速充電3.6分で約13km走行できる。ブレーキ回生は行っていないので、実行すればさらなる走行距離が可能。走行距離20kmを目指している。
 (株)Takayanagiは、鉛電池を搭載する超小型EV Miluiraを市販している。「原付1種(四輪)」の取り扱い。

(注)2013年3月7日付日経産業新聞によると、旭化成FDKエナジーデバイスは、2014年をめどに湖西市の工場に生産ラインを導入し、リチウムイオンキャパシタを量産する計画。これまで個別の自動車メーカーの要望に応じて試作品を提供してきたが、量産車向けに機能を標準化するとしている。

新神戸電機 リチウムイオン
キャパシタLCAP
 円筒形リチウムイオンキャパシタ「LCAP」を出展した。車載用についての展示などはなかったが、説明員の方の話では、自動車メーカーと「二次電池 + キャパシタ」の組み合わせ、またはキャパシタでアイドリングストップまたは多少駆動をアシストする(マイルドHV)などの用途の協議をしているとのこと。
JM Energy ULTIMO  JM Energyは2007年8月に発足したJSR(株)のグループ企業で、リチウムイオンキャパシタ「アルティモ(ULTIMO)」の開発・製造・販売を行っている。
アイドリング
ストップ用途
 車用途では、ユーザーと共同でアイドリングストップ関連システムの開発を進めている。内容は、エンジンをスタートさせる際のクランクのアシストから、ブレーキエネルギー回生の強化まで様々な段階があるとのこと。
アドバンスト・
キャパシタ・
テクノロジーズ
プレムリスPremlis  アドバンスト・キャパシタ・テクノロジーズ(Advanced Capacitor Technologies)は2004年に設立され、リチウムイオンキャパシタ「Premlis」を、主に産業用途に供給している。
マイクロバス
用途の開発
 車用途では、HVやアイドリングストップ分野への進出を掲げているが、自動車業界は価格条件等が厳しい。現在マイクロバスへの搭載を顧客と評価している。キャパシタは短時間で充電でき、サイクル寿命も10万回以上と長いので、バス停に止まるたびに充電することも可能だとのこと。

 

 



FDKのニッケル水素電池事業

 FDKは、パナソニックと三洋電機が合併した際に、三洋電機の自動車駆動用以外のニッケル水素電池部門を買い取り、事業を継続している。

FDKのニッケル水素電池

e-Call  衝突により電源を喪失した場合でも、コールセンターに自動的に連絡するシステムを維持するための補助の電源として使用される。欧州では欧州委員会が2015年からの規制導入を勧告、ロシアでは2014年から導入される予定。 日本でも、2012年12月に、富士通テンなど3社が、e-Callの試験用設備のデモンストレーションを行った。
 ブラジルでは、盗難車を追跡するためのGPSと、そのためのメインの電池から独立した電源の搭載が必要とのこと。
e-Toll  ポータブルで、車を変えて使用できるETCの電源として使用。例えばシンガポールは、e-Tollシステムを採用している。既に出荷実績あり。


資料:本展示会でのパネル展示、配布資料、各社のプレスリリース

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>