日本メーカーの2012年度見通し:中国・欧州不振で下方修正

日本・北米の好調で、過去最高の販売水準は維持

2012/11/30

要 約

 日本メーカー各社は、2012年度は、東日本大震災・タイ洪水の影響から立ち直り、日本での補助金制度の復活、海外での拡販で強気の販売計画を当初立てていた。上期(4月-9月)は想定通り、好調な業績を上げ、10社合計の連結販売台数は前年同期比29.1%増の1,162万台、売上高は同22.4%増の25.0兆円、営業利益は同3倍増の約1.5兆円を計上した。

 しかし、上期決算発表時には、領土問題を発端とする中国での日本車販売の急減、欧州市場の縮小を受け、通年見通しの下方修正が相次いだ。連結販売台数ではトヨタ・いすゞ・日野を除いた各社が下方修正。10社合計で2,374万台と、当初計画から約52万台引き下げた(2011年度比では15.3%増)。だが、この2,374万台は経済危機前の2007年度の2,262万台を上回り、過去最高の水準。アジア市場(含む中国)が当時と比べ拡大していることと、日本市場・北米市場が回復してきたことによる。

 売上高の2012年度見通しは、スズキ・ダイハツ・いすゞ・日野は当初計画を据え置いたが、その他のメーカーは下方修正し、10社合計で約1.9兆円減の約51.0兆円(前年度比12.8%増)。

 営業利益の2012年度見通しは各社まちまちで、日産・ホンダは1,000億円以上の下方修正を発表し、マツダも見通しを引き下げた。一方で、トヨタ・三菱・富士重工・いすゞ・日野の5社は営業利益の見通しを上方修正し、スズキ・ダイハツは当初計画を据え置いた。10社合計で見ると当初比1,520億円減の2兆5,780億円(前年度比81.8%増)。

 

日本メーカーの2012年度見通し(数値の色塗り(太字)は過去最高を示す)

 四輪車販売台数(千台)連結売上高(億円)営業利益(億円)
2012年度
計画
(当初)
2012年度
見通し
(上期決算発表時)
2012年度
計画
(当初)
2012年度
見通し
(上期決算発表時)
2012年度
計画
(当初)
2012年度
見通し
(上期決算発表時)
トヨタ 8,700 8,750
上方修正
220,000 213,000
下方修正
10,000 10,500
上方修正
日産 4,920 4,672
下方修正
103,000 98,150
下方修正
7,000 5,750
下方修正
ホンダ 4,300 4,120
下方修正
103,000 98,000
下方修正
6,200 5,200
下方修正
スズキ 2,811 2,744
下方修正
26,000 26,000
据え置き
1,200 1,200
据え置き
マツダ 1,090 1,075
下方修正
22,000 21,700
下方修正
300 250
下方修正
三菱 1,208 1,128
下方修正
19,800 18,300
下方修正
700 800
上方修正
ダイハツ 1,001 998
下方修正
16,700 16,700 据え置き 1,200 1,200 据え置き
富士重工 721 714
下方修正
18,600 18,400
下方修正
670 820
上方修正
いすゞ 506 532
上方修正
16,300 16,300
据え置き
1,230 1,260
上方修正
日野 153 154
上方修正
14,800 14,800
据え置き
470 530
上方修正
10社合計 24,256 23,735   528,700 509,850   27,300 25,780  
資料:各社の決算短信と決算発表資料
(注)
合計欄には、トヨタとダブルカウントになるダイハツと日野の連結数値を含まない。

 

関連レポート: 日本メーカーの2012年度計画:過去最高の2,425.6万台の販売を狙う (2012年5月)
日本メーカーの世界生産: 2012年1-2月は14.9%増の425.2万台 (2012年3月)
日本の新車販売:2012年は補助金/減税効果で501.6万台見通し(2012年1月)



連結販売台数:2012年度見通しは52万台下方修正も、過去最高水準の2,374万台

  日本メーカー10社の2012年度連結販売見通しは2,374万台と、中国・欧州での販売の低迷を受け、当初計画から約52万台引き下げた(2011年度比では15.3%の増加)。しかし、この2,374万台は過去最高の2,262万台(2007年度)を5.0%上回る水準。

 メーカー別では、トヨタ、いすゞ、日野を除く各社が見通しを引き下げた。日産は、グローバル販売台数で535万台としていた販売見通しを27万台引き下げ、508万台としたが3年連続の過去最高更新を狙う(内中国は135.0万台から117.5万台へ引き下げ)。日産の他、見通しを引き下げたメーカーを含めて、ホンダ/スズキ/ダイハツ/富士重工/いすゞ/日野が過去最高の販売台数を計画している。

 トヨタは日本・北米・中近東での販売好調を受け、上期に452万台を販売し、当初の計画より18万台増となった。しかし、通年見通しは875万台と5万台引き上げにとどめた。

 2012年度上半期の四輪車の連結販売台数は、前年の東日本大震災による減産からの回復と、日本のエコカー補助金の効果により、10社合計で前年同期比29.1%増の1,162万台。特に、ホンダは同53.1%、トヨタは同49.2%と大幅に回復。

日本の自動車メーカー10社の四輪車連結販売台数

(千台)

  2007
年度
2008
年度
2009
年度
2010
年度
2011
年度
2012年度
(計画)
上半期 下半期
2011
年度
2012
年度
2011
年度
2012
年度
(計画)
当初 上半期決算
発表時
四輪車
売上
台数
トヨタ 8,913 7,567 7,237 7,308 7,352 8,700 8,750 3,026 4,516 4,326 4,234
日産 3,698 3,138 3,159 3,888 4,456 4,920 4,672 2,012 2,197 2,444 2,475
ホンダ 3,925 3,517 3,392 3,512 3,108 4,300 4,120 1,303 1,995 1,805 2,125
スズキ 2,406 2,306 2,350 2,643 2,560 2,811 2,744 1,206 1,275 1,354 1,469
マツダ 1,240 1,116 963 1,100 1,016 1,090 1,075 470 502 546 573
三菱 1,337 1,011 805 1,098 1,072 1,208 1,128 530 536 542 592
ダイハツ 945 945 869 893 940 1,001 998 404 509 536 489
富士重工 597 555 563 657 640 721 714 266 348 374 366
いすゞ 509 401 288 408 381 506 532 182 248 199 284
日野 112 99 83 113 129 153 154 56 76 72 78
10社合計 22,624 19,611 18,757 20,614 20,585 24,256 23,735 8,995 11,617 11,590 12,118
四輪車
国内
売上
台数
トヨタ 2,188 1,945 2,163 1,913 2,071 2,200 2,250 797 1,192 1,274 1,058
日産 684 576 599 573 639 673 663 277 294 362 369
ホンダ 615 556 646 582 588 710 710 225 354 363 356
スズキ 673 665 622 588 596 639 639 261 341 335 298
マツダ 257 220 219 206 226 237 227 109 115 117 112
三菱 214 164 170 199 184 203 193 83 88 101 105
ダイハツ 571 587 568 527 563 605 605 230 319 333 286
富士重工 209 179 171 158 172 145 160 73 72 99 88
いすゞ 74 58 42 47 54 58 61 21 30 33 31
日野 46 35 27 30 37 39 40 15 20 22 20
10社合計 4,914 4,363 4,632 4,266 4,530 4,865 4,903 1,846 2,486 2,684 2,417
四輪車
海外
売上
台数
トヨタ 6,725 5,622 5,074 5,395 5,281 6,500 6,500 2,229 3,324 3,052 3,176
日産 3,013 2,562 2,560 3,315 3,817 4,247 4,009 1,735 1,903 2,082 2,106
ホンダ 3,310 2,961 2,746 2,930 2,520 3,590 3,410 1,078 1,641 1,442 1,769
スズキ 1,732 1,641 1,729 2,053 1,964 2,172 2,105 945 934 1,019 1,171
マツダ 983 896 744 894 790 853 848 361 387 429 461
三菱 1,123 847 635 899 888 1,005 935 447 448 441 487
ダイハツ 374 358 301 366 377 396 393 174 191 203 202
富士重工 388 377 392 499 468 575 554 193 276 275 278
いすゞ 435 343 246 361 327 448 471 161 218 166 253
日野 66 64 56 83 92 114 114 41 56 51 58
10社合計 17,709 15,248 14,126 16,346 16,055 19,390 18,832 7,149 9,131 8,906 9,701
資料:各社の決算短信と決算発表資料。
(注)1.
Daimler 子会社の三菱ふそう、Volvo 子会社のUDトラックスは、決算を開示していない。
2.
トヨタとホンダは米国会計基準。”三菱” は三菱自動車。
3.
10社合計には、 トヨタとダブルカウントになるダイハツと日野の連結数値を含まない(後出表も同じ) 。連結売上台数には、生産用部品台数を一部に含む。
4.
2012年度下半期の計画値は各社発表の2012年度の通年計画と上半期実績からの計算値。
5.
日産の2012 年度計画は、発表のグローバル販売台数計画の増減を11年度実績に加算した参考値。グローバ ル販売台数は小売ベースで、生産用部品として出荷し、持分法適用の在外会社で組立てた台数を含んでいる。
6. ホンダは2012年度より、売上台数の開示範囲を変更。従来は「(A) ホンダと連結子会社の販売台数」に「(B)持ち分法適用子会社への生産用部品販売台数」を加えた台数を開示してきたが、(A)のみを「連結販売台数」として2012年度より開示する。(A)と「持ち分法適用子会社の販売台数」を合わせたものを「グループ販売台数」として、新たに開示。上表は、2011年度より、「グループ販売台数」を掲載している。
7.
スズキの売上台数は OEM 供給車を含まないスズキブランド車の台数。2012年度の海外販売は一部、スズキによる予想値を含む。
8.
マツダの2010年度には、決算期を変更した海外子会社の15ヶ月決算の影響1.6万台を含む
9. 三菱自動車は2011年度より売上台数のカウント方法を変更し、新たな(卸売)売上台数にはOEM供給台数を含む。上表は2010年度より新カウント。旧カウントの2010年度売上台数は1,045千台(国内166千台、海外879千台)。

10.

ダイハツと日野の売上台数は自社ブランド車のみ (トヨタの台数には、ダイハツと日野を含んでいる)。
11. いすゞの2007年度には、海外連結子会社 8社の15ヶ月決算を含む (12ヶ月ベースの海外売上台数は 385千台)。

日本の乗用車自動車メーカー7社の地域別販売台数

(千台)

  トヨタ 日産 ホンダ スズキ マツダ 三菱 富士重工 7社合計
日本 2007年度 2,188 721 615 673 256 219 209 4,881
2008年度 1,945 612 556 665 219 168 179 4,344
2009年度 2,163 630 646 622 221 171 171 4,624
2010年度 1,913 600 582 588 206 164 158 4,211
2011年度 2,071 655 588 596 206 152 172 4,440
2012年度計画
(当初)
2,200 690 710 639 225 167 145 4,776
2012年度計画
(上半期決算発表時)
2,250 680 710 639 214 156 160 4,809
北米 2007年度 2,958 1,352 1,850 n.a. 406 160 210 n.a.
2008年度 2,212 1,133 1,496 85 347 119 207 5,599
2009年度 2,098 1,067 1,297 41 307 88 250 5,148
2010年度 2,031 1,245 1,458 33 342 94 307 5,510
2011年度 1,872 1,404 1,323 32 372 106 309 5,418
2012年度計画
(当初)
2,350 1,520 1,740 33 390 93 356 6,482
2012年度計画
(上半期決算発表時)
2,400 1,495 1,740 33 383 86 382 6,519
欧州 2007年度 1,284 636 391 n.a. 327 341 86 n.a.
2008年度 1,062 530 350 302 322 272 78 2,916
2009年度 858 517 249 281 239 169 39 2,352
2010年度 796 607 198 244 212 218 60 2,335
2011年度 798 713 158 223 183 218 55 2,348
2012年度計画
(当初)
860 720 230 227 185 221 82 2,525
2012年度計画
(上半期決算発表時)
790 680 205 227 182 200 66 2,350
アジア
及び
その他
地域
2007年度 2,483 1,061 1,069 n.a. 374 640 92 n.a.
2008年度 2,348 1,136 1,115 1,253 373 507 92 6,824
2009年度 2,118 1,301 1,200 1,407 426 532 103 7,087
2010年度 2,568 1,733 1,274 1,778 513 511 132 8,509
2011年度 2,611 2,073 1,039 1,710 486 525 104 8,548
2012年度計画
(当初)
3,290 2,420 1,620 1,912 540 607 137 10,526
2012年度計画
(上半期決算発表時)
3,310 2,225 1,465 1,845 476 602 105 9,978
合計 2007年度 8,913 3,770 3,925 2,406 1,363 1,360 597 22,334
2008年度 7,567 3,411 3,517 2,305 1,261 1,066 555 19,682
2009年度 7,237 3,515 3,392 2,350 1,193 960 563 19,210
2010年度 7,308 4,185 3,512 2,643 1,273 987 657 20,565
2011年度 7,352 4,845 3,108 2,560 1,247 1,001 640 20,753
2012年度計画
(当初)
8,700 5,350 4,300 2,811 1,340 1,088 721  24,310
2012年度計画
(上半期決算発表時)
8,750 5,080 4,120 2,744 1,255 1,044 714 23,707
資料:各社の決算短信と決算発表資料。
(注)1.
トヨタ、スズキ、富士重工は連結売上台数ベース。
2.
日産は、グローバル販売台数 (生産用部品として出荷され、在外持分法適用会社で組立した車両を含む)。
3.
ホンダは、2010 年度までは売上台数ベース、2011年度からグループ販売台数ベース。
4.
マツダは、グローバル販売台数 (マツダブランドで販売される小売台数の全て)。
5. 三菱自動車は小売ベース(2010年度実績より新カウント方式を採用)。

 



売上高:1.9兆円下方修正し、前年度比12.8%増の51.0兆円の見通し

 2012年度、日本自動車メーカー10社の連結売上高は、前年度比12.8%増の51.0兆円を計画。当初計画に比べて、スズキ・ダイハツ・いすゞ・日野以外の6社が下方修正し、合計で約1.9兆円の下方修正。トヨタ・日産・ホンダの大手がそれぞれ、7,000億円、4,850億円、5,000億円と大きく下方修正。その中、富士重工/日野は売上高でも過去最高の更新を見通している。

 10社合計の、2012年度上半期の連結売上高は、前年同期比22.4%増の25.0兆円。増加幅が大きいのは富士重工(37.1%増)、トヨタ(36.1%増)、ホンダ(30.7%増)。特に富士重工は売上高の増加幅(37.1%)は販売台数の増加幅(30.8%)を上回った。軽自動車生産から撤退し販売構成が改善したことや、トヨタと共同開発し販売が好調なスポーツカー86/BRZの生産を請け負っていることが要因。

日本の自動車メーカー10社の連結売上高

(億円)

  (参考)
2007
年度
2010年度 2011
年度
2012年度(計画) 上半期 下半期
2011
年度
2012
年度
2011
年度
2012
年度
(計画)
当初 上半期
決算
発表時
売上高 トヨタ 262,892 189,937 185,837 220,000 213,000 80,159 109,083 105,678 103,917
日産 108,242 87,731 94,090 103,000 98,150 43,674 45,468 50,416 52,682
ホンダ 120,028 89,368 79,481 103,000 98,000 36,005 47,072 43,476 50,928
スズキ 35,024 26,082 25,122 26,000 26,000 12,262 12,268 12,860 13,732
マツダ 34,758 23,257 20,331 22,000 21,700 9,592 10,235 10,739 11,465
三菱 26,821 18,285 18,073 19,800 18,300 9,075 8,600 8,998 9,700
ダイハツ 17,026 15,594 16,313 16,700 16,700 7,113 8,627 9,201 8,073
富士重工 15,723 15,806 15,171 18,600 18,400 6,550 8,980 8,621 9,420
いすゞ 19,248 14,155 14,001 16,300 16,300 6,581 7,801 7,420 8,499
日野 13,686 12,427 13,146 14,800 14,800 5,757 7,454 7,389 7,346
10社合計 622,738 464,621 452,105 528,700 509,850 203,898 249,507 248,208 260,343
国内
売上高
トヨタ 61,362 53,250 56,621         56,621  
日産 21,878 18,694 19,466     8,778 9,273 10,689  
ホンダ 15,858 15,038 15,179     6,271 8,496 8,908  
スズキ 9,814 9,374 9,868 10,000 10,000 4,487 5,151 5,381 4,849
マツダ 8,801 5,415 5,602 5,580 5,800 2,702 2,945 2,900 2,855
三菱 4,885 3,633 3,571 4,000 3,600 1,634 1,549 1,937 2,051
ダイハツ 11,771 10,567 11,303 11,300   4,792   6,511  
富士重工 5,440 4,673 4,985 6,278 6,570 2,245 3,098 2,740 3,472
いすゞ 6,547 4,986 5,584 5,900 5,900 2,342 2,794 3,242 3,106
日野 9,246 8,455 8,926            
10社合計 134,586 115,063 120,877            
海外
売上高
トヨタ 201,530 136,687 129,215         129,215  
日産 86,364 69,037 74,624     34,896 36,195 39,727  
ホンダ 104,171 74,330 64,302     29,734 38,576 34,568  
スズキ 25,210 16,708 15,254 16,000 16,000 7,775 7,117 7,479 8,883
マツダ 25,957 17,842 14,729 16,420 15,900 6,890 7,290 7,839 8,610
三菱 21,936 14,652 14,502 15,800 14,700 7,441 7,051 7,061 7,649
ダイハツ 5,255 5,027 5,011 5,400   2,321   2,690  
富士重工 10,284 11,132 10,186 12,322 11,830 4,305 5,883 5,881 5,947
いすゞ 12,701 9,170 8,417 10,400 10,400 4,240 5,007 4,177 5,393
日野 4,440 3,972 4,220            
10社合計 488,153 349,558 331,228            
資料:各社の決算短信と決算発表資料。
(注)

国内売上高/海外売上高は、外部顧客の所在地別売上高を示している。空欄は各社発表がないことを意味する(後出表も同じ) 。

 



利益:営業利益を下方修正し2.6兆円を計画、想定ドルレートは平均で79.2円

  10社合計の利益計画は下方修正され、営業利益は当初比1,520億円減の2兆5,780億円(前年度比81.8%増)の見通し。メーカー別では、日産・ホンダは1,000億円以上の下方修正を発表し、マツダも見通しを引き下げた。一方で、トヨタ・三菱・富士重工・いすゞ・日野の5社は営業利益の見通しを上方修正し、スズキ・ダイハツは当初計画を据え置いた。ダイハツ/いすゞ/日野の3社は過去最高益を見通している。

 また、10社合計の経常利益は同1.760億円減の2兆6,910億円(同77.0%増)、純利益は同1,380億円減の1兆7,260億円(同84.4%増)を計画。マツダは5年ぶりの最終黒字を見通している。

 日本メーカーの2012年度上半期の利益水準は、東日本大震災の影響を受け業績が落ち込んでいた前年度と比較して、日産・三菱を除いて増益または黒字転換を果たした。10社合計でみると、各利益項目とも前年同期に比べて3倍増となり、営業利益は1兆4,665億円、経常利益は1兆5,788億円、純利益は1兆1,006億円となった。

 日本メーカーの2012年度の想定ドルレート(上半期決算発表時)は通年で平均1ドル=79.2円。上半期の決算レートの平均79.3円と同水準。当初、1ドル=82円と円安水準を想定していた日産は、通年で79.7円とほぼ各社の想定レートと同水準のレートに引き上げた。

 

日本の自動車メーカー10社の連結営業利益/経常利益/純利益

(億円)

  (参考)
2007
年度
2010年度 2011
年度
2012年度(計画) 上半期 下半期
2011
年度
2012
年度
2011
年度
2012
年度
(計画)
当初 上半期
決算
発表時
営業利益 トヨタ 22,704 4,682 3,556 10,000 10,500 (326) 6,937 3,882 3,563
日産 7,908 5,375 5,458 7,000 5,750 3,097 2,870 2,361 2,880
ホンダ 9,531 5,697 2,313 6,200 5,200 750 2,768 1,563 2,432
スズキ 1,494 1,069 1,193 1,200 1,200 647 661 546 539
マツダ 1,621 238 (387) 300 250 (216) 115 (171) 135
三菱 1,086 403 637 700 800 342 308 295 492
ダイハツ 652 1,034 1,155 1,200 1,200 420 737 735 463
富士重工 457 841 440 670 820 188 433 252 387
いすゞ 1,096 882 974 1,230 1,260 438 573 536 687
日野 459 289 375 470 530 149 297 226 233
10社合計 45,897 19,187 14,184 27,300 25,780 4,920 14,665 9,264 11,115
経常利益 トヨタ 24,372 5,632 4,328 11,600 11,800 (14) 7,945 4,342 3,855
日産 7,664 5,378 5,351 6,800 5,450 2,954 2,756 2,397 2,694
ホンダ 8,958 6,305 2,574 6,350 5,400 1,058 3,010 1,516 2,390
スズキ 1,569 1,225 1,306 1,350 1,350 676 700 630 650
マツダ 1,485 369 (368) 150 150 (306) 4 (62) 146
三菱 857 389 609 520 620 233 316 376 304
ダイハツ 666 1,122 1,282 1,300 1,300 466 789 816 511
富士重工 454 822 373 630 810 216 453 157 357
いすゞ 1,223 913 1,029 1,270 1,330 451 604 578 726
日野 410 251 346 450 500 124 281 222 219
10社合計 46,583 21,033 15,202 28,670 26,910 5,268 15,788 9,934 11,122
純利益 トヨタ 17,179 4,081 2,835 7,600 7,800 815 5,482 2,020 2,318
日産 4,823 3,192 3,414 4,000 3,200 1,834 1,783 1,580 1,417
ホンダ 6,000 5,340 2,114 4,700 3,750 922 2,139 1,192 1,611
スズキ 803 452 539 700 700 320 419 219 281
マツダ 918 (600) (1,077) 100 100 (399) 57 (678) 43
三菱 347 156 239 250 130 106 301 133 (171)
ダイハツ 349 526 651 700 700 213 444 438 256
富士重工 185 503 385 480 670 328 404 57 266
いすゞ 760 516 913 810 910 337 421 576 489
日野 222 (100) 163 280 330 6 185 157 145
10社合計 31,015 13,640 9,362 18,640 17,260 4,263 11,006 5,099 6,254
資料:各社の決算短信と決算発表資料。
(注)1.
米国会計基準を採用しているトヨタとホンダの経常利益欄は、税引前当期利益。
2.
ホンダは、2012年度より、有形固定資産(オペレーティング・リース資産除く)の減価償却方法を、定率法から定額法に変更した。その結果、従来方法と比べて2012年度上半期純利益は137.16億円増加している。

日本の自動車メーカー10社の為替レート(実績と想定)

(円)

  2007
年度
2010
年度
2011
年度
2012年度(計画) 上半期
2011
年度
2012
年度
当初 上半期決算
発表時
ドル トヨタ 114 86 79 80 79 80 79
日産 114.4 85.7 79.1 82.0 79.7 79.8 79.4
ホンダ 114 86 79 80 80 79 79
スズキ 114 86 79 75 77 80 79
マツダ 114 86 79 80 80 80 79
三菱 115 85 79 78 79 80 79
ダイハツ 114 85 80 80 79 80 79
富士重工 116 86 79 80 79 80 80
いすゞ 115 85 79 80 80 81 80
日野 114 86 79 80 79 80 80
平均 114.4 85.7 79.1 79.5 79.2 80.0 79.3
ユーロ トヨタ 162 113 109 105 100 114 101
日産 161.6 113.1 109.0 105.0 101.8 113.7 100.5
ホンダ 162 114 108 105 103 113 101
スズキ 160 113 109 105 99 114 101
マツダ 162 113 109 105 100 114 101
三菱 162 113 111 103 100 116 101
ダイハツ 161 110 109 100 102 114 102
富士重工   114 108 105 102 114 103
いすゞ              
日野              
平均 161.5 112.9 109.0 104.1 101.0 114.1 101.3

(注) 複数レートを発表している場合は、売上レートを掲載。

 



営業利益計画の下方修正要因:売上変動が2,358億円、為替変動が2,352億円

  10社合計の、2012年度の営業利益は、当初計画と比較して1,520億円下方修正され、2兆5,780億円の見通し。販売台数計画の引き下げに伴い、「売上変動」に伴う増益を当初は1兆4,036億円となっていたが、1兆1,678億円に引き下げられた(減益要因2,358億円)。また、「為替変動」による影響は当初は12億円の減益にとどまると見られたが、想定レートがやや円高水準へとぶれたため、2,364億円の減益に拡大した(減益要因2,352億円)。増益要因は「経費・研究開発費」の削減で1,695億円、「その他」の要因で1,596億円。

 10社合計の2012年度上期の営業利益は1兆4,665億円となり、前年同期に比べて、9,744億円の増益。うち、売上変動による増益は1兆369億円、原価削減などによる増益は4,659億円。一方、為替変動による減益は1,718億円、経費・試験開発費などの増加による減益は3,231億円。

日本の自動車メーカーの営業利益増減要因

(億円)

  (参考)
2007
年度
2010
年度
2011
年度
2012年度(計画) 上半期 下半期
2011
年度
2012
年度
2011年度 2012
年度
(計画)
当初 上半期決算
発表時
10社
合計
営業利益 45,897 19,187 14,184 27,300 25,780 4,920 14,665 14,267 11,115
営業利益増減 2,571 9,547 (5,003) 13,115 11,595 (7,558) 9,744 17,105 1,851
売上変動 6,260 15,132 1,518 14,036 11,678 (4,710) 10,369 19,842 1,309
為替変動の影響 863 (7,193) (6,575) (12) (2,364) (3,312) (1,718) (3,881) (646)
原価削減等 3,111 5,347 2,153 6,698 6,597 (106) 4,659 5,453 2,771
経費・研究開発費など (5,849) (3,449) (2,226) (6,039) (4,344) 53 (3,231) (3,502) (2,240)
その他 (1,814) (290) 127 (1,568) 28 517 (335) (807) 657
トヨタ 営業利益 22,704 4,682 3556 10,000 10,500 (326) 6,937 3,882 3,563
営業利益増減 317 3,207 (1,126) 6,444 6,944 (3,557) 7,263 2,431 (319)
営業面/販売面 2,900 4,900 1,500 5,500 5,500 (2,200) 5,800 3,700 (300)
原価改善 1,200 1,800 1,500 2,400 3,700 500 2,300 1,000 1,400
為替変動の影響 0 (2,900) (2,500) 0 (1,100) (1,300) (600) (1,200) (500)
諸経費 (3,302) (300) (1,000) (1,456) (1,156) (400) (200) (600) (956)
(内)研究開発費 (681) (250) (500) (50) (300) (450) 300
(内)設備関連費用等 (997) 1,200 300 300      
(内)労務費 (602) (400) (1,000) (700) (150) (300) 150
(内)その他 (1,022) (850) 200 50 250 150 (250)
その他 (481) (293) (626) (157) (37) (469) 37
日産
(注1)
営業利益 7,908 5,375 5,458 7,000 5,750 3,097 2,870 2,361 2,880
営業利益増減 353 2,259 83 1,542 292 (252) (227) 335 519
為替変動の影響 (162) (1,475) (1,700) 400 (180) (1,057) (349) (643) 169
販売台数・構成 750 4,331 2,236 1,750 110 291 896 1,945 (786)
購買コスト等 882 1,058 845 1,800   276 833 569  
販売金融   295 498 (170)   310 (51) 188  
研究開発費 (15) (185) (331)     78 (389) (409)  
販売費 (381) (1,915) (1,513) (1,250)   (388) (738) (1,125)  
その他 (721) 150 48 (988) 362 238 (429) (190) 1,136
ホンダ 営業利益 9,531 5,697 2,313 6,200 5,200 750 2,768 1,563 2,432
営業利益増減 1,012 2,060 (3,384) 3,886 2,886 (3,228) 2,017 (156) 869
売上変動/構成差等 1,700 3,222 (1,551) 4,768 3,828 (1,849) 2,444 298 1,384
為替変動の影響 376 (1,376) (1,140) 0 (450) (522) (342) (618) (108)
コストダウン効果等 115 1,533 (928) 1,520 1,670 (1,171) 1,192 243 478
研究開発費 (361) (242) (322) (352) (352) 17 (282) (339) (70)
販管費 (818) (620) 558 (2,050) (1,810) 297 (995) 261 (815)
震災の影響   (457)        
スズキ(注2) 営業利益 1,494 1,069 1,193 1,200 1,200 647 661 546 539
営業利益増減 165 275 124 7 7 (41) 14 165 (7)
売上・構成変化等 408 253 (542) 327 427 (386) 184 (156) 243
為替変動の影響 225 (283) (289) (250) (310) (114) (169) (175) (141)
原価低減 284 355 226 270 230 71 83 155 147
減価償却費 (117) 34 353 (140) (140) 149 18 204 (158)
研究開発費 (166) 47 (57) (50) (50) (11) (63) (46) 13
諸経費等 (469) (131) 433 (150) (150) 250 (39) 183 (111)
マツダ 営業利益 1,621 238 (387) 300 250 (216) 115 (171) 135
営業利益増減 36 143 (625) 687 637 (338) 331 (287) 306
台数・車種構成 80 357 (363) 427 376 (384) 235 21 141
為替変動の影響 234 (437) (376) 32 (99) (67) (111) (309) 12
商品力向上 (133)           171   (171)
コスト削減 158 112 56 321 367 54   2 367
販売費用 (42) (56) (27) (55) (70) (30) (29) 3 (41)
その他 (261) 167 85 (38) 63 89 65 (4) (2)
三菱 営業利益 1,086 403 637 700 800 342 308 295 492
営業利益増減 684 264 234 63 163 273 (34) (39) 197
台数/車種構成 543 533 168 430 280 227 (9) (59) 289
為替変動の影響 146 (342) (105) (220) (140) (19) (87) (86) (53)
コスト低減等 154 211 272 220 390 99 187 173 203
その他   (86) (106) (217) (267) (76) (81) (30) (186)
販売費用 (64) (51) 5 (150) (100) 42 (44) (37) (56)
米国販売金融事業 (95)          
ダイハツ(注3) 営業利益 652 1,034 1,154 1,200 1,200 420 737 734 463
営業利益増減 109 627 120 46 46 (107) 317 227 (271)
売上/車種構成 190 224 237 180 230 (233) 423 470 (193)
為替変動の影響 39 (17) (39) 0 (30) (16) (19) (23) (11)
原価低減 106 150 78 35 50 48 25 30 25
販売関係費   (37)   92   (92) 0
諸経費等 (227) 306 (156) (169) (204) 2 (113) (158) (91)
富士
重工
(注4)
営業利益 457 841 440 670 820 188 433 252 387
営業利益増減 (22) 567 (401) 230 380 (385) 245 (16) 135
売上構成差 (8) 831 12 514 832 (322) 596 334 236
為替変動の影響 10 (356) (420) 31 (70) (210) (43) (210) (27)
原価低減等 70 89 (22) 211 274 (52) 144 30 130
試験研究費 (13) (57) (52) (49) (19) (26) (20) (26) 1
諸経費 (81) 61 80 (477) (637) 224 (432) (144) (205)
いすゞ 営業利益 1,096 882 974 1,230 1,260 438 573 536 687
営業利益増減 26 772 92 256 286 (30) 135 122 151
売上変動/構成差 (113) 705 58 320 325 (87) 223 145 102
為替変動の影響 34 (24) (45) (5) (15) (23) (17) (22) 2
経済変動 (82) (98) (74) 0 25 (37) 12 (37) 13
合理化 172 177 112 80 80 44 34 68 46
費用圧縮他   12 92 (124) (114) 73 (114) 19 0
前年度影響(震災操業損など)     (51) (15) (15)   (3) (51) (12)
採算改善他 76          
設備・研究開発関連 (137)          
子会社決算期変更 76          
日野 営業利益 459 289 375 470 530 149 297 226 233
営業利益増減 92 278 86 95 155 (15) 148 101 7
販売面の影響 82 337 360 290 290 48 303 312 (13)
経営環境面の変化 (36) (111) (308) (125) (105) (119) (51) (189) (54)
原価改善 190 187 186 180 180 71 86 115 94
原価変動等 (144) (135) (152) (250) (210) (15) (190) (137) (20)
資料:各社の決算短信と決算発表資料。
(注)1.
2012年度計画と2012年度上期の利益変動項目には違いがある。そのため、2012年度上期と2012年度下期の合計は2012年度計画と一致しない場合がある。
2. 日産の「購買コスト等」には、原材料・エネルギーコストを含む。
3.
スズキの「売上・構成変化等」には原材料影響を含む。
4.
ダイハツの「諸経費等」には減価償却費を含む。
5.

富士重工の「原価低減等」には原材料高騰影響を含む。。

 



設備投資:日産/スズキ/マツダが過去最高水準を計画

2012年度の10社合計の設備投資計画は、前年度比34.3%増の2兆5,280億円であり、当初計画と比較して微減。日産は300億円、当初計画より削減したが、ホンダは200億円上積みした。引き続き、日産/スズキ/マツダ/いすゞ/日野の各社は過去最高水準の設備投資を計画している。

また、10社合計の研究開発費の計画は同6.3%増の2兆2,230億円と当初計画比微減となり、日産とマツダがそれぞれ180億円、20億円削減した。こちらは、日産/スズキ/日野が過去最高水準を計画している。

日本の自動車メーカー10社の連結設備投資・減価償却費・研究開発費

(億円)

  (参考)
2007
年度
2010
年度
2011
年度
2012年度(計画) 上半期 下半期
2011
年度
2012
年度
2011年度 2012
年度
(計画)
当初 上半期決算
発表時
設備投資 トヨタ 14,802 6,423 7,067 8,200 8,200 2,638 3,192 4,429 5,008
日産 4,289 3,120 4,064 5,500 5,200 1,125 1,936 2,939 3,264
ホンダ 6,540 3,113 4,065 5,800 6,000 1,321 2,507 2,744 3,493
スズキ 2,436 1,303 1,267 2,500 2,500 551 770 716 1,730
マツダ 755 447 780 900 900 313 339 467 561
三菱 567 525 710 1,090 1,090 214 258 496 832
ダイハツ 1,117 406 693 880 850 256 272 437 578
富士重工 563 431 543 720 720 276 339 267 381
いすゞ 506 294 333 660 670 133 269 200 401
日野 437 300 429 730 630 149 204 280 426
10社合計 30,458 15,656 18,829 25,370 25,280 6,571 9,610 12,258 15,670
減価償却費 トヨタ 10,424 8,123 7,329 7,300 7,300 3,573 3,436 3,756 3,864
日産 3,709 3,721 3,344 3,600 3,400 1,750 1,566 1,594 1,834
ホンダ 4,173 3,252 2,937 2,850 2,850 1,412 1,311 1,525 1,539
スズキ 1,616 1,384 1,031 1,170 1,170 476 458 555 712
マツダ 665 716 688 630 630 348 298 340 332
三菱 719 627 534 670 670 270 242 264 428
ダイハツ 665 637 611 620 590 294 269 317 321
富士重工 655 498 537 600 600 254 247 283 353
いすゞ 415 364 360 350 350 180 169 180 181
日野 442 457 435 420 410 209 195 226 215
10社合計 22,376 18,685 16,760 17,170 16,970 8,263 7,727 8,497 9,243
研究開発費 トヨタ 9,588 7,303 7,798 8,100 8,100 3,773 4,074 4,025 4,026
日産 4,575 3,993 4,280 4,850 4,670 1,775 2,149 2,218 2,521
ホンダ 5,879 4,875 5,198 5,550 5,550 2,378 2,661 2,497 2,889
スズキ 1,087 1,041 1,098 1,150 1,150 515 578 526 572
マツダ 1,144 910 917 960 940 473 427 437 513
三菱 776 494 550 690 690 270 281 224 409
ダイハツ 442 382 338 370 370 170 167 212 203
富士重工 520 429 481 530 500 229 249 200 251
いすゞ 603 586 588 630 630 285 298 301 332
日野 395 411 404 420 420 176 204 235 216
10社合計 24,172 19,631 20,910 22,460 22,230 9,698 10,717 10,428 11,513
資料:各社の決算短信と決算発表資料。
(注)

ホンダは、2012年度より、有形固定資産(オペレーティング・リース資産除く)の減価償却方法を、定率法から定額法に変更。そのため、従来の方法と比較して、2012年度上半期の減価償却費は214.71億円減少した。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>