米国自動車メーカーのEV/HV投入計画

GMはeAssistを中型3モデルに搭載、Fordは新型EV/HV/PHVを投入

2012/10/12

要 約

 以下は、米国3社(GM、Ford、Chrysler)と米国の主な新興自動車メーカーのEV (Electric vehicle)、HV (Hybrid electric vehicle)およびPHV (Plug-in hybrid electric vehicle)の開発・投入計画の概要である。

 GMは、より厳しくなる米国の燃費規制に対応し、Chevrolet Volt PHV、Chevrolet Spark EV、マイルドHVのeAssistシステムなど幅広い電動車両を提供する方針。また次期型フルサイズピックアップとSUVに、現行のTwo-mode HVをレベルアップしたFour-mode HVシステムを搭載するとされる。

 Fordは、これまでトヨタの技術を導入してEscape、Fusion、Lincoln MKZのHVを投入し、米国自動車メーカーで最も多くのHVを生産してきた。2012年秋~2013年初めに、リチウムイオン電池を搭載する6車種の新しいEV/HV(Focus EV、C-Max HV、C-Max Energi PHV、新型Fusion HV、Fusion Energi PHV、Lincoln MKZ HV)を投入する。

 またDearbornの "Advanced Electrification Center"に1,000名の技術者を集結し、電動車両の開発期間を25%短縮、また2013年までに電動車両の生産能力を3倍増すると発表した。

 Chryslerは、2013年にFiat 500 EVを発売し、Chrysler 300とミニバンに HVを設定する計画。またRam 1500ベースとミニバンベースのPHVと、Hydraulic Hybridを搭載するミニバンの開発を進めている。


 新興EVメーカーは、淘汰の時期を迎えている。これまでのところ、航続距離が限られまた充電もガソリンを給油するように簡単ではないことから、EVの販売は限定されている。またDOE (Department of Energy)からの融資についても、融資を受けたエネルギー企業のなかで、2011年9月にソーラーパネルのSolyndra、2012年1月にリチウムイオン電池メーカーのEner1などが相次いで破産法適用を申請した(Ener1は、35.4百万ドルを出資し、同時にリチウムイオン電池を供給していたThink Globalが2011年6月に破産法適用を申請した影響で、自らも破産に至った)。オバマ政権の新エネルギー産業支援政策への風圧が強まり、大統領選挙が終了するまでは支援プログラムは新たな動きがとれないとされる。多くの新興メーカーが資金不足に苦しみ、Bright AutomotiveとAptera Motorsは撤退した。

 こうした状況のなかでも、Tesla Motorsはほぼ順調、またCoda Automotiveは第1号モデル"Sedan"の納車を開始し、第2号モデルを中国の長城汽車と共同で開発すると発表した。

Ford Fusion Energi PHV
Ford Fusion Energi PHV
2013年初めに米国で発売予定、EPA燃費100 MPG-e以上を実現する

"Model S"の車台
Tesla Motorsが2012年6月に発売した第2号モデル
"Model S"の車台(斜め前方から撮影)


関連レポート:
トヨタグループのHV/EV計画(2012年8月掲載)
日産、ホンダ、三菱自、スズキのEV/HV/PHV投入計画(2012年9月掲載)



GM:マイルドHVシステム"eAssist"を中型乗用車3車種に搭載

GM:マイルド HV "eAssist"、Two-mode HVなど幅広い電動車両を供給

~2011年 2012年 2013年 2014年 2015年~
RWD用
Two-mode HV
Chevrolet Tahoe 2007 Two-modeの進化型
(Four-mode)を搭載
(表1)
GMC Yukon 2007
Cadillac Escalade 2008
Chevrolet Silverado 2009
GMC Sierra 2009
マイルドHV
(eAssist)
Buick LaCrosse (表2) 発売
Buick Regal 発売
Chevrolet Malibu ECO 発売
PHV Chevrolet Volt (表3) 2010
Opel Ampera(表3) 発売
Cadillac ELR(表4) 発売
EV Chevrolet Spark EV(表5) 発売

(注) 1. "~2011年" 欄の表示は、当該モデルの発売年。2011年発売車は"発売"と記載(後出表も同様)。

(1)
Two-mode HV
 GMのTwo-modeシステムは、後輪駆動大型車の牽引力を維持しながら燃費改善を目指すHVシステムで、現在フルサイズPickupとSUVに搭載している。
 GMは、two-mode HVを進化させた"four-mode"型を開発中。搭載するフルサイズピックアップやSUVは2013年にフルモデルチェンジされるが、"four-mode型"の開発にはもう少し時間が必要で、新型車発売後1~2年待って、新システムが完成したところで搭載する方針とされる(four-mode HVの具体的な技術内容についての発表や報道はされていない)。
(2)
eAssist HV
 eAssistは、従来のジェネレーターの代わりにモーター/ジェネレーターを装備し、ベルトによりクランクシャフトを駆動して、急加速時にエンジンを補助するマイルドHVシステム。日立製リチムイオン電池を搭載する。GMは、フルハイブリッドと区別するために「ハイブリッド」とは呼ばずに"eAssist"と呼ぶ。
・2011年に2012MY Buick LaCrosseの4気筒2400ccエンジン車に標準搭載した。
・次いでBuick Regal 4気筒車にオプション設定(価格は2,000ドル)。2012年秋に発売する2013MY Regalでは、"2400ccエンジン + eAssist"車を標準仕様とした(eAssistを装備しない2400ccエンジン車は廃止した)。
・2012年4月に、2013MY Chevrolet Malibu ECOに搭載した。
 2012MY Buick LaCrosseの燃費は前代モデルの19 mpg city/30 mpg highwayから25 mpg city/36mpg highwayに向上した。eAssistはフルHVより装備が簡易・低コストで燃費効率が高く、GMは"light electrification"と呼び、多くの中型・小型車に搭載する計画とされる。
 しかし、2012年に発売された2013MY トヨタCamry HVやFord Fusion HVはフルハイブリッドとしての高い燃費を示し、日産Altimaのガソリン車はMalibu ECOを凌ぐ燃費性能を持つ。このため、eAssistの役割が不明確になっているとの論評もある(「中型車4モデルの燃費比較」を参照ください)。
(3)
Chevrolet
Volt PHV
(Opel Ampera)
 PHV の Chevrolet Volt は、2010年11月に量産を開始した。2013MY VoltのEV走行距離は38マイル、総航続距離は380マイル、価格は39,145ドルから。
 Chevrolet Voltの2011年米国販売台数は7,671台、2012年1~9月は16,348台に拡大している(発売前は、2012年に世界で6万台販売する計画であった)。
 なお欧州GMは、Chevrolet Voltの姉妹車を、Opel Amperaとして2011年11月に発売した。
(4)
Cadillac ELR
PHV
 Chevrolet VoltのCadillacバージョンを2013年末に発売する。1600ccガソリンエンジンを搭載、電動パワートレインはVoltより出力が高く、EV走行距離もVoltの38マイルを越える見込み。
(5)
Spark EV
 Chevrolet Sparkは、韓国で生産し輸入する4人乗りミニカー(全長3675mm、全幅1598mm)で、米国で販売するChevroletの最小型モデル。2013年後半にEVを発売する。中国・インドなど新興国市場の都市部にも展開する。

 

GM、Ford、トヨタ、日産の2013MY中型乗用車 4モデル燃費比較

EPA燃費 (mpg)
(city/highway/combined)
ガソリンエンジン
排気量
ベース車価格
(ドル)
Chevrolet Malibu ECO (eAssist搭載) 25/37/29 2400cc 22,390
日産Altima 4気筒ガソリン車 27/38/31 2500cc 21,500
Ford Fusion フルハイブリッド 47/47/47 2000cc 27,200
トヨタCamry フルハイブリッド 43/39/41 2500cc 25,990
(注) 1. 2013MY日産Altimaは、米国で販売する中型乗用車ガソリン車で最高の燃費を示す。
2. MalibuとFusionはリチウムイオン電池を搭載、Camryはニッケル水素電池を搭載する。

 

 



Ford:6車種の新世代EV/HV/PHVを発売

Ford:2012年に Focus EV、リチウムイオン電池を搭載するHV/PHV を発売

~2011年 2012年 2013年 2014年 2015年~
HV Ford Escape 2004 販売終了
Fusion(表1) 2009 新型発売
Lincoln MKZ(表2) 2010 新型発売
C-Max(表3) 発売
F-150(表4) トヨタと共同開発中
PHV C-Max Energi(表3) 発売
Fusion Energi(表1) 発売
EV Transit Connect Van (表5) 2010 販売中止
Focus EV(表6) 発売

 

(1)
Fusion
 新型Fusionは、2012年秋にガソリン車と、EPA燃費47 mpg city/47 mpg highway/47 mpg combined を実現するHVを発売する。EPA燃費100+ MPG-e を目指すPHVのFusion Energiは2013年初めに発売予定。
(2)
Lincoln MKZ
 新型Lincoln MKZは、従来のようなFord Fusion姉妹車ではなく、独立したLincolnブランド車として開発された。HVは、新開発のHVシステム(2000ccガソリンエンジンと新世代HVシステム、リチウムイオン電池、燃費は41 mpg city/36 mpg highway)を搭載し、2012年秋遅くに発売する。
(3)
C-Max HV
とC-Max PHV
 Fordは、新型Ford C-Max HVを2012年9月に発売し、C-Max Energi PHVを11~12月に投入する。Fordは、北米ではC-Maxの欧州で販売するガソリン車は発売せず、HVおよびPHV専用モデルとする。両モデルは、Ford Focusを生産するMichigan Assembly Plantで生産する。
 C-Max HVのEPA燃費は47 mpg city/47 mpg highwayでトヨタPrius v(日本名プリウスα)の44 city/40 highwayを上回る。Fordは、C-Max HVの燃費性能はPrius vを超えると宣伝している。価格は25,995ドルから(Prius vは27,345ドルから)。航続距離は570マイル。
 C-Max Energiは、2012年11~12月に発売する。EV走行距離20マイルを含め総航続距離は550マイル、燃費は100 MPG-eを達成すると発表した。価格は29,995ドルから。
(4)
F-150
 Fordとトヨタは、2011年夏から、フルサイズピックアップとSUVのHV開発を共同で進めている。米国の、より厳しくなる燃費および排出ガス規制に対応することを目指す。
 貨物積載時のパワーおよび牽引力を保ちながら燃費を向上させるHVシステム開発を目指す。またフルサイズピックアップトラックではあるが、ある程度優れた空力特性を得ることも目指している。
(5)
Transit
Connect EV
 Transit Connect Van EVのEVシステムを担当していたAzure Dynamics社が、2012年3月に会社更生手続き(bankruptcy protection filing)を行ったため、同EVの販売は中断している。Fordは、Azureの会社更生法申請が、FordのEV/HV計画全体に影響することはないとしている。
(6)
Focus EV
 Fordは、Focus EVを2012年1月に、ニュージャージー州、ニューヨーク州、カリフォルニア州で発売した。LG Chem製23kWhのリチウムイオン電池を搭載し、航続距離は100マイル。EV駆動システムは、Magna Internationalと共同開発した。
 価格は39,995ドルからで、7,500ドルの連邦政府補助金を受けられる。2012年1~7月の7カ月の販売台数は135台にとどまった。2012年秋から、Chicago、Detroitなど19の主要都市でも発売する(その他のEV/PHVの7カ月の販売台数は、日産Leaf 3,543台、Chevrolet Volt 10,666台、Prius PHV 5,035台)。
(注) 1. Fordは、2012年秋に発売する新型Ford Fusion 1600cc EcoBoostエンジン搭載車に、米国で販売されるHV以外の中型セダンとして初のStart-stopシステムをオプション設定する。オプション価格は295ドル。燃費を市街地走行で10%、平均的に3%向上させるとしている。
2. Fordは、EPA、Eatonと共同で、Hydraulic Hybridを搭載するF-150を開発中。エンジンとブレーキエネルギー回生により、窒素ガスを圧縮して高圧アキュムレーターに貯め、発進や加速時に高圧ガスを放出してモーターを回し駆動をアシストするシステムで、F-150で燃費40 mpg highwayを目指すとされている(2013MY F-150の燃費は、最も高いV6 3.5L 後輪駆動車で17 city/23 highway)。

Ford:電動システムの開発と生産を強化

 Fordは2012年8月、ミシガン州Dearbornにある従来の "Advanced Engineering center"の名称を "Advanced Electrification Center"に変更し、1,000名の技術者を集結させると発表した。135百万ドルを投資して、モーター、インバーター、二次電池システムなどの電動システムの開発を強化する計画。そのうち電池テスト設備については、高度化を進めるとともに、処理可能量を倍増する。
 これらにより、EVやHVの開発期間を25%短縮する。同時にHVシステムのコストを従来比30%低減、さらに生産能力を2013年までに従来比3倍増し、顧客により多くのチョイスを提供するとしている。

 

 



Chrysler:2013年にFiat 500 EV、Chrysler 300 HVを発売

Chrysler:Chrysler 300とミニバンにHVを設定、PHVの実証走行を実施

~2011年 2012年 2013年 2014年 2015年~
HV Dodge Durango 2009年に
生産中止
Chrysler Aspen
Chrysler 300(表1) 発売
ミニバン(表1) 発売
EV Fiat 500 (表2) 発売
PHV Dodge Ram 1500 (表3) 150台の試作車を生産し走行実験中
Town & Country(表3) 23台の試作車で走行実験中

 

(1)
Chrysler 300/
ミニバン
 Chryslerは、V6 Pentastarエンジン、ZF製8速ATとモーターを組み合わせ、Chrysler 300とミニバンに搭載する計画。2012年8月に、米国の2025年燃費規制(2025MYのLight vehicle平均で54.5 mpg (23.3km/L))が正式に決定したことから、HVは必須になったとしている(HVとともに、ディーゼルエンジンも2013 Jeep Grand Cherokeeなどに搭載する)。
(2)
Fiat 500 EV
 Chryslerは、Fiat 500 EVをメキシコ工場で生産し、2013年に米国で発売する。日産LeafやChevrolet Voltの販売が伸びていないことから、限定した台数を生産する見込み。
 Fiat-ChryslerのマルキオンネCEOは、Fiat 500 EVは、1台販売するごとに10,000ドルの赤字だとしている(2012年4月9日付Automotive News)。
(3)
PHV
 ChryslerはEPAの協力を得て、Ram 1500ベースのPHV109台のテスト車両により、2011年から3年間の走行実験を行っている(カナダElectrovaya製12.1kWhのリチウムイオン電池を搭載する)。テスト走行に電力会社も参加し、PHVから外部へ電力を供給したり、電力会社へ売電する試みもテストしている。
 Chryslerは、ミニバンTown & Country ベースのPHV 23台も開発し、テスト走行を行っている。
 2012年9月に、Ram 109台のうち3台のリチウムイオン電池がオーバーヒートする事故があり、実証実験を中断した。リチウムイオン電池を改善したうえで、実験を再開する方針。

(注)Chryslerは、Fordと同様に、Hydraulic Hybridシステムをミニバンに搭載し走行実験をしている。

 



新興メーカーのEV/HV計画

Tesla Motors:2012年6月にModel Sを発売するも、生産の遅れが発生

 Tesla Motorsは、2012年6月に2番目のモデルとなるModel Sの納車を開始した。2013年末に3番目のモデルModel Xの生産を開始する計画。

 Model Sは5月時点で1万台を越える受注を獲得し、2012年内にModel Sを5,000台生産する計画であった。しかし9月に、生産が4~5週遅れており、Model Sの納車が第3四半期に200~225台、第4四半期に2,500~3,000台にとどまる見込みと発表し、売上高予想をこれまでの560~600百万ドルから400~440百万ドルに下方修正した。

 これに伴い、Tesla Motorsは150百万ドルの増資の計画と、DOEの融資に対する利息支払いの延期を申請すると発表した。

Tesla Motors:2012年6月に、価格49,900~97,900ドルのModel Sを発売

~2011年 2012年 2013年 2014年 2015年~
EV Roadster(表1) 2008 生産終了
Model S(注2) 量産開始
Model X(Crossover)(表3) 発売
Small EV(3タイプで構成)(表4) 発売

 

(1)
Roadster
 Tesla Motorsは、2008年に最初のモデルRoadsterを導入し、2012年6月までに2,300台を納車した。2012年夏にRoadsterの生産は打ち切り、数年後に後継モデルを生産する。
(2)
Model S
 Model Sは7人乗りセダン(大人5人+子供2人が3列目シートに後ろ向きに座る)。3種類の容量の異なるリチウムイオン電池を搭載し、価格(連邦政府の7,500ドルの補助金適用後)も、49,900ドルから97,900ドルまで大きな幅がある。(Model Sのスペック表をご参照ください) Model Sは、トヨタとGMの合弁会社であったNUMMIから買収したカリフォルニア州Fremontの工場で生産する。
(3)
Model X
 Tesla Motorsは、2012年2月に3番目のモデルModel X(Crossover車)を発表した。Model Sと同じプラットフォームを使用し、Audi Q7とほぼ同じサイズ。60kWhまたは85kWhのリチウムイオン電池を搭載し、車前後にモーターを持つ4WDシステムを採用。85kWhの電池を搭載するPerformance versionは、発進から時速60マイルまで4.4秒で到達する。サイド後部ドアにFalcon Wingドア(屋根にヒンジを持ち、上方に開くドア)を装備する。
 2013年末に、カリフォルニア州Fremontの工場で生産を開始し、年間10,000~15,000台の販売を目指す。発表と同時に予約受付を開始し、翌日に40百万ドル分(予約金5,000ドル×8,000台)の受注を獲得した。
(4)
Small EV
 Tesla Motorsは、第3世代のプラットフォームベースの小型EVを開発し、2015~2016年に年産10万台規模で生産開始する計画。小型EVは、(1)BMW 3 Seriesのサイズで価格は30,000ドル程度の小型セダン、(2)BMW X3のサイズのCrossover、(3)生産を終了したRoadsterに代わるスポーツカー、で構成するとしている。
(注) 1. トヨタは、Tesla Motorsと共同開発したRAV4 EVを、2012年秋に米国カリフォルニア州で発売する。
2. Tesla Motorsは、Daimlerとも共同で新型車の開発に着手し、順調に進んでいるとしている(2012年3月発表)。

 

Model Sの主要スペック

電池容量 航続距離 0→60 mph 価格 発売
Model S Model S 40kWh 160マイル 6.5秒 49,900ドル 2012年冬
60kWh 230マイル 5.9秒 59,900ドル 2012年秋
85kWh 300マイル 5.6秒 69,900ドル 2012年夏
Model S Performance 85kWh 300マイル 4.4秒 84,900ドル
Model S
Signature
Signature 85kWh 300マイル 5.6秒 87,900ドル
Signature Performance 85kWh 300マイル 4.4秒 97,900ドル
(注) 1. 航続距離は、時速55マイルで走行した場合。85kWh電池搭載車のEPAが認定した航続距離は265マイル。
2. 価格は、7,500ドルの連邦政府補助金控除後。

 

Tesla Motors:急速充電施設Supercharger ネットワークを全米に構築

 Tesla Motorsは、Model Sが長距離走行をするための急速充電施設 "Supercharger"ネットワークを構築する。2012年9月に、そのうちの最初に設置する6カ所(カリフォルニア、ネバダ、アリゾナの各州)を発表した。2年間で全米を網羅する100箇所のネットワークを構築する計画。施設と次の施設の間隔は250マイル以内とする方針。また2013年後半には、欧州とアジアでネットワーク構築を開始する。
 100kWの電力で、30分の休憩時間内に、時速60マイルで3時間走行するに足りる電力を充電する。Model S所有者には無料で充電する。ソーラーパネルでModel Sの充電に必要な以上の電気を発電し、余剰分は電気グリッドに供給する。

 

Coda Automotive:長城汽車と共同で、エントリー価格EVを開発

 Coda Automotiveは、2012年3月にCoda Sedanを発売した。

 Coda Automotiveは2011年8月に、中国の長城汽車との協業で合意し、さらに2012年4月に、エントリークラスのガソリン車並の価格のEVを共同開発する計画を発表した。

Coda Automotive:2012年3月に、Coda Sedan EVを発売

~2011年 2012年 2013年 2014年 2015年~
EV Coda Sedan(表1) 発売
長城汽車と共同開発(表2) 発売

 

(1)
Coda Sedan
 Coda Automotiveは、中国のHafei Automobile Group(哈飛汽車集団)と提携し、4ドア、5人乗りCoda Sedan EVのボディーを中国で生産し、米国カリフォルニア州の工場でEVパワートレインを搭載して完成させる。2012年3月に納車を開始した。ベース車の価格は38,145ドルで、政府補助金7,500ドルとカリフォルニア州では5,000ドルの支援がある。
 36kWhのリチウムイオン電池を搭載し、航続距離は120~150マイル。電池はCodaが自社開発し、Codaと天津市のTianjin LiShen Miles Power Battery Systemsとの合弁会社が生産する。
(2)
長城汽車と
共同開発
 2011年8月、Coda Automotiveと中国の長城汽車(Great Wall Motors)は、Great Wall車のボディーにCodaの駆動システムと電池を搭載するEVを共同開発し、全世界で販売することで合意した。共同開発したEVは、米国ではCoda、中国ではGreat Wallのブランドで販売する。
 2012年4月、具体的計画について合意し発表した。Coda Sedanと同様の分担で、Great Wallの河北省保定市(Baoding)の工場でボディーを生産し、米国向け車のEVパワートレインなど最終工程はCodaの米国工場で行う。エントリーレベル・ガソリン車並の購入しやすい価格を目指す。米国、中国と欧州で販売する計画。米国では、2014年半ばに発売する見込み。

(注)Coda Automotiveは、EV車両販売の他に、バッテリーマネジメントとEV Drivetrainを事業の一翼とする計画。

 

Fisker Automotive:Karmaを発売したが、資金不足で第2号モデルの開発を中断

 Fisker Automotiveは2007年に設立され、1,100百万ドルの資金を集め、さらにDOEから528.7百万ドルの融資を得て193百万ドルを引き出した(その後の計画の遅れから、残額336百万ドルは止められている)。

 2011年10月に、第1号モデルである高級スポーツカーFisker Karma PHVの納車を開始し、2012年8月までに1,000台強納車した。しかし価格が103,000ドルと高額であり、最初に購入してくれる熱心な顧客(Early adopters)が一巡した後の販売は困難であろうとされている。

 第2号モデルとして、中型セダン "Atlantic"を開発中で、Fiskerの事業継続のためにはAtlanticの量産が必須とされるが、資金不足のため開発を中断し生産開始のめどはついていない。

Fisker Automotive:2012年に生産開始予定であったAtlanticの生産開始時期は不明

~2011年 2012年 2013年 2014年 2015年~
PHV Fisker Karma(表1) 発売
Atlantic(表2) 生産開始時期は未定

 

(1)
Karma
 Fisker Automotiveは、2011年10月に最初のモデルとなる高級スポーツカーFisker Karma PHVの納車を開始した。2012年8月までに約2,500台を受注し、1,000台強を納車した。全長4996mm、全幅1984mm、全高1330mmの4人乗り車。価格は103,000ドルからだが、政府支援7,500ドルが受けられる。フィンランドの組立メーカーValmet Automotiveで生産する。
 A123 Systems製20.1 kWhのリチウムイオン電池、GM製2000cc直噴ターボエンジンを搭載し、EV走行距離50マイル、エンジンによる発電でさらに250マイル走行が可能、最高時速125マイル以上で、発進から60 mphまで6~8秒で加速する。燃費は54 MPG-eとしている。
 2011年12月、リチウムイオン電池パックの冷却用ホース締め具に不具合があり、293台のKarmaをリコールした。また2011年春と2012年8月に、車両が燃える事故が発生した。
(2)
Atlantic
(Mid size sedan)
 Fisker Automotiveは、2012年第4四半期から、2番目のPHVモデルとなるMid size Sedan(モデル名は"Atlantic"、従来の社内呼称は"Nina Project")を、GMから2009年に購入したデラウェア州Wilmington工場で生産する計画であった。しかし、資金が十分に集まらずに、開発等の期限を守れなかったためDOEの融資残高336百万ドルの引き出しも止められていて、生産開始のめどは立っていない。
 Atlanticの価格は50,000~60,000ドルの見込み。エンジン調達については、BMWと契約している。開発は90%完了しているが、半年ほど中断していて、開発を再開しても、軌道に乗るまで時間がかかるとされている。
 Fisker Automotiveは、AtlanticベースのConvertibleとワゴンのコンセプトカーを発表済み。こうした追加車種を含めて、2016年までに年間15万台生産する計画であった。

 

Wheego Electric Cars:日産Leafとの競合で競争力を失う

 Wheego Electric Carsは、2010年12月に、2人乗りEVの"Life"を33,995ドルの価格で発売した。また5人乗り車を開発すると発表していた。しかし日産Leafが、近い価格35,200ドルで発売され競争力を失っている。

 Wheego Electric Carsは、販売実績を発表していない。

 

Bright Automotive:2012年2月に撤退

 Bright Automotiveは、中型配送用バンのPHVを開発・生産する計画を進め、GM Venturesから500万ドルの出資を得ていた。さらにDOEに314百万ドルの融資を申請していたが承認を得られなかったため、2012年2月に解散した。対象顧客の、商用バンPHVを保有するトータルコストについての懸念を払拭できなかったとされる。

 

Aptera Motors:2011年11月に解散

 2006年にカリフォルニア州に設立されたAptera Motorsは、ユニークな三輪のEVを開発していた。150百万ドルの融資につきDOEから条件付承認を得ていたが、最終的に生産を開始するための資金を集めることができなかった。資金が集まらないことが明らかになるにつれ、多くの投資家の熱意が冷めてしまったとしている。

参考資料:各社プレスリリースと各紙報道



                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>