米国自動車メーカーのEV/HV投入計画

GMはeAssistを中型3モデルに搭載、Fordは新型EV/HV/PHVを投入

2012/10/12

要 約

 以下は、米国3社(GM、Ford、Chrysler)と米国の主な新興自動車メーカーのEV (Electric vehicle)、HV (Hybrid electric vehicle)およびPHV (Plug-in hybrid electric vehicle)の開発・投入計画の概要である。

 GMは、より厳しくなる米国の燃費規制に対応し、Chevrolet Volt PHV、Chevrolet Spark EV、マイルドHVのeAssistシステムなど幅広い電動車両を提供する方針。また次期型フルサイズピックアップとSUVに、現行のTwo-mode HVをレベルアップしたFour-mode HVシステムを搭載するとされる。

 Fordは、これまでトヨタの技術を導入してEscape、Fusion、Lincoln MKZのHVを投入し、米国自動車メーカーで最も多くのHVを生産してきた。2012年秋~2013年初めに、リチウムイオン電池を搭載する6車種の新しいEV/HV(Focus EV、C-Max HV、C-Max Energi PHV、新型Fusion HV、Fusion Energi PHV、Lincoln MKZ HV)を投入する。

 またDearbornの "Advanced Electrification Center"に1,000名の技術者を集結し、電動車両の開発期間を25%短縮、また2013年までに電動車両の生産能力を3倍増すると発表した。

 Chryslerは、2013年にFiat 500 EVを発売し、Chrysler 300とミニバンに HVを設定する計画。またRam 1500ベースとミニバンベースのPHVと、Hydraulic Hybridを搭載するミニバンの開発を進めている。


 新興EVメーカーは、淘汰の時期を迎えている。これまでのところ、航続距離が限られまた充電もガソリンを給油するように簡単ではないことから、EVの販売は限定されている。またDOE (Department of Energy)からの融資についても、融資を受けたエネルギー企業のなかで、2011年9月にソーラーパネルのSolyndra、2012年1月にリチウムイオン電池メーカーのEner1などが相次いで破産法適用を申請した(Ener1は、35.4百万ドルを出資し、同時にリチウムイオン電池を供給していたThink Globalが2011年6月に破産法適用を申請した影響で、自らも破産に至った)。オバマ政権の新エネルギー産業支援政策への風圧が強まり、大統領選挙が終了するまでは支援プログラムは新たな動きがとれないとされる。多くの新興メーカーが資金不足に苦しみ、Bright AutomotiveとAptera Motorsは撤退した。

 こうした状況のなかでも、Tesla Motorsはほぼ順調、またCoda Automotiveは第1号モデル"Sedan"の納車を開始し、第2号モデルを中国の長城汽車と共同で開発すると発表した。

Ford Fusion Energi PHV
Ford Fusion Energi PHV
2013年初めに米国で発売予定、EPA燃費100 MPG-e以上を実現する

"Model S"の車台
Tesla Motorsが2012年6月に発売した第2号モデル
"Model S"の車台(斜め前方から撮影)


関連レポート:
トヨタグループのHV/EV計画(2012年8月掲載)
日産、ホンダ、三菱自、スズキのEV/HV/PHV投入計画(2012年9月掲載)

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