北京汽車集団:自主ブランド乗用車事業の強化に注力

Saabの技術をベースにミドル・ハイエンドモデルの技術プラットフォームを構築

2012/06/29

要 約

 北京汽車集団は2011年から2015年までの5ヵ年計画として、生産・販売台数を350~400万、売上高を4000億元、営業利益を270億元に拡大し、少なくとも10%の市場シェアを獲得すると発表した。2015年には世界の自動車市場で上位15社にランクインすると共に、「フォーチュン500」に選出されることを目標として掲げている。

 生産・販売目標350~400万台のうち、200万台以上は自主ブランドモデルとする計画。さらに200万台のうち、90万台は自主ブランド乗用車の生産・販売に割り当てており、同事業を強化する姿勢を鮮明にしている。


北京汽車集団の販売台数(万台)


 北京汽車集団は2009年末にSaabからプラットフォームやエンジンを含む中核技術の知的財産権を買収し、自主ブランド乗用車市場を拡大するための重要な基盤を獲得した。2012年4月に開催された北京モーターショーでは、Saabの技術をベースとする自主ブランド乗用車の技術プラットフォーム「M-trix」を発表。同時に、「M-trix」から開発した新モデル4車種を出展した。

 外資との合弁事業では、現代自動車との合弁メーカーである北京現代が新たな成長戦略としてブランドバリューを向上すると表明。2015年までに販売台数におけるミドル・ハイエンドモデルの割合を50%まで引き上げるとしている。また、Daimlerとの合弁メーカーである北京ベンツでは、エンジンの製造や完成車の研究開発を現地化する動きが進行している。加えて、2011年末に初めて現地生産車の輸出が実現された。

 自主ブランド商用車事業では、北汽福田汽車が2020年までの長期計画に基づき、生産拠点の拡大や海外市場の開拓を推進している。2012年2月にはDaimlerと折半出資する新商用車メーカーも設立された。


関連レポート: 北京モーターショー2012年での北京汽車の出展



将来的にグループ全体で500万台以上の生産体制を構築

北京汽車集団 完成車生産能力

(単位:台)
社名 工場 2012年 計画 生産モデル/ブランド









北京汽車股份
有限公司
株洲分公司
湖北省株洲工場 10万
(2010年12月
完工)
20万(第2期)
→50万
E130, E150, 威旺
360(Weiwang 360)
北京汽車股份
有限公司
北京分公司
北京市順義工場 2011年4月
着工
15万
(2012年11月第1期完工)
→30万
(2013年第2期完工)
C70G, C60F, C50E,
C51X, B40V, etc.
北京汽車
新能源汽車
有限公司
新エネルギー車工場
(北京市大興区)
2万
(2011年8月
稼動)
4万(2013年第1期完工)
→15万台
(2015年第2期完工)
Q60FB, M30RB,
C30DB, C70GB,
E150EV, etc.
北京汽車
製造廠
有限公司
北京市朝陽工場 *20万 *20万 SUV, ピックアップ, トラック,
特殊車両(水陸両用車,
森林消防車)
北京市順義第1工場
北京市順義第2工場
河北省黄驊工場 2011年6月
着工
*20万(第1期)
→*40万(第2期)
大型・軽型トラック,
都市型SUV
北京現代汽車
有限公司
北京市順義第1工場 30万 30万 伊蘭特(Elantra),
名馭(Moinca),
雅紳特(Accent),
瑞納(Verna),
途勝(Tucson)
北京市順義第2工場 30万 30万 Elantra悦動(Elantra Yuedong),
i30, ix35,
第八代索納塔(Sonata)
北京市順義第3工場 2010年11月
着工
30万(2012年稼動)
→40万(2013年第2期完工)
Elantra朗動(Elantra Langdong),
新勝達(New Santa Fe)
北京現代合計 60万 100万 -
北汽(広州)汽車
有限公司
華南工場
(広州市増城)
2012年6月
着工
10万
(2013年12月第1期完工)
→30万(第2期)
SUV「C61X」, MPV,
新エネ車
北汽銀翔汽車
有限公司
西南工場
(重慶市合川区)
2010年12月
着工
15万(2012年8月第1期完工)
→30万(第2期)
微型車, ジープ,
SUV, MPV, ピックアップ
北京奔馳汽車
有限公司
北京工場
(北京市亦荘地区)
10万 40~50万(2015年) E-Class, C-Class,
GLK-Class
北汽福田汽車
股份有限公司
蒙派克工場
(北京市昌平区)
*10万 2012年山東省濰坊市に移転 MPV「蒙派克(MP-X)」,
軽型バン「福田風景(Foton View)」
北京MPV工場
(北京市密雲県)
n.a.
(2011年6月
稼動)
*36万 MPV「蒙派克(MP-X)」,
中軽型トラック「欧馬可(Aumark)」,
ピックアップ「拓陸者(Tunland)」,
軽型トラック「奥鈴(Ollin)」
欧曼第1工場
(北京市懐柔区)
*10万 *10万 中大型トラック 「欧曼(Auman)」
北京福田ダイムラー
(前・欧曼第2工場,
北京市懐柔区)
*8万
(最大10万,
2011年4月
稼動)
*8万(最大10万) 大型トラック
「欧曼GTL(Auman GTL)」
長沙工場
(湖南省
長沙市)
第1工場 *10万 *10万 中大型トラック「瑞沃(Rowor)」,
軽型トラック「時代(Forland)」
第2工場 2011年12月
着工
*20万
(2013年後半稼動)
中大型トラック, 軽型トラック,
ピックアップ, SUV
欧輝バス
事業部
北京工場
(昌平区)
*1万 *1万 中大型バス
「欧輝(AUV)」(新エネ車含む)
広東工場
(佛山市)
*2万
(2011年9月
稼動)
*2万 中大型バス
「欧輝(AUV)」の新エネ車
薩普工場
(広東省佛山市)
*5万 *5万 ピックアップ「薩普(Sup)」,
SUV「傳奇(Saga)」
山東MPV工場
(山東省濰坊市)
2010年6月
着工
*30万
(2012年8~9月第1期完工)
→*55万
(2013年4月第2期完工)
軽型バン「福田風景(Foton View)」,
CDV「迷迪(Midi)」, etc.
奥鈴工場
(山東省諸城市)
*30万 *30万 軽型トラック「奥鈴(Ollin)」,
軽・微型トラック/
冷蔵車や散水車、
ミキサー車などの
特装車「時代(Forland)」,
CDV「迷迪(Midi)」
諸城汽車工場
(山東省諸城市)
*15万 *15万 建設用トラック
四川騰中福田専用汽車
有限公司
(四川省什邡市)
*2万
(2011年12月
着工)
*2万 ダンプトラック, セミトレーラー,
塵芥車など
北汽福田汽車合計 95万 196万 -
北京汽車集団合計 197万 561万 -
資料: 各社HP、各種報道より作成
(注) 1. 「*」印は商用車の生産能力または商用車を含む生産能力。
2. 北汽(広州)汽車有限公司(華南工場)は、社用車やワゴン、オフロード車を手掛けていた広州市の自動車メーカー、広州宝龍集団軽型汽車製造有限公司を再編して設立された。
3. 北汽銀翔汽車有限公司(西南基地)は、二輪車やエンジンなどの研究開発、製造販売を手掛ける重慶銀翔実業集団との合弁会社。北京汽車集団と重慶銀翔実業集団は、2010年8月に提携枠組み協議書を締結していた。
4. 北汽福田汽車の北京MPV工場は、2013年末または2014年初めに乗用車生産ラインの改修工事を行う計画。商用車だけでは同社の長期計画「福田汽車2020」を達成できないと見て、2015年以内に基本型乗用車(セダン・ハッチバック)を投入するとしている。
5. 四川騰中福田専用汽車有限公司は、北汽福田汽車と専用車メーカーの四川騰中重工機械有限公司が共同出資する合弁会社。専用車の生産工場は2011年4月に着工していた。

 

 



自主ブランド乗用車事業:中核技術の獲得でミドル・ハイエンド市場に参入

 北京汽車集団は自主ブランド事業のボトルネックとなる外資系メーカーとの技術格差を解消するため、2009年以降、提携や買収を通じて世界の一流メーカーやサプライヤーから中核技術を積極的に導入してきた。特に2009年末にSaabの技術を一部買収した効果は高く、すでに現在、その技術をベースとする自主ブランド乗用車の技術プラットフォーム「M-trix」を構築している。

自主ブランド乗用車の技術プラットフォームを構築

M-trix概要  2012年の北京モーターショーでSaabの資産(知的財産権)をベースとする自主ブランド乗用車の技術プラットフォーム「M-trix」を発表した。「M-trix」はモジュールとしてのプラットフォームであると同時に、完成車の研究開発・製造システム全体を意味する技術プラットフォームでもある。北京汽車集団は「M-trix」の構築により、外資系ブランドの勢力が強いミドル・ハイエンド市場への参入が可能となった。
 「M-trix」から投入するモデルには、以下の技術が採用される。
 ・シャシー: 軽量化技術や鍛造アルミ製構成部品を使用したSaabのシャシーを採用し、従来3分の2から2分の1まで軽量化。
 ・動力システム: 1.5L直噴ターボエンジン、及び1.8L、2.0L、2.3Lターボエンジンを採用。出力は127~190kW、トルクは240~350Nmまでカバーする。トランスミッションにはCVTとDCT等を組み合わせる。
 ・安全性能: Saabの「Safe Cage」を改良した独自のボディ構造を開発。10個のエアバックのほか、ABS、EBS、TCS、EBA、CBC、ESP、EDS、HAS、SVA、TPMS、LDWSを搭載する。
 ・電子装備: テレマティクス、プリクラッシュセーフティシステム、SVA、LDWS等を搭載。

(注) Saabから買収した資産(知的財産権)は以下の通り: 3つの完成車プラットフォーム(Epsilon, GM2900, GM2400)、主力モデル3車種(9-3セダン, 9-5セダン, 9-5ワゴン)、エンジン2シリーズ(2.0L、2.3L)、トランスミッション2機種(F25, F35)、及び製品開発、製造、サプライヤー管理、品質管理に関する各種ノウハウ

自主ブランド乗用車の新規投入状況・計画

プラットフォーム モデル 発売時期 概要
M-trix C70G 2012年9
~12月
「M-trix」プラットフォームの第1弾モデル。Saab「9-5」のプラットフォーム「GM2900」をベースに開発されたB級セダン。全長4,860mm×全幅1,820mm×全高1,641mmで、軸距は2,755mm。外観はPininfarinaがデザインした。2.0Lターボエンジンを搭載。2012年9月にラインオフし、第4四半期中(9~12月)に社用車市場をターゲットに20万元前後で発売される予定。
C60F 2013年
上半期
「9-3」のプラットフォーム「Epsilon」をベースに開発されたA+級セダンのコンセプトカー。2.0Lターボエンジンを搭載する。
C50E 2013年 小型車プラットフォーム「GM2400」をベースに開発されたA級セダンのコンセプトカー。2.0Lターボエンジンを搭載する。
C51X 2013年 小型車プラットフォーム「GM2400」をベースに開発されたCUV。
M-trix以外 威旺306 2011年3月 2011年3月に発表されたミニバンブランド「威旺」の第1弾モデル。全長4,030mm×全幅1,636mm×全高1,907mmで、軸距は2,700mm。1.3Lエンジンを搭載、5速MTを組み合わせる。車体前部の衝撃吸収構造により、安全性能を向上している。
Eシリーズ 2012年3月 Benz「Smart Forfour」のシャシーを採用したA0級ハッチバック。全長3,998mm×全幅1,720mm×全高1,503mmで、軸距は2,500mm。三菱自「MEVIC 4A9」シリーズの1.3L、1.5Lエンジンを搭載し、5速MTまたはアイシン精機の4速ATを組み合わせる。1.3L仕様は「E130」、1.5L仕様は「E150」と命名。若年層をターゲットに販売している。
BC302Z 2012年末 Eシリーズのセダンタイプ。ハッチバックと同様、1.3Lと1.5Lエンジンを搭載する見通し。前部の設計については、基本的に変更しないとされる。
B40 2012年9月 2008年北京モーターショーで発表されたオフロード車のコンセプトカー。全長4,350mm×全幅1,843mm×全高1,837mmで、軸距は2,450mm。2.4L直列4気筒エンジンを搭載し、5速MTを組み合わせる。最高出力は105kw/4800rpm、最大トルクは217N/3500rpm。駆動方式は4WD。
C90L 2013年末 Benz「E-Class」のシャシーを採用したハイエンドセダンのコンセプトカー。公用・社用車市場に投入予定。

 

生産拠点・研究開発拠点の整備

 パワートレイン製造拠点
 北京汽車動力総成有限公司は、自主ブランドのパワートレイン事業を統括する主体として2009年8月に設立された(当初は支社として機能)。2010年2月に北京市通州経済開発区東区で製造拠点を着工。すでに第1期工事を完工し、エンジン、トランスミッションの各工場及び関連設備を整備している。2015年までにガソリンエンジン40万基、CVT30万基、MT30万基の生産能力を形成する計画。現時点で、買収したSaabの技術をベースとするターボエンジン(B205/235/185)、FEVと開発した直噴エンジン(A150)、自主開発した小型エンジン(A10/12)、及びBoschと開発したCVT(B-CVT)、Saabの技術をベースとするMT(F15/25/35)をラインアップしている。
 完成車生産拠点
 華北(北京市順義工場)、華中(湖北省株洲工場)、西南(西南工場, 重慶市合川区)、華南(華南工場, 広州市増城)エリアにそれぞれ自主ブランドモデルの生産拠点を整備中。東部(華東/東北)エリアでの工場建設も計画しており、自主ブランド市場のシェア拡大に向けた全国規模の生産体制が整いつつある(生産能力表を参照下さい)。
 研究開発拠点
北京汽車産業
研究開発基地
 北京首都空港第3ターミナルから900m地点に位置する自主ブランドの研究開発拠点。17.4万平方メートルの敷地面積を擁し、2012年後半に竣工する予定。セダンやハッチバック、オフロード車、SUV、クロスオーバー乗用車など年間15車種の開発能力を整備する。
デザイン事務所  2011年10月にイタリア・トリノで開設された。欧州に拠点を置くことで、世界最先端のデザイン理念を自主ブランド開発に反映する方針。
 新エネルギー車研究開発・生産拠点
 北京汽車新能源汽車有限公司は、自主ブランドの新エネルギー車事業を統括する主体として2009年11月に設立された。研究開発・生産拠点は北京市大興区の采育鎮経済開発区に立地している。2011~2013年に完成車4万台の年産能力を整備し、2015年までに15万台に拡大する計画。すでに2万台の年産能力を擁し、「9-3」をベースとする電気自動車(EV)「Q60FB」など多数モデルを開発している。中核技術についても、2015年までに電気制御システム20万ユニット、電気駆動システム15万ユニットの年産能力を整備するとしている。

 

 



北京現代と北京ベンツの動向

北京現代:新たな成長戦略としてブランドバリューの向上に注力

 北京現代は2002年の設立以来、ミドル・ローエンド市場を中心に販売規模を飛躍的に拡大し、9年後の2011年には国内最短となる累計生産300万台を達成した。同社は第2の飛躍を目指し、2015年までに生産・販売台数を2010年比で2倍となる140万に拡大する計画。

第2の飛躍に向けた新戦略

ブランドバリュー
の強化
 2015年までに販売台数に占めるミドル・ハイエンドモデルの割合を2010年比で約2倍にあたる50%まで引き上げる。同セグメントで優位に立つ欧米・日系メーカーに攻勢をかける意向。2011年4月には中高級車「第八代索納塔」(北米版6代目「Sonata」の中国仕様車)を発売。同年9月には販売台数が単月で1万台を突破し、ブランドバリュー向上に大きく貢献した。
サービス品質の向上  受注生産(BTO)方式や顧客の声(VOC)調査を導入するなど、市場動向を指針、消費者を中心とするマーケティング体制の構築に着手。2017年までに新車初期品質(IQS)、セールス満足度指数(SSI)、顧客満足度指数(CSI)で全国第5位を獲得するとした。

 

現地生産モデルの新規投入計画

Elantra朗動
(Elantra Langdong)
 5代目「Elantra」(MD型)の中国仕様車。北京現代では「伊蘭特」(3代目「Elantra」(XD型)の中国仕様車)、「Elantra悦動」(4代目「Elantra」(HD型)の中国仕様車)と中級車市場で併売される。全長4,570mm×全幅1,775mm×全高1,445mmで、軸距は2,700mm。1.6Lエンジンには6速MT、1.8Lエンジンには6速ATを組み合わせる。第3工場の第1弾モデルとして2012年7月に発売される予定。
新勝達
(New Santa Fe)
 2012年の北京モーターショーに現代自動車の輸入車として出展された3代目「Santa Fe」。パワートレインに現代の3.0L直噴エンジン(Lambda II)を搭載、駆動方式にスタンバイ式4WDを採用している。中国仕様車は第3工場の第2弾モデルとして2012年末に発売される予定。
首望BHCD-1
(Shouwang BHCD-1)
 「首望(Shouwang)」は、2011年の広州モーターショーで発表された合弁メーカー独自の自主ブランド。2012年の北京モーターショーで第1弾モデルとして「首望BHCD-1」が出展された。同モデルは北京現代の技術センターが「伊蘭特」(3代目「Elantra」(XD型)の中国仕様車)をベースに開発した電気自動車(EV)で、早ければ2013年にも発売される見通し。

 

北京ベンツ:完成車と中核技術の現地化を推進

 北京ベンツは2015年までの5年間、毎年1車種ずつ新モデルを投入し、豊富な製品ラインアップを整備して多様化する顧客ニーズに対応する計画。これに伴い、生産能力を毎年10万台規模で増強し、2011年時点で10万台の生産能力を2015年には50万台まで拡大するとした。

中核技術の現地生産化

エンジン工場を
建設
 2011年7月に北京経済開発区で着工。Benzが独以外の地域に建設する初のエンジン工場となる。第1期工事でガソリンエンジン25万基の年産能力を整備し、2013年6月に稼動を開始する予定。同年着工する第2期工事では2015年までに生産能力を50万基に拡大する。現地生産化率を引き上げるため、シリンダーブロックやシリンダーヘッドなど多数の中核部品を現地生産するとしており、その大分部は同工場で製造する計画。
【投入予定の機種】
 ・1.6L/2.0L直列4気筒直噴ターボエンジン「M270型」: 新型B-Class/新型A-Class/GLC-Classに搭載予定
 ・2.0L直列4気筒直噴ターボエンジン「M274型」: 新型E-Class/新型C-Class/GLK-Classに搭載予定
 ・3.5L V6直噴エンジン「M276型」: 新型E-Class/新型C-Class/GLK-Classに搭載予定
R&Dセンターを
設置
 2011年12月に北京経済開発区で着工。一部では2012年末に稼動する見通しと報じられている。ベンツモデルの現地生産化やモデルチェンジ、部品の現地生産化を手掛けるだけでなく、将来的には完成車の自主開発にも取り組む計画。
サプライヤー
パークを建設
 2012年1月に北京経済開発区でサプライヤーパークの建設計画を始動。北京汽車集団傘下でサプライヤー事業を統括する北京海納川汽車部件股份有限公司が建設する。ZFやValeo、Johnson Controls、Magna International、北京汽車集団とLear Corporationの合弁会社など多数の一流サプライヤーが入居契約を交わしている。

 

現地生産車の輸出を実現

 2011年12月、ロングホイールベース仕様の「E-Class」35台を南米市場に輸出した。北京ベンツの現地生産車が海外市場に投入されたのはこれが初めて。同社はこの輸出を足掛りとし、企業のグローバル化に向けて海外市場の開拓をさらに進める意向としている。ロングホイールベースは元々、中国市場に特化した新モデルとして2010年6月に発売された。中国人ユーザーの嗜好に合わせ、全長は輸入車より140mm長い5012mmに設定。Benzの「E-Class」開発チームが設計・開発を担当しており、技術レベルはBenzの統一基準に適合している。

 

現地生産モデルの新規投入計画

新型B-Class/
新型A-Class/
GLC-Class
 北京ベンツは2013年から2015年にかけて高級コンパクトカー3車種を現地生産する計画。現地メディアではFF方式のプラットフォーム「MFA(Mercedes Front-wheel-drive Architecture)」をベースとする新型「B-Class」と新型「A-Class」、及び開発中の小型SUV「GLC-Class」を導入する見通しと報じられている。
電気自動車(EV)  2015年前までに電気自動車(EV)の量産を開始する計画。

(注) 2013~2014年には「E-Class」と「C-Class」の新型も投入される予定。

 



自主ブランド商用車事業:北汽福田汽車が海外市場の開拓を加速

長期事業計画「福田汽車2020」を始動

 北汽福田汽車は2010年に長期事業計画「福田汽車2020」を策定し、2020年までに生産・販売台数を400万、売上高を5,000億元に拡大すると発表した。これに伴い、2011年から2012年にかけてハイエンドピックアップ「拓陸者(Tunland)」やハイエンド大型トラック「欧曼GTL」など市場ニーズの高いミドル・ハイエンドモデルの投入を促進。また、欧曼第2工場や北京MPV工場、広東バス工場を稼動したほか、湖北省長沙市で第2工場を着工するなど、相次いで生産拠点を拡張している。

 2010年には長期事業計画の一環として「5+3+1」戦略も発表された。同社は2015年までにロシア、インド、ブラジル、メキシコ、インドネシアの5ヵ国に年産10万台の現地工場を建設するほか、自動車産業の発達した北米、ユーロ圏、日韓の3地域で市場参入を実現する計画。2020年には中国を中核拠点とするグローバル企業に成長するとしている。

インドで「5+3+1」計画を本格始動

 2011年4月、インドのマハーラーシュトラ州ムンバイで同州政府と現地工場の建設に関する投資意向書に調印し、「5+3+1」計画を本格的にスタートした。インド工場はChakan工業区に建設する。当初は9.6万台の年産能力を整備し、第2期工事で12万台に拡大する。2012年内に着工し、2013年7月をめどに竣工する予定。

ロシアで生産拠点の建設を計画

 ロシアのニジニ・ノヴゴロド州に位置する都市ジェルジンスク(Dzerzhinsk)に年産10万台の商用車工場を建設し、2013年に稼動を開始する計画。大型トラックの生産から始め、その後軽型トラックを投入すると見られる。同社はロシアを欧州市場における製造及び事業拠点とする考え。

ケニアに東アフリカ市場の生産拠点を建設

 2011年4月、ケニアの首都ナイロビで東アフリカ市場の拡大に向けたKD工場を着工した。中国メーカーがアフリカ地域に生産拠点を設けるのはこれが初めて。投資総額は5,000万米ドルで、年間1万台の生産能力を整備する。第1期工事で3,000台の年産能力を整備し、2012年に稼動を開始する予定。第2期工事は2013年末に竣工するとしている。当初は軽型トラック「奥鈴(Ollin)」や中軽型トラック「欧馬可(Aumark)」を中心に生産し、市場の拡大に併せて順次全シリーズを投入していく。

 

Daimlerと合弁会社を設立

 北汽福田汽車は2012年2月、Daimlerとの合弁商用車メーカー「北京福田戴姆勒汽車有限公司(Beijing Foton Daimler Automotive Co., Ltd.)」を設立した。両社は2003年9月に商用車の合弁事業に関する了解覚書を締結しており、同プロジェクトは9年越しでようやく結実することとなった。新合弁ではこれまでの中外合弁とは異なり、中国側の自主ブランドモデルを生産し、中国国内のみならず世界市場に向けて投入するという新しい事業スタイルを構築している。計画によると、北京をグローバル経営の中心地とし、段階的にロシア、南アジア、南米等の各地に生産・販売拠点となる合弁会社を設立する予定。

合弁会社の概要

生産拠点  北汽福田汽車から譲渡された「欧曼」ブランドの第2工場で生産する。同工場はグローバル基準を導入した中国初の生産拠点として、2011年4月から稼動を開始していた。
生産モデル  合弁会社では北汽福田汽車の中大型トラックブランド「欧曼(Auman)」と、欧州排出ガス基準「ユーロⅤ」に適合するBenzの高性能ディーゼルエンジン「OM457」(490馬力)を生産する。2011年8月に第2工場でラインオフした大型トラックの新モデル「欧曼GTL(Auman GTL)」は、2012年2月に合弁会社の第1弾モデルとしてグローバル販売を開始した。
 「欧曼GTL」はBenzの大型トラック「Actros」の技術を指標として開発されたグローバル基準の大型トラック。EBD付ABSや排気ブレーキ、流体式リターダを採用して安全性能を欧州や日韓、豪州などの先進国レベルまで高めたほか、エンジンやアクセルの性能曲線の最適化、DOHCや省エネスイッチなどの搭載により同クラスの車両に比べて燃費を3~5%向上している。また、CANバスを搭載し、パワーウィンドウやドアロックコントロール、クルーズコントロールを実現した。

 



販売台数の推移

北京汽車集団 モデル別販売台数

(単位:台)
会社名 分類 モデル名 2009年 2010年 2011年 2011年
1-4月
2012年
1-4月
乗用車合計 615,299 768,115 846,787 273,433 290,125
北京汽車股份 轎車 E130 - - - - 296
E150 - - - - 653
微型バン 威旺360(Weiwang 360) - - 10,016 - 14,386
北京汽車股份合計 - - 10,016 - 15,335
北京汽車製造廠 SUV BJ2032シリーズ 1,897 2,195 984 423 166
BJ2025シリーズ 689 708 141 0 49
BJ2020JCシリーズ 5,728 4,371 3,076 529 1,051
BJ6466シリーズ - - 1,790 53 867
微型バン 3,502 5,753 5,076 1,224 1,299
北京汽車製造廠 乗用車合計 11,816 13,027 11,067 2,229 3,432
北汽福田汽車 MPV 蒙派克(MP-X) 6,524 4,534 3,226 1,558 1,585
迷迪(Midi) 6,024 8,102 4,493 2,290 965
SUV 伝奇(Saga) 1,006 588 390 88 176
北汽福田汽車 乗用車合計 13,554 13,224 8,109 3,936 2,726
北京現代 轎車 *索納塔(Sonata) 5,417 4 0 0 0
名馭(Moinca) 14,921 38,881 29,546 11,927 8,225
*Sonata御翔(Sonata Yuxiang) 1,093 3,309 0 0 0
*Sonata領翔(Sonata Lingxiang) 15,606 22,344 11,741 6,048 1
第八代索納塔(Sonata) 0 0 72,065 6,002 34,944
伊蘭特(Elantra) 171,605 152,641 113,368 46,911 33,836
Elantra悦動(Elantra Yuedong) 239,449 233,344 190,995 73,629 62,266
雅紳特(Accent) 60,379 68,463 19,557 9,547 2,276
i30 12,494 19,858 9,792 4,594 1,221
瑞納(Verna) - 44,359 138,525 35,672 67,274
SUV 途勝(Tucson) 46,966 56,527 51,188 20,908 15,884
ix35 2,379 63,278 103,023 31,215 26,332
北京現代合計 570,309 703,008 739,800 246,453 252,259
北京ベンツ 轎車 奔馳-E(E-Class) 2,244 11,052 44,951 12,465 8,094
奔馳-C(C-Class) 13,677 27,804 32,585 8,350 6,163
*300C 942 0 0 0 0
*鉑瑞(Sebring) 2,757 0 0 0 0
SUV 奔馳-GLK(GLK-Class) - - 259 - 2,116
北京ベンツ合計 19,620 38,856 77,795 20,815 16,373
商用車合計 627,681 721,750 679,549 265,457 240,609
北京汽車製造廠 バス 1,269 2,748 3,332 966 734
トラック 37,944 49,332 43,929 18,009 7,615
北京汽車製造廠 商用車合計 39,213 52,080 47,261 18,975 8,349
北汽福田汽車 バス 24,524 27,006 26,415 9,236 8,038
トラック 485,816 566,187 532,756 211,795 203,310
セミトレーラー 42,553 43,575 32,750 10,926 11,974
バスシャシー 843 478 80 35 13
トラックシャシー 34,731 32,418 40,287 14,490 8,925
北汽福田汽車 商用車合計 588,467 669,664 632,288 246,482 232,260
北京市司達旅行車公司 *バス 1 6 0 0 0
北京汽車集団合計 1,242,980 1,489,865 1,526,336 538,890 530,734
資料: MarkLines Data Center、各社HP、各種報道
(注) 1. 「*」印は生産停止となったモデル。
2. 北京現代の「Sonata御翔」は2005年に導入された5代目「Sonata」(NF型)で、「Sonata領翔」は「Sonata御翔」を改良した中国専用モデル。中国では、「Sonata御翔」を5代目、4代目「Sonata」(EF型)を改良した中国専用モデル「名馭」を6代目、「Sonata領翔」を7代目としてカウントするため、米国版6代目「Sonata」(YF型)は、8代目「第八代索納塔」として販売されている。
3. 2007年にダイムラーとクライスラーの合弁が解消されたことを受け、北京ベンツ(元・北京ベンツ・ダイムラークライスラー)では2009年にクライスラーモデル(「300C」と「鉑瑞」)の生産を停止した。
4. 北京ベンツは2009年に既存の「E-Class」の生産を停止し、2010年7月に中国専用モデルとして「E-Class」のロングホイールベースモデルを投入した。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>