クリーンディーゼル車:日本メーカーの日本・欧州での投入動向

日本市場では新たにマツダ、富士重工、ホンダがディーゼル車を投入

2012/04/27

要 約

 "クリーンディーゼル車" とは、2009年から実施された排出ガス規制(日本のポスト新長期規制、欧州のEuro 5、米国のTier II Bin 5) に適合するディーゼルエンジン (DE) 搭載車である。

 乗用車の販売台数の5割がDE車である欧州と比べ、日本市場では規制強化による車種減少、環境に悪いというイメージ、車両価格の高さ等により、2011年のDE車の販売比率は1%にも満たない。しかし最近では、排ガスをクリーンにする技術革新が進み、DE車の燃費性能の高さが評価されつつある。

 2012年2月には、新たにマツダがクリーンディーゼル車を日本市場に投入し、富士重工やホンダもDE車投入を計画。欧州で2014年から実施される次期排出ガス規制 Euro 6が、日本のポスト新長期と同水準となることもあり、欧州メーカーも日本市場への新たなDE車投入を計画している。

 日本メーカーの多くは、欧州市場では従来からDE車を販売していたが、燃費規制が強化される中、欧州ではエンジンのダウンサイジング化が進み、小排気量のDEが求められている。また、欧州で販売台数を拡大するためには、DE車の車種を増やす必要がある。今後の日本メーカーの計画では、ホンダが新開発の1.6L DE、マツダが1.4L DEの搭載車を欧州に投入する。また、トヨタはBMWから調達する1.6/2.0L DE、スズキはFiatから調達する1.6L DEの搭載車を投入する。

関連レポート:マツダ:SKYACTIVとモノ造り革新で反転攻勢へ (2012年3月)

日本・欧州・米国の排出ガス規制

日本 欧州 米国
ポスト新長期規制 Euro 5 Euro 6 Tier II Bin 5
PM (g/km) 0.005 0.005 0.005 0.0062
NOx (g/km) 0.08 0.18 0.08 0.0435
規制開始 2009年10月 2009年 9月 2014年 9月 2009MY

資料:JAMA, その他

日本市場におけるディーゼル乗用車販売台数

(台)
2010年 2011年 2012年1-3月
  マツダ 3,101
三菱 1,140 2,187 669
日産 5,706 4,870 1,578
他の日本メーカー 9 8 3
輸入車 2,890 2,007 633
ディーゼル車合計 9,745 9,072 5,984
乗用車合計 2,927,602 2,386,036 984,625
ディーゼル車比率 0.3% 0.4% 0.6%

資料:自動車登録統計情報 (日本自動車販売協会連合会) (乗用車には軽自動車を含まない)



日本市場に投入されるクリーンディーゼル車

 日本市場で販売されるクリーンDE車は、2011年末までは2008年9月発売の日産X-Trail、2010年9月発売の三菱Pajeroのほか、Daimlerの3車種のみ。DE車は、燃費性能がガソリン車より良く、燃料の軽油も安いというメリットを持つ一方、振動や騒音が多い、車両価格が高い等のデメリットがあり、日本での普及は一部にとどまっていた。

 しかし、2012年2月に、マツダがNOx後処理装置を不要にして車両価格を抑えたCX-5を投入。新たに富士重工とホンダのほか、BMW等の欧州メーカーもDE車の投入を計画しており、日本市場においてDE車が再評価されつつある。

日本市場に投入されるクリーンディーゼル車

日本メーカー 欧州メーカー
ホンダ 三菱
自動車
富士重工 マツダ 三菱
自動車
日産
自動車
Renault BMW Daimler
モデル CR-V Delica D:5 SUV CX-5 Pajero X-Trail Lutecia X5 M-Class
発表時期 (2012年
4月報道)
2012年
3月
2012年
1月
発売時期 2013年 2013年
上期
2013年 2012年
2月
2010年
9月
2008年
9月
2013年 2012年
1月
2010年
5月
エンジン
名称
4N13,
4N14
(改良して
搭載予定)
SKYACTIV-D2.2 4M41 M9R 3.0L 直6
ディーゼル
642
エンジン
形式
直列4気筒直噴
ターボディーゼル
水平対向
4気筒
ターボ
ディーゼル
直列4気筒直噴ターボディーゼル 直列6気筒
直噴ターボ
ディーゼル
V6直噴
ターボ
ディーゼル
排気量 1600cc 1800cc
または
2200cc
2188cc 3200cc 1995cc 1600cc 3000cc 2986cc
最高出力
kW/rpm
129/4500 140/3500 127/3750 180/4000 155/3400
最大トルク
N・m/rpm
420/2000 441/2000 360/2000 540/
1750-3000
540/
1600-2400
変速機 6速AT 5速AT 6速MT/
6速AT
8速AT 7速AT
車両重量 1510kg
(2WD)
2110kg
(ショート)
1690kg
(AT車)
2220kg 2,290kg
燃費
(JC08)
(km/L)
18.6
(2WD)
10.4
(ショート)
13.8
(AT車)
11.0 9.4 (社内
参考値)
CO2
排出量
(JC08)
(g/km)
140.9
(2WD)
252
(ショート)
190
(AT車)
排出ガス
性能
ポスト新長期 ポスト新長期
価格 258万円
(2WD車)
384万
3000円
(ショート)
313万
9,500円
(AT車)
839万円 814万円
資料:各社広報資料, その他
(注) 1. 発売時期(予定を含む)が新しい順に配列した。
2. クリーンDE車は、エコカー減税で自動車取得税(2015年3月末まで)・重量税(同年4月末まで)が免除されるほか、クリーンエネルギー自動車等導入補助金(2013年3月まで)も適用される。
3. 日産 X-Trail のディーゼルAT車は、2010年7月に発売された。

 

 



日本メーカーが欧州市場に投入するクリーンディーゼル車

 日本メーカーの多くは今後、欧州市場でDE車の車種を増やし、欧州での販売台数拡大を図る方針。2012年には、ホンダが新開発の1.6L DEを搭載したCivic、三菱自動車が低圧縮比の2.2L DE 搭載のOutlander、富士重工が新開発の2.0L 水平対向DE搭載のLegacy Tourer、マツダがSkyactivの2.2L DE搭載のCX-5を投入する。

日本メーカーが欧州市場に投入する主なクリーンディーゼル車

ホンダ 三菱
自動車
富士重工 マツダ 日産 トヨタ スズキ 三菱
自動車
トヨタ
モデル Civic Outlander Legacy
Tourer
CX-5 Qashqai Yaris Swift ASX
(日本名:RVR)
Verso
発表時期 2011年
9月
2012年
2月
2012年
2月
2011年
9月
発売時期 2012年末 2012年
夏以降
2012年
2月
2012年春 2011年
9月
2011年
7月
2011年
6月
2010年
5月
2009年
2月
エンジン
名称
4N14 SKYACTIV-D2.2 1.6dCi 1.4 D-4D D13A 4N13 2.0 D-4D
エンジン
形式
直列4気筒直噴
ターボディーゼル
水平対向
4気筒
ターボ
ディーゼル
直列4気筒直噴ターボディーゼル
排気量 1600cc 2200cc 2000cc 2191cc 1598cc 1364cc 1248cc 1800cc 1998cc
最高出力
kW/rpm
88 130/3500 108 110/4500 96/4000 66/3800 55/4000 110/4000 93/3600
最大トルク
N・m/rpm
300 380/2000 350 380/
1800-2600
320/1750 205/
1800-3000
190/1750 300/
2000-3000
310/
1800-2400
変速機 6速MT 6速MT 6速MT 6速MT 6速MT 5速MT 6速MT 6速MT
車両重量 1560kg
(2WD車)
1498kg
(2WD車)
1065kg 1125kg 1460kg
(2WD車)
1625kg
燃費
(EU
combined)
(km/L)
17.56 21.74
(2WD)
22.2
(2WD)
25.64 23.8 18.2
(2WD車)
18.9
CO2
排出量
(EU
combined)
(g/km)
100以下
(予定)
(目標) 130
(2WD車)
149 119
(2WD)
119
(2WD)
104 109 145
(2WD車)
139
排出ガス
性能
Euro6
(対応予定)
Euro6 Euro5 Euro5 Euro5 Euro5 Euro5
資料:各社の英国 Website (2012年4月中旬時点), その他
(注) 1. 発売時期(予定を含む)が新しい順に配列した。
2. 日産 Qashqai の燃費・CO2排出量は、StopStart システム搭載モデルの数値 (2012年初頭から搭載)。

 

 



日本メーカーが投入する主なクリーンDEの特徴 (日本市場に投入する欧州メーカーのDEを含む)

 日本メーカーが投入する主なクリーンDEは、いずれも高圧(1600-2000バール)で燃料を噴射するコモンレール式燃料噴射装置を採用。過給装置としては、可変ベーン式ターボなど高効率のターボチャージャーの採用が増えている。三菱自動車とマツダは、低圧縮比のDEを開発し、NOxやPMの発生を抑制。排ガス後処理装置を不要または小型化している。

主なクリーンDEの特徴と、採用する排出ガス後処理装置

(特徴のうち、各エンジンに共通のコモンレール噴射システム(注1)、通常のターボチャージャーは省略した)
エンジン名称 エンジンの特徴 排出ガス後処理装置
三菱
自動車
4N13
(欧州・ASX)
低圧縮比 (14.9)、燃料噴射圧 2000バール、
可変動弁機構、アルミ製シリンダーブロックの採用
酸化触媒、DPF
低圧縮比 14.9 (通常16-18) により燃費・静粛性を改善し、NOxの発生を低減。低圧縮比による課題 (低温始動性や未燃 HC排出量の増加) については、可変動弁機構 MIVEC を利用した吸気弁の早閉じによる有効圧縮比の向上と、吸気片弁の低リフト化によるスワール(シリンダ内での攪拌の大きさ) 強化で解決。
富士重工 2.0L 水平対向DE
(欧州・Legacy Tourer)
ターボチャージャーの高効率化、エグゾースト
カムシャフトの改善、コネクティングロッドの軽量化
新型触媒、DPF
水平対向機構により左右のピストンの動きが振動を打ち消しあうため、通常タイプのものより振動が少なく、車内外の静粛性が高い。燃費を従来DE比 7% 改善。性能も向上し、6速MTとの組み合わせで最高速度は 193km/h、0-100km/h加速は 9.6秒。
マツダ SKYACTIV-D2.2
(日本・CX-5)
低圧縮比 (14)、2ステージターボチャージャー、マルチ
ホールピエゾインジェクター、可変バルブリフト機構
DPF
(NOx処理装置は不要)
低圧縮比 14.0 により、従来のマツダDEより燃費を20%改善し、NOxやPMの発生を抑制。高価なNOx後処理装置が必要なく、PM後処理装置も小型化できるため、車両を軽くし、価格も抑えた。マルチホールピエゾインジェクターは、10個の噴射口から最適パターンで燃料を噴射。2ステージターボチャージャーは大小 2個のターボを運転領域により使い分け、低速から高速までスムーズなレスポンスと、低速域での大幅なトルク向上を実現。
日産 M9R
(日本・X-Trail)
燃料噴射圧1600バール、ピエゾ式インジェクター、
可変ノズルターボ、ダブルスワールポート
高分散型リーンNOx
トラップ触媒(注2)、DPF
吸気・排気ポートの対向配置により渦を発生させ、空気と燃料を効率よく混合させるダブルスワールポートを採用。2010年7月発売のディーゼルAT車に搭載した "高分散型リーン NOxトラップ触媒" は、NOx浄化層と NOxトラップ層に高分散型の触媒技術を採用することで、熱劣化 (貴金属の凝縮) による表面積の減少を抑制し、従来技術の約半分の貴金属量で同等性能を発揮する。
ホンダ 1.6L ディ-ゼル
(日欧に投入予定)
燃料噴射圧 1800バール、ソレノイド式インジェクター、
シリンダーブロックのアルミオープンデッキ化、
小型高効率の可変ベーン式ターボチャージャー
リーンNOx触媒(注2)、DPF
アルミシリンダーブロックの構造を、従来のクローズドデッキ構造からオープンデッキ構造に変えて大幅に軽くし、1.6Lクラスで世界最軽量とした (従来比 50kg 軽い170kg)。インジェクターの進歩で、ピエゾ式より低コストのソレノイド式で性能を確保。小型高効率の可変ベーン(羽根)式ターボチャージャーの採用と、往復摺動部の軽量化により、エンジンの応答性を向上。その結果、従来の1.6LクラスのDEより燃費を 5%以上、加速性能を 10%以上高めた。
トヨタ 1.4 D-4D
(欧州・Yaris)
燃料噴射圧1600バール、ピエゾ式インジェクター 触媒システム、DPF
トヨタのDEでは最小排気量で、トヨタ初のアルミ合金シリンダーブロックを持つDE。6速MTとの組み合わせで、最高速度は175km/h、0-100km/h加速は10.8秒。Yarisの旧モデルより燃費は7%、CO2排出量は6%改善した。
スズキ D13A
(欧州・Swift)
Fiatからの技術供与でライセンス生産
BMW 3.0L 直6ディーゼル
(日本・X5)
燃料噴射圧1800バール、ピエゾ式インジェクター、
可変ジオメトリー・ターボチャージャー
尿素SCRシステム (注3)、
DPF
可変ジオメトリー・ターボチャージャーは、ガイドベーン(羽根)の角度をエンジン回転数に応じて可変制御することにより、排気の流れを最適化し、レスポンスの良さ・低回転時における高いトルク特性・低燃費を実現した。燃費はガソリン車比 30% 向上。
Daimler 642
(日本・M-Class)
ピエゾ式インジェクター、
VNT(可変ノズルタービン)ターボチャージャー
尿素SCRシステム、DPF
資料:各社広報資料, その他
(注) 1. コモンレール噴射システムはDE用燃料噴射装置で、蓄圧室(コモンレール)に高圧の燃料を蓄え、噴射ノズルで噴射量やタイミングを制御する。噴射圧を高めると燃料が微細化し、完全燃焼に近づいてPMを低減する。また、数段階に分けて噴射することが可能で、初期の噴射率を最小限に抑え、着火と同時に爆発的な燃焼が起きるのを緩和し、NOxと騒音を低減する。
2. NOxトラップ触媒、リーンNOx触媒、NOx吸蔵還元型触媒は同義で、排ガス中のNOxの浄化装置。この装置は、NOx を触媒内に一旦溜め込んでおき、ある程度溜まったら燃料過多の状態を作り出し、HC(炭化水素) と反応させて、NOx を浄化する。
3. 尿素SCR (選択触媒還元) システムは、排ガス中のNOxの浄化装置。排気系に尿素水 (ドイツ自動車工業会による商標は AdBlue) を噴射すると、排気熱による加水分解でアンモニア (NH3) が生成される。アンモニア中の水素とNOxの酸素が反応し、H2Oとなることによって、窒素の周りから酸素をなくし、再度NOxが生成されるのを防ぐ。NOxの浄化率は80-95%と高いが、尿素水の噴射装置やタンクが必要となる。

 

 



日本メーカーのクリーンDEに関する動向

 以下は、日本メーカー7社のクリーンDEに関する最近の動向である。


三菱自動車:欧州向けOutlanderに低圧縮比(14.9)の2.2Lクリーン DE を搭載

 三菱自動車は、2010年に三菱重工と共同で、圧縮比を14.9に低下させた1.8L DE 4N13型を開発。可変動弁機構 MIVEC (Mitsubishi Innovative Valve timing Electronic Control system) を組み合わせ、Euro5 対応とし、2010年 5月から欧州向けクロスオーバー車 ASX (日本名 RVR) に搭載した。
 4N13型と圧縮比が同じ 14.9 の 2.2L DE 4N14型を開発し、2012年夏以降に発売する欧州向け新型 Outlander (SUV) に搭載する。CO2排出量の目標を130g/km以下としているが、どの規制レベルに適合するかは未発表。

三菱自動車:日本市場では2013年にミニバンDelica D:5 にクリーン DE を搭載へ

 日本市場では、2010年9月から、ポスト新長期規制適合の4M41型3.2L DE を、改良した Pajero (SUV) に搭載している。2011年の Pajero の販売台数に占める DE車比率は約 7割。
 2013年前半には、主力車種のミニバン Delica D:5 に1800ccか2200ccの DE を搭載する計画。欧州向けの4N13型と 4N14型の環境性能を引き上げて、日本のポスト新長期規制に適合させる計画。Delica D:5 の旧モデル Delica Space Gear には、DE車を設定していた。04年10月に廃止したが、根強い人気があることと、最近のDE車への関心の高さを受けて、DE車を復活させる。

資料:三菱自動車広報資料 2010.9.2/2012.2.9, 三菱 Technical Review No.22, 日刊工業新聞 2012.3.15


富士重工:欧州向け 2012年型 Legacy Tourer に新開発のボクサー DE を搭載

 富士重工の欧州法人は、2012年2月、Legacy Tourer (日本名:Legacy Touring Wagon) の2012年モデルに、新開発の2.0L 水平対向4気筒 DE を搭載すると発表。2008年に世界初の水平対向 DE として投入したエンジンを改良し、欧州複合モード燃費を従来比 7%以上向上させた。

富士重工:2013年にも日本市場にディーゼル乗用車を投入へ

 富士重工は2013年にも、日本市場に DE乗用車を投入する計画。搭載モデルとしては、2012年に発売予定の新型SUV のXV、Forester、Outbackを検討している。欧州市場向けに開発した水平対向 DE車の NOx排出量をさらに下げ、日本のポスト新長期規制に対応させる。

資料:Response 2012.2.28, 日刊自動車新聞 2012.1.10


マツダ:2012年2月に Skyactiv-D 2.2L DE 搭載のCX-5を日本市場に投入

 マツダは2012年 2月に、次世代技術 SKYACTIV をフル搭載した新型 SUV CX-5 を発売した。SKYACTIV のガソリンエンジンとディーゼルエンジンの両方を搭載するが、年販目標 1.2万台のうち、半分以上をDE車とする計画。(マツダによると、CX-5発売後1カ月の受注は約 8,000台、うち 73%がDE車。)
 マツダは2015年に、DE車の生産台数を、2010年比倍増の15万台超に引き上げる方針。CX-5に搭載したSKYACTIV-Dエンジンを、主力中型車のAtenzaなど複数モデルに搭載し、欧州のほか、日本と北米にも投入する計画。現在、DEは日本でのみ生産している。
 欧州市場では2011年末現在、排気量2200ccのDE (自社生産) を CX-7, Premacy に搭載しているが、全面改良や一部改良のタイミングで、SKYACTIV-D に切り替える計画。1600ccのDEは PSA から調達している。

マツダ:1.4L DE を開発

 マツダは排気量1.4Lの小排気量クリーンDEを開発する。2013年にも自社生産した1.4L DEを小型車に搭載して、国内外に投入する計画。
 現在、欧州仕様の Mazda2 (日本名:Demio), Mazda3 (同Axela), Mazda5 (同Premacy) には PSA製の 1.6L DEを搭載している。これらのモデルに、新開発の小排気量DEを搭載する可能性が高い。

資料:日刊工業新聞 2011.10.12, response 2012.2.15, 日刊自動車新聞 2012.3.19


日産:日本市場で2010年7月に X-Trail のディーゼルAT車を追加設定

 日産は、Renault と M9R DEを共同開発し、2007年から欧州向けのX-Trail 等に搭載。日本市場では、同DEをベースに、高度なエンジン制御技術とリーン NOxトラップ触媒により、さらに NOx を削減して、日本のポスト新長期規制に適合させ、2008年 9月に X-Trail のディーゼル MT車を発売した。
 2010年 7月には、制御技術の見直し等により、X-Trail のディーゼル AT車を追加設定。その際、貴金属量を従来の半分にした、新開発の高分散型リーン NOxトラップ触媒を搭載した。X-Trail の2011年販売台数に占めるDE車比率は約2割。

日産:Renaultと共同開発の1.6L DE を欧州向けQashqaiに搭載

 欧州市場では、2011年9月に、Renaultと共同開発した1.6L DE を Qashqai に搭載した (Euro5 適合)。

資料:日産広報資料 2010.7.8, 日産 Website "車両搭載技術:クリーンディーゼル"


ホンダ:新開発の 1.6L DE を 2012年末に欧州向け新型 Civic に搭載

 ホンダは、新開発の1.6L DE を、2012年末に欧州向けの新型 Civic に追加搭載する (新型 Civicは2012年初頭から販売するが、当初は 1.4/1.8Lガソリン・2.2L DE を搭載)。2012年秋~2013年に SUV の CR-V、高級セダン Accord にも、新モデルへの切替に合わせて1.6L DE を順次搭載する方針。3車種とも現行のDEモデルは、06年に開発した 2200ccDEを搭載している。
 ホンダの2011年の欧州販売台数は、前年比 20%減の 15.9万台。シェアは約 1%に低迷。欧州市場では、DE車の販売が全体の5割を占めているが、ホンダ車のDE比率は、小型エンジンがなかったこと等により、2割にとどまっていた。ホンダは、新開発の1.6L DE により、主力 3車種の DE を刷新し、DE車比率を 4割程度に引き上げたいとしている。

ホンダ:2013年にも日本市場にCR-VのDE車を投入

 ホンダは、日本市場にも上記の新開発1.6L DE を搭載した CR-V を投入する方向で検討中とされる。欧州やインドで投入後、日本のポスト新長期規制に適合させて、2013年にも発売すると見られる。

資料:ホンダ広報資料 2011.9.13/2011.11.30, 日経産業新聞 2012.3.19, 日刊自動車新聞 2012.4.5, Automotive Technology 2012.3, Motor Fan illustrated 2012.2


トヨタ:BMWから 1.6/2.0L DE を調達、2014年から欧州向け車に搭載予定

 トヨタは2011年12月、BMWから1.6/2.0L DE の供給を受ける契約を締結した。2014年から欧州市場向けに販売予定の車に搭載する(英国で生産する Auris、トルコで生産する Corolla 等に搭載予定)。2011年のトヨタの欧州販売は約80万台で、シェアは 4% 程度にとどまっている。欧州販売を拡大するには、欧州で需要が高いこのクラスの DE が必要だが、HV や次世代の燃料電池車の研究開発に注力しているため、自社開発は難しいと判断。BMW からの供給を受けることにした。
 トヨタは現在、欧州で販売する Bセグメントの Yaris (日本名 Vitz) には自社開発の 1.4L DE、Cセグメントの Auris, Verso, Avensis 等には、やはり自主開発の 2.0/2.2L DE を搭載している。

資料:トヨタ広報資料 2011.12.1, 日経産業新聞 2012.3.19, 日刊自動車新聞 2011.12.6


スズキ:Fiat から 1.6/1.3L DE を調達

 スズキと Fiat は2011年 6月、スズキの新型 SX4 向けに Fiat の 1.6L MultiJet II DE を供給する契約を締結した。SX4 の現行モデルには Fiat製 2.0L MultiJet DE を搭載しているが、2013年からハンガリーの Magyar Suzuki 工場で生産予定の新型 SX4 には、この 1.6L DE を搭載する。
 スズキは2006年より、Fiatの1.3L MultiJet DE をインドのエンジン生産子会社でライセンス生産している。年産約20万基で、生産したDE は、インド国内向け車両に搭載するほか、ハンガリーのMagyar Suzukiに輸出し、欧州向け Swift に搭載している。

資料:Fiat Press Release 2012.1.18/2011.6.27, 日経産業新聞 2012.3.19

 



日本市場にクリーンディーゼル車を投入する欧州メーカー

 以下は、日本市場にクリーンディーゼル車を投入する欧州メーカー Renault、BMW、Daimlerの動向である。

Renault:2013年に DE車を日本投入、小型車 Lutecia に DE搭載

 Renaultは、2013年を目処に日本で DE車を投入する方針を明らかにした (2011年12月)。小型車 Lutecia (欧州名 Clio) の次世代モデルに、1.6L DEを搭載して発売する。その後、ミニバン Kangoo、小型車 Megane にも DE車を設定する計画。DE車の発売等により、高級車を除く日本の輸入車市場で、VWに次ぐ位置を目指す。

資料:日本経済新聞 2011.12.4

 

BMW:2012年 1月に X5 の DE車を日本市場に投入、年内に DE車拡充へ

 BMWは、2012年1月にSUV X5 DEモデルを発売。同社として初めて日本市場にDE車を投入した。2012年4月12日の発表によると、DE車発売以降、X5の販売台数の70%を DE車が占めている。BMWは2012年中にさらに 3車種の DE車を投入する計画で、主力の 3 Series や小型車ブランドMINI のモデルが候補にあがっている。

資料:BMW Japan Press Release 2012.1.18, 日経産業新聞 2012.3.22/2012.4.14

 

Daimler:日本市場で 2015-16年までに DE車を 3車種から 8-9車種に拡大

 Daimlerは、2012年から 3、4年以内に、日本市場で販売する DE車を 3車種から 8-9車種に拡大する。2012年にも SUV の新車、その後主力車種の C-Class や最上級車種 S-Class の DE車投入を検討中。現在、販売台数全体に DE車が占める割合は 5% 程度だが、車種拡大で 1割以上に引き上げたいとしている。
 Daimlerは現在、日本市場で、2モデルの 3車種に DE車を設定。ポスト新長期適合の DE は、2010年 2月から E-Class のセダンとステーションワゴンに、同年 5月から SUV の M-Class に搭載している。M-Class には2012年夏の全面改良時に、新開発の DE を搭載する計画。

資料:Mercedes-Benz Japan Press Release 2010.2.24/2010.5.31, 日経産業新聞 2012.1.10

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