中国の日系部品メーカー (1):東北・華北地区の動向

デンソー、トヨタ紡織、アイシンAW、タカタ、シロキ工業などの動向

2012/05/10

要 約

 本レポートは、日系部品メーカーの中国における近年の動向を、地区別に分けて報告していく(2012年4月までの1年9カ月間)。

 第1回目は、東北/華北地区と中国全土にかかわる、部品メーカーの動向をまとめた。東北地区ではトヨタの長春新工場の2012年の稼働予定に合わせて、長春市でデンソーがカーエアコン工場を、トヨタ紡織が内装部品工場を建設。華北地区では天津市での動きが活発で、アイシンAW/タカタ/津田工業/ニフコが新工場を建設。

関連レポート:日系部品メーカー動向レポート

インド編 (2011年12月)メキシコ/ブラジル編 (2011年12月)欧州編 (2011年11月)

米国編 (2011年8月)タイ編 (2011年6月)インドネシア他編 (2011年6月)



東北地区:デンソー、トヨタ紡織が長春で新工場建設、第一汽車との合弁増加

 東北地区(遼寧省、吉林省、黒竜江省)では、トヨタ長春新工場の稼働(2012年6月までに予定)に合わせた部品メーカーの進出と、第一汽車集団との合弁事業が増加。

 吉林省長春市ではデンソーがカーエアコン工場を、トヨタ紡織が内装部品工場を新設。IHIはターボチャージャーを増産する。

 遼寧省大連市では、日本電産が車載モーター生産の第3工場を稼働させ、ミツバもEPS用モーターの増産を計画している。

 第一汽車集団と新たな合弁事業を始めたのはトヨタ紡織、三菱電機、TBK。

東北地区:日系自動車部品メーカーの動向

(2012年4月までの約 1年9カ月間の動向。配列は企業名 50音順)
IHI: 長春・無錫2工場拡張で、中国過給機の年産能力を120万台に拡大へ
 IHIは2011年5月、中国でのターボチャージャー の中期増産計画を明らかにした。無錫2拠点/長春拠点を合わせた年産能力を現行の約45万台から、2013年度をめどに120万台に引き上げていく。2011年度の3拠点への投資総額は合計数億円。VW/Audi向けにターボチャージャーを生産している、第一汽車集団との合弁の長春工場 (Changchun FAWER-IHI Turbo Co., Ltd.) では、現在の年間35万台体制から2012年度には100万台体制とする。
アドバネクス:大連工場でインサートカラー増産
 アドバネクスは大連の精密バネ工場「邁進精密部件(大連)有限公司」(Advanex (Dalian) Inc.)に、自動車用インサートカラー(鋳物部品をボルトで固定する際に用いる金属補強部品)の生産設備を1台増設した。詳細を明らかにしていないが、2012年3月末時点で、同製品の生産を行っている。アドバネクスのインサートカラー生産は、切削加工工法ではなく、専用機械で金属板にくぼみをつけて丸めるという、独自の工法で低コスト生産を実現している。
北日本精機:ハルビンの自動車向けベアリング組立て新工場が生産開始
 北日本精機は2011年2月、黒竜江省ハルビン市に「哈尓濱北日精密軸承有限公司」(Harbin Kitanihon Precision Bearing Co., Ltd.) を設立、2011年8月に稼働し自動車などに用いるベアリングの生産を開始した。工場建設への投資総額は100万米ドル(約8,000万円)。従業員は約50名(すべて中国人)。月産目標は100万個。新工場運営は上海子会社「上海精密軸承有限公司」(Shanghai Precision Bearing Co., Ltd.) が行う。
ジェイテクト: 遼寧省で自動車用ベアリング新合弁工場設立交渉中
 ジェイテクトは2010年9月、中国ベアリング大手「瓦房店軸承集団」(ZWZ) と折半出資で、エンジンやトランスミッション、ホイール用等の自動車用ベアリングの生産合弁会社(仮称)「瓦房店捷太格特軸承有限公司」を設立する、合弁協力意向書に調印した。交渉が難航しており現在も交渉が続いている(2012年4月現在)。 新会社への投資総額は約10億元で、立地は遼寧省が有力。
住友化学: PPコンパウンドの長春合弁工場生産開始、大連工場は2012年半ば稼働へ
 住友化学は2011年8月、樹脂コンパウンドメーカーの吉林省新東泰工程塑料と折半出資で、長春市郊外の公主嶺経済開発区に、合弁会社「吉林省東承住化汽車複合塑料」を設立。2012年1月に稼働し、バンパーや内装材向けPP (ポリプロピレン) コンパウンド生産を開始した。当初の年産能力は2万トン。
 遼寧省大連でも、住友化学は2011年8月、PPコンパウンドの新工場を設立した。大連新工場は2012年半ばから本格稼働し、華北地域の日系自動車メーカー中心に供給する。新工場建設への投資総額は12億円。年産能力は1万トン。大連新工場稼働後、同社の中国における自動車バンパーや内装材等向けのPP コンパウンド年産能力は、長春公主嶺工場ならびに広東省(珠海)既存工場と合わせて、5.2万トンに引き上げられる予定。
TBK: 長春で商用車用ブレーキ生産の新合弁会社設立
 TBKは2011年10月、第一汽車集団傘下の長春一汽四環汽車制動器と、合弁会社「長春一汽四環特必汽車制動有限公司」を設立し操業を開始。同合弁会社は、長春一汽四環汽車制動器から、商用車ブレーキおよび関連製品を生産する事業を引き続ぐ。2012年の売上は9.61億元(約125億円)になる見込み。 出資比率は、TBKが全体の40%を現金 6,400万元 (約8.4億円) で出資、残りの60%を長春一汽四環制動器が生産設備等を現物出資した。
デンソー:長春市にエアコン工場を建設
 デンソーは、吉林省長春市にカーエアコン工場(天津富奥電装空調有限公司長春分公司)を2011年12月に稼働させた。2015年までにカーエアコンの年産能力を56万台とし、売上高12億元を目指す。この長春工場の稼働によって、従来、天津市の拠点より供給していた、トヨタ、VW、一汽轎車への供給が容易となる。
トヨタ紡織:吉林省長春市での内装部品新工場建設
  トヨタ紡織は、吉林省の長春市に生産子会社「長春富維豊田紡織汽車飾件有限公司」を2010年8月に設立した。2012年4月から、四川一汽トヨタ長春新工場 で生産の Corolla 向けに、シート/ドアトリム/カーペット/ラゲージトリムなど内装部品の生産を開始する。年産能力は自動車10万台分。
 長春富維豊田紡織汽車飾件の資本金は1,800万米ドル で、トヨタ紡織の中国統括会社 (豊田紡織(中国)有限公司) が60%、第一汽車集団の投資子会社 (長春一汽富維汽車零部件) が40%出資。敷地面積は5.3万平方メートル、建屋面積は2.2万平方メートル、投資総額 1.83億元。
 なお、トヨタ紡織はこれまで、トヨタの長春(既存)工場の LandCruiser 向けに、シートを孫会社「天津英泰汽車飾件有限公司」の長春分工場で生産・供給してきた。
日本電産: 大連第3工場と併設の開発施設を稼働
 日本電産は2011年5月、遼寧省大連の子会社「日本電産(大連)有限公司」の第3工場を竣工させ、シート調整やエンジン冷却など向けに、車載専用ブラシ付モーターの生産を開始した。当初の年産能力は数十万個規模だが、2015年までに300万個に引き上げていく予定。同時に、第3工場に併設した開発施設では、主に地場メーカー向けの製品開発を開始した。
ミツバ: 大連工場でサンルーフ/EPS用モーター増産
 ミツバは、大連工場(三葉電器(大連)有限公司)への増資を計画している(2011年11月現在)。 サンルーフモーターとEPSモーター増産の対応するためで、約13億円を投じて、建屋の延べ床面積を10%増やし、約1.1万平方メートルにするとされる。また、大連ではパワーウインドモーター、ドアロックアクチュエーター等も生産しているが、その一部を武漢工場(三葉士林電機 (武漢) 有限公司)への移管も行われるとのこと。
三菱電機:長春でカーナビ等合弁生産へ
  三菱電機は2011年8月、第一汽車集団のIT子会社「啓明信息技術股份有限公司」と、カーナビ等カーマルチメディアの開発、設計、製造、販売を行う合弁会社 (仮称) 長春啓明菱電車載電子有限公司を設立した。 新会社の資本金は約22.4億円 (1.75億元)で、啓明信息技術が51%、三菱電機が33%、三菱電機(中国)が 10%、技術商社のコシダテックが6%を出資。2015年までに従業員を約400名体制にし、2015年度売上目標は250億円としている。 両社は2004年から中国でのカーマルチメディア製品のソフトウェアの開発で提携してきた。
日本精工:中国ベアリング大手に資本参加
 日本精工 (NSK) は2012年4月、吉林省公主嶺市にある、中国車載ベアリング大手「公主嶺轴承有限責任公司」(Gongzhiling Bearing Co., Ltd.) に10%資本参加すると発表した(新株第三者割当増資を引き受ける)。2012年6月に手続きが完了後の公主嶺轴承有限責任公司への他株主の出資比率は、寧波摩士集団 が63%、吉林省政府が 27%。
リョービ:大連既存子会社の第2工場稼働
 リョービは、大連完全子会社「利優比圧鋳(大連)有限公司」(Ryobi Die Casting (Dalian) Co., Ltd.)で第2工場棟を建設し、2012年3月時点すでに本格的に生産を開始している。新工場は、既存(大連)第1工場と同様に、主に上海GM/VWの大連変速機工場/東風日産乗用車など向けに自動車用鋳物部品を生産。大連子会社の建屋面積は、第1工場1万平方メートル、第2工場は1.6万平方メートル。

資料:各社広報資料、 各紙報道、ヒアリング調査

 



華北地区:天津市でアイシンAW/タカタ/津田工業/ニフコが新工場建設

 華北地区では天津市を中心に部品メーカーの新工場建設/増産が相次いでいる。アイシンAWはAT生産の工場を建設し、2014年末から稼働予定。タカタ/津田工業/ニフコも天津市で新工場を稼働させ、東海カーボン/バンドー化学/ブリヂストンが現地で増産を開始(予定)。

 また、天津市にアイシン精機/太平洋工業が地域統括会社を設立。

華北地区:日系自動車部品メーカーの動向

(2012年4月までの約 1年9カ月間の動向。配列は企業名 50音順)
アイシンAW:天津にFF車用6速AT新工場を建設へ
 アイシンAW は2012年4月に、天津市 (経済技術開発区西区) にAT (自動変速機)生産の新会社「愛達(天津)汽車零部件有限公司」(Aida (Tianjin) Auto Parts Co., Ltd.) を設立。2014年末に稼働し、前輪駆動 (FF)車用 6速ATを生産する。年産能力は約40万基。 新会社への投資総額は約160億円で、資本金は1億米ドル。従業員は750名の予定。敷地は4.6万平方メートル、建屋は約2.4万平方メートル。アイシンAW はトヨタの中国工場向けに、天津既存工場で後輪駆動 (FR) 車用6速AT (年産能力12万基)を生産している。
アイシン化工:河北省唐山市でディスクブレーキ摩擦材の生産開始
 アイシン化工は、河北省唐山市にディスクブレーキ摩擦材を生産する子会社 唐山愛信化工有限公司を2010年7月に設立し、2011年より本格生産開始。同社にとっては初の中国拠点となる。アイシン精機の現地工場(唐山愛信汽車零部件有限公司)内に生産ラインを設置し、2013年までに計3ラインとする予定。投資額は約15億円。2015年には売上高を16億円とする計画。同子会社の資本金は6億円で、アイシン化工が60%、アイシン精機が20%、アドヴィックスが20%を出資。
アイシン精機:天津に事業統括会社設立
 アイシン精機は、2011年6月、天津市に中国事業の統括会社 愛信精機(中国)投資有限公司を設立した。自動車部品などの輸出入・販売を行っていた 愛信精機(天津)商貿有限公司 を6,553万ドルに増資の上、業態/社名を変更。従業員数も31名(2010年12月)から、51名(2011年度予定)へ増員。拡大が見込まれる中国市場での、戦略策定と意志決定を迅速化させる。
共和レザー: 河北省の合成皮革工場年産能力を2倍に増強
 共和レザーは、合成皮革など自動車用内装材を生産する河北省廊坊市の合弁工場「共和興塑膠 (廊坊)有限公司」(Kyowa-GSK Plastics (Langfang) Co., Ltd.)に、500万米ドル(約4億円弱)の増資を実施(2011年9月発表、2012年5月時点増資済み)。提携先「優利得控股」(Youlide Holdings) から株式譲渡 (10%) を受けて、同工場への出資比率を60%に拡大した。 共和興塑膠 (廊坊)への増資により、合成皮革生産ライン1本を増設し、工場の合計生産能力を現行の2倍に当たる1,560万mに拡大する。新生産ラインは2012年2月に稼働する計画であった(進捗不明)。なお、2011年11月時点、同工場の従業員数は232名で、2010年12月期の売上高は246,389千元。
小糸製作所:華北・東北地区で事業化調査
 小糸製作所は、華北・東北地区でのランプ工場新設に向けた、事業化調査を開始した(2012年1月報道)。同社は、トヨタの天津工場などに上海や広州の拠点から供給しているが、輸送費を含めたコスト削減が課題となっている。立地は天津、長春などを検討中。
太平洋工業: 天津に中国事業統括会社設立へ
 太平洋工業は、2012年5月に天津市 (空港物流加工区)に、中国事業統括会社「太平洋工業(中国)投資」 (Pacific Industries China Corp.) を設立すると、同年3月に発表した。これに併せて、新会社は太平洋工業の中国子会社2社 (天津太平洋汽車部件、長沙太平洋半谷汽車部件) の持ち株を取得し、自らの子会社とする。
 新会社の資本金は3,000万米ドル (約24.9億円) で、太平洋工業が100%出資。中国子会社 2社ならびに太平洋工業の中国業務の運営効率化 (生産準備・技術開発を含む) や管理機能の強化などを行う。同社の天津工場はトヨタ/長城汽車向けに、長沙新工場(2012年7月稼働予定)では三菱自動車向けにプレス部品を生産する。
タカタ: 天津分工場稼働
 タカタは2011年4月、天津市(西青経済開発区)に上海子会社「高田(上海)汽配製造」の天津分工場、「高田(上海)汽配製造有限公司天津分公司」 (Takata (Shanghai) Automotive Component Co., Ltd. Tianjin Factory) を稼働し、自動車用シートベルト/エアバッグ/ステアリングホイールの生産を開始した。新工場への初期投資額は約6,500万元(約9億円)。2011年9月時点の従業員数は約800名。主に、天津近辺や中国北部にある自動車メーカーへの供給体制を強化する。
津田工業:天津新工場を稼働
  津田工業は、天津市に冷間鍛造部品の新工場「津田 (天津) 精密工業有限公司」(Tsuda (Tianjin) Automotive Precision Co., Ltd.)を建設し、天津の既存工場 (慈達汽車部件 (天津)) を閉鎖し、新工場に生産を移管・集約した(2012年5月現在移管済み)。   新工場への投資総額は約10億円。既存工場の生産設備のほか、日本から加圧能力600トン級の冷間鍛造用フォーマー1台を移設し、天津新工場には冷間鍛造部品の一貫生産体制を整備。天津工場の従業員は現在の74名から2013年に130名に増員。中国での駆動部品などの事業を拡大し、2013年をめどに中国で冷間鍛造部品の売上9.4億円を目指す。
TPR: 天津市に地域統括会社設立
 TPRは2012年4月、天津市に中国のグループ企業の管理と日系メーカーへの販売業務を行う、完全子会社 帝伯愛爾(天津)企業管理有限公司(TPR (Tianjin) Co., Ltd.)を設立した。営業開始は同年7月の予定。資本金は1,280万元で、総投資額は1,828万元。同社は中国では安徽省を中心に計8拠点で生産を行っており、華北地区では河北省でピストンリングの生産を行っている。
東海カーボン: 天津カーボンブラック工場の年産能力を11万トンに拡大へ
 東海カーボンは、天津合弁工場「東海炭素(天津)有限公司」 (Tokai Carbon (Tianjin) Co., Ltd.)のタイヤ補強剤「カーボンブラック」の年産能力を5万トン(2012年3月現在)から11万トンへ、2012年9月末に拡大する。同社は、2011年1月に7億~8億円を投じて、既存工場のライン (2本) を改修し年産能力を 25%増の 5万トンに引き上げたばかり。
  2012年3月現在、62億~63億円を投じて会社の既存敷地内に新たな建屋を建設している。新建屋には新しい生産ライン2本を増設、2012年9月に稼働予定で年産能力6万トンを整備する。新ラインでは低騒音/低燃費タイヤ向けのカーボン特殊品も加えて生産し、今後、工場全体の生産の 20~30%の割合に増やしていく計画。同社は、これまで日系およびその他の外資系メーカーに製品を供給してきたが、今後、地場メーカーにも出荷していく。
東海ゴム:天津市に自動車用防振ゴム製造の合弁会社を設立し、金型工場も稼働
 東海ゴムは天津市環宇橡塑製造有限公司(環宇)と合弁で、自動車用防振ゴムを製造・販売する環宇東海橡塑(天津)有限公司(HTR:天津市)を2011年1月に設立。中国ローカルメーカー向けに、2011年6月から生産を開始。資本金は1億元で、東海ゴムが60%を出資し、残りを環宇が出資する。2015年度に3億7,000万元の売上高を計画。
 また同社は、2011年12月、50%出資の (他にメテックス 25%、津栄天宇精密機械が 25%出資)、天津市の合弁会社「東海津栄模具(天津)有限公司」(Tokai Jinrong Die (Tianjin) Co., Ltd.)で、自動車用防振ゴム関連のプレス金型の生産を開始した 。新会社は天津市高新技術産業区に立地 (工場敷地3,300平方メートル/建屋2,340平方メートル)し、資本金は2,000万元、投資総額は3,500万元。
トヨタ紡織: 中国事業統括体制を強化
  トヨタ紡織は2011年12月、天津子会社「天津英泰汽車飾件有限公司」の持ち株(75%)をすべて、中国事業統括の完全子会社「豊田紡織(中国)有限公司」に譲渡した。同統括子会社を中心とした中国事業運営体制とし、効率的な経営体制を構築するため。自動車用シートや内装部品を生産する天津英泰汽車飾件は、第一汽車集団の部品子会社「長春一汽富維汽車零部件」も25%出資している。2010年12月期の売上は604.62億円。
日清紡ブレーキ: 北京市で摩擦材を増産
 日清紡ブレーキは、2011年末までに、韓国子会社のセロンオートモーティブが全額出資する北京工場 (賽龍 (北京) 汽車部件有限公司) に、約5億円弱を投じて生産設備を増強し、摩擦材の月産能力を従来の80トンから100トンに引き上げる。同社は、自動車ブレーキ用の摩擦材を段階的に増産し、中国での乗用車向け摩擦材市場シェア20%以上の獲得を目指している。
ニフコ: 天津工場でファスナーの生産開始、更に設備投資実施へ
  ニフコは2011年7月、天津市の子会社「利富高(天津)精密樹脂制品有限公司」で、トヨタの現地工場向けを中心に、プラスチックファスナー等の車載合成樹脂成形部品の生産を開始。 また、2012年2月には、同子会社に520万米ドル追加出資して資本金を1,850万米ドルに拡大し、追加設備投資に充てる。
 また、同社は、2012年7月までに、韓国子会社傘下の北京工場「北京利富高塑料制品」にも追加設備投資のために資本金を1,180万米ドルから2,270万米ドルに増資を実施する予定 (2012年1月発表)。
日本バイリーン:天津市に新フロアマット工場建設
  日本バイリーンは、天津市のフロアマット工場(天津佰安汽車用品有限公司)の近隣に新工場を建設。年産能力を120万台分と倍増させ、2012年初頭に生産開始。需要の拡大が見込まれ、既存工場が手狭になり、生産効率も悪かったため、新工場に生産を全て移管する。
バンドー化学:天津市の駆動用ベルトの生産能力を増強
 バンドー化学は、エンジン/変速機用の駆動用ベルトを生産している天津工場(阪東機帯(天津)有限公司)の生産能力を、従来比30%増の約350万本へ増強した(2011年3月報道)。同社は、中国市場ではトヨタ、三菱、現代自、VWなどの合弁工場に供給している。
プリヂストン:天津工場で乗用車用ラジアルタイヤ生産能力増強へ
 プリヂストンは、天津工場「普利司通(天津)輪胎有限公司」(Bridgestone (Tianjin) Tire Co., Ltd.)に、約83億円(5.63億元)の設備投資を行い、乗用車用ラジアルタイヤの生産能力を増強する(2011年8月8日発表)。2012年5月をめどに、日産能力を8,800本増やして、合計2.53万本に拡大する。今回の生産能力増強では、ECOPIAブランド等環境タイヤの他、ウィンタータイヤの現地生産化を進めていく。
ペガサスミシン:天津工場のダイカスト部品の生産能力を増強
  ペガサスミシンは、中国子会社(天津ペガサス嶋本自動車部品有限公司:天津市)での自動車用アルミダイカスト部品の生産能力を2012年3月までに倍増。中国ではシートベルト巻き取り機(リトラクター)、ヘッドライトの回路保護部品、シャフト、カバー類などを生産しており、月産能力を400万個とする予定。それに伴い、工場棟も増設し、生産設備と合わせて、2011年に約2.8億円を投資している。

資料:各社広報資料、 各紙報道、ヒアリング調査



中国全土 :アドヴィックス/シロキ工業/東海ゴムが中国での工場建設を検討

 部品メーカー各社は中国を重要市場と捉えて、売上/生産増を計画。アドヴィックスは四カ所目のブレーキ部品工場、シロキ工業はウィンドレギュレーター工場、東海ゴムは自動車用ホース工場を、中国に新設することを検討中。また、GSユアサは鉛蓄電池、日本精工はベアリング、リケンはピストンリングの生産能力増強を計画している。

(本節では、中国全体にかかわる動向や地域が特定できない動向をまとめた)

中国全土:日系自動車部品メーカーの工場建設など

(2012年4月までの約 1年9カ月間の動向。配列は企業名 50音順)
アドヴィックス:中国の2017年度までに年間売上1,000億円に引き上げる
 アドヴィックスは、2017年までにブレーキ部品の中国事業の売上高を、地場自動車メーカー等の新たな取引先開拓を通じて、1,000億円(2011年度の約2.5倍)に引き上げる計画。また、2013年稼働を予定する福建省福州新工場に加えて、広州/天津市の既存工場を増強するほか、更に4箇所目となる新工場の建設を検討している。
アルパイン: 中国自動車メーカーに拡販し、2014年3月期に年間売上500億円へ
アルパインは、中国における車載音響/情報機器の売り上げを、2013年度に500億円に引き上げる目標を掲げている (2011年5月発表)。そのため、既存取引先の広州汽車/北京汽車/吉利汽車に加えて、上海汽車、第一汽車、東風汽車および長安汽車などの大手や、奇瑞汽車、中国重型汽車集団、華晨汽車、BYDなど、中国地場自動車メーカーに拡販していく。
エイチワン: 中国工場の生産自動化を推進、開発体制も強化
 エイチワンは、現地生産子会社にロボットを積極的に導入し生産ラインの一部自動化を進めている。2011年3月時点で、広州愛機汽車配件有限公司(広東省)に53台(2010年9月時点保有台数22台)、清遠愛機汽車配件有限公司(広東省)に35台(同18台)、武漢愛機汽車配件有限公司(湖北省)に50台(同10台)、合計138台を新たに導入した。また、同社は中国で開発体制を強化している。中国拠点で、部品開発機能を持たせ、金型内製力強化や地場メーカーに勝るコスト競争力を構築する。
鬼怒川ゴム: 中国での2015年度売上目標を300億円目指す
 鬼怒川ゴムは、中国におけるドアや車体シール部品及び防振部品などの年産能力を、現行の2倍の自動車160万台分に2015年度までに増強し、売上高は現行の3.7倍に当たる300億円に引き上げる。この目標を実現するに向けて、広州/天津/蕪湖等既存5工場の拡張と、河南省新工場建設を行う。同時に、現在主力納入先の日産系中国工場に加え、Ford/VW等欧米勢の現地工場、奇瑞汽車やBYDなど地場自動車メーカーからの受注拡大を狙う(2012年から奇瑞汽車(5月)とBYD向けの部品供給を開始の予定)。
シロキ工業: 四川省/上海を候補地として新工場建設計画中
 シロキ工業は、トヨタと日産の中国生産拡大や、トヨタの天津工場および成都工場への輸送効率化に対応するため、四川省および上海市などを候補地として、ウィンドレギュレーターの新工場建設を検討している。着工や稼働時期等は決定していない。新工場の生産設備は、日本または広州既存工場 (広州白木汽車零部件有限公司) から移管することも視野に入れている。なお、広州工場の2011年初時点の月産能力は、ウィンドレギュレーター12万個、ドアサッシ20万本。
GSユアサ: 鉛蓄電池生産を年1000万個体制へ
 GSユアサは、中国で自動車用鉛蓄電池の年産体制を、現状の600万個から1000万個へ数年以内に引き上げる(2012年3月報道)。同社は、湯浅蓄電池(順徳)有限公司(広東省)と天津杰士電池有限公司で自動車用鉛蓄電池を生産している。
大同特殊鋼: 2014年までの中期経営計画で、中国事業拡張へ
 大同特殊鋼は、2014年度までの中期経営計画 (2012年3月発表) にて、中国で事業を展開する磁石、ターボ部品、エンジンバルブ事業を成長事業と位置づけ、能力強化を掲げている。ネオジム磁石事業では、蘇州子会社「大同電工 (蘇州)」と深セン子会社「大同磁石 (深セン)」の生産能力を増強する。ターボ部品事業では中国での拡販を狙う。エンジンバルブ事業では、傘下のフジオーゼックスの広東省佛山合弁工場「富士気門 (広東)」を拡張していく。
 ネオジム磁石事業では2012年7月までに、蘇州工場に10億円を投じて生産能力を現状の2倍の月産130万個にすると報じられている。同社は、ネオジム磁石をまずはEPS向けに供給し、将来的には駆動用モーターにも進出を検討している。
大同メタル: 2018年3月期をめどに中国事業統括会社設立へ
大同メタルは、2017年度までの中期経営計画(2012年2月制定)で、2015年度から2017年度の間に、中国/アジア/欧州/北米の各地に地域統括会社を設立し、グローバル経営体制の確立を打ち出した 。各地域の事業会社を傘下に収め地域独自の事業戦略を立案する方針。中国の統括会社にも設計機能を持たせて設計の現地化を推進し、生産および販売と完結する体制を構築していく計画。
東海ゴム工業:中国で自動車用ホース/内装部品新工場建設を検討中
 東海ゴム工業は、中国で地場部品メーカーと、自動車用ホースと内装部品の新工場を建設することを検討している (2012年4月現在)。立地や生産規模など詳細は明らかにされていないが、合弁相手の調達網を活用し、低コストな生産体制を構築し、主に、地場自動車メーカー向けに生産する計画。2012年4月時点、同社は中国では、天津工場、広東省の広州工場、遼寧省の大連工場などで、自動車用ホースや内装部品を生産している。
ニッパツ:フォルシア・ニッパツの支社設置へ
ニッパツと仏フォルシアは、2012年3月、折半出資の合弁会社フォルシア・ニッパツ(FNK)の業務を拡大すること発表した。FNKは現在、日本でシートを生産し日産へ供給しており、日産の事業拡大に合わせて、中国と米国に新たに支社を設ける予定。FNKの2011年の売上高は6億ユーロを超え、2015年には10億ユーロを見込んでいる。
日本精工: 自動車用ベアリングおよびその構成部品生産増強
 日本精工 (NSK) は自動車向けのベアリングおよびその構成部品の生産体制を増強中で、2016年度までに中国での売上を2,000億円に引上げていく計画。なお、同社の2011年4~12月の売上実績は前年同期比9.2%増の680億円で、2012年度は900億円になる見通し。
2012年8月をめどに安徽省の合肥新工場を稼働する。ほかに、2012年4月現在、上海工場「恩斯克華納変速器零部件(上海)有限公司」ではAT用ベアリング生産の新棟を、江蘇省の常熟工場「常熟恩斯克軸承有限公司」ではニードルベアリング生産の新棟を、浙江省の杭州工場「杭州恩斯克万達電動轉向系統有限公司」では車載ベアリング用鋼球の新棟をそれぞれ建設している。生産規模など詳細は明らかにしていない。
日本電産:中国でレアアース不要 SR モーター投入へ
日本電産は、レアアース不要の駆動用 SR モーターの生産を、日本で2012年4月にテスト生産し、2013年から本格量産開始を開始するのに引き続き、中国でも2013年以降に開始する計画。中国での生産工場や生産規模などの詳細は明らかにされていない。
リケン: 2013年までの3年間合計約4億円投じて年産能力増強へ
 リケンは2011年から2013年までに、中国に約4億円を投資し、エンジン構成部品のピストリングの生産能力を2011年初に比べて3割増強する。同社は中国に湖南省武漢市、福建省厦門市の二カ所に工場を有している。また、同社は同時期に、インド/インドネシア/タイでもそれぞれ20億円/37億円/8億円を投じて、生産能力を増強する。

資料:各社広報資料、各紙報道、ヒアリング調査

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>