CATARC提携レポート 中国新エネルギー車動向 2015年11月

2015年10月生産は年末商戦の前倒しにより過去最高を更新

2015/12/01

中国国内生産 (概要)



このレポートは北京CATARC科学技術センター*のレポートをマークラインズが編集・翻訳したものです。
過去のCATARC提携レポートはこちらをご参照ください

 2015年10月の中国における電動車生産台数は前月比で51.1%増、前年同月比で約5倍となる52,838台(鉛酸電池搭載のEV乗用車498台、同EV特殊車両13台を含む)となった。そのうち、鉛酸電池を搭載していない電動車は51,295台と、月次生産で初めて5万台を超えた。2015年10月の生産が拡大した要因は年末商戦が前倒しで始まったためである。そのため、2016年初頭は生産が落ち込むと予想されている。

 車種別では新エネルギーバス(EVおよびPHVバス)と特殊車両の比率は、2015年上半期が20~30%だったのに対し、ここ数ヶ月は40%前後で推移している。政府による新エネルギー車普及政策の目標達成が迫っているため、新エネルギー商用車の生産が拡大している。

図1 電動車の生産台数 (2015年5月~10月)



中国国内生産

表1 電動車の車種別生産台数 (2014年10月/2015年5月~10月)

車種 2014年
10月
2015年
5月
2015年
6月
2015年
7月
2015年
8月
2015年
9月
2015年
10月
前年同月比(%) 前月比(%)
PHV乗用車  2,181 4,932 6,674 5,700 6,779 5,643 7,028  222.2  24.5
PHVバス  959 1,512 1,656 1,660 2,142 2,453  2,389  149.1  -2.6
EV乗用車  4,575 10,992 12,272 8,797 9,661 13,805  22,729  396.8  64.6
EVバス  467 2,369 5,543 6,371 5,365 8,876  12,814  2,643.9  44.4
EV特殊車両  233 689 1,165 1,373 1,495 2,943  6,846  2,838.2  132.6
HV乗用車  631 520 584 698 865 1,245  996  57.8  -20
HVバス  30 18 0 29 0 15  36  20  140
合計  9,076 21,032 27,894 24,628 26,307 34,980  52,838  482.2  51.1


表2 電動車の車種別生産台数 (2015年10月)

 
HV
PHV
EV
合計
乗用車
996
7,028
22,729
30,753
バス
36
2,389
12,814
15,239
特殊車両
0
0
6,846
6,846
合計
1,032
9,417
42,389
52,838


図2 電動車の車種別生産比率 (2015年10月)

PHV

 2015年10月のPHV生産台数は前月からやや増加し、9,417台となった。そのうち、PHV乗用車は前月比24.5%増の7,028台で、PHV全体の74.6%を占めた。生産するメーカーはBYD、上海汽車、華晨BMW、広州汽車、浙江豪情の5社である。BYDは秦、唐、商の3モデルで5,000台超を生産した。SUVである唐の生産は秦(セダン)を超え、PHV乗用車で首位となった。2015年10月現在、新エネルギー乗用車は受注生産のため、生産実績は市場の需要を反映している。唐の生産が秦を上回ったことは、新エネルギー車の分野でもSUV需要が高まっていることを示している。その他のメーカーの生産台数は前月から大きな変化はない。上海汽車の550PHEVが約1,500台生産されたが、華晨BMWの530Le、広州汽車のエクステンダー車 伝祺(Trumpchi)の生産は150台未満であった。

 PHVバスの生産台数は前月からやや減少したが、10月も2,000台超を維持した。PHVバスの生産メーカーは20社あり、上位3社に奇瑞万達貴州客車が初めて入った。10月生産が最も多い鄭州宇通は1,000台超を生産した。

EV

 2015年10月のEV生産台数は42,389台(鉛酸電池を搭載したEV乗用車 498台、同EV特殊車両13台を含む)となり、電動車生産におけるEV比率は過去最高の80%となった。EV乗用車の生産は22,729台となり、2万台を超えた。EV乗用車を生産しているメーカーは20社あり、上位5社(鉛酸電池搭載車は除く)は浙江吉利、湖南江南汽車、北京汽車、江淮汽車、江鈴汽車で、全て1,000台以上を生産した。中でも、浙江吉利の生産は1万台を超えた。

 EVバスの生産台数は前月比44.4%増の12,814台となり、月次で初めて1万台を突破した。EVバスを生産するメーカーは43社に増加し、過去最高を記録した。上位5社は鄭州宇通、中通客車、東風汽車、南京金龍、BYDで、上位5社の比率は50.1%であった。

 EV特殊車両の生産台数は前年同月比で28倍の6,846台となり、8ヵ月連続で増加した。特に物流用の需要が拡大している。EV特殊車両メーカーの上位5社は東風汽車、重慶瑞馳、重慶力帆、天津清源、福建新龍馬である。

HV

 2015年10月のHV生産台数は1,032台で、うち996台がHV乗用車であった。HV乗用車を生産しているメーカーは広汽トヨタと東風汽車の2社である。HVバスのメーカーは上海申龍、上海申沃、金華青年の3社で、計36台を生産した。

電動車輸入

 2015年10月の電動車輸入は全てが乗用車で、台数は2,756台と、前月からわずかに増加した。電動車輸入の81.5%がHV乗用車である。EV乗用車の輸入台数は前月の2倍となった。Tesla Model Sはやや増加、BMW i3は40%近くがエクステンダー車であった。PHV乗用車はBMW i8とVW Golf GTEが輸入された。



国内動向

中央政府4省庁が「電動車充電インフラ発展のガイドライン(2015-2020年)」を共同配布

 2015年10月9日、国家発展改革委員会、国家能源局、工業情報化部、住宅・城郷建設部は「電動車充電インフラ発展のガイドライン(2015-2020年)」を配布した。「ガイドライン」は全国を発展加速地域、普及モデル地域、積極的推進地域の3つに分け、地域ごとに建設目標を定めている。

1. 発展加速地域
 - 北京、天津、河北、遼寧、山東、上海、江蘇、浙江、安徽、福建、広東、海南など、大気汚染が深刻で、電動車普及に関する条件に恵まれている地域では、新たに7,400ヶ所の充電ステーション、250万基の充電スタンドを建設し、電動車266万台の充電を可能にする。
 - 新エネルギー車普及都市では公共充電スタンドと電動車の比率1:7を下回らないこと。都心では公共充電施設を0.9km毎に最低1ヵ所設置する。その他の都市では公共充電スタンドと電動車の比率を1:12にする。都心では公共充電施設を2km毎に最低1ヵ所の設置を目指す。
2. 普及モデル地域
 - 山西、内蒙古、吉林、黒竜江、江西、河南、湖北、湖南、重慶、四川、貴州、雲南、陝西、甘粛などの普及モデル地域では、2020年までに新たに集中型充電ステーションを4,300ヶ所、分散型充電スタンドを220万基以上建設し、電動車233万台の充電を可能にする。
 - 新エネルギー車普及都市では公共充電スタンドと電動車の比率が1:8を下回らないこと。都心では公共充電施設を1km毎に最低1ヵ所設置する。その他の都市では公共充電スタンドと電動車の比率を1:15にする。都心では公共充電施設を2.5km毎に最低1ヵ所の設置を目指す。
3. 積極的推進地域
 - 広西、チベット、青海、寧夏、新疆など、まだ国家の新エネルギー車普及範囲に入っていない推進地域では2020年までに集中型充電ステーションを400ヶ所以上、分散型充電スタンドを10万基以上建設し、電動車11万台の充電を可能にする。
 - 省都などの主要都市では公共充電スタンドと電動車の比率が1:12を下回らないこと。都心では公共充電施設を2km毎に最低1ヵ所の設置を目指す。

瀋陽市が「新エネルギー車普及実施案(2015-2020年)」を発表

 2015年11月9日、瀋陽市は「瀋陽市新エネルギー車普及実施案(2015-2020年)」を発表し、PHVを主とする新エネルギー車への買い替えを奨励している。今後新たに投入する公務用車両は特別な理由がない限り、全て新エネルギー車を採用する。新たに投入する公共バス、タクシー、物流車両、ゴミ収集車は30%以上を新エネルギー車とする。瀋陽市は2020年までに1万台の新エネルギー車を普及させるとともに、充電ステーション120ヶ所、充電スタンド7,200基を建設する。

広東省恵州市、新エネルギー車の普及台数が1,000台弱に

 2015年10月現在、恵州市における新エネルギー車の普及台数が2015年初頭から700台余り増え、971台となった。充電スタンドは357基となり、恵州市が「普及実施案」で求めている電動車3台に対し充電スタンド1基の目標を達成した。広東省政府は恵州市に対して2015年末までに新エネルギー車の普及台数を1,500台とするよう求めているため、公共バス、タクシー、公用車、ゴミ収集車、郵便配達車、個人ユーザーの6つの分野で重点的に普及させる計画である。

広汽集団、「3e」戦略を発表 新エネルギーコネクテッドカーの開発に20億元を投資

 2015年10月19日、広汽集団は「e-car」、「e-factory」、「e-ecosystem」で構成される「3e」戦略を発表した。「e-car」戦略では20億元を投じて、主に新エネルギーコネクテッドカーを開発する。「e-factory」戦略では生産および供給体制の効率化と省エネ化を推進し、広汽集団の生産システム 「GPS (=GAC Production System)」を構築する。「e-ecosystem」戦略では自動車のeコマース、カーライフ、車載ネットワークの3事業に注力していく。

重慶、香港、台湾のEV産業連盟が重慶市で始動

 2015年10月29日、重慶、香港、台湾のEV関連企業による連盟が重慶市で正式に始動した。重慶、香港、台湾におけるEVの研究開発および生産能力を引き上げることで、EV技術の発展と産業化を後押しするのが狙い。この連盟は重慶、香港、台湾の主要EV関連企業と研究開発機関が共同で立ち上げたもので、重慶生産力促進中心[Chongqing Productivity Council]、重慶長安新能源汽車有限公司[Chang’an New Energy Automobile]、重慶小康工業集団股?有限公司[Chongqing Xiaokang Auto Industry Group]、台湾佳宏動力能源科技公司[Taiwan Jiahong Power Energy Science & Technology]、香港生産力促進局[Hong Kong Productivity Council]など40超の企業および団体が加盟している。

上汽集団、今後5年間で充電スタンド5万基を設置

 2015年10月28日、上汽集団は上海黄埔区政府と低炭素グリーンタウンを建設し、新エネルギー車市場を拡大するための戦略的提携を締結した。上汽集団は2020年までに全国に5万基の充電スタンドを設置する。黄埔区政府は人民広場、外灘、城隍廟、新天地などの中心部に充電施設やカーシェアリングサービスを導入することで、新エネルギー車の普及を推進する。

衆泰汽車、初のAクラスEV「大邁A3」を年内に投入

 2015年10月26日、衆泰汽車の呉建中董事長は2015年末に2モデルのEV「芝麻(Zhima) E30」と「大邁(Damai) A3」を金壇工場で生産すると発表した。「大邁A3」はZ300をベースで、航続距離は200km。衆泰汽車は大邁ブランドを若年層向けと位置付けている。

北汽福田、EVトラック工場を長沙に建設

 2015年11月11日、北汽福田は湖南省長沙で中国最大となるEVトラック工場の建設に着工した。生産するEVトラック欧馬可(Aumark)の航続距離は200km。この工場ではEVトラックだけでなく、シャシや特殊車両等の生産も計画している。

Tesla Motors、東北充電網が完成

 Tesla Motorsは2015年11月10日、華北~東北の充電網建設が完了したと発表した。この充電網は高速道路の沿線ではなく、秦皇島、長春、瀋陽などの大都市にあるホテルやショッピングモールに充電スタンドを設置したもの。Tesla Motorsは2015年6月に中国における充電網建設の成果と2015年内の建設計画を発表。計画には華北~東北の他、華北~華中など6ルートが含まれている。

出典:
Energy-saving and new energy vehicle network www.chinaev.org
CATARC Beijing Operations

*1 CATARC (China Automotive Technology & Research Center; 中国自動車技術研究センター)は国務院国有資産監督管理委員会に所属する国営企業で、自動車業界標準及び技術法規の策定、製品認証テスト、 品質保証システム認証、業界企画及び政策研究、情報コンサルティングなどを行う。
CATARCが提供する新エネルギー自動車産業向けの情報サービス「省エネ・新エネルギー車ネットワーク (Energy-saving and new energy vehicle network)」は中国の省エネ・新エネルギー車関連の情報をタイムリーに提供する情報サービスで、マーケティングおよび技術コンサルティングや調査・研究、予測等も行います。