CATARC提携レポート 中国新エネルギー車動向 2015年6月

2015年5月生産は激増、乗用車生産の1%を新エネルギー車が占める

2015/07/13

中国国内生産 (概要)

このレポートは北京CATARC科学技術センター*のレポートをマークラインズが編集・翻訳したものです。



図1 電動車の生産台数 (2015年1月~5月)

 2015年5月の中国における電動車生産台数は、前月比では101.9%増、前年同月比では3.2倍の21,032台 (鉛蓄電池搭載車700台を含む)と、大幅に増加した。鉛電池を搭載していない新エネルギー車(EVおよびPHV)の生産台数は19,794台となり、2万台に迫った。前年同月比の伸び率が最も大きかったのは前月同様EVバスであった。前月比の伸び率が最も大きかったのは乗用PHV。新エネルギー乗用車 (EVおよびPHV、 鉛蓄電池搭載乗用車を含まない) の生産は15,288台と1万の大台を超え、当月乗用車生産台数の0.9%を占めた。





中国国内生産

表1 電動車の車種別生産台数 (2014年5月/2015年1月~5月)

車種
2014年5月
2015年1月
2015年2月
2015年3月
2015年4月
2015年5月
前年同月比(%)
前月比(%)
PHV乗用車
1,061
2,281
1,661
3,315
1,523
4,932
364.8
223.8
PHVバス
1,007
871
694
802
956
1,512
50.1
58.2
EV乗用車
2,854
2,797
2,207
7,828
5,437
10,992
285.1
102.2
EVバス
301
1,154
659
1,981
1,457
2,369
687.0
62.6
EV特殊車両
125
273
156
457
480
689
451.2
43.5
HV乗用車
710
800
525
34
555
520
-26.8
-6.3
HVバス
467
1
1
0
0
18
-96.1
-
FCV乗用車
0
0
0
0
10
0
-
-100
合計
6,525
8,177
5,903
14,417
10,418
21,032
222.3
101.9


表2 電動車の車種別生産台数 (2015年5月)

 
HV
PHV
EV
合計
乗用車
520
4,932
10,992
16,444
バス
18
1,512
2,369
3,899
特殊車両
0
0
689
689
合計
538
6,444
14,050
21,032


図2 電動車の車種別生産比率 (2015年5月)

PHV

 2015年5月のPHV生産台数は6,444台となった。乗用PHVは4,932台で、全体の77%を占めた。乗用PHVを生産しているメーカーは4社ある。BYDの秦 (Qin) は4,000台近くに達し、半年前の生産台数の2倍の規模となった。BYDは乗用車生産の主要車種をPHVに移行している。吉利集団のVolvoは3位に入った。

 PHVバスの生産台数は1,512台で、PHV全体の23%を占めた。生産しているメーカーは14社で上位メーカーは中通、宇通、南車、廈門金龍、蘇州金龍である。生産台数は最多のメーカーでも400台に達していない。上位5社の合計はPHVバス全体の77.5%を占めており、一部メーカーに生産が集中している状況である。

EV

 2015年5月のEV生産台数は14,050台(鉛蓄電池を搭載した乗用EV636台、同EV特殊車両64台を含む)となった。乗用EVは10,992台で、2015年の単月では最高を記録した。乗用EVを生産しているメーカーは12社で、 前月から2社減少した。上位5社は浙江吉利、湖南江南汽車、BYD、北京汽車、江淮で、この上位5社が乗用EV生産の94%超を占めた。奇瑞のeQは上位5社から外れた。

 EVバスの生産台数は2,369台で、生産しているメーカーは28社ある。上位5社は鄭州宇通、江蘇九龍、上海申沃、中通客車、南京金龍で、江蘇九龍が初めて上位5社に入った。江蘇九龍のEVバスHKL6600BEVはリン酸鉄リチウムイオン電池を採用した航続距離150kmのモデルで、5月の生産台数は216台だった。

 EV特殊車両の生産台数は689台で、生産しているメーカーは15社。上位3社は山東唐駿欧鈴、重慶瑞馳汽車、福建新竜馬 (鉛蓄電池搭載車を生産しているメーカーは含まない)である。鉛蓄電池を搭載しているEV特殊車両はEV特殊車両の9.3%で、4月から大幅に減少した。

電動車輸入

 2015年5月の電動車輸入は全てが乗用車で、台数は前月比43%減の1,042台となった。メーカー、モデルとも4月から大きな変化はなかった。HVは830台と最も多く、PHVはBMW i8の17台のみ、乗用EVは前月比62.4%減の195台であった。EV輸入車は依然としてTesla Motorsが首位で86.7%を占めている。BMW i3は22台で、うち9台はレンジエクステンダー車であった。HV輸入車の主力はトヨタで、台数は713台とその86%を占めた。トヨタに次ぐのはPorscheのHVであった。



国内動向

工業情報化部が新エネルギー車、スマートコネクテッドカーの発展計画を発表 2025年までに中国自主ブランド新エネルギー車の販売台数を300万台に

 2015年5月19日、国務院は「中国製造2025」を発表した。これは「製造強国」に向けた国家戦略の第一次十年計画実施綱領である。この中には省エネルギーおよび新エネルギー車も含まれており、5月22日には工業情報化部が「中国製造2025」の詳細を発表した。

 同計画では2025年までに中国自主ブランドの新エネルギー車販売台数を300万台とし、国内市場シェアを80%以上まで引き上げるとしている。スマートコネクテッドカーについては、2025年までに自動運転関連の技術を習得し、自主開発および生産供給体制を構築していく。

EVとPHV

 1. 産業化の進展:2020年までに中国自主ブランドEVとPHVの販売台数を100万台超とし、国内市場シェアを70%以上とする。2025年までに世界先進レベルの新エネルギー車の販売台数を300万台とし、国内市場シェアを80%以上とする。

 2. 競争力の向上:2020年までに花形車種を製造し、世界販売ランク10位入りを果たす。新エネルギーバスの大口輸出を実現する。2025年までに完成車メーカー2社を世界販売ランク10位内にする。海外販売の比率を10%とする。

 3. 部品供給の強化:2020年までに駆動モーターや電池などの主要部品を世界の先進レベルに引き上げ、国内市場シェアを80%とする。2025年までにそれら部品の大口輸出を実現する。

 4. 車両の情報化、スマート化:2020年までに車車間(V2V)などの情報化を実現する。2025年までにモデル地区でスマートコネクテッドカーの運用を開始する。

FCV

 1. 主要素材・部品の国産化:2020年までにFCVの主要素材を量産し、その品質管理能力を確立する。2025年までに高品質な主要素材・部品の国産化と供給を実現する。

 2. 燃料電池スタックと車両の性能向上:2020年までに燃料電池スタックの寿命を5,000時間まで伸 ばし、出力密度を2.5kW/L超、車両耐久性能を15万km、航続距離を500km、水素充填時間を3分、冷間始動温度-30℃以下を実現する。2025年までに燃料電池システムの信頼性と経済性を引き上げることで、一定の市場競争力を持たせ、量産化を実現する。

 3. FCVの普及:2020年までに1,000台のFCVを生産し、テスト運用する。2025年までに水素の製造・供給などのインフラ整備を完了し、FCVの小規模運用を開始する。

省エネルギー車

 乗用車(新エネルギー乗用車を含む)の新車の燃費を2020年までに5L/100km、2025年までに4L/100kmに向上。商用車の新車の燃費は、2020年までに世界の先進レベルに近づけ、2025年までに世界の先進レベルまで引き上げる。

スマートコネクテッドカー

 2020年までにADAS等の中核技術を確立し、初期段階の自主開発体制、生産体制を構築する。2025年までに自動運転等の中核技術を確立し、スマートコネクテッドカーの自主開発体制と生産体制、産業クラスターを構築する。

工業情報化部、発展改革委員会が「新規乗用EVメーカーの管理規定」を発表

 2015年6月4日、工業情報化部と発展改革委員会は「新規乗用EVメーカーの管理規定」を発表した。2015年7月10日より実施される。新規乗用EVメーカーは数々の厳しい指標をクリアすることが求められる。

 まず、中国内に登記することが必須である。技術面では構造の設計から試作車の作成、試験、最終図面の決定までの経験が求められる。同時に車両制御システム、動力バッテリーシステム、車両インテグレーション、車体軽量化などの中核技術及び相応の試験、検証能力を有し、乗用EVの知的財産権と関連する特許を取得しなければならない。

 試作車に関する条件は同一デザインの試作車を少なくとも15台製造しなければならない。また、一充電の航続距離は100km以上、0~50km/hの加速時間は5秒以内、最高速度は100km/h超などの技術指標をクリアしなければならない。さらに、販売体制やアフターサービスも確立しなければならない。

省エネルギー/新エネルギー自動車、船舶は車船税を減免

 2015年5月18日、財政部、国家税務総局、工業情報化部は「省エネルギー/新エネルギーの自動車、船舶に対する車船税減免措置」を発表した。省エネルギーの自動車、船舶は車船税を半減し、新エネルギーの自動車、船舶は免除される。

 但し、減免に関して次の点に注意しなければならない。

 1. 車船税免除の対象はPHV、商用EVおよびFCVである。乗用EVおよびFCVは対象ではなく、車船税が非課税となっている。なお、EVは航続距離が基準値に達していなければならない。

 2. 二次電池は鉛蓄電池以外のものでなければならない。鉛蓄電池で駆動する低速EVは対象外となる。

 3. 基準に適合した新エネルギー車は国産、輸入を問わず工業情報化部に申請し、承認されるだけで車船税が免除される。

 4. 発表前から一部の新エネルギー車はすでに車船税免除の対象となっていたが、それらの車を購入した所有者は引き続き免税措置を受けることができる。5月18日以降に購入した場合は、それらの車が免税基準を満たしていなければ車船税は免除されない。

都市公共バスの現行燃料費補助政策を見直し 新エネルギー公共バスに補助金最高8万元

 2015年5月14日、財政部、工業情報化部、交通部は共同で「都市公共バスに対する燃料費補助の見直しと新エネルギー公共バス普及の加速に関する政策」を発表した。現行の公共バスに対する燃料費補助を調整し、新エネルギー公共バスに対する補助金を定める。新エネルギー公共バス1台あたりの年間補助金は次の通り;EV 8万元以下、PHV 4万元以下、FCV 6万元以下、スーパーキャパシタ搭載の非PHV 2万元。

上海市が 「上海市電動車充電施設建設に関する暫定的管理規定」を発表

 2015年6月9日、上海市は「上海市電動車充電施設の建設に関する暫定的管理規定」を発表した。同規定では財産権のある駐車スペースを持つ電動車ユーザーが充電設備を設置する場合、不動産管理会社は設置に協力しなければならない。また、新たに建設する居住区には駐車スペース全体の10%以上に充電設備を設置するスペースの余地を残さなければならないとしている。

北京:6月1日よりEVの交通規制を解除

 2015年6月1日より、北京市のナンバープレートを付けた乗用EVは平日の通勤時間帯、交通規制が免除される。

 北京市交通管理局の関係部門によると、乗用EVとは二次電池を唯一の動力源とする、モーター駆動の乗用車を指す。2014年9月1日以前に登記したEV(タクシーを含まない)は、運行証に車両区別がないため、6月1日までに車両種類EVと明記された運行証に交換する必要がある。

北京:EVタクシーの購入に最高5万元の補助金

 2015年4月29日、北京市人民政府は「タクシー廃車の前倒しまたは更新に関する奨励措置」を発表し、EVへの買い替えを奨励している。タクシー会社が車両をEVに買い替えた場合、国と地方政府からの補助金とは別に最高5万元の補助金が受けられる。

広州:充電ステーション建設に最高300万元を補助

 2015年5月30日、広州市工業情報化委員会、市財政局は「広州市の電動車充電施設に関する建設資金管理法」を発表した。充電ステーション1箇所につき最高300万元が補助される。補助金の対象となるのは、充電施設の地上建築物、充電ポール(充電器)などの設備及び電源接続のための付属設備で、土地に係る費用は含まれない。広州市は各種補助金の上限を超えない範囲で建設費の30%を交付する。

山西:新エネルギー車補助金の詳細を制定 EVに2万元を補助

 2015年5月12日、山西省は新エネルギー車販売に対する補助金の暫定措置を打ち出した。山西省で新エネルギー車を生産しているメーカーに対し、車両販売後補助金を支給する。購入者は販売価格から補助金を差し引いた金額で購入できる。

青海省、新エネルギー車普及計画を発表

 2015年5月14日、青海省は「新エネルギー車普及計画」を発表した。青海省は新エネルギー車とリチウムイオン電池を生産することで、西寧市を全国の新エネルギー車模範都市にする計画である。同時に5,000台の新エネルギー車普及を達成するため新たに2,000基の充電器を設置する。

廈門:新エネルギー車の購入に補助金

 2015年5月4日、廈門市経済情報化局と財政局は「廈門市の新エネルギー車普及に向けた補助措置」を発表した。実施期間は2014年1月1日から2015年12月31日まで。廈門市は新エネルギー車の購入補助金として国の補助金と同額を支給する。また、充電施設を建設する事業者に対しては充電設備価格の20%を補助する。公共バス用の充電施設を建設する場合は充電設備価格の40%を補助する。

広州汽車、「伝祺」の新型EVを投入

 広州汽車は現在、伝祺(Trumpchi) GA5のレンジエクステンダーEVを販売しているが、2015年末から2016年までにAおよびBセグメントセダンのレンジエクステンダーEV、AセグメントSUVのEVを投入する。

 広州汽車研究院によると、広州汽車は現在、次世代レンジエクステンダーEVの開発を進めており、軽量化による動力および経済性の向上を実現する。価格帯は初代伝祺レンジエクステンダーEVよりも低くすることで、競争力を更に高める。

力帆が新エネルギー車産業チェーンの構想を発表

 力帆は2015年5月、52億元を投資し、パワーステーション、リチウムイオン電池セル、モーター制御、トランスミッション、新しいプラットフォームの開発など一連の先進新エネルギー車産業チェーンを構築すると発表した。現在、力帆は低圧EVパワートレイン(PEASBlue)、高圧EVパワートレイン(APECBlue)、力帆独自のHVおよびPHVパワートレイン、三元系リチウムイオン電池セルの製造、三元系リチウムイオン電池モジュール・パックの組立と管理、自動制御機械式トランスミッション (AMT)、軽量化のための新材料、バーチャルインパネ、IoV (Internet of Vehicles)およびIoT (Internet of Things)など多くの中核技術を習得している。

力帆とアリババが提携し、パワーステーションを展開

 2015年6月1日、力帆実業 (集団) 股?有限公司はアリババ及びその関連会社と2015年6月8日より自動車販売・金融、営業活動、アフターサービス、国際業務などの分野で業務提携すると発表した。

 両社はバッテリー交換を主としたパワーステーションを普及させることで新エネルギー車の発展を促したい方針である。充電施設の建設が進まないこと、充電時間が長いことが新エネルギー車発展の妨げとなっている現状を打開すべく、パワーステーションの設置を進める。パワーステーションには力帆が生産する三元系リチウムイオン電池を夜間に充電し、ユーザーのバッテリー交換は昼間に行う。バッテリーはリース販売し、ユーザーの負担を軽減する。特許を出願している交換技術により3分から5分で交換が完了する。ユーザーが負担するのはリース料と電気代のみで、バッテリーのメンテナンスはパワーステーションが行う。ユーザーが負担する100kmあたりの平均費用は燃料費に比べ30%以上安く、使用コストを大幅に削減できるとしている。

騰勢(DENZA)の新モデル投入を計画

 2015年5月25日、北京で開催された騰勢(DENZA)オーナーズミーティングで、深?比亜迪戴姆勒新技術有限公司 (Shenzhen BYD Daimler New Technology Co., Ltd.)のマーケティング責任者は騰勢(DENZA)の新モデルを投入する計画を発表した。

 現行モデルはリン酸鉄リチウムイオン電池を採用することで航続距離300kmを達成しているが、Tesla Motors Model Sの航続距離420kmには達していない。騰勢(DENZA)の新モデルはリン酸マンガンリチウムイオン電池を搭載することで、航続距離を400kmまたはそれ以上に伸ばすとしている。

大洋電機、上海電駆動有限公司を買収

 2015年6月2日、中山大洋電機股?有限公司 (Zhongshan Broad-Ocean Motor Co., Ltd.)は上海電駆動有限公司 (Shanghai Edrive Co., Ltd.) の全株式を35億元で取得し、買収すると発表した。上海電駆動は中国最大の新エネルギー車駆動モーターシステムのメーカーである。

 大洋電機は家電製品用モーター、新エネルギー車駆動モーター、自動車用モーターの3事業を展開しているが、新エネルギー車部門が伸び悩んでいる。この買収により新エネルギー車事業でのシェア拡大を目指す。

出典:
Energy-saving and new energy vehicle network www.chinaev.org
CATARC Beijing Operations

*1 CATARC (China Automotive Technology & Research Center; 中国自動車技術研究センター)は国務院国有資産監督管理委員会に所属する国営企業で、自動車業界標準及び技術法規の策定、製品認証テスト、 品質保証システム認証、業界企画及び政策研究、情報コンサルティングなどを行う。北京CATARC科学技術センター(CATARC自動車産業発展研究所)はCATARCの北京事務所で、中国自動車産業推進政策及び方針の研究、自動車業界標準及び技術法規の策定を行う。