[緊急レポート] PSAによるOpel買収計画の影響分析
2017/02/24
- 要約
- 背景
- PSAとOpelの欧州市場におけるポジション
- PSAとOpelの欧州完成車工場の現況
- 今後の新規車種開発への影響
- 戦略面の考察
要約
当レポートは、弊社と提携関係にある英調査会社 LMC Automotive による2017年2月15日付けの緊急リリースをマークラインズが翻訳したものです。LMC Automotive社は自動車・パワートレイン分野の市場予測サービスを専門に提供しております(製品の詳細はこちらをご覧下さい)。
PSAによるGMの欧州部門Opelの買収計画は、実現した場合両社にメリットをもたらすと期待される。
GMの欧州事業は、同地域の主要市場が軒並み2009~2013年の落ち込みから回復したにも関わらず赤字の状態が続いており、損切りを決断したと見られる。
PSAとOpelが統合された場合、新グループの欧州新車市場(CISは除く)におけるシェアは17%に迫る水準となる(PSA10.5% + Opel6.3%、2016年販売実績ベース)。これにより、PSA-Opelは欧州市場においてVWグループ(シェア22.4%)に次ぐ2位グループに浮上する。
PSAは量的拡大によるメリットを得ることになるが、彼らが目指す成功、すなわち業績の改善とグループの長期的な発展を実現するには、多くの時間を要する大規模な変革が求められる。
PSA-Opelにとっての最大の課題は、生産拠点の再編と、傘下の3ブランドのマネジメントとなる(3ブランドともに、ほぼ同じ市場、同じセグメントに製品を展開している)。今回の買収計画は戦略的な論理性に基づいたものであると言えるが、こうした改革の実行は非常に大きなリスクを伴うため、成否を判断するには、今後数年に渡る統合プロセスの進展を見る必要がある。また、新グループの販売が一つの地域に更に集中することもリスクとなる。PSA-Opelの世界販売に占める欧州比率は70%に迫る水準となるため、欧州市場の好不調の影響を非常に強く受けることとなる。
GMの欧州からの撤退は(Chevroletブランドはロシアで引き続き展開されているが)、ネガティブな動きとも捉えられる。しかしながら、欧州事業の業績面への負担を考えれば、今回の決断は論理的なものであると言え、最終的にはGMのグローバル事業にとってプラスの影響も期待される。
無料会員登録により、期間限定で続きをお読みいただけます。