現代自動車:2030年までにEV販売台数を187万台へ
自動運転分野でソフトウェア改善、商用車は燃料電池車の導入を促進
2023/03/17
- 要約
- 現代自:2030年までに新型EVモデルを17車種投入
- 現代自の新型EV投入計画:2023年には新型Kona、Ioniq 7、Genesis GV90を投入
- 起亜:2030年までにバッテリーEV年販120万台を計画
- 起亜の新型EV投入計画:2023年にはEV専用モデルのSUV EV9、EV7、EV4を投入予定
- インドネシアでLG Energy Solutionと、米国でSK Onと提携、バッテリーセルを生産
- 燃料電池車:商用車分野で普及を促進
- コネクティビティと自動運転の分野でソフトウェアの性能強化
- 現代自グループ:販売増とウォン安により2022年の業績は伸長
- LMC Automotive生産予測:現代自動車グループの2026年生産は779万台の見込み
要約
現代自動車グループの現代自動車と起亜は2022年3月に発表した各社の中期経営戦略で、電動化を加速するための戦略的ロードマップを明らかにした。現代自は2030年までにEVの世界販売台数を年間187万台とし、Genesisブランドも含めてバッテリーEVを17車種投入する計画。世界9カ国にある生産拠点をEV対応に順次切り替えるが、需要の高い地域でEV生産能力を増強するため、米国には新たにEV専用工場を建設する。
起亜は2030年にバッテリーEVを120万台販売する計画。2027年までに、EVのピックアップトラック2車種を含む14車種のEVを投入する。韓国をEVの開発・生産拠点とするが、米国・欧州・中国では戦略的なEVを生産する。2030年までにEV用バッテリーの生産能力を2022年時点の13GWhから119GWhに増強する。ユーザーの各種用途に対応するPurpose Built Vehicles (PBV)については、2025年に専用モデルを発売する。
現代自は、EV用バッテリーについて主要地域で電池メーカーと戦略的提携を結び、十分な数のバッテリーを確保する計画。インドネシアではLG Energy Solutionとバッテリーセル合弁工場を設立し、2024年から量産開始。米国ではSK Onと提携して2025年からバッテリーセルを生産する。
現代自は商用車分野で燃料電池車の普及を促進している。これまでスイス、ドイツに供給してきた重量級燃料電池トラックXcient Fuel Cellを、韓国や米国にも導入する。Ivecoとは燃料電池大型バンを共同開発し、燃料電池SUV NEXOを中国でも販売する。また、中国・広州に自社の燃料電池システムの研究開発、生産拠点を建設しており、中国の燃料電池車や船舶等に供給する計画。
現代自は商品競争力の強化のため、コネクティビティや自動運転の分野でソフトウェアを改善する。韓国と海外拠点にソフトウェア組織を設立し、専門人材を毎年20%以上増員する。GV60が初搭載した無線(OTA)アップデート機能を、2022年末からすべての新車に採用。2030年には売上高の30%をソフトウェア関連ビジネスで得るとしている。
現代自動車グループの2022年の世界販売台数は684.5万台。グループ別では、トヨタ、VWに続く3位となった。Genesisブランドを含む現代自は前年比1.3%増の394.3万台、起亜は4.5%増の290.2万台。売上高と営業利益は、現代自・起亜とも過去最高を記録。現代自はSUVやGenesisブランドの販売増加と良好な為替環境により、業績が伸長。起亜はSportageやSorentoなど高収益車の販売増加とウォン安が業績を支えた。2023年の販売見通しは、Genesisブランドを含む現代自が432.1万台(韓国78.1万台、海外354万台)、起亜が320万台(韓国59万台、海外261万台)と見込んでいる。
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現代自のIoniq 6(EVブランド Ioniqシリーズ2つ目のモデル)(写真:現代自) | 起亜のEV専用車 中型SUV EV9 (写真:起亜) |
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