VWグループ(下):半導体不足・ウクライナ侵攻で販売台数減も業績は堅調 

ICE車の量産モデル投入、Fordと共同開発したピックアップトラック、中国専用SUVほか

2022/11/07

要約

 VWグループの新型車投入計画では、EVやPHVなど電動車のラインアップを組織的に拡大する一方、ICE(内燃機関)車についても幅広いセグメント・ボディタイプのモデルを投入・更新している。高級車部門ではAudiが2023年に中型セダンの新型A4、中型クロスオーバーSUVの新型Q5を投入する。量産車部門では、VWブランドが2022年末にミッドサイズピックアップトラックの新型Amarok、2024年にコンパクトクロスオーバーSUVの新型Tiguanを投入。中国市場では一汽VWが2022年に中型クロスオーバーSUV Tavendorを投入し、SUVセグメント市場をすべてカバーした。

 VWグループの2022年1-9月の世界販売台数は前年同期比12.9%減の605.6万台。半導体供給不足、新型コロナウイルス、ロシアのウクライナ侵攻の影響により、すべての市場で販売が減少した。ブランド別では、量産車ブランド(VW乗用車ブランド、Skoda、SEAT)の販売台数は14.6%減の417.1万台、高級車ブランドのAudiは11.4%減の119.4万台、Sport & LuxuryブランドのPorscheは2.0%増の22.2万台となった。

 VWグループは高級車ブランドのBugattiについて、2021年11月にクロアチアの新興企業とPorscheの合弁会社に経営権を引き渡した。また、2022年9月にはPorscheの上場に伴い、Porscheの優先株式1億株余を売り出し、この取引で得た資金を電動化や自動運転技術の開発に投入するとみられる。

 地域別動向では、欧州市場で2022年3月からロシアのウクライナ侵攻による影響が出ており、特にワイヤーハーネスの供給不足で自動車生産の休止や移転を余儀なくされた。中国市場では、2022年8月に経営・開発体制をブランド横断型へ移行させた。2022年第2四半期には新型コロナウイルス対策のロックダウンで自動車生産も影響を受けたが、6月頃から生産は回復している。北米市場には、今後5年間で71億ドルを投資して、2030年までに米国新車販売の55%をEVにする計画。南米市場には、2027年までに10億ユーロを投資し、脱炭素やバイオ燃料開発を進める。2023年には南米市場向けに開発されたPolo Trackを投入する計画。

 2022年1-9月の売上高は前年同期比8.8%増の2,030億ユーロ、特別項目を除いた営業利益は23.3%増の175億ユーロ。半導体供給不足が続き、ウクライナ侵攻、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあったものの業績は堅調だった。VWは2022年10月、7月に表明した2022年通年の業績見込みの大半を据え置くと発表。2022年の販売台数については、サプライチェーンの混乱が継続しているため、前年比5-10%増としていた予測を前年並みに引き下げた。売上高は8-13%増、特別項目を除いた営業利益率は7.0-8.5%となる見込み。


 なお、VWグループの電動化、自動運転、ソフトウェア、モビリティサービス等については、先に掲載した「VWグループ(上)」をご覧ください。

VW Groupの世界販売台数 VW Amarok
VW Groupの世界販売台数 Fordと共同開発したミッドサイズピックアップトラック VW Amarok(出典:VW)


関連レポート:
2030年までの電動化 - 自動車メーカー各社の計画 (2022年11月)
VWグループ(上):2026年までにEV350万台の年産能力を整備 (2022年10月)
IAA Transportation 2022 (2) グローバルOEMの新型商用車 (2022年10月)
ドイツ自動車メーカー各工場のカーボンニュートラルへの取り組み (2022年10月)
ロシア・ウクライナ戦争が欧州の自動車産業に与える影響 (2022年5月)
VWグループ(下):中国・北米でSUVの販売増加、欧州で電動車の販売拡大 (2021年2月)
VWグループ(上):2021-2025年にEV、HV、デジタル化に730億ユーロ投資 (2021年1月)