Stellantis(下):2022年上半期は売上・収益が大幅増、北米での利益率向上が牽引
販売の8割を欧米市場が占め、収益では北米トラック系フルサイズ車への依存が一層進む
2022/08/09
- 要約
- バッテリー開発・製造:米欧に5カ所のギガファクトリーを建設
- モビリティ・サービス:傘下のFree2MoveがShare Now買収で事業拡大
- 自動運転、コネクティビティ:米欧での様々なテスト・プロジェクトに積極的に参画
- 地域別の販売動向と主な動き
- 北米:JeepブランドがSUVラインアップを拡充
- 欧州:B/Cクラスの主力車にBEVの設定を進め、EV販売比率は9%に(2022年上期)
- 南米(ブラジル):トップシェアの維持を図り積極的な車種投入
- 中国:ビジネスモデルの転換に着手
- インド:コンポーネント/デジタル技術のハブとして重要性が増す
- 2022年上期グローバル業績:北米など利益率アップで、純利益は対前年34%の大幅増加
- LMC Automotive販売予測:Stellantisの2025年販売は834万台の見込み
要約
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Stellantis出資のACCが欧州3カ所目のバッテリー工場を建設するとしたイタリアのTermoli工場(出典:Stellantis) |
Stellantisは7月末に発表した2022年上半期の決算で、売上、最終利益とも大幅に改善したグループの業績を報告した(対前年同期でそれぞれ16.8%と34.1%の増加)。サプライチェーンの制約からグローバル出荷台数が減少する中で、北米を中心とした車種構成や実質販売価格の改善が大きく貢献したとしている。
BEV(バッテリー電気自動車)も欧州の最大セグメントである小型車の主力モデルで設定を進めており、欧州でのBEVの比率は2022年上期で約9%に達している。北米・欧州で5カ所のバッテリー工場を建設する計画を進め、また欧州では関連する業界や組織と電動車や自動運転の開発、普及へ向けた提携やプロジェクト参画などを積極的に進める。
しかしながら、収益構造の面では、利幅の大きいフルサイズ・トラック系車種を主力とする北米への依存が増し、北米市場からの営業利益がグループ全体の6割以上に達する一方で、グローバル台数の半分近く(46%)を占める最大市場の欧州では、利幅の少ないサブコンパクト以下(A/Bクラス)の販売が過半(53%)となっている。またBEV投入が北米向けや上級セグメントでライバルに出遅れているのも懸念材料と言える。
3月に発表された長期計画「Dare Forward 2030」では、これまでの実績でPSAとFCA合併のシナジー効果が表れていることを踏まえ、売上を倍増する野心的な目標を打ち出しているが、幅広い市場をカバーする数多くのブランドの特長と実績を活かして、商品や技術の投入や刷新が急展開する業界で競争優位を確保できるかが問われる。
本編はStellantisレポートの第二部として、バッテリー製造、ソフトウェア開発など、事業拡大へ向けた提携や投資をめぐる主な動き、並びに地域毎の販売動向や最新のグローバルの業績について要点を整理して報告する。さらに、LMC AutomotiveによるStellantisグループのグローバル販売予測を掲載する。
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