スズキ:Across PHEVと48Vマイルドハイブリッド車を欧州市場に投入
全社で緊縮予算を継続、インド・グジャラート第3工場の稼働を延期
2020/10/06
- 要約
- スズキの電動化戦略:2019年度ハイブリッド車比率は18.3%
- 欧州市場:トヨタRAV4 PHEVベースのAcross PHEVを投入
- インドでの環境対応車戦略:CNG、HybridとEVの100万台販売を計画
- 業績推移:2015~2019年度5カ年計画の振り返り
- 2020年度第1四半期:新型コロナウイルスの影響で大幅な減収・減益
- インドでの生産能力は200万台、グジャラート第3工場の稼働開始を延期
- LMC Automotive販売予測:スズキグループの2023年世界販売は231万台
要約
2020年秋に欧州市場に投入するAcross PHEV (出典:スズキUK) |
本レポートは、ここ1年間を中心としたスズキの動向について報告する。
電動化に関しては、スズキは2019年度に世界で52.1万台のハイブリッド車を販売した(構成比18.3%)。さらに、欧州市場での厳しいCO2排出量規制に対応するため、2020年3月にVitaraなど3モデルに48Vハイブリッドを設定し発売した。2020年秋には、トヨタRAV4 PHEVベースのAcross PHEVを投入する。
インドでの2019年度ハイブリッド比率は7.7%。インドでは、2020年4月から排ガス規制BS6が施行され、OEM各社がEV投入を計画している。しかしスズキは、価格や充電網の不足からEVの本格的普及には時間がかかると見て、当面はハイブリッド車とCNG車の拡販に注力するとされている。
スズキの2019年度連結売上高は3兆4,884億円(9.9%減)で3期振りの減収。営業利益は2,151億円(33.7%減)で、2期連続の減益となった。
2020年度第1四半期(4~6月期)決算は、新型コロナウイルスの影響により大幅な減収・減益であった。世界販売台数26.3万台(64.3%減)、売上高4,256億円(53.1%減)、営業利益13億円(97.9%減)の厳しい結果となった。
今後の増益のための取組みとしては、1点目はインド四輪事業の回復で、潜在的に需要があると見込まれる農村部の開拓にさらに取り組む。また、提携先金融機関については、現在36社と提携し、頭金や金利などの面で顧客の潜在需要を顕在化させるためのキャンペーンに取り組んでいる。
2点目として、今回のような非常事態での生産体制の強化について、部品在庫の積み増し、他地域での代替生産など、資金面のサポートも含めてサプライヤーと協力していく。
3点目として、今後も緊縮予算を継続していく。経営トップも参加するヒアリングチェックを行い、延期または中止できるような案件を吟味していくとしている。
また、2020年4月の生産開始を予定していたインド・グジャラート第3工場の稼働を延期した。
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