スズキ:インド事業を拡充、乗用車市場シェア5割を維持
トヨタとの提携を強化、電動モデルの導入を推進
2018/08/27
- 要約
- 業績:世界販売300万台超、インドが5割以上を占める
- トヨタとの業務提携:インドにおける電動化を推進、車両の相互供給など
- インド事業:グジャラート工場を増強、2030年に年販500万台を目指す
- グローバル生産体制:中国事業の見直し、アフリカ市場開拓
- 電動化:新型車にハイブリッドシステムを順次導入
- 新型車:HEARTECTプラットフォームの採用、予防安全技術 Suzuki Safety Supportを装備
- LMC Automotive 販売予測:スズキの世界販売は中期的に320万台水準、インドは着実に増加し約180万台に
要約
スズキの2018年3月期の世界販売台数は前期比10.5%増の322.4万台となり、同社初の300万台超を達成した。このうち、インドは165.4万台で全体の51.3%を占める。同期の連結決算は大幅な増収増益となったが、2019年3月期は引き続きインドを中心に四輪車の販売増加を見込む一方、為替円高、研究開発費の増加を見込むため、増収減益と計画している。
主力市場のインドでは、2017年2月に稼働を開始したグジャラート(Gujarat)工場が同年10月から2直のフル稼働(年産能力25万台)となり、2019年1月には第2ライン(25万台)、将来的に第3ライン(25万台)が稼働する計画。スズキは同州内における部品の調達体制構築を進めている。東芝およびデンソーとの合弁によるインド初のリチウムイオン電池工場もグジャラート工場に隣接するサプライヤーパークに新設され、スズキのインド製造子会社へ電池パックを供給する計画。
スズキは2018年6月、2030年にインドで年販500万台を目指す考えを示した。2030年に年間1,000万台の市場規模が見込まれるインドで、現在の乗用車市場シェア50%を維持する意向。ラインアップを現行の16モデルから30モデル以上に倍増し、500万台のうち3割にあたる150万台をEVとする構想。
トヨタとの業務提携については、2016年10月に発表して以降、インド市場向けEV投入やHVなどの相互供給で合意。最近ではパワートレイン開発やアフリカ市場等の開拓に関する共同プロジェクトについて協議を開始するなど、両社は提携関係を強化している。
電動化に向けては、ISG(Integrated Starter Generator、モーター機能付発電機)と12ボルトの小型リチウムイオンバッテリーを組み合わせたスズキ独自のハイブリッドシステムを主力車種に順次導入しており、将来的には日本国内で販売する全車種に電動パワートレインを設定する方針。一方、欧州向けには48Vの駆動用電源を用いたハイブリッドシステムの開発も進める。
資料:スズキの決算参考資料より作成 2018年3月期に300万台超を達成。インドが全体の5割以上を占める。 |
新型スイフト(Swift)(バンコクモーターショー2018) 2017年に全面改良。日本、インド、タイで生産、グローバルモデルとして各国に輸出。 |
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