ロシア:2013年後半は政府の購入支援策が下支え
Renault-日産-AvtoVAZは新設ラインで本格生産、GAZ/Sollersも海外メーカーとの提携拡大
2013/12/06
- 要 約
- 2013年の見通し:販売は279万台、生産は218万台
- 市場シェア:AvtoVAZは17%に低下、現代グループが14%に拡大
- ロシア政府:ローン金利補助策を開始、リサイクル税制度を改正、天然ガス車普及策を策定
- Renault-日産- AvtoVAZ (アフトワズ) の動向
- ロシアメーカー (AvtoVAZ/GAZ/Sollers/ZIL)と海外メーカーの提携拡大
- 欧米台メーカー (GM/VW/PSA/Fiat/裕隆) の動向
- 日本メーカー (トヨタ/三菱自動車) の動向
- 商用車メーカー (Kamaz/Daimler/GAZ/Scania) の動向
- LMC Automotive 生産予測:ロシアの生産台数は2016年に296万台へ
要 約
ロシアの2013年通年の自動車販売見通しは前年比4.9%減の279万台 (大型商用車を除く、欧州ビジネス協会予測)。2012年には294万台を販売し、2008年の過去最高記録を更新して、欧州最大市場のドイツにあと約15万台に迫っていた。しかし、2013年に入ると欧州の景気停滞により、原油等の資源輸出が落ち込み、ロシア経済は低迷。自動車市場は伸び悩んでいる。2013年通年の生産台数も、2.8%減の218万台となる見通し(ASM Holding)。
ロシア政府は自動車市場の需要刺激策として、2013年7月にローン金利補助策を導入。販売台数の減少幅が縮小するなど、市場を下支えする効果は出ている。しかし12月に入り、金利補助策は生産を一定のレベルに維持するという当初の目的をほぼ達成したとして、2013年12月末で終了するとの報道があった。政府支援策の有無は、2014年の市場動向に影響が大きいと思われる。ロシア市場は、自動車保有台数が人口比で西欧諸国の半分にとどまり、保有車両の半数が車齢10年以上であることから、長期的には成長が見込まれる。
今後の市場拡大に対応すると共に、ロシア政府による現地生産化の要請に応えるため、海外メーカーの多くはロシアメーカーと提携して生産体制を整備している。Renault-日産-AvtoVAZが設備を拡充したTogliatti工場では、3社のモデルとパワートレインの生産が開始。3社で共同購買組織も設立する。ロシアメーカーのGAZは、GM, VW, Skoda, 三菱自動車等の車両を受託生産するために設備を改修。SollersはFordと合弁でエンジン工場やR&Dセンターを設置し、マツダやトヨタの車両も生産する。
LMC Automotive社は、2013年10月時点では、ロシア市場について以下のように予測している。ロシアのlight vehicle販売は2012年には前年比10.9%増加したが、2013年3月から前年を下回るようになり、 2013年通年販売は前年比4.3%減の281万台となる見込み。LMCA社は、「その要因を確定するのは困難だが、政府が購入支援策を実施するという期待により、新車購入を先延ばしにした消費者が多数いたと推測される」と述べている。7月1日にローン金利補助策が施行され、(2013年10月時点での見通しでは) 「少なくとも2014年4月1日まで実施されるため (2014年末まで延長される可能性大) 、LMCA社は2014年には販売台数は着実に増加し、294万台に達すると予測している。2015年も引き続き市場は拡大し、2016年には331万台に達する見通し」としている。
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