アイシン・エィ・ダブリュ (株) 2016年3月期の動向

近年の動向

事業概況 (2016年3月期)

-2016年3月期の売上高は、国内外の得意先自動車メーカーの生産台数増加などにより、前年比13.2%増の1兆2,765億円。
-営業利益は、研究開発費や減価償却費などの費用増加があったものの、売上高の増加に加え、収益体質強化活動の成果などの影響により、前年比3.7%増の930億円。

事業計画

-2015年5月8日、同社は2015年度の自動変速機(AT)の出荷計画を14年度実績から103万基増となる790万基に設定したことを明らかにした。前年実績から100万基を上回る目標の設定は同社として初めて。トヨタグループに加えて欧州メーカーへの納入が大幅に増える見込みで、地域別には市場拡大が進む中国での伸びしろが大きいとみている。同社は日本や中国でAT生産の能力増強に取り組んでおり、供給体制の強化によりボリューム拡大を実現していく考えだ。(2015年5月11日付日刊自動車新聞より)

海外事業

<中国>
-2015年8月、同社は中国・天津港湾部での爆発事故により、天津経済技術開発区にある二つの工場の稼働を17~19日までの三日間、停止する。爆発現場近くの寮に入居する従業員ら10人が負傷したものの、工場への直接の被害はなかった。トヨタ自動車の合弁工場の再開に合わせ20日から稼働する予定で、港湾に保管している部品の状況などを確認している。工場の在庫は約1週間分あり、生産が停止しても当面、顧客の生産に影響はないとしている。ただ、天津港の停止が長引いた場合、日本から輸出している部品の荷揚げ港を変更する必要があり、税関の手続きが煩雑になるなどの影響が出てくるという。(2015年8月19日付日刊自動車新聞より)

受注

-2016年1月25日、同社はインドのマヒンドラ&マヒンドラ社から自動変速機(AT)を初受注したと発表した。インドの現地メーカーへの供給はアイシンAWとして初めてとなる。同社の前輪駆動車用6速ATをマヒンドラ社が2015年12月に発売したSUV「XUV500」に採用した。現地は将来的にモータリゼーションの拡大が見込まれており、アイシンAWでは新規取引を契機に現地メーカーへの提案活動を強化して受注拡大につなげる狙いだ。(2016年1月26日付日刊自動車新聞より)

受賞

メーカー
2015年12月 東風汽車 2015年度「優秀サプライヤー賞」を受賞
2015年12月 東風PSA 2015年度「優秀サプライヤー賞」を受賞
2015年12月 トヨタ自動車 「Prius」のプロジェクト表彰を受賞
2015年11月 トヨタ自動車 Lexus「RX」のプロジェクト表彰を受賞
2015年07月 フォルクスワーゲン 「品質賞」を受賞
2015年05月 裕隆汽車 最高賞の「特別貢献賞」を受賞
2015年04月 トヨタ自動車 「優秀VA賞」を受賞
2015年03月 天津一汽トヨタ 天津AW社・AW中国社が「品質優秀賞」を受賞
2015年03月 雙龍自動車 最高賞の「優秀仕入先賞」を受賞
2015年03月 広州汽車 2014年度「優秀協力賞」を受賞
2015年03月 天津一汽夏利 「新車貢献賞」を受賞
2015年03月 東風裕隆汽車 最高賞の「総合特別賞」を受賞
2015年01月 ボルボ 「品質賞」を受賞
2015年01月 一汽轎車 「製品開発賞」を受賞
2015年01月 上海汽車 「傑出品質賞」を受賞
2015年01月 スズキ 「Best Partner」と「VA・VE提案」の2部門で受賞

研究開発費

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 65,800 55,400 52,400 52,900

研究開発拠点

名称 所在地
ものづくりセンター 愛知県安城市
AW Technical Center U.S.A., Inc. 米国ミシガン州
AW Technical Center Europe S.A. ベルギー ブレンラリュー
AW蘇州テクニカルセンター 中国江蘇省蘇州市

研究開発活動

-2016年3月期は、ドライブトレインシステムの多様化やクルマ社会の高度情報化などに対応するため、トランスミッションやナビゲーションといったこれまでに培ってきた商品・技術を基盤に、次代に先駆けた商品開発を実施。直近の主な成果は、FF用2モーターハイブリッドトランスミッション等。

-2016年人とくるまのテクノロジー展では、高容量FF8速オートマチックトランスミッション、中容量CVT、小容量FF2モータハイブリッドトランスミッションを出展。また、超リアル3D市街図とメータークラスターの2画面連携ナビや、車両情報技術のコンセプト映像を展示。

製品開発

2モーターハイブリッドトランスミッション
-2015年12月10日、同社は前輪駆動(FF)車用の新たな2モーターハイブリッドトランスミッションをトヨタ自動車と共同開発したと発表した。9日に全面改良して発売したトヨタの新型「プリウス」に採用された。新ミッションは従来品に比べてモーターの搭載位置などレイアウトを抜本的に変更したことで、全長を47ミリメートル短縮したほか約20%の損失低減を実現した。アイシンAWでは新製品の開発ノウハウを応用し、今後もハイブリッドトランスミッションの高度化に向けた技術開発を加速する考えだ。(2015年12月12日付日刊自動車新聞より)

電気式四輪駆動(4WD)ユニット
-アイシン精機は21日、同社を含むグループ3社とトヨタ自動車が電気式四輪駆動(4WD)ユニットを共同開発したと発表した。トヨタが2015年12月に発売した新型「プリウス」に採用された。競合製品に比べてユニットを小型化したほか、磁石レスとして磁力による引きずり損失を抑えた誘導モーターの採用などで高性能化も実現した。グループ3社ではアイシン精機が4WDユニットの設計を統括し、アイシン・エィ・ダブリュがモーターを、アイシン・エーアイがギアやデファレンシャルなどの設計を担当した。グループ各社が共同で新製品の開発に取り組むのは初めて。また、アイシンとして電気式4WDユニットを手がけるのも初になるという。(2016年1月22日付日刊自動車新聞より)

欧州の次期CO2規制に対応するAT
-2020年頃にフェーズインが想定される欧州の次期二酸化炭素(CO2)規制の達成に貢献することを照準に次世代変速機の開発を推進する。欧州では2020年をめどにCO2排出量を現行の130g/km (新車全体の平均値) から95g/kmに引き下げる新規制が始まる見通し。これに対し、次世代の自動変速機(AT)を開発する。変速機自体の効率改善とともに、オイルの温度を最適化する熱マネジメントを導入。さらにエンジンの少気筒化に対応した技術を盛り込む。(2015年4月2日付日刊自動車新聞より)

1モーターのハイブリッドシステムに搭載する新型トランスミッション
-1モーターのハイブリッドシステムに搭載する新型トランスミッションの開発に着手した。トルク300ニュートン・メートル以上の大型車向けのシステムに搭載することを想定して開発を推進。既に試作品の開発を完了した。2020年頃にフェーズインする欧州の次期二酸化炭素(CO2)規制をクリアする手段として、自動車メーカーに提案する。(2015年4月13日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 123,236 78,820 74,854 66,632

国内投資

-2014年10月、無段変速機 (CVT) 用ベルトを手がけるシーヴイテックは、長崎県佐世保市に新工場を建設すると発表した。CVT用ベルトの生産の分散化を図り、安定供給を実現することを目的としたもので、2016年12月から生産を開始する。投資額は約80億円。生産能力は年60万本を計画している。シーヴイテックの国内生産拠点は九州新工場の建設によって3カ所に拡大する。生産能力は、既存拠点を含めて年300万本規模に膨らむことになる。シーヴイテックは、トヨタ自動車やアイシンAWなどのCVT工場にCVTベルトを供給している。2014年3月期の売上高は160億円だった。(2014年10月27日付日刊自動車新聞より)

海外投資

<タイ>
-2014年12月、2017年をめどにタイ・チョンブリ県に自動変速機 (AT) を手がける新工場を建設すると発表した。用地取得、建屋建設などに100億円を投じ、生産体制を構築する。従来は日本国内で生産していたタイ向け製品の一部を現地化する。2017年7月から後輪駆動 (FR) 向けATの生産を開始し、トヨタ自動車のタイ工場向けに供給する。生産能力は年12万台を確保する。同社がタイに進出するのは初めて。海外にAT工場を設置するのは米国、中国に続いて3カ国目となる。2015年1月をめどに新生産会社 「AW (Thailand) Co., Ltd.」 を設立し、生産体制の整備を本格化する。(2014年12月6日付日刊自動車新聞より)

-2015年1月、同社の子会社「エィ・ダブリュ・タイ[AW (Thailand) Co., Ltd.]」は、新工場の土地買収契約の調印式を行ったと発表した。タイ・チョンブリー県のヘマラート・イースタン・シーボード工業団地(Hemaraj Eastern Seaboard Industrial Estate II)に213,000平方メートルの土地を取得した。(2015年1月15日付けプレスリリースより)

-2015年7月、同社はタイのチョンブリで新工場の定礎式を行った。新工場は2016年7月完成予定。(2015年10月7日付けプレスリリースより)

設備の新設計画

-2016年3月31日現在、同社はドライブトレイン関連製造設備等に78,000百万円を投資する計画。