アイシン・エィ・ダブリュ (株) 2015年3月期までの動向

ハイライト

近年の動向

事業概況 (2015年3月期)

-2015年3月期の売上高は、国内外の得意先自動車メーカーの生産台数増加などにより、前年比7.0%増の1,127,200百万円。
-営業利益は、生産準備費用などの増加があったものの、売上高の増加に加え、収益体質強化活動の成果や為替の影響などにより、前年比10.5%増の89,700百万円。

事業計画

-2015年5月、2015年度の自動変速機 (AT) の出荷計画を2014年度実績から103万基増となる790万基に設定したことを明らかにした。前年実績から100万基を上回る目標の設定は同社として初めて。トヨタグループに加えて欧州メーカーへの納入が大幅に増える見込みで、地域別には市場拡大が進む中国での伸びしろが大きいとみている。同社は日本や中国でAT生産の能力増強に取り組んでおり、供給体制の強化によりボリューム拡大を実現していく考え。(2015年5月11日付日刊自動車新聞より)

-2014年8月、同社の川本睦社長は、2020年度までに自動変速機 (AT) の世界販売を2013年度に比べ約5割増の年1千万基に引き上げる方針を明らかにした。2010年代後半に年1億台に達すると言われる自動車の世界需要の増加に合わせ、販売を伸ばす。連結売上高も同4割増の1兆5千億円に引き上げる。トヨタ自動車向け、他系列向けに供給するATの共通化を推進し、コスト競争力を向上。過給ダウンサイジング技術への対応などで環境性能も高め、拡販を図る。ブランド力の向上を目的に10速ATの開発も検討する。(2014年8月20日付日刊自動車新聞より)

-同社とジヤトコの自動変速機2社が世界販売を拡大している。アイシンAWはAT、ジヤトコは無段変速機 (CVT) に経営資源を集中して新興国に生産拠点を増設。主要取引先の海外生産拡大に対応し、現地生産を積極化していることが売り上げ規模の拡大につながっている。両社は自動変速機の世界市場で1位と2位 (自動車メーカーの内製を除く)。アイシンAWによると、同社の世界シェアは15%、ジヤトコは11% (2012年度)。同社は2020年度までの世界シェア15%維持を掲げ、ハイブリッド車 (HV) 用トランスミッションの販売拡大や、新興国で需要の増加が見込まれる過給ダウンサイジングエンジンへの対応を進める。ジヤトコは2020年度までの世界シェア1位を目指して販売先の拡大に取り組む。北米、中国を重点市場に掲げるほか、新興国向けの低価格な自動変速機の開発も進める。(2014年7月8日付日刊自動車新聞より)

海外事業

<中国>
-2014年12月12日、AW (蘇州) 汽車零部件公司 [AW Suzhou Co., Ltd. (China)] は東風乗用車向けオートマチックトランスミッションの第1台目のラインオフを祝う式典を行ったと発表した。今回供給する製品は小トルクFF4速AT 「AWF4S15-Ⅱ」。(2014年12月12日付けプレスリリースより)

-2014年9月16日、AW (蘇州) 汽車零部件公司 [AW Suzhou Co., Ltd. (China)] は重慶長安汽車向け小トルクFF4速AT「AWF4S15-Ⅱ」をラインオフした。今回初めて重慶長安汽車に製品を供給する。(2014年9月16日付けプレスリリースより)

-2014年8月27日、天津AW自動変速器有限公司 [Tianjin AW Automatic Transmission Co., Ltd.] はF21オートマチックトランスミッションのラインオフを祝う式典を行ったと発表した。(2014年8月30日付けプレスリリースより)

受注

発表年 メーカー・モデル 搭載部品 備考
2014年 東風乗用車 小トルクFF4速AT 「AWF4S15-Ⅱ」 AW (蘇州) 汽車零部件公司 [AW Suzhou Co., Ltd. (China)] で生産。
2014年 重慶長安汽車 小トルクFF4速AT 「AWF4S15-Ⅱ」 AW (蘇州) 汽車零部件公司 [AW Suzhou Co., Ltd. (China)] で生産。
2013年 マツダ 「Axela Hybrid」 HV用トランスミッション トヨタ自動車のマツダへの技術供与によるもの。本社第2工場で生産する。

受賞

受賞年 メーカー
2015年 一汽トヨタ 品質優秀賞
天津艾達自動変速器有限公司 [Tianjin AW Automatic Transmission Co., Ltd.]が受賞
2014年 GM 仕入先品質賞
岡崎電子工場と岡崎東工場が受賞
2013年 三菱自動車 VFG (Vehicle Function Group) 優秀賞

研究開発費

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 55,400 52,400 52,900

研究開発拠点

名称 所在地
ものづくりセンター 愛知県安城市
AW Technical Center U.S.A., Inc. 米国ミシガン州
AW Technical Center Europe S.A. ベルギー ブレンラリュー
AW蘇州テクニカルセンター 中国江蘇省蘇州市

研究開発体制

-2014年4月、蘇州インダストリアルパークにAW (蘇州) 汽車技術中心 [AW Suzhou Automotive Technical Center] を設立すると発表した。同センターは主にエンジンおよびトランスミッションの研究開発、設計、試験および関連技術サポート、技術コンサルティングを行う。 資本金は13百万米ドル。総投資額は39百万米ドル。売上高は2015年までに76百万元、2020年までに100百万元超に達する見込み。このインダストリアルパークにはVolvo、Delphi、Boschなど国内外の自動車関連大手企業が集まっている。(2014年4月21日付け各種リリースより)

研究開発活動

-2015年3月期、ドライブトレインシステムの多様化やクルマ社会の高度情報化などに対応するため、トランスミッションやナビゲーションといったこれまでに培ってきた商品・技術を基盤に、次代に先駆けた商品開発を実施。直近の主な成果は、中・高容量後輪駆動車 (FR) 6速オートマチックトランスミッション等。

-2015年人とくるまのテクノロジー展では、高容量FF8速オートマチックトランスミッション、中容量FR2モーターハイブリッドトランスミッション、中容量CVTを出展。また、車載用カーナビゲーションシステムや、スマートフォン向けカーナビアプリケーション 「NAVIelite (ナビエリート)」 を展示。

製品開発

欧州の次期CO2規制に対応するAT
-2020年頃にフェーズインが想定される欧州の次期二酸化炭素(CO2)規制の達成に貢献することを照準に次世代変速機の開発を推進する。欧州では2020年をめどにCO2排出量を現行の130g/km (新車全体の平均値) から95g/kmに引き下げる新規制が始まる見通し。これに対し、次世代の自動変速機(AT)を開発する。変速機自体の効率改善とともに、オイルの温度を最適化する熱マネジメントを導入。さらにエンジンの少気筒化に対応した技術を盛り込む。(2015年4月2日付日刊自動車新聞より)

-1モーターのハイブリッドシステムに搭載する新型トランスミッションの開発に着手した。トルク300ニュートン・メートル以上の大型車向けのシステムに搭載することを想定して開発を推進。既に試作品の開発を完了した。2020年頃にフェーズインする欧州の次期二酸化炭素(CO2)規制をクリアする手段として、自動車メーカーに提案する。(2015年4月13日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 78,820 74,854 66,632

国内投資

-2014年10月、無段変速機 (CVT) 用ベルトを手がけるシーヴイテックは、長崎県佐世保市に新工場を建設すると発表した。CVT用ベルトの生産の分散化を図り、安定供給を実現することを目的としたもので、2016年12月から生産を開始する。投資額は約80億円。生産能力は年60万本を計画している。シーヴイテックの国内生産拠点は九州新工場の建設によって3カ所に拡大する。生産能力は、既存拠点を含めて年300万本規模に膨らむことになる。シーヴイテックは、トヨタ自動車やアイシンAWなどのCVT工場にCVTベルトを供給している。2014年3月期の売上高は160億円だった。(2014年10月27日付日刊自動車新聞より)

海外投資

<タイ>
-2014年12月、2017年をめどにタイ・チョンブリ県に自動変速機 (AT) を手がける新工場を建設すると発表した。用地取得、建屋建設などに100億円を投じ、生産体制を構築する。従来は日本国内で生産していたタイ向け製品の一部を現地化する。2017年7月から後輪駆動 (FR) 向けATの生産を開始し、トヨタ自動車のタイ工場向けに供給する。生産能力は年12万台を確保する。同社がタイに進出するのは初めて。海外にAT工場を設置するのは米国、中国に続いて3カ国目となる。2015年1月をめどに新生産会社 「AW (Thailand) Co., Ltd.」 を設立し、生産体制の整備を本格化する。(2014年12月6日付日刊自動車新聞より)

設備の新設計画

-2015年3月31日現在、同社はドライブトレイン関連製造設備等に136,000百万円を投資する計画。