日立化成 (株) 2014年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2014年 3月期 |
2013年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 493,766 | 464,655 | 6.3 | - |
営業利益 | 27,775 | 23,559 | 17.9 | - |
経常利益 | 32,081 | 27,344 | 17.3 | - |
当期純利益 | 24,103 | 18,818 | 28.1 | - |
機能材料 | ||||
売上高 | 260,800 | 245,157 | 6.4 | 1) |
営業利益 | 24,400 | 21,358 | 14.2 | - |
先端部品・システム | ||||
売上高 | 232,966 | 219,498 | 6.1 | 2) |
営業利益 | 3,379 | 2,218 | 52.3 | - |
要因
1)
無機材料
- リチウムイオン電池用カーボン負極材は、環境対応自動車向けの売上が増加し、前年度実績を上回った。
-カーボン製品は、新興国向け自動車用ブラシの売上が増加したことにより、前年度実績を上回った。
2)
自動車部品
-樹脂成型品は、一部顧客の需要減はあったものの、為替の影響により、前年度実績並みとなった。
-摩擦材は、海外子会社の売上が貢献したことなどにより、前年度実績を上回った。
-粉末冶金製品は、北米および国内での需要増により、前年度実績を上回った。
蓄電デバイス・システム
-車両用電池は、アイドリングストップ車などの環境対応自動車向けの増加や海外の製造拠点の本格稼働開始にともない、前年度実績を上回った。
国内事業
-2014年4月1日付で完全子会社である日立粉末冶金を吸収合併すると発表した。日立化成は、自動車関連分野を重点事業領域の一つと位置づけており、粉末冶金製品と化成品を製造する日立粉末を、08年4月に完全子会社化した。さらに10年4月には、日立粉末の営業・事業部機能を、日立化成に移管した。両社は、将来の事業強化策について検討したところ、両社で経営資源の共有化と運営の一体化を図ることが、新製品の開発、生産技術の強化や供給体制の充実が図れると判断した。海外事業
<インドネシア>-2013年12月、同社はインドネシアで四輪車向け粉末冶金製品を製造すると発表。インドネシアでの自動車生産台数が拡大しており、自動車メーカーの現地調達ニーズに対応する。同時にインドネシアの粉末治金製品を製造するヒタチ・パウダー・メタル・インドネシアの社名を「ヒタチ・ケミカル・インドネシア」 (HCID) に変更した。HCIDは2012年度からインドネシアで、二輪車向けを中心に粉末冶金製品を生産してきたが、増加する四輪車の需要を取り込むため、既存工場の敷地内に生産ラインを増設、生産能力を増強する。新ラインは15年春から稼働する予定で、主に四輪車用粉末冶金製品を生産する。インドネシアでの四輪車用と二輪車用の粉末冶金製品の業容拡大を図り、15年度には同国内の売上高を12年度と比べて50%増に伸ばす計画。
<インド>
-2013年10月、インドのラジャスタン州Neemrana工業団地内に設立した粉末冶金製品の製造子会社Hitachi Chemical India Pvt. Ltd. (HCIN) と、二輪車・四輪車用摩擦材料の製造子会社Allied JB Friction Private Limited (AJF) の開所式を実施したと発表。日立化成グループが100%出資したHCINは、2013年8月に稼働を開始。一方のAJFへの出資比率は日立化成グループが51%で、インド合弁会社のAllied Nippon Limited (ANL) が49%となる。2013年11月に稼働を開始する予定。
<中国>
-2013年9月、中国の自動車用樹脂成形品生産子会社の日立化成工業 (鄭州) 汽車配件有限公司 (湖南省鄭州市) が9日に開所式を行ったと発表。同子会社は、現地向け自動車用樹脂成形品の製造拠点として2011年5月に設立。市場成長を見込む中国において、内外装樹脂製品の供給拡大を目的に工場を建設した。投資額は約19億円で、従業員数は220人。14年1月の稼働を予定している。
事業方針
海外生産体制を拡充-粉末治金製品や樹脂成形品などの自動車部品事業で、海外生産体制の拡充に乗り出す。為替水準の円安が進んだものの、主要納入先である日系自動車メーカーや一次サプライヤーの海外シフトは今後も加速する見通し。このため、同社では、海外生産体制を強化するとともに、日系以外向けの販路を拡大して自動車部品事業の基盤を強化する。自動車部品事業全体の売上高に占める海外生産比率を3年後に約1.4倍に引き上げる。(2013年5月23日付日刊自動車新聞より)
2015年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2015年3月期 (予想) |
2014年3月期 (実績) |
増減 (%) |
|
売上高 | 525,000 | 493,766 | 6.3 |
営業利益 | 36,000 | 27,775 | 29.6 |
経常利益 | 36,000 | 32,081 | 12.2 |
当期純利益 | 24,000 | 24,103 | (0.4) |
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2014年3月期 | 2013年3月期 | 2012年3月期 | |
全社 | 26,200 | 25,500 | 25,700 |
機能性材 | 19,900 | 18,700 | 18,900 |
先端部品・システム | 6,300 | 6,800 | 6,800 |
研究開発拠点
名称 | 所在地 |
筑波総合研究所 | 茨城県つくば市 |
筑波総合研究所 (山崎) | 茨城県日立市 |
筑波総合研究所 (下館) | 茨城県筑西市 |
筑波総合研究所 (埼玉) | 埼玉県深谷市 |
Hitachi Chemical Research Center, Inc. | 米国カリフォルニア州 |
Hitachi Chemical - SJTU Research & Development Center | 中国上海市 |
研究開発活動
<機能材料>-各種センサー用感光性透明材料、タッチパネル用透明材料などを開発。
<先端部品・システム>
-CVTオイルポンプ用サイレントスプロケット、スマートフォン用極薄ビルドアップ基板などを開発。
製品開発
高機能システム搭載樹脂バックドア-非接触式の開閉機能などを備えた「高機能システム搭載樹脂バックドア」を独部品メーカーのBroseと共同で開発した。同社は、自動車部品の軽量化を背景に日産自動車の「X-Trail」向けなどに樹脂製のバックドアモジュールを供給しているが、このバックドアに感応式センサーを取り付けた。荷物で両手がふさがっている場合などに、足の動きで合図を送ることでドアを自動開閉できる。同時に周辺の障害物を読み取り、スライドドアで問題となっている手足の挟み込みなどの事故を防止する。樹脂製のドアはセンサーの障壁となる金属素材を含まないため、高い感度を実現できるのが強み。また、従来のドアよりも30%軽いことで、モーターの作動環境や安全性など、あらゆる面でメリットが多いとしている。
技術供与契約 |
(2014年3月31日現在) |
契約会社名 | 相手方の名称 | 契約内容 | 契約期間 |
同社および 日本ブレーキ工業 |
Federal-Mogul Corp. (米国) |
ディスクブレーキパッドに関する特許実施権および技術情報の供与 | 2007年3月31日 - 契約製品を使用する対象車種の生産終了時 |
同社 |
Brembo S.p.A. (イタリア) |
ディスクブレーキパッドに関する特許実施権および技術情報の供与 | 2009年8月31日 - 2014年8月31日 (その後は5年ごとの自動更新) |
同社 | Hung-A Forming Co., Ltd. (韓国) |
インナーパネルを除くバックドアモジュールに関する技術実施許諾 | 2013年3月11日 - 2029年9月30日 (その後は1年ごとの自動更新) |
技術導入契約 |
(2014年3月31日現在) |
契約会社名 | 相手方の名称 | 契約内容 | 契約期間 |
同社 | 日立製作所 | ミューチップタグに関する特許権および 技術ノウハウの実施権の取得 |
2007年04月20日- 2019年04月19日 |
新神戸電機 | パナソニック・ストレージ・バッテリー (日本) | 鉛蓄電池に関する特許権および 技術ノウハウの実施権の取得 |
2004年07月01日- 2014年06月30日 |
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2014年3月期 | 2013年3月期 | 2012年3月期 | |
全体 | 33,500 | 46,700 | 37,300 |
機能材料 | 13,600 | 22,400 | 17,700 |
先端部品・システム | 19,900 | 24,300 | 19,600 |
主な投資内容
機能材料
-国内におけるタッチパネル用感光性フィルムの生産能力増強等。
先端部品・システム
-米国における粉末冶金製品事業の拡大、国内における産業用リチウムイオン電池の生産能力増強等。