日立化成 (株) 2013年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2013年
3月期
2012年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 464,655 473,069 (1.8) -
営業利益 23,559 24,495 (3.8) -
経常利益 27,344 27,799 (1.6) -
当期純利益 18,818 16,427 14.6 -福島第一原子力発電所の事故に伴う東京電力 (株) からの補償金約49億円を特別利益として計上。
機能材料
売上高 245,157 244,855 0.1 1)
営業利益 21,358 20,139 6.1 -
先端部品・システム
売上高 219,498 228,214 (3.8) 2)
営業利益 2,218 4,374 (49.3) -

要因
1)
無機材料
- リチウムイオン電池用カーボン負極材は、環境対応自動車向けの売上が減少したため、前年度実績を下回った。

樹脂材料
-塗料用樹脂は、自動車向け等の需要が減少したため、前年度実績を下回った。
-接着剤は、自動車向けの減少はあったが、建材用等の売上増により、前年度実績並みとなった。

2)
自動車部品
-樹脂成型品は、輸出向け需要減少の影響はあったが、環境対応自動車複合電装成形品の売上が増加したことにより、前年度実績並みとなった。
-摩擦材は、福島第一原子力発電所の事故による製造拠点の操業停止からの復興策として、新拠点での生産等を推進した結果、前年度実績を上回った。
-粉末冶金製品は、北米での可変バルブタイミング機構用部品の売上が増加したが、中国において自動車向け等の需要が減少したことにより、前年度実績並みとなった。

蓄電デバイス・システム
-車両用電池は、新車用の売上が減少したこと等により、前年度実績を下回った。

(注) 新神戸電機 (株) の完全子会社化を契機に、2012年4月1日付で「産業エネルギー事業本部」を設置したことに伴い、2013年3月期より、新神戸電機 (株) の一部製品のセグメントを先端部品・システムから機能材料へ変更している。これに伴い2013年3月期の比較・分析は、変更後の区分に基づいている。

新神戸電機との機能統合

-日立化成と新神戸電機は、2013年4月1日付で新神戸電機の営業、事業企画、研究開発部門を日立化成に移管することで合意した。新神戸電機は製品の開発・設計機能に特化する。日立化成は2012年、新神戸電機を完全子会社化した。同年10月には、新神戸の電池関連研究開発部門を日立化成に移管統合している。今回両社のシナジー効果の最大化に向け、新神戸が担当する産業用電池や機器製品、自動車用電池、電動車用電池、コンデンサーなどの営業、事業企画、研究開発部門を、日立化成に移管する。新神戸は今後、製品の開発・設計機能を持つ製造会社となり、ものづくりをベースに開発力やシステムエンジニアリング力を強化する。 (2013年2月22日付日刊自動車新聞より)

海外事業

<中国>
-中国江蘇省南通経済技術開発区に建設した機能性樹脂・化学素材製造工場である、日立化成工業 (南通) 化工が本格稼働したと発表した。新工場では、エポキシ樹脂硬化剤、アクリレート、塗料用樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などを製造する。従業員数は約80人。中国では、内需の拡大に伴って自動車用塗料に使用される機能性樹脂・化学素材の需要が高まっている。新工場の稼働により、日立化成グループの機能性樹脂・化学素材の製造拠点は、日本、マレーシア、中国・東莞と合わせて4拠点となった。 (2013年3月9日付日刊自動車新聞より)

-粉末冶金製品を製造する子会社の日立粉末冶金 (東莞) が、中国の自動車市場の需要拡大に対応するため、既存工場の敷地内に新工場を増設して生産能力を増強すると発表した。従来製品に加え中国国内で拡大している焼結軸受についても製造を開始する。工場の増設や生産品目の拡大で15年度には粉末冶金製品の売上高を11年度と比べて倍増させる計画だ。同グループでは、中国で粉末冶金製品の他、摩擦材料や鉛蓄電池事業も展開しており、内・外装成形品の生産拠点も現在建設中だ。 (2012年6月2日付日刊自動車新聞)

<北米>
-北米の自動車用粉末冶金製品の需要拡大に対応するため、米国子会社Hitachi Powdered Metals (USA), Inc. の工場を増設するとともに、メキシコのグループ会社製造拠点の敷地内に粉末冶金製品の加工設備を導入し、供給体制を強化すると発表した。両工場は2014年秋より生産を開始する予定。今回の生産能力拡大により、2015年度の北米における売上高倍増をめざす。なお、同グループは現在、日本、米国、中国、シンガポール、タイ、インドネシア、インド (2013年4月稼動開始予定) に粉末冶金製品の製造拠点を有している。 (2013年1月16日付プレスリリースより)

<タイ>
-子会社であるジャパン・ブレーキ (タイランド) が摩擦材料の生産能力を増やすため、第2工場を新設すると発表した。同社の主要納入先である日系自動車メーカーがタイで自動車の生産台数を増やしており、今後も受注の拡大が見込まれることから生産能力を2倍に増やす。新工場は2013年2月から稼働する予定。新工場では、ディスクブレーキパッドやブレーキアッセンブリー、シューアッセンブリーなどの自動車用摩擦材料を生産する。今回の工場新設は、生産拠点を分散することで自然災害などによるリスクを分散し、製品の安定供給を図る目的もある。タイは、成長著しい東南アジアの自動車産業の主要国であり、同社グループでは自動車用摩擦材料や粉末冶金製品、内・外装成形品、鉛蓄電池を製造している。 (2012年5月18日付日刊自動車新聞より)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
全社 25,500 25,700 26,400
機能性材 18,700 18,900 18,400
先端部品・システム 6,800 6,800 8,000

研究開発拠点

名称 所在地
筑波総合研究所 茨城県つくば市
筑波総合研究所 (山崎) 茨城県日立市
筑波総合研究所 (下館) 茨城県筑西市
筑波総合研究所 (埼玉) 埼玉県深谷市
Hitachi Chemical Research Center, Inc. 米国カリフォルニア州
Hitachi Chemical - SJTU Research & Development Center 中国上海市

共同研究

-同社は、シンガポール科学技術研究庁のインスティチュート・オブ・マイクロエレクトロニクス (IME) と、次世代3次元実装の薄半導体ウエハー加工用高性能材料技術の開発に向けて共同研究することで合意した。IMEは、ICパッケージ技術をはじめとする小型電子部品に関して高い技術力を持つ。日立化成では共同研究を通して、IMEの先端実装技術を活用し、今後、高い需要が見込まれる次世代3次元実装パッケージの量産を可能にする薄半導体ウエハー加工に適した材料技術の高度化を目指す。両者は、共同研究で得られた材料技術を活用することで、自動車、航空宇宙、携帯電話など、各分野への次世代3次元実装パッケージの適用が加速すると見ている。 (2012年9月14日付日刊自動車新聞より)

研究開発活動

<機能材料>
-パッケージ基板用微細配線形成材料
-屋外高視認性ディスプレイ等のパネル部材向け透明粘着材

<先端部品・システム>
-半導体検査用治具向けハイブリッド構造配線板

技術供与契約

(2013年3月31日現在)
契約会社名 相手方の名称 契約内容 契約期間
同社および
日本ブレーキ工業
Federal-Mogul Corp.
(米国)
ディスクブレーキパッドに関する特許実施権および技術情報の供与 2007年3月31日 -
契約製品を使用する対象車種の生産終了時
同社 Brembo S.p.A.
(イタリア)
ディスクブレーキパッドに関する特許実施権および技術情報の供与 2009年8月31日 -
2014年8月31日
(その後は5年ごとの自動更新)
同社 Hung-A Forming Co., Ltd.
(韓国)
インナーパネルを除くバックドアモジュールに関する技術実施許諾 2013年3月11日 -
2029年9月30日
(その後は1年ごとの自動更新)

技術導入契約

(2013年3月31日現在)
契約会社名 相手方の名称 契約内容 契約期間
同社 日立製作所 ミューチップタグに関する特許権および
技術ノウハウの実施権の取得
2007年04月20日-
2017年04月19日
新神戸電機 パナソニック・ストレージ・バッテリー (日本) 鉛蓄電池に関する特許権および
技術ノウハウの実施権の取得
2004年07月01日-
2014年06月30日

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
全体 46,700 37,300 30,400
機能材料 22,400 17,700  14,100
先端部品・システム 24,300 19,600 16,300

主な投資内容
機能材料
-日立化成工業 (南通) 化工有限公司の機能性樹脂、化学素材および太陽電池用導電フィルムの生産設備新設。

先端部品・システム

-浪江日本ブレーキ (株) の自動車用摩擦材生産ライン設置、自動車向けリチウムイオン電池用カーボン負極材生産能力増強。