カヤバ工業株式会社 2006年度の動向
ハイライト
業績
単位: 百万円 |
2007年3月期 | 2006年3月期 | 増減率 (%) |
主な要因 |
全社 | ||||
売上高 | 356,083 | 290,455 | 22.6 | 産業用油圧機器の大幅な増加、四輪車用油圧緩衝器の増加。 |
経常利益 | 15,111 | 8,272 | 82.7 | 売上高の大幅な増収、鋼材価格の売価への反映と原価低減、円安効果など。 |
当期 純利益 |
6,959 | 2,917 | 138.6 | |
油圧製品 | ||||
売上高 | 345,539 | 278,696 | 24.0 | 油圧緩衝器:国内の四輪車用は好調な輸出に支えられて組付用が増加。海外でも日系自動車メーカーの生産拡大を受けて増加。更に補修用も東欧や北米向け輸出が伸長。その結果、16.6%の増収。 油圧機器:パワーステアリング製品を主とする四輪車用はビッグ3向け輸出やCVT用油圧ポンプの伸長等により、20.9%の増収。 |
営業利益 | 20,213 | 12,921 | 56.4 |
子会社化
55.9%出資している油圧機器部品メーカーのタカコ(京都府精華町)を完全子会社化すると発表。完全子会社化によって両社の連携を一段と強化し、油圧機器における競争力を高める。タカコが9月7日開催する臨時株主総会で承認を得たうえで、10月1日を株式交換の効力発生日とする予定。交換比率は同社1株に対してタカコ32.049株。(2006年8月25日付日刊自動車新聞より)
受注
独アウディとカヤバサスペンションヨーロッパは、相互連携ショックアブソーバーシステム「ダイナミック・ライド・コントロール(DRC)」の小型軽量化に成功し、新型アウディRS4とRS4アバントに搭載した。同システムは、ヤマハ発動機が「X-REAS(エックス・リアス)」の名称で開発し、カヤバサスペンションヨーロッパに技術供与している。エックス・リアスの技術は、「トヨタ4ランナー(日本名ハイラックスサーフ)」、アウディRS6に採用され、今回のRS4は量販車では3例目となった。エックス・リアスは、懸架装置に配置されたショックアブソーバーのオイル流路を、対角線上に連結して油圧フローを制御するシステム。右前輪と左後輪、左前輪と右後輪のショックアブソーバーが接続される。(2006年7月13日付日刊自動車新聞より)
豪GM Holden向けに、同国向けとしては初めて油圧パワーステアリング用ステアリングギヤとベーンポンプをシステム納入。
事業計画
欧州でのショックアブソーバー(緩衝器)販売を前期比20%拡大する。2006年1月に欧州法人のKYBヨーロッパがモスクワ事務所を開設したほか、4月にはパリ北西部に大規模物流拠点を設置、拡販を視野に供給体制も再編した。ロシア・東欧での拡販を軸に欧州全域での市販用ショックアブソーバーを2005年度の350万本から70万本上乗せする。(2006年9月15日付日刊自動車新聞より)
開発動向
研究開発体制
-基盤技術、生産技術の2技術研究所を中心に研究開発を実施。
-研究所は主に基礎研究、新製品開発を担当。工場技術部は性能向上、低コスト化等の商品力向上のための開発を担当。
研究開発費用
-2007年3月期の油圧製品部門の研究開発費用は3,636百万円。
研究開発活動の成果
油圧緩衝器
-レクサスLS向けにハンドル操作時のねじれを吸収できるコンパクトな構造のエアサスペンションを開発。ハンドル操作感と操縦安定性の両立および省スペース化に貢献。
油圧機器
-生産技術分野において、KYB金山(株)にCVT(無段変速機)用ベーンポンプの組立ラインを構築。本ラインは自動化部分の信頼性を向上させるとともに、コンタミネーション管理、トレーサビリティ管理についても十分に考慮。また、従来は溶接割れ防止のために予熱が必要であったシリンダのボトム溶接工程で、予熱をせずに割れを防止できる技術を実用化し、高圧シリンダの全組立ラインに導入。更に、油圧モータを対象として素材の納入から製品の出荷までの生産履歴を一元管理できるシステムを開発。特に、主要製品のベースプレートには二次元コードをレーザー刻印し、部品1個ごとの生産履歴を管理可能にした。
その他機器
-電子機器では、事故前後の状況を画像に記録し、事故の原因分析や安全運転に役立つドライブレコーダー"クルマメ"を開発、販売。
研究開発
-製品技術分野では、車両のロール剛性を状況に応じて前後独立に制御し、運動性能と乗り心地を向上させる、自動車用油圧アクティブスタビライザーシステムの開発。
-生産技術分野では、摺動部の摩擦力低減や従来比4倍以上の耐久性向上を目指した、DLC(Diamond-Like Carbon)皮膜技術の開発に注力。
-共同研究として、東京大学およびトヨタと共同で「電磁力を使ったサスペンションの制御とエネルギー回生の研究」を実施。
自動車関連の技術供与契約(2007年3月現在)
契約先 | 国名 | 契約対象 | 契約内容 | 契約期間 | ||||||
Kayaba-UMW Malaysia Sdn. Bdn. | マレーシア | 自動車用ショックアブソーバ 二輪車用フロントフォーク オイルクッションユニット |
|
1993.10.13 -2008.10.12 |
||||||
P. T. Kayaba Indonesia | インドネシア | 自動車用ショックアブソーバ 二輪車用フロントフォーク オイルクッションユニット |
|
1994.03.18 -2008.01.31 |
||||||
株洲南方雅馬哈減震器有限公司 (Zhuzhou Nanfang Yamaha Shock-Absorber Co., Ltd.) |
中国 | 二輪車用フロントフォーク オイルクッションユニット |
|
1995.09.15 -2010.09.14 |
||||||
KYB (Thailand) Co., Ltd. | タイ | 自動車用ショックアブソーバ 二輪車用フロントフォーク オイルクッションユニット |
|
1996.02.01 -2008.01.31 |
||||||
KYB Manufacturing North America, Inc. | 米国 | 自動車用ショックアブソーバ |
|
2001.10.01 -2007.09.30 |
||||||
Gabriel India Limited | インド | 自動車用ショックアブソーバ |
|
2003.02.20 -2008.02.19 |
||||||
KYB Steering Spain, S.A. | スペイン | 自動車用油圧機器 |
|
2004.01.01 -2010.12.31 |
||||||
KYB Suspensions Europe, S.A. | スペイン | 自動車用ショックアブソーバ |
|
2004.10.01 -2009.09.30 |
設備投資
2008年3月期の投資計画金額は、20,000百万円。そのうち油圧製品事業で19,700百万円を予定。
国内投資
無段変速機(CVT)向け油圧制御用ポンプの生産を3年後をめどに倍増させ、年間180万台体制とする。2007年度の投資額は、生産性改善投資も含め約70億円を見込む。CVT用ポンプを増産するのは子会社のKYB金山(岐阜県下呂市)。(2006年11月29日付日刊自動車新聞より)
海外投資
油圧緩衝器を製造・販売している米国子会社、KYB Manufacturing North America Inc.(KMNA)の工場を拡張する。 北米自動車市場におけるトヨタ、ホンダなど日系自動車メーカーの需要に対応し、工場拡張を行い生産能力の拡大を図る。現工場敷地内(インディアナ州フランクリン市)に、新工場(建屋面積=24,553m2)を増築。これにより生産能力は年間300万本増え、960万本/年体制となる。同社は総額で27百万ドル(約31億円)を投資する。 新工場は2007年11月竣工予定。 (2006年12月7日付け同社プレスリリースより)