日立金属 2007年3月期の動向

ハイライト

業績 (単位:百万円)
- 2007年
3月期
2006年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 646,311 590,678 9.4 自動車関連製品および液晶ディスプレイを中心としたIT、家電関連製品の好調を受け増収。
営業利益 54,722 47,502 15.2 希少金属を中心とした世界的な原材料価格の高騰や、(株)NEOMAXの株式追加取得に伴うのれんの償却負担発生などの影響を受けたが、コストダウンおよび販売価格是正の推進により増益。
経常利益 51,630 45,305 14.0
当期純利益 22,062 17,165 28.5
高級金属製品
売上高 273,567 246,075 11.2 金型・工具用材料は自動車業界のモデルチェンジの端境期にあったことや在庫調整の影響を受け、前年度に比べ減少。

切削工具は在庫調整の影響があったが、期前半における自動車業界向けの高い需要を背景に、前年度よりも増加。
営業利益 24,302 22,809 6.5
電子・情報部品
売上高 169,321 159,953 5.9 フェライト・希土類等各種マグネットおよびその応用品は、自動車ならびに産業機器向けの売上が増加し、全体でも増加。
営業利益 18,069 17,108 5.6
高級機能部品
売上高 210,487 184,322 14.2 高級ダクタイル鋳鉄製品は、海外生産がアジアを中心に増加したが、国内生産は主要顧客向けの販売不振と、製品の精選の影響が大きく、全体では減少。

耐熱鋳造製品は、主要顧客の材質変更の影響があったが、販売価格是正により増加。

アルミホイールは採用車種の販売増を受け、大幅に増加。
営業利益 14,073 9,246 52.2

事業計画
鉄鋼製品の圧延ローラーに用いる鋳鉄ロール及び鋳鋼ロールを、今後の受注分から値上げすると発表。原材料価格高騰への対応と長年の商慣習による価格を適正水準に近づけるのが狙い。15%以上の引き上げを目指す。(2006年11月29日付日刊自動車新聞より)

高性能マグネットなど磁性材料事業の拡充に向け、自動車電装品向け部品の新規開発と拡販を本格化。子会社のマグネットメーカー、NEOMAXを吸収合併し、磁性材分野では世界最大規模のメーカーとなるのを機に、日立金属の持つ軟磁性材も含め、関連事業を一体化するほか、鋳造品や特殊鋼などのリソースも活用、車載部品に関する総合力を高める。当面は、電動パワーステアリング(EPS)用マグネットやハイブリッド車部品をメーンに、技術提案に注力する。NEOMAXは高性能マグネットの最大手で、ハイブリッド車の駆動モーター向けでは70%程度のシェアを持つ。(2007年1月17日付日刊自動車新聞より)

海外事業
-中国
2006年4月、自動車向けなどで需要が拡大している熱延鋼板圧延用鋳造ロールの製造・販売を目的とした合弁会社の設立で、中国・上海宝鋼集団と合意。

>>> 詳細は 設備投資 参照

中国での経営管理機能の強化を目的にグループ統括会社を設立、近く本格的な業務を開始する。現地で設立する合弁会社への出資手続きや既存拠点の販売活動、設備投資などの管理を受け持つ。新会社は、中国でのグループ統括を目的に2006年1月に設立済み。名称は「日立金属(中国)有限公司」で、資本金は約35億円。全額を同社が出資した。現地鉄鋼大手の上海宝鋼と合弁契約を結んだ新会社、宝鋼日立金属(江蘇省南通市)への出資を手始めに、本格的な業務をスタートする。(2006年4月25日付日刊自動車新聞より)

天津市に金型や切削工具向け高性能工具鋼の加工、販売拠点を設立する。2006年10月をめどに本格営業を開始し、自動車や自動車部品メーカー向けに工具鋼を供給。中国の工具鋼拠点としては、東莞市、大連市に次いで3番目となる。新拠点は既存法人である日立金属(東莞)特殊鋼(広東省東莞市)の天津拠点として設置する。投資額は約1億円。当面の従業員数は15人。販売目標は2008年度に2億円、2010年度には3億円を掲げている。(2006年7月25日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発費 (単位:百万円)
- 2007年3月期 2006年3月期 2005年3月期
高級金属製品 3,526 3,461 3,419
電子・情報部品 7,079 5,955 3,721
高級機能部品 2,360 2,621 2,460
その他 - 17 297
全体 12,965 12,054 9,897
総売上高対比 2.0% 2.0% 1.8%

研究開発体制
研究開発人員は2007年3月末現在で821名。

高級機能部品部門
-高級鋳物材料、鋳物製品とその製造技術、設計評価システム、大・中型商用車ディーゼルエンジン排出ガス浄化用セラミックフィルタ(セラキャット®フィルタ)の研究開発を実施。

2007年3月期の主な成果
-自動車排気ガスの高温化に対応する排気系鋳物製品の拡充
-原材料の高騰に対応した代替材料の拡充
-セラキャット®フィルタの新長期規制後の対応製品の開発
-大口径高意匠アルミホイールの拡充

電子・情報部品部門
子会社で高性能フェライト磁石を手がけるNEOMAXは、世界最高磁力の新組成フェライト磁石を開発し、量産体制を整備したと発表した。新製品は残留磁束密度(磁力)を従来品から7~8%強めたもので、保磁力(寿命)も大幅に向上。モーターの小型化や高効率化が可能になるとして、軽量化や省エネルギー化が求められる自動車の電装品や家電での採用を見込む。生産は、同社熊谷製作所(埼玉県熊谷市)と九州事業所(佐賀県武雄市)で行う。販売計画は2008年度に10億円、2012年度には50億円を目指す。(2007年2月20日付日刊自動車新聞より)

技術供与契約(2007年3月現在)

相手方
(国名)
契約品目 契約内容 期間
DGP Hinoday Industries Ltd.
(インド)
自動車鋳物 自動車鋳物の製造技術の供与 1996年6月26日~
2009年6月25日

設備投資

設備投資費(2007年3月期) (単位:百万円)
- 2007年3月期 2006年3月期 2005年3月期
高級金属製品 14,101 12,368 10,080
電子・情報部品 13,773 9,609 5,773
高級機能部品 7,384 6,971 9,015
サービス他 1,234 302 407
消去又は全社 295 390 339
全体 36,787 29,640 25,614

設備投資の内容(2007年3月期)
- 目的
高級金属製品 工具鋼の生産合理化、およびターゲット材の能力増強
電子・情報部品 アモルファス金属材料の大型増産投資
高級機能部品 耐熱鋳造部品、アルミホイールの増産合理化

海外投資
中国・上海宝鋼集団と、自動車向けなどで需要が拡大している熱延鋼板圧延用鋳造ロールの製造・販売を目的とした合弁会社の設立で合意。上海宝鋼集団は中国最大の粗鋼生産量を誇り、高級鋼板を始めとする高品質な製品を生産する鉄鋼グループ。新会社は江蘇省南通に2006年上期の設立を計画。出資比率は同社が70%、宝鋼が30%。出荷開始は2008年上期で、5年後の2013年には年産1万7千トンを予定している。(2006年4月18日付日刊自動車新聞より)

設備投資計画 (2008年3月期)
- 金額
(百万円)
目的
高級金属製品 20,500 工具鋼の生産合理化、圧延ロールの加工合理化
電子・情報部品 11,000 自動車の環境対応化で需要拡大が見込まれる希土類磁石の増産合理化
高級機能部品 7,000 耐熱鋳造部品、配管用鋳物継手の生産合理化
サービス他 500 -
全体 39,000 -