大豊工業 2006年度の動向

ハイライト

業績
単位: 
百万円
2007年
3月期
2006年
3月期
増減率(%) 要因
全社
売上高 105,860 95,739 10.6 -大豊精機および大豊岐阜にて部品事業の生産が本格的に稼動
-日本ガスケットを2006年10月より子会社化
営業利益 4,154 3,131 32.6 -原材料価格の上昇、減価償却費および新製品立ち上げ費用の増加があったが、増産効果およびグループあげての経営全般にわたる合理化活動が功を奏す
経常利益 4,286 3,215 33.3 -支払利息等が増加したが、為替差益も増加
当期純利益 2,599 1,781 45.9 -
自動車部品部門
売上高 79,965 68,438 16.8 -
営業利益 5,804 4,708 23.3 -

会社設立
同社は米国の完全子会社、タイホウ・コーポレーション・オブ・アメリカ(TCA)が、米サプライヤーのフェデラル・モーグル社(FM)と折半出資で設立した自動車エンジン用ガスケット製造会社「TFグローバルガスケット社(TFGC)」を、今年6月末に解散すると発表した。同時に、TCAは独自資本の子会社を設立するとともに、TFGCの用地、工場をFM社から買収し、製品供給を継続する。TCAが設立した子会社は「タイホー・マニュファクチャリング・オブ・テネシー社(TTN)」で、4月1日に操業開始する。FM社はTFGCに設置していた生産設備を他の自社拠点に移設する。(2007年2月3日付日刊自動車新聞より)

事業計画

同社は、ターボチャージャーやサスペンション用などの高付加価値部品事業を強化する。メーンの取引先であるトヨタ自動車の新型車向けサスペンション部品で、円滑な立ち上げを徹底するほか、ターボ関連でも受注領域を広げるなどして、拡販につなげる。組み付け部品事業として重点的に育成し、2008年度をめどに現状より16%増の190億円以上の売り上げを目指す。主力のすべり軸受けやダイカストなどに加え、付加価値の高い組み付け部品事業を育成することで、収益基盤をより強固なものとする。同社は、トヨタ系の軸受けメーカーで、クランクシャフトなどエンジン用すべり軸受けやトランスミッション用部品などに強みを持つ。組み付け部品は、サスペンション部品、ターボ部品、EGRバルブなど、組み立てを要する製品分野と位置付けており、今後、積極的に拡大する方針。(2007年5月28日付日刊自動車新聞より)

同社は、ガスケット事業を強化、拡充する。子会社の日本ガスケットとの連携を強め、同社のエンジン部品技術と日本ガスケットのシール材技術を融合、超低粘度オイルや低油圧、新素材など、次世代エンジン向けのガスケットの商品化と拡販に注力する。2008年度をめどに、ガスケット事業で120億円(2006年度比14.4%増)以上の売り上げを目指す。同社は2005年に日本ガスケットを買収・子会社化し、その後、同社の持つガスケットの開発、生産機能を日本ガスケットに集約している。今後の事業展開では、両社の技術リソースの融合を急ぐ。大豊工業の持つトライポロジー(摩擦・潤滑)技術と、日本ガスケットのシール材技術の双方を活用、低粘度オイルや低油圧、超軽量アルミ素材、高圧燃料噴射など、次世代エンジンの要求に応えることで、拡販に結び付ける。(2007年6月11日付日刊自動車新聞より)

開発動向

2007年3月期の研究開発費は1,542,645千円。

自動車部品関連事業:1,440,824千円

①すべり軸受:
-高性能エンジンに対応したエンジン用軸受、コンプレッサ用特殊軸受、各種軸受などを開発。

エンジン用軸受:
-鉛を一切含まないオーバーレイ付き銅系軸受、同オーバーレイ付きアルミ系軸受を開発し市場投入。なお、同軸受は日本トリライボロジー学会より技術賞、日本機械学会より日本機械学会賞等を受賞。
-最近のエンジン高性能化の要求に応えた鉛を含まない固体潤滑剤を用いたオーバーレイ材料を開発し、国内外のフラッグシップカーに採用される。
-新規取引先海外メーカーへの納入も開始し、グローバル展開を積極的に推進。
-鉛を一切含まない銅系軸受材を開発・製品化し市場投入。

②エンジン用メタルヘッドガスケット:
-日本ガスケット(株)との業務提携により開発力強化。

③ダイカスト製品:
-オイルコントロールバルブ用スリーブを開発・製品化し、国内外メーカーへ供給。またカムハウジングを開発・製品化し、更にデフキャリア等の高機能部品へも展開中。

④高付加価値製品:
-ソレノイドバルブ用コイル&コアアッセンブリ、連続可変バルブタイミング機構用部品、小型ディーゼル・大型ディーゼル用EGRバルブなどを開発・製品化。
-特にソレノイドバルブ用コイル&コアアッセンブリは国内外のメーカーへの採用が拡大。
-2005年10月からスタートした商用車の新長期排気規制に対応した精密制御かつ大流量を確保した電子制御式EGRバルブの開発に成功し、量産化した。

⑤はんだ材料関連:
-車載用(ECU用)鉛フリークリームはんだを開発・製品化。

⑥環境配慮製品:
-鉛フリーバランスウエイトを製品化。
-クリップタイプの鉛フリー化を達成し、海外でも採用。貼り付けタイプのバランスウエイトも開発・製品化。
-高強度樹脂製品の開発や環境対策を目的とした各種触媒の開発・製品化にも取組んでいる。

設備投資

2007年3月期の設備投資費は9,240百万円
うち、自動車部品関連の設備投資額は8,674百万円

自動車部品関連事業
・同事業では、新製品への対応、生産設備の拡張や能力増強を主眼とした設備投資を実施。
・子会社の大豊岐阜では、第2工場新設に伴う工場および軸受製品製造設備への投資を実施。
・海外では、大豊工業(煙台)有限公司にて軸受製品製造設備の増設を実施。

同社は中国・山東省の現地法人で新工場を建設すると発表した。現地の需要増加に対応し、能力を増強するほか、高性能軸受けなども新たに生産する。投資額は12億円で、2007年10月に操業を開始する。(2006年11月2日付日刊自動車新聞より)

設備の新設等 (自動車部品関連)
事業所名 設備の内容 投資
予定
総額
(百万円)
着手
年月
完了予定
年月
目的
大豊工業
本社および本社工場
(愛知県豊田市)
ダイカスト製品製造設備等 1,984 2007年
4月
2008年
3月
能力増強
細谷工場
(愛知県豊田市)
軸受製品製造設備等 868 2007年
4月
2008年
3月
合理化および拡張・能力増強
篠原工場
(愛知県豊田市)
軸受製品、組付製品製造設備等 745 2007年
4月
2008年
3月
新製品および維持更新
九州工場
(鹿児島県出水市)
軸受製品製造設備等 211 2007年
4月
2008年
3月
拡張・能力増強および合理化
幸海工場
(愛知県豊田市)
軸受製品製造設備等 415 2007年
4月
2008年
3月
合理化
子会社
大豊精機(株)
本社及び本社工場
(愛知県豊田市)
建物(生産棟)、周辺設備拡充および自動車足廻部品製造設備等 500 2007年
4月
2008年
3月
基礎投資および拡張・能力増強
大豊岐阜(株)
本社及び本社工場
(岐阜県可児郡御嵩町)
軸受製品製造設備等 1,282 2007年
4月
2008年
3月

拡張・能力増強および維持更新

日本ガスケット(株)
滋賀工場
(滋賀県米原市)
ガスケット製品製造設備 654 2007年
4月
2008年
3月
新製品、拡張・能力増強
Taiho Corporation of America
本社及び本社工場
(アメリカ オハイオ州)
軸受製品製造設備等 465 2007年
4月
2008年
3月
拡張・能力増強および維持更新
PT. Taiho Nusantara
本社及び本社工場
(インドネシア カラワン市)
軸受製品製造設備等 121 2007年
4月
2008年
3月
拡張・能力増強および維持更新
Taiho Corporation of Europe
本社及び本社工場
(ハンガリーウィハルチャン市)
軸受製品製造設備等 292 2007年
4月
2008年
3月
拡張・能力増強および維持更新
韓国大豊株式会社(Taiho Corporation of Korea)
本社及び本社工場
(韓国大邱広域市)
軸受製品製造設備等 75 2007年
4月
2008年
3月
拡張・能力増強
大豊工業(煙台)有限公司
(Taiho Kogyo Corporation of Yantai)

本社及び本社工場
(中国 山東省煙台市)
建物(工場) 667 2007年
4月
2008年
3月
基礎投資
軸受製品製造設備等 501 2007年
4月
2008年
3月
拡張・能力増強および維持更新