(株) GSユアサ 2014年3月期の動向

ハイライト

業績

 (単位:百万円)
2014年
3月期
2013年
3月期
増減率
(%)
要因
全体
売上高 347,995 274,509 26.8 -国内では車載用リチウムイオン電池や、電源装置の販売が増加したことに加え、第2四半期よりタイの持分法適用関連会社を連結子会社化したことや、為替の影響などにより、増収。
営業利益 18,197 9,775 86.2 -
経常利益 20,333 12,258 65.9 -
当期純利益 9,982 5,767 73.1 -車載用リチウムイオン電池の不具合に関するリコール関連損失を計上する一方で、投資有価証券の売却益等を計上し、増益。
国内自動車電池
売上高 56,905 55,648 2.3 -アイドリングストップ車用を中心に新車用鉛電が順調に売上を伸ばしたことにより、増収。
営業利益 3,310 3,931 (15.8) -主原料である鉛相場の上昇があり、減益。
海外
売上高 164,252 119,885 37.0 -タイの関連会社を連結子会社化したことや、為替の影響などにより、増収。
営業利益 8,996 6,380 41.0 -
リチウムイオン電池
売上高 32,501 10,597 206.7 -プラグインハイブリッド車用およびハイブリッド車用リチウムイオン電池の販売が増加したことにより、増収。
営業利益 (7,243) (11,249) - -販売増加に伴う利益の改善により、前年度との比較では、40億5百万円改善。
-2014年3月期には、売上高、営業利益、経常利益ともに、過去最高を記録。

受注

-ブルーエナジーは、同社が製造・販売しているリチウムイオン電池の新製品が、ホンダの新型車 「Accord Hybrid」 と 「Accord PHV」 に搭載されたと発表。 「Accord Hybrid」 は、従来品と同サイズのまま出力性と耐久性を向上した「EH5」を採用。 「Accord PHV」 には、大容量化と高出力化をバランスよく実現し、高次元の信頼性及び安全性を確保した「EH19」が搭載されたとしている。 (2013年7月16日付日刊自動車新聞より)

海外事業

<タイ>
-タイでの四輪車用鉛蓄電池の生産を2019年3月期までに年500万個に引き上げる計画。第2期エコカー政策などの投資優遇策により、同国で日系自動車メーカーの生産拡大が見込まれることから、これに伴うバッテリー需要を取り込む。タイ周辺国への輸出やアイドリングストップ車 (IS) 用の電池などの需要拡大も視野に入れ、2013年3月期実績の約300万個に対して7割の増加を目指す。日系自動車メーカーへの現地供給のほか、ミャンマー、カンボジア、ラオスなど周辺国向けの輸出需要にも対応する。長期的には新車用、補修用ともメコン経済圏全体で膨大なマーケットになることを想定し、各国にはタイから供給していく。(2014年4月17日付日刊自動車新聞より)

-タイの持分法適用関連会社「Siam GS Battery Co., Ltd.」 (SGS) の出資比率を60%に引き上げ、連結子会社化すると発表。3月に他株主からSGS株式の10%を購入、5月にSGSの第三者割当増資を引き受けることで、現在の49%から60%に出資比率を高める。SGSは1966年設立で、タイにおけるGSユアサグループの自動車用鉛蓄電池製造販売の中核拠点。GSユアサはSGSの経営権獲得により、アイドリングストップ車向け電池に関する最新技術の移転と、2014年の自動化製造設備導入による四輪車用電池500万個生産体制を構築する。 (2013年5月18日付日刊自動車新聞より)

-2014年1月、タイ・サムットプラカーン県に全額出資の開発子会社を設立したと発表した。海外に開発拠点を設けるのは初めて。東南アジアでの鉛蓄電池の需要拡大に対応し、現地向けに最適な電池を開発する。資本金3千万バーツ (約1億円) で「GSユアサ・アジアテクニカルセンター」 (GYAT) を設立した。投資額は3億円を予定している。東南アジアや周辺地域向けの自動車や二輪車の鉛蓄電池の開発、市場調査を行う。 (2014年1月31日付日刊自動車新聞より)

中期経営計画

-2013年7月30日、2014年3月期~2016年3月期の第3次中期経営計画を発表した。2013年3月期までの前中計では、育成事業と位置付けたリチウムイオン電池事業の計画が、事業環境の変化により未達だった。新中計では、競争力を一段と強化し、リチウムイオン電池や新エネルギー分野の事業基盤を強化する。3年間の累計で総額600億円を投資し、このうちリチウムイオン電池事業に120億円を振り向ける。2016年3月期の売上高を2013年3月期比63%増の4,500億円に引き上げるほか、営業利益率8% (360億円)、当期利益率5% (230億円)、自己資本利益率(ROE) 15%以上を目指す。 (2013年8月2日付日刊自動車新聞より)

-2016年3月期の目標値
  • 売上高: 4,500億円
  • 営業利益率: 8% (360億円)
  • 当期純利益: 5% (230億円)
  • 自己資本利益率 (ROE): 15%以上
-重要戦略課題
課題 施策
新規事業 (リチウムイオン電池・新エネルギー分野) の事業基盤強化 ・新市場・新分野への事業領域拡大を模索・挑戦。
グローバル市場でのポジションアップ ・国内/海外区分からグローバル視点へ切り替え、ターゲット市場でのイニシアチブを確立。
-自動車用電池市場での確固たる世界No.2シェアの獲得。
 (2015年目標市場シェア11%、48百万個) *2012年実績 No.3シェア、8%
-同アジアNo.1シェアの堅持。
 (2015年目標市場シェア22%、28百万個) *2012年実績 No.1シェア、19%
-中国における自動車用電池販売シェア:14% (2015年目標)。*2012年実績9%
-新規振興市場の開拓:南米、中東、アフリカなど。
既存事業の更なる高収益化 ・市場・競合・自社の趨勢を見定め、一層の合理化と拡販を推進。
財務体質の改善 -

2015年3月期の見通し

(単位:億円)
  2015年3月期
(予測)
2014年3月期
(実績)
増減率
(%)
国内自動車電池 売上高 520 569 (8.6)
営業利益 30 33 (9.1)
国内産業用電池および電源装置 売上高 860 792 8.6
営業利益 125 122 2.5
海外 売上高 1,810 1,643 10.2
営業利益 110 90 22.2
リチウムイオン 売上高 520 325 60.0
営業利益 (30) (72) -
その他 売上高 90 151 (40.4)
営業利益 15 9 66.7
合計 売上高 3,800 3,480 9.2
営業利益 250 182 37.4

2015年3月期目標達成のための施策

-国内自動車用電池:エコカー向けバッテリー拡販によるシェアアップ:目標販売個数 900万個、目標市場シェア40%
-海外:
  • 中国における自動車用電池生産の拡大:目標生産能力 950万個 (天津拠点における新工場建設、順徳拠点におけるライン増設)
  • ベトナムにおける2輪車用電池生産の拡大:目標生産能力 900万個
  • タイにおける経営基盤の強化:サイアムGSグループを連結子会社化
  • インドネシアにおける増産対応:4輪車用電池目標生産能力 1,000万個 (PTGSジャワ島中部に4輪向け新工場の量産開始)
                       2輪車用電池目標生産能力 2,900万個 (PTGS、ユアサインドネシアで2輪向け増産予定)
-リチウムイオン電池:
  • リチウムエナジージャパン (LEJ):栗東第2工場にて新ライン量産開始。
  • ブルーエナジー (BEC):新ライン本格量産開始

開発動向

研究開発費

 (単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
国内自動車電池 676 663 596
国内産業電池および電源装置 1,923 1,793 1,558
海外 658 684 639
リチウムイオン電池 3,046 2,735 2,995
その他 191 351 460
合計 6,495 6,227 6,250

-2015年3月期の研究開発費は7,300百万円を予定。

研究開発拠点

セグメント 会社名 所在地
国内自動車電池 (株) GSユアサ 日本 京都
海外 (株) GSユアサ 日本 京都
台灣杰士電池工業股份有限公司
[GS Battery Taiwan Co.,Ltd.]
台湾 台南
Yuasa Battery, Inc. 米国 ペンシルバニア州
湯浅 (天津) 實業有限公司
[Yuasa (Tianjin) Technology Ltd.]
中国 天津
GS Yuasa Asia Technical Center Ltd. タイ サムットプラカーン県
リチウムイオン電池 (株) GSユアサ 日本 京都
(株) リチウムエナジージャパン 日本 滋賀県
(株) ブルーエナジー 日本 京都

研究開発活動

国内自動車電池
-自動車用鉛蓄電池に関する研究開発を実施。この分野では、普及が進んでいる「充電制御車」および「アイドリングストップ車」などの低燃費車両に必要な自動車用電池技術として、耐久性能と充電受入性の向上などの開発を推進。

-国内で初めて通常車とアイドリングストップ (IS) 車の両方に搭載できる高性能バッテリー「ECO.R LONG LIFE」 (エコ・アール ロングライフ) シリーズを発表。同社標準品に比べ200~300%の長寿命を実現した。7月に発売し、年間で10万個の販売を目指す。 (2013年5月18日付日刊自動車新聞より)

海外
-鉛蓄電池およびニッケル水素電池に関する研究開発を実施。自動車用鉛蓄電池の分野では、海外で生産・使用される「充電制御車」および「アイドリングストップ車」向け電池の開発を推進。タイに続き中国でもアイドリングストップ車用鉛蓄電池の生産を開始。

リチウムイオン電池
-リチウムイオン電池基礎研究開発
  • 中大型電池の信頼性・安全性およびエネルギー密度の向上を目的として様々な研究を実施。特にリン酸鉄リチウム正極の早期事業化に向けた研究開発
  • リチウムイオン電池のさらなる性能向上を図るため、次世代正極、次世代負極材料の探索並びにその性能評価
  • ポストリチウムイオン電池に向けた研究
-車載用リチウムイオン電池
  • 電気自動車 (EV)、プラグインハイブリッド車 (PHEV)、ハイブリッド車 (HEV) 用リチウムイオン電池を増産するとともに、品種展開を進める。

共同開発

-2013年6月20日、独Robert Bosch GmbHとGSユアサ、三菱商事の3社は、次世代リチウムイオン電池を開発する合弁会社「Lithium Energy and Power GmbH & Co. KG」をドイツ・シュツットガルトに設立したと発表した。新会社の出資比率は、ボッシュが50%、GSユアサが25%、三菱商事が25%。合弁会社は、ボッシュの電動化車両向けコンポーネント技術、GSユアサの電池セル原材料や電気化学分野の技術、電池セル製造ノウハウ、三菱商事のグローバルなリチウム資源や材料の調達力を結集する。従業員数は、ドイツと日本をあわせて約70名となる。

設備投資

設備投資費

 (単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
国内自動車電池 1,096 641 679
国内産業電池および電源装置 1,659 1,044 890
海外 5,710 4,078 3,447
リチウムイオン電池 6,912 24,943 30,525
その他 3,191 2,451 3,306
合計 18,570 33,159 38,849
-2015年3月期の設備投資額は17,000百万円 (内海外事業は6,000百万円) を予定。

設備の新設

 (2014年3月31日現在)
事業所名
(所在地)
設備の内容 投資予定総額
(百万円)
着手 完成
予定
目的
(株) GSユアサ
(京都市南区)
自動車用鉛蓄電池等の製造設備 1,232 2014年
3月
2015年3月期および2015年4月以降 コスト低減、製造設備の新設等
車載用リチウムイオン電池等の製造設備 335 2014年
3月
2015年3月期および2015年4月以降 研究開発設備の拡充
研究開発設備、その他製造設備等 3,318 2014年
3月
2015年3月期および2015年4月以降 研究開発設備の拡充、コスト低減、製造設備の新設等
(株) リチウムエナジー ジャパン
(京都市南区)
車載用リチウムイオン電池等の製造設備 2,269 2014年
1月
2015年3月期および2015年4月以降 製造設備の新設、生産能力の拡充
(株) ブルーエナジー
(京都市福知山市)
車載用リチウムイオン電池等の製造設備 1,835 2014年
1月
2015年3月期および2015年4月以降 製造設備の新設
天津杰士電池有限公司
[Tianjin GS Battery Co., Ltd.]
(中国天津市)
鉛蓄電池等の製造設備 1,196 2013年
12月
2015年3月期および2015年4月以降 生産能力の拡充
Siam GS Battery Co., Ltd.
(タイ サムトプラカン)
鉛蓄電池等の製造設備 1,038 2013年
12月
2015年3月期および2015年4月以降 生産能力の拡充
PT. Yuasa Battery Indonesia
(インドネシア タンゲラン)
鉛蓄電池等の製造設備 665 2013年
12月
2015年3月期および2015年4月以降 生産能力の拡充
Century Yuasa Batteries Pty Ltd.
(オーストラリア クイーンズランド州)
鉛蓄電池等の製造設備 656 2013年
12月
2015年3月期および2015年4月以降 生産能力の拡充
GS Battery Vietnam Co., Ltd.
(ベトナム ビンズン省)
鉛蓄電池等の製造設備 648 2013年
12月
2015年3月期および2015年4月以降 生産能力の拡充