(株) GSユアサ 2013年3月期の動向

ハイライト

業績

 (単位:百万円)
  2013年
3月期
2012年
3月期
増減率
(%)
要因
全体
売上高 274,509 285,434 (3.8) -日本国内ではエコカー需要の増加や電力の全量買取制度などを背景に新車用自動車電池や電源装置の販売が増加。一方、欧州債務危機に起因する景気後退などにより欧州での販売が減少、電気自動車向け車載用リチウムイオン電池の販売も減少。
営業利益 9,775 16,030 (39.0) -鉛電池を中心に国内外の既存事業は堅調に推移したが、EV向け車載用リチウムイオン電池の売上高が減少、償却費も増加。
経常利益 12,258 17,991 (31.9) -
当期純利益 5,767 11,733 (50.8) -車載用リチウムイオン電池設備の減損損失、税金費用、少数株主損失を計上。
国内自動車電池
売上高 55,648 58,784 (5.3) -アイドリングストップ車用およびハイブリッド用を中心に新車用鉛電が順調に売上を伸ばしたものの、補修用鉛電池および自動車関連部品が伸び悩む。
営業利益 3,931 4,266 (7.9) -
リチウムイオン電池
売上高 10,597 20,974 (49.5) -EV向けの販売数量が大幅に減少。
営業利益 (11,249) (3,265) - -売上高が減少したことに加え、減価償却費負担などが増加。

受注

-ブルーエナジーは、同社が製造・販売しているリチウムイオン電池の新製品が、ホンダの新型車「Accord Hybrid」と「Accord PHV」に搭載されたと発表。「Accord Hybrid」は、従来品と同サイズのまま出力性と耐久性を向上した「EH5」を採用。「Accord PHV」には、大容量化と高出力化をバランスよく実現し、高次元の信頼性及び安全性を確保した「EH19」が搭載されたとしている。 (2013年7月16日付日刊自動車新聞より)

海外事業

<タイ>
-タイの持分法適用関連会社「Siam GS Battery Co., Ltd.」 (SGS) の出資比率を60%に引き上げ、連結子会社化すると発表。3月に他株主からSGS株式の10%を購入、5月にSGSの第三者割当増資を引き受けることで、現在の49%から60%に出資比率を高める。SGSは1966年設立で、タイにおけるGSユアサグループの自動車用鉛蓄電池製造販売の中核拠点。GSユアサはSGSの経営権獲得により、アイドリングストップ車向け電池に関する最新技術の移転と、2014年の自動化製造設備導入による四輪車用電池500万個生産体制を構築する。 (2013年5月18日付日刊自動車新聞より)

-タイ生産拠点のSiam GS Battery Co., Ltd.社で、アイドリングストップ用鉛蓄電池の生産を始めたと発表。4月にタイで生産を開始した三菱自動車の「Mirage」に採用されたもので、海外でアイドリングストップ用の鉛蓄電池を生産するのはタイが初めてとなる。GSユアサはこれまで日本国内でのみアイドリングストップ用鉛蓄電池を生産していたが、三菱自が日本向けのMirageにアイドリングストップ機構を搭載するのを受けて、現地で生産することにした。日本向けMirageは、「M」と「G」グレードにアイドリングストップ機構「オートストップ&ゴー」を採用し、ガソリンエンジン搭載の登録車ではトップとなる27.2キロメートル/リットル (JC08モード) の燃費性能を実現する。 (2012年8月29日付日刊自動車新聞より)

2014年3月期 セグメント別業績見通し

(単位:億円)
  2014年3月期
(予想)
2013年3月期
(実績)
増減率
(%)
国内自動車電池 売上高 590 556 6.1
営業利益 40 39 2.6
国内産業用電池および電源装置 売上高 800 724 10.5
営業利益 110 108 1.9
海外 売上高 1,660 1,199 38.4
営業利益 85 64 32.8
リチウムイオン 売上高 280 106 164.2
営業利益 (75) (112) -
その他 売上高 170 160 6.3
営業利益 0 (1) -
合計 売上高 3,500 2,745 27.5
営業利益 160 98 63.3

開発動向

研究開発費

 (単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
国内自動車電池 663 596 -
国内産業電池および電源装置 1,793 1,558 -
海外 684 639 -
リチウムイオン電池 2,735 2,995 -
その他 351 460 -
合計 6,227 6,250 5,854

 

研究開発拠点

セグメント 会社名 所在地
国内自動車電池 (株) GSユアサ 日本 京都
海外 (株) GSユアサ 日本 京都
台灣杰士電池工業股份有限公司
[GS Battery Taiwan Co.,Ltd.]
台湾 台南
Yuasa Battery, Inc. 米国 ペンシルバニア州
湯浅 (天津) 實業有限公司
[Yuasa (Tianjin) Technology Ltd.]
中国 天津
リチウムイオン電池 (株) GSユアサ 日本 京都
(株) リチウムエナジージャパン 日本 滋賀県
(株) ブルーエナジー 日本 京都
(株) ジーエス・ユアサ テクノロジー 日本 京都

研究開発活動

国内自動車電池
-自動車用鉛蓄電池に関する研究開発を実施。この分野では、普及が進んでいる「充電制御車」および「アイドリングストップ車」などの低燃費車両に必要な自動車用電池技術として、充電受入性の向上などの開発を推進。

-国内で初めて通常車とアイドリングストップ (IS) 車の両方に搭載できる高性能バッテリー「ECO.R LONG LIFE」 (エコ・アール ロングライフ) シリーズを発表。同社標準品に比べ200~300%の長寿命を実現した。7月に発売し、年間で10万個の販売を目指す。 (2013年5月18日付日刊自動車新聞より)
 
-次世代プラグインハイブリッド自動車 (PHEV) 用リチウムイオン電池の新技術を開発。この新技術は、同社がNEDO (新エネルギー・産業技術総合開発機構) からの委託を受け、2007年よりLi-EADプロジェクトの一環として開発を行ってきたもの。従来、HEV用リチウムイオン電池に用いられていた三成分系正極と少量のリン酸鉄リチウムを複合することで、低SOC条件 (低充電状態) における出力性能および電池寿命の向上を図ることができる。同社は今後、さらに改良を進めるとともに、長期間の評価を行うことによって実用化への問題点を抽出していく予定。 (2012年11月8日付プレスリリースより)

-太陽光発電システムと大型リチウムイオン蓄電池を組み合わせた蓄電システムを開発したと発表。工場などの電力平準化や防災用電源などと して提案する考えだ。太陽光発電パネルとパワーコンディショナー、リチウムイオン電池などで構成。パワーコンディショナーは出力容量が10~50キロワッ トまで10キロワット単位で調整できるほか、蓄電池も16キロワット時を1ユニットとし、容量やシステムを個別設計できる。 (2012年8月13日付日刊 自動車新聞)

海外
-鉛蓄電池およびニッケル水素電池に関する研究開発を実施。自動車用鉛蓄電池の分野では、海外で生産・使用される「充電制御車」および「アイドリングストップ車」向け電池の開発を推進。タイにおいてもアイドリングストップ車用鉛蓄電池の生産を開始。

リチウムイオン電池
-リチウムイオン電池基礎研究開発
  • 中大型電池の信頼性・安全性の向上を目的として様々な研究を実施。特にリン酸鉄リチウム正極の早期事業化に向けた研究開発
  • リチウムイオン電池のさらなる性能向上を図るため、次世代正極、次世代負極材料の探索並びにその性能評価
  • ポストリチウムイオン電池に向けた研究
-車載用リチウムイオン電池
  • LEV50に続く高性能の新型セルの開発
  • ハイブリッド車用リチウムイオン電池のEH4に続く高性能の新型セルの開発

共同開発

-独Robert Bosch GmbHとGSユアサ、三菱商事の3社は20日、次世代リチウムイオン電池の共同開発で提携すると発表した。独シュトゥットガルトに合弁会社を設立し、2014年初から共同研究開発に着手する予定で、販売とマーケティングも展開する。リチウムイオン電池の蓄電容量の引き上げと重量低減を両立して、電気自動車 (EV) やプラグインハイブリッド車 (PHV) の航続距離の延長に貢献する技術開発を行う。合弁会社の投資額は未公表。出資比率はボッシュ50%、GSユアサと三菱商事がそれぞれ約25%で、比率に応じて取締役会と監査役会に3社が役員を派遣する。 (2013年6月21日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資費

 (単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
国内自動車電池 641 679 -
国内産業電池および電源装置 1,044 890 -
海外 4,078 3,447 -
リチウムイオン電池 24,943 30,525 -
その他 2,451 3,306 -
合計 33,159 38,849 20,005

-2014年3月期のリチウムイオン電池事業の設備投資額は、90億円、海外事業は60億円を予定。

-同社は、同社とホンダの合弁会社であるブルーエナジー (BEC) が、2012年11月6日付けで経済産業省低炭素型雇用創出産業立地推進事業補助金 (国庫補助金) 3,187百万円の交付を受けたと発表した。BECは、2011年2月に長田野工場 (京都) でハイブリッド自動車 (HEV) 用リチウムイオン電池の量産を開始。今回受領した補助金を活用した設備投資により、HEV用をはじめとしたリチウムイオン電池の年産能力を1500万セルへ拡大する予定。 (2013年1月10日付プレスリリースより)

設備の新設

 (2013年3月31日現在)
事業所名
(所在地)
設備の内容 投資予定総額
(百万円)
着手 完成
予定
目的
(株) GSユアサ
(京都市南区)
自動車用蓄電池等の製造設備 1,037 2013年
3月
2014年3月期および2014年4月以降 コスト低減
車載用リチウムイオン電池等の製造設備 253 2013年
3月
2014年3月期および2014年4月以降 研究開発設備の拡充
(株) リチウムエナジー ジャパン
(京都市南区)
車載用リチウムイオン電池等の製造設備 12,084 2013年
3月
2014年3月期および2014年4月以降 製造設備の新設、生産能力の拡充
(株) ブルーエナジー
(京都市福知山市)
車載用リチウムイオン電池等の製造設備 6,582 2013年
4月
2014年3月期および2014年4月以降 製造設備の新設
台灣杰士電池工業股份有限公司
[GS Battery Taiwan Co.,Ltd.]
(台湾台南市)
鉛蓄電池等の製造設備 834 2012年
12月
2014年3月期および2014年4月以降 生産能力の拡充
天津杰士電池有限公司
[Tianjin GS Battery Co., Ltd.]
(中国天津市)
鉛蓄電池等の製造設備 1,108 2012年
12月
2014年3月期および2014年4月以降 生産能力の拡充
Yuasa Battery, Inc.
(米国ペンシルバニア州)
鉛蓄電池等の製造設備 642 2012年
12月
2014年3月期および2014年4月以降 生産能力の拡充
PT. Yuasa Battery Indonesia
(インドネシア タンゲラン)
鉛蓄電池等の製造設備 622 2012年
12月
2014年3月期および2014年4月以降 生産能力の拡充
GS Battery Vietnam Co., Ltd.
(ベトナム ビンズン省)
鉛蓄電池等の製造設備 1,075 2012年
12月
2014年3月期および2014年4月以降 生産能力の拡充