Ficosa International, S.A. 2017年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
売上高 N/A N/A 1,100 949

再編

パナソニックが子会社化
-パナソニックは、所定の手続きを経て74日付で同社への追加出資の手続きが完了したと発表した。パナソニックは、Ficosa Inversionが保有する同社の株式20%を追加取得し、同社を発行済み株式総数69%を出資する連結子会社とした。今後同社は、パナソニックの1事業部と位置付けられる。パナソニックは、2018年度車載事業の売上高2兆円の実現に向け、両社が各々保有する技術を融合させ協業商品の開発を進めていく。電子ミラー、次世代コックピットシステム、ADAS等、今後の成長分野での事業拡大を目指す。 (201775日付プレスリリースより)

事業提携

-同社グループのADASENSVideantisは、自動運転車や先進運転支援システム(ADAS)への先進センシング技術の活用に向けて提携すると発表した。ADASENSのコンピュータービジョン技術と、Videantisの低消費電力、高性能なエンベデッドビジョンプロセッサとを一体化する。車載用のコンピュータービジョンは、画像を車の制御に利用できる情報に変換するために、複数のパワフルなCPUGPUを必要とする場合が多い。Videantisのプロセッサーは、複雑なイメージプロセッシングなどをより速く、より低電力に処理できるため、コンピュータービジョン技術をより小型なECUやカメラの中に組み込むことが可能になるという。(2017125日付プレスリリースより)

-同社とパナソニックは、両社の共同開発品について初めて契約を締結したと発表した。大手欧州自動車メーカー向けに内装リアビューミラーを生産する。このミラーは、料金徴収機能を搭載することで、停車させずに高速料金の自動支払いを可能にするもの。プロジェクト期間は7年間で、費用は50百万ユーロ。スペインViladecavallsにある同社の工場で生産を行う予定。このプロジェクトにおいて、パナソニックはクレジットカード読み取りモジュールを開発し、同社はシステム全体の電子化を担当した。(2016年9月28日付プレスリリースより)

受注

-同社は、中国市場向けバッテリーマネジメントシステム(BMS)を5件受注したと発表した。今回の契約は自動車メーカー2社からのもので、受注金額は200百万ユーロ規模、電気自動車(EV)およびPHV向け製品となる。同社のBMSはバッテリーの充電レベルを常時管理し、安全性を高める。今回受注したBMSのソフトウェア、ハードウェア、メカニクスはスペインBarcelonaViladecavalls Technology Centreで開発、2019年から中国の太倉技術センター(Taicang Technical Centre)で生産を開始する。(2018223日付プレスリリースより)

-同社は、アジアの自動車メーカーから、ダイヤル式シフトバイワイヤーシステムを初受注したと発表した。受注額は34.5百万ユーロ。同社は、ダイヤル式シフトレバーだけでなく、電子制御ユニット(ECU)やギアボックスアクチュエーター(GBA)を含めたシステム全体を供給するという。同社は、アジアの別の自動車メーカーから、シフトバイワイヤー式レバーも受注。受注額は6.9百万ユーロ。(20171128日付プレスリリースより)

-2016年、主要カーメーカーからのリアビューミラー受注が前年比で30%増加し、受注額181.6百万ユーロに達した。平均して契約期間は5年、受注額は約10億ユーロ。これらの受注に対応するため、同社は2021年まで年間27.3百万ユニットを生産する計画。

-フロントミラーおよび小型近接ミラーを欧州のユーティリティ車(UV)メーカーに供給すると発表した。このミラーはドイツのWolfenbuttelで開発された。UV向け中央開発システムおよび同社グループ全体のドイツ生産センターは、Lower Saxonyに拠点がある。(2016年12月12日付プレスリリースより)

-大手欧州自動車メーカーよりバックレストサスペンションマットおよびクッションマット、電気機械式ランバーアジャスターを受注したと発表した。これらの製品は、ポルトガルPortoにあるFico Cablesで生産される。2018年はじめに生産を開始する予定。(2016年7月7日付プレスリリースより)

-米国自動車メーカー2社よりあわせて4件の受注を獲得したと発表した。北米において5年間で890万ユニットのリアビューミラーを生産する。受注総額は510百万ドル (約449百万ユーロ)。4件のうち3件については、米国のテネシー州Cookevilleにある新工場で生産を行う。2016年10月に稼働を開始する同工場にとっては初の新規プロジェクトとなる。同工場における生産は、460百万ドル (405百万ユーロ) 相当になる見込みで、生産開始は2018年第1四半期を予定している。現在、プロジェクトマネージャー、技術者、エンジニア、オペレーター、人材スペシャリストなどを含め、新たに240名の採用を行っている。(2016年6月15日付プレスリリースより)

-2015年7月、同社のシフトバイワイヤー式オートマチックギアシフトが、Renaultの新型 「Espace」 に採用されたと発表した。このギアシフトの重量はわずか0.5kgで、従来のオートマチックギアシフトに比べて75%以上の軽量化を実現。「Minishifter」 とよばれる小型サイズの動作検出モジュールをベースとしたシステム。電子基板に搭載された同モジュールがレバーの動きを再現し、ECUシステムに信号を送る3次元の磁気センサーに、磁石を通じてその動きを伝達する。このオートマチックギアシフトの開発および生産は、スペインのバルセロナ県Viladecavallsにある同社の技術センターで行われている。(2015年7月22日付プレスリリースより)

受賞

-Toyota Motor Europeより「Value Analysis」賞を受賞したと発表した。同社は1998年より、スペイン、ポルトガル、トルコ、中国、ブラジル、米国、メ キシコの拠点で、ギアシフトシステム、ブレーキレバー、メカニカルケーブル、リアビューミラー、フロントガラスウォッシャーシステムなどの製品を開発・生産し、トヨタに納入している。(2016年4月12日付プレスリリースより)

-2015年4月、トヨタより3つの賞を受賞したと発表した。ポルトガルとトルコの生産拠点は、Toyota Motor Europeよりそれぞれ 「Quality」 部門と 「Value Analysis」 部門で受賞。Ficosa Chinaは一汽トヨタから 「Quality」 部門で受賞した。Ficosaは1998年より、スペイン、ポルトガル、トルコ、中国、ブラジル、米国、メキシコの拠点で、ギアシフトシステム、ブレーキレバー、メカニカルケーブル、リアビューミラー、フロントガラスウォッシャーシステムなどの製品を開発・生産し、トヨタに納入している。(2015年4月14日付プレスリリースより)

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
全社 N/A N/A 60.0 56.1


-同社は売上高の約6.5%相当額を研究開発費に充てている。

研究開発拠点

-下記の国に14カ所の研究開発センターを保有:

  • ブラジル
  • 中国
  • フランス
  • ドイツ
  • インド
  • イタリア
  • 日本
  • 韓国
  • メキシコ
  • ポルトガル
  • スペイン
  • トルコ
  • 米国

研究開発体制

-約1,000人が研究開発活動に従事している。

製品開発

テレマティクス・コントロール・ユニット
-パナソニックは、オートモーティブ&インダストリアルシステムズ (大阪府門真市) が同社と協業して開発した新製品「テレマティクス・コントロール・ユニット (TCU) 」を昨年12月から量産出荷を開始したと発表した。昨年9月に出荷開始した電子インナーミラーに次ぐ両社の協業開発製品。パナソニックがTCUを取り扱うのは初となる。(2018年1月16日付日刊自動車新聞より)

電子インナーミラー
-パナソニックオートモーティブ&インダストリアルシステムズ(AIS)は25日、子会社でスペイン自動車部品メーカーの同社と電子インナーミラーを共同開発したと発表した。9月下旬からトヨタ自動車向けのディーラーオプション製品として量産する。パナソニックが2015年6月に同社と資本提携してから協業して製品を開発したのは初めて。同製品は、広角レンズを搭載したカメラで後方の映像を撮影し、インナーミラーに内蔵した9.7インチTFTモニターに表示する。反射鏡を用いた従来品と比べて水平方向の広い範囲を映すことが可能。高感度カメラを用いることで夜間やトンネル内での視認性確保にも寄与する。(2017年9月26日付日刊自動車新聞より)

インテリジェントリアビューミラー

-「インテリジェントリアビューミラー (intelligent rearview mirror:IRMS)」を発売する。このシステムは、リアビューミラーにディスプレイを組み込んでおり、必要に応じてミラーとしても、車両後部に設置されたカメラの画像のモニターとしても使用することができる。パナソニックとの提携開始以降、両社が初めて開発した製品で、従来のミラーに比べて後方視野を2倍超となる50度に拡大した。また、パナソニックのLCDスクリーンも使用している。同社はこのIRMSの採用に関して、すでに複数の自動車メーカーと提携を進めており、2018年はじめごろまでにはこのシステムを採用した車両が販売されると見込んでいる。(2016年3月30日付プレスリリースより)

車載センサー、カメラレンズ自動洗浄システム
-2015年10月、車載センサーやカメラのレンズを自動で洗浄する新製品 「Sensor & Camera Cleaning」 を開発したと発表した。特許取得済みのこの製品は、水と圧縮空気の両方またはいずれかを放出するハイブリッドシステムにより、レンズの位置に合わせてカメラやセンサーの汚れを適切に取り除くことができるという。(2015年10月28日付プレスリリースより)

カメラとディスプレイを用いた電子ミラー
-カメラとディスプレイを用いた電子ミラー 「Camera Monitor System (CMS)」 を開発した。車の外装リアビューミラーを代替し、自動運転の実現を促進する技術となる。先進運転支援システム (ADAS) のビジョンシステムとして統合することで、より安全で快適な運転が可能になるという。シャシーの両側に1個ずつ設置されたカメラが、車内の2台の高画質ディスプレイにスムーズに画像を送信する。同社は2007年より電子ミラーの研究・開発を行っており、今回は第4世代となる。量産モデルに非常に近いプロトタイプで、すでに複数の顧客のニーズに合わせたカスタマイズを行っている。(2015年10月14日付プレスリリースより)

スマートコネクティビティモジュール
-モバイル展示会 「Mobile World Congress 2015」 において、先進通信機器部門が開発した最新の車載コネクティビティ技術を発表する。同社のスマートアンテナモジュールに、4G LTEテレマティクスコネクティビティモジュールを組み合わせた新製品を開発した。このスマートコネクティビティモジュール (SCM) は、車自体に通信機能を付与することで、ウェブの閲覧、映画や音楽鑑賞、オンラインゲームやGPSの利用などの機能を、複数のユーザーが異なるモバイル機器で同時に使えるようにするという。(2015年2月27日付プレスリリースより)

海外投資

<モロッコ>
-
同社は、50百万ユーロを投資し、モロッコRabatに工場を初めて開設したと発表した。700人を雇用し、2022年までに年間売上高150百万ユーロの達成を見込む。総面積は12,000平方メートルで、17,000平方メートルまで拡張可能。敷地内には、カメラの研究・開発センターも併設し、将来の自動車に不可欠とされる高度に複雑なビジョンシステムを開発・生産する。工場では、電気ケーブルセットに加え、リアビューミラーやシフター、ワッシャーなどの部品も現地市場向けに生産する予定。 (2018320日付プレスリリースより)

<米国>

-5,000万ドルを投資してテネシー州Cookevilleに新工場を開設すると発表した。270,000平方メートルの新工場では、日産、Ford、VW、FCAおよびGM向けにリアビューシステムの生産を行う。同工場の生産能力はリアビューミラー年間450万個。同工場では、2015年に始まったパナソニック北米拠点との業務提携を今後強化していくという。Ficosa North Americaでは米国系自動車メーカー2社より5年間で4つの契約、合計890万個のリアビューミラーを受注している。このうち3件の合計460百万ドルについてはCookeville新工場で2018年第1四半期から生産が開始される予定。(2016年10月31日付プレスリリースより)

-Ficosa North Americaは、米国のテネシー州Cookevilleにある新しい自動車部品工場において、現在数百名の従業員を採用していると発表した。面積27万平方メートルの同工場では、日産、Ford、Volkswagen、Fiat Chrysler、GMなどの自動車メーカー向けにリアビューシステムを生産する。同州をはじめとして、米国での生産能力拡大、製造業の雇用確保に貢献する。(2016年6月3日付プレスリリースより)

-米国テネシー州のCookevilleにあるHighlands Industrial Parkに生産工場を建設し、同国における事業を拡大している。工場面積は27万平方フィートで、投資総額は50百万ドル超。新工場では900名を超える従業員が勤務する予定。主にリアビューミラーを生産し、Ford、Chrysler、GM、Volkswagen、日産などの顧客向けに納入する。生産能力は年間450万ユニットとなる見込み。2015年6月に着工し、2016年末までにフル稼働を開始する予定。(2015年5月26日付プレスリリースより)

<ブラジル>

-サンパウロ州Jandiraに新工場を開設したと発表した。総面積は13,000平方メートルで、従業員数は273名。自動車向けにリアビューミラー、制御・コマンドシステム (ブレーキ、ギアシフト、ケーブル)、アンダーフード部品、電子システムを生産する。納入先はVolkswagen、Audi、Ford、Fiat、GM、Peugeot、Citroen、Renault、日産など。新工場の開設により、年産能力はリアビューミラー400万ユニット、制御・コマンドシステム300万ユニットになる。パナソニックとの提携により、同社はブラジルをはじめとするメルスコール (南米南部共同市場) における生産能力とプレゼンスを拡大する。新工場は、パナソニックのアマゾナス州Manausにあるエレクトロニクス工場とミナスジェライス州のExterma工場のサポートを受ける予定。さらに、このJandira拠点は、メルスコール向けに製品を開発する研究開発センターとしての役割も持つという。(2016年8月8日付プレスリリースより)


<中国>
-2015年5月、中国の遼寧省瀋陽 (Shenyang) 市に新工場を開設したと発表した。同社にとって中国で3番目の工場となる。工場面積は10,000平方メートルで、17,000平方メートルまで拡張が可能。今後4年間で従業員約400名を雇用する見込み。主にリアビューミラーや自動ギアシフトシステム、パーキングブレーキなどを生産し、BMW、華晨汽車 (Brilliance)、長城汽車 (Great Wall)、北京汽車 (BAIC) などに納入する。Ficosaはまた、BMWより中国におけるミラーの単独サプライヤーにも選ばれている。(2015年5月21日付プレスリリースより)