住友ゴム工業 2006年度の動向

ハイライト

業績
(単位:百万円) 2006年度 2005年度 増減率 要因
全社
売上高 534,086 512,838 +4.1% 新商品開発、海外市場における拡販
営業利益 36,789 49,926 (26.3%) 原材料価格の高騰による
タイヤ事業
売上高 430,886 398,366 +8.2%

海外市場での販売堅調

営業利益 26,381 39,723 (33.6%) 原材料価格の高騰による

受注
新工法"太陽"で製造したダンロップブランドの高性能タイヤ"SP SPORT MAXX A1 A/S"の、トヨタ"レクサス"への新車装着が決定。"太陽"はタイヤの高精度と高性能を追求した同社独自の新工法で、騒音、振動、運転性を向上、優れた乗心地、燃費性能を実現し、高級車が求める様々な要求に対応する。 この工法によるタイヤ生産本数は、2007年には500万本を上回る予定。(2007年3月9日付プレスリリースより)

環境対策
2006年、同社グループの全工場でゼロエミッションを達成した。なお、同社グループの国内・海外タイヤ工場は2004年10月までにゼロエミッション達成済み。

2007年度の課題
成長市場への対応
世界的に旺盛なタイヤ需要に対応するため、海外を中心に積極的増産投資を推進。この一環として、2005年5月にアセアン中心のアジアマーケットをターゲットとして、タイにアジア3番目となるタイヤ製造・販売子会社を設立。2006年11月より第一工場が稼動開始している。また、第二工場についても2007年11月稼動に向け建設中。

同社グループ 新中期経営計画
-2005年2月に、2006~2008年度中期計画を発表。
-2008年度の主な数値目標は、売上高5,500億円、営業利益率10%以上、株主資本率35%、など。
-タイヤ事業を同社グループの成長を牽引する中核事業と位置づけ、高い成長が予想されるアジア市場へ重点的に経営資源を投入する。

同社グループ 長期ビジョン
-10年後のあるべき姿を描いた長期ビジョンを2006年8月に発表。
-「世界一の現場力・開発力・技術力」と「業界No.1の収益力」により、世界一の価値を提供する企業を目指す。
-2015年度の主な数値目標は、売上高8,000億円、営業利益率10%以上、株主資本比率40%、など。

開発動向

研究開発体制
-2003年設立のSRI研究開発にて、研究開発業務を行う。
-グッドイヤーとの世界的提携に基づく技術交流を実施。テーマ別にプロジェクトチームを編成し、共同調査研究を行っている。
>>>グッドイヤーとの提携に関する詳細

研究開発費

(単位:百万円) 2006年度 2005年度 2004年度
研究開発費総額 17,291 16,259 15,730

-タイヤ事業

14,215 13,157 12,841
タイヤ事業が占める割合 82.2% 80.9% 81.6%

新製品開発
・VEURO(ビューロ)VE302 : 高級車向けプレミアムコンフォートタイヤ。タイヤ内部の空気をデジタル解析した空気圧力変動シミュレーション"デジタイヤDRSⅢ"を採用。特殊吸音スポンジを搭載し、路面の凸凹によるタイヤ内部の空気の振動を抑制し、空洞共鳴音を低減した。

・EAGLE(イーグル)LS2000 Hybrid Ⅱ:ダンロップブランドのコンフォート系乗用車用タイヤ。グッドイヤー独自の技術であるトウモロコシを原料とした素材"バイオ・トレッド"に加えて、トレッドゴムの分子配合や屈曲性を強力にすることで、高い耐磨耗性とロングライフを実現した"バリュー・トレッド"の採用により、環境性能と経済性を高次元でバランスさせる新基盤技術"HYBRID(ハイブリッド)Ⅱ"を採用した。

第39回東京モーターショー(2005年)情報
「環境・先端・融合 ~近未来、価値ある社会へのメッセージ~」を出展テーマとして、石油外資源タイヤなど環境や安全性・快適性を追求する製品を展示。


■石油外資源タイヤ「ENASAVE ES801」[初公開]

<特長>
・石油系素材である合成ゴムの使用比率を下げ、ころがり抵抗の少ない天然ゴムの使用比率を高めるほか、ゴム補強剤、オイル、タイヤ補強材にも天然素材を採用することで、石油外資源比率を一般的なタイヤの44%から70%にまで引き上げた。 2006年3月発売予定。
  ポリマー: 合成ゴム→天然ゴム
  ゴム補強剤: カーボン→シリカ
  オイル: 鉱物油→植物油
  タイヤ補強材: 合成繊維→植物性繊維

・天然ゴムの使用量を上げることで、同社の従来品エコタイヤと比べて転がり抵抗を30%低減。

<新規採用技術>
・新素材「改質天然ゴム」
  天然ゴム使用比率を高めると、ブレーキ及びコーナリング時のグリップ力が低下する。これを克服するため、分子構造を改良した「改質天然ゴム」を開発。

<分子構造のイメージ>
合成ゴム
ゴム分子に枝葉のようについたベンゼン環でゴム分子を振動させグリップする
天然ゴム
ゴム分子の振動が小さくグリップ力が小さい
改質天然ゴム
エポキシ基がベンゼン環の代わりにゴム分子を振動させグリップする

・「エアロダイナミックテクノロジー」
  走行時に発生するタイヤの空気抵抗を低減するため、トレッドショルダーからサイドウォールにかけて施されるレタリングを排除する「エアロダイナミックデザイン」を採用。ドアミラー1個分の空気抵抗を低減。

専用トレッドパターン
・転がり抵抗低減のために ラテラルグルーブの角度を最適化。また、パットレス部の空気抵抗を低減。
・ノイズ低減のために パターンの左右で、横溝の配置を適正化。パターンは非対称にしていない。
・ウェット性能のために ハイドロプレーニングを抑制
・ドライ性能のためにクラウン部からショルダー部に向かってブロック剛性を強化。

設備投資

設備投資費用
(単位:百万円) 2006年度 2005年度 2004年度
設備投資総額 45,308 40,415 37,146
-タイヤ事業 42,253 37,041 34,804
タイヤ事業が占める割合 93.3% 91.7% 93.7%
-タイヤ事業においては、タイヤ増産のための設備改善及び生産設備の合理化・省人化等を中心とする設備投資を実施。主要な設備としては、名古屋工場・白河工場・泉大津工場及び宮崎工場の自動車タイヤ製造設備など。

海外投資

アジアではインドネシア、中国に次ぐ3番目のタイヤ生産拠点となる「スミトモ・ラバー(タイランド)」(SRT)の開所式を行った。SRTは2005年5月、同社の全額出資でラヨン県アマタシティ工業団地に設立、工場建設に着手した。敷地面積は58万平方メートルで、乗用車用およびSUV用タイヤを生産する第1工場が昨年末に稼働。乗用車用の量販ラジアルタイヤを生産する第2工場もこのほど竣工したのを機に、開所式を行った。(2007年3月12日付日刊自動車新聞より)

設備の新設計画(抜粋)
会社名
事業所
(所在地)
設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手年月 完了予定
年月
完成後の
増加能力
住友ゴム工業
名古屋工場
(愛知県豊田市)
自動車タイヤ
製造設備
6,217 2006年1月 2007年12月 -
住友ゴム工業
白河工場
(福島県白河市)
自動車タイヤ
製造設備
10,620 2006年1月 2007年12月 生産能力2%増加
住友ゴム工業
泉大津工場
(大阪府泉大津市)
自動車タイヤ
製造設備
5,196 2006年1月 2007年12月 生産能力40%増加
住友ゴム工業
宮崎工場
(宮崎県都城市)
自動車タイヤ
製造設備
9,207 2006年1月 2007年12月 生産能力12%増加
住友橡膠(常熟)有限公司 [Sumirubber (Changshu) Co., Ltd.]
(中国 江蘇省)
自動車タイヤ
製造設備
13,892 2005年10月 2007年12月 生産能力190%増加
SumitomoRubber
(Thailand)
(タイ ラヨーン県)
自動車タイヤ
製造設備
18,877 2006年1月 2007年12月 -