Knorr-Bremse AG 2006年度の動向

ハイライト

業績

単位:  百万ユーロ 2006年度 2005年度 変動率(%) 説明
売上高(連結) 3,120.6 2,743.3 13.8 下記の(注1)を参照。
営業利益 (連結) 185.5 154.1 20.4
売上高 (Commercial Vehicle Systems) 1,967.8 1,773.5 11.0 下記の(注2)を参照。

(注1)
- 2006年度、同社業績は、前年度同様の成長パターンを維持し、初めて30億ユーロを超える売上を計上することが出来た。 売上高は、前年比13.8%増加し、3,120.6百万ユーロであり、南米を除き2桁の増収となった。 商用車システム及び鉄道車両システムの両部門が増収に貢献した。

(注2)
- 2006年度、商用車システム部門は、全世界売上で、1,968百万ユーロとなり、これは前年度比11%の増である。世界の商用車業界の、全般的に良好な経済情勢(特に欧州)を背景として伸ばすことが出来た。

商用車システム部門の地域別動向

欧州

-欧州連結企業の商用車システム部門売上は、約11%増加し、1,204百万ユーロを達成した。 この増収の原因の一部は、高い売上水準であった前年を更に上回る、6%の伸びを示した(約493,000台に達した)。これは、エアブレーキ装備の商用車、及び、バス生産によるものであり、又、好調なアフターマーケット及びトレーラー部門の成長のおかげでもあった。商用車システム部門は、その強い市場での立場から、堅調な経済背景による利益を享受することができた。受注は、前年に比し20%アップを記録した。

-2006年1月、BavariaのAldersbach工場で、10百万台目のディスクブレーキの生産を達成した。 これは、この製品が市場で高い評価を受けている証拠でもある。2006年度には、ディスクブレーキの生産は2.3百万台を達成し、欧州地区での売上に多大な貢献をした。
-自動車メーカーへの売上げ増に加え、営業努力の結果、トレーラーマーケット及びアフターマーケットでの売上も増加した。アフターマーケットでも、同社製品を工場装着とする車の割合が増加したことによって増収となった。

米州:
北米:

-バスを含む商用車の生産は、512,000台の新記録を達成した。多くのメーカーがフル生産を達成した。この理由は、2007年度以降に適用される新しいEPA07排出規制の影響で、この基準値を満たすと商用車がコスト高になることにある。この短期的な追加的コスト高を避けるため、大口需要家が、購入計画を2006年度に前倒し発注したことによる。結果的に、多くのマーケットプレーヤーは、2007年度の自動車メーカー向け市場が40%まで落込むものと見ており、同社も、既に同年の計画に織り込み済みである。

同社グループ子会社、Bendixは、マーケットで強い立場を構築することが出来、2006年度の堅調な経済状況による成果を享受することが出来た。エレクトロニクス部門では、とりわけ車体安定のプログラムを組み込んだ新しいアンチロックブレーキ製品群(ABS6)がマーケットで成果を挙げたため、販売が強化された。

-ホイールエンド部門の企業でBendix社が運営している合弁会社、Bendix-Spicerは、期待通りの成果で2006年度の目的を達成している。 それに加え、合弁会社は、米国企業Dipro社を買収した。 Dipro社のブレーキ・シリンダー事業は、Bendix-Spicer社製品ポートフォーリオを補完し、北米でのアフターマーケットでの同合弁企業の立場をより強固にすることが可能である。

南米:
-2006年度も、ブラジルは、この地区の商用車市場で最大で最重要な地域である。バスを含む商用車生産は、2006年度約6%減産となり、137,000台であった。バスの生産台数は、若干増加したが、トラックの生産が、大幅に落込んだ。

アジア/オーストラリア:
-2006年度、この地域では、主たる商用車市場の生産量は全般的に増加している。事業活動を、特にインドで強化することにより、商用車システム部門は、ユーロ建てで、6%以上の売上増を達成することが出来た。

-2006年度、日本では、エアーブレーキ使用のトラック及びバスの生産は、4%減の185,000台で、日本の子会社の事業成績に影響を与えた。 この主要マーケットの顧客サービスを効率良く行うため、坂戸市に新鋭のロジスティック機能を備えた生産拠点を開設した。
-インドでは、商用車生産は約30%増加し277,000台であった。2005年にオープンし、合弁企業Knorr-Bremse Systems for Commercial Vehicles India Pvd. Ltd,. Pune工場は、好調を持続し、国内生産高は順調に増加した。主たる顧客は、インドの商用車メーカーTata Motors Ltd.社である。この合弁会社には、Tata Groupのメンバー企業である、Tata AutoComp. Systems Ltd. (TACO)社が出資している。

-中国では、商用車及びバス生産は約600,000台に達しており、前年を凌駕している。2006年度、同社は、これまでは販売活動のみであったが新たに生産設備を大連に開設した。最新鋭の生産システムで顧客の特注に対応した高品質のコンプレッサー生産が可能である。トーショナルバイブレーションダンパー部門では、同社の合弁会社、Hasse & Wrede Dalian社が、大連に工場を持っており、とりわけDalian Dieselの工場納入部品の注文を獲得したことにより、2005年度よりも、生産と販売を伸ばすことが出来た。2006年度に、更に、中国の商用車事業の本部を上海にオープンさせた。

2006年度戦略的プロジェクト
Bosch社との連携
-2006年当初より、同社とRobert Bosch GmbH社は、商用車ドライバー・アシスタンス・システム開発で、連携を進めている。 この事業のスタートのきっかけは、2000年より乗用車に装備しているBosch ACC アダプティブクルーズコントロールシステムを、同社が商用車用に適合させ、Knorr-BremseとBendixの商標で、世界的規模で、売り出そうと云うところにある。 次の段階としては、Bosch PSS プレディクティブ・セーフティー・システムの、商用車への採用である。 ACCやPSSのようなシステムは、ドライバーのストレス軽減、及び、道路上の安全性を増す観点からも重要な役割を果たす。アダプティブ・クルーズ・コントロールは車のフロントでモニターをし、スピードを計算し、ブレーキとエンジン出力を自動的に調整し、安全な距離間隔を維持する機能を有する。プレディクティブ・セイフティー・システムは、衝突の危険が発生したような場合に、ドライバーに警告シグナルを発する、又は、一瞬警告ブレーキを掛ける機能を有する。Bosch社との連携により同社はドライバー・アシスタンス部門で指導的な位置を強化することが出来た。

ホイールエンド事業でのパートナーシップ

-2006年5月、Knorr-Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH社は、Georg Fischer Automobilguss GmbH社、及び、 Schaeffler KG社と欧州におけるトラック、トレーラ、バスのホイールエンド開発、生産、販売に関する協力協定を締結した。 これは、特に、ブレーキディスクとホイールベアリングの製品寿命の長期化、ホイールエンド部品の重量の軽量化と、サービス性の強化を目的とした、製品開発を目指したものである。欧州におけるホイールハブ鋳造生産のリーディング企業である、Georg Fischer社と、FAGの商標のホイールベアリングの主要生産メーカーである、Schaeffler社と協調することにより、同社は、ブレーキングシステムとホイールエンドの相互作用の改善を目論んでいる。

ポーランドの新規設備
-2006年7月、Knorr-Bremse Polska Sfn Sp. z.o.o.社は、ポーランドの首都で事業を開始した。これは1990年代に営業開始した事業の拡張である。ポーランドの現地パートナー によって同国国内に、20箇所を超えるKnorr-Bremseのサービスセンターを展開しているが、ポーランドにけるアフターマーケットとトレイラー部門の拡大戦略を明確にするために、同社は戦略的に自社の設備を持った。

BendixによるDi-Proの買収
-2006年10月、同社の連結子会社Bendix Spicer Foundation Brake LLC (BSFB)社は、パワーダイヤフラムとコンビネイション・シリンダーのメーカーで、カルフォルニアに事業基盤を有する、Di-Pro Inc社の100%株式を取得した。Di-Pro社の製品はBendix社のアメリカでのアフターマーケット事業で戦略的に重要な製品であり、同社の成長戦略に欠かせない物である。

顧客利益のためのコラボレーション
-2006年3月、Bendix Spicer Foundation Brake LLC社は製品とサービスのポートフォーリオ拡大のためGorilla Brake & Components Inc.社と戦略的提携を組んだ。 オンタリオに基地を有するブレーキシュー再生品会社とのパートナーシップは、両社のアフターマーケットでの地位を向上させ、Bendix社の競争力を更に強化し、高品質な顧客サービスの実現を図る。

展望
-世界的経済の安定的な成長を前提として、同社の2007年度の売上は、全体として2006年度と同程度の成果が期待される。 この計画では、北米商用車マーケットの極端な不振は、その他の地域での成果によってカバーすることが可能であると、同社は予測している。

開発動向

(単位:百万ユーロ) 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度 2002年度
研究開発費 141 133 124 120 119

研究開発体制
本社のあるミュンヘンに新設された、Knorr Bremse Technology Centerは、2005年末に本格稼動した。

設備投資

各年12月期
(単位:百万ユーロ)
2006
年度
2005
年度
2004
年度
2003
年度
2002
年度
有形及び無形資産への投資額
(fixed and intangible assets)
107 114 78 70 70
原価償却費
(Depreciation)
104 97 94 79 83

資本投資の部門別配分:

各年12月期
(単位:百万ユーロ)

2006
年度
2005
年度
2004
年度
2003
年度
2002
年度
商用車システム部門
(Commercial Vehicle Systems) 
69.5 62.4 45.0 43.0 38.9
鉄道車輛システム部門
(Rail Vehicle Systems)
36.8 50.4 30.3 23.9 25.0

海外投資
大連新規コンプレッサー工場
- 2006年8月、同社は、中国大連でコンプレッサーの生産を開始した。 新規工場の生産能力は、年間約150,000台。最新鋭の生産設備で、顧客ニーズに合わせた高品質なコンプレッサーの生産が可能である。この工場は、国内マーケット向けに製品を供給するのみならず、アジア太平洋地区及びその他の同社マーケット向けにも供給する。

インド工場稼動開始
- 世界で最も成長している市場の一つであるインドで、同社の新規工場が2005年5月に稼動開始した。国内生産の開始により、2006年度の期間中に、同社は、インド国内のマーケットでの地位を強化することが出来た。 Puneにあるこの工場は、Knorr-Bremse Asia Pacific (Holding) Ltd., Hong Kong社 と Tata Auto-Comp Systems Ltd.社の合弁会社であるKnorr-Bremse Systems for Commercial Vehicles India Pvt. Ltd社によって運営されている。 同工場では、エアサプライ及びトリートメントシステム、エアブレーキバルブ、ブレーキシリンダーを生産。 2007年度からは、オートマティックスラックアジャスター、及び、ドラムブレーキも生産する。