Honeywell International Inc. 2012年12月期の動向

ハイライト

近年の動向

事業概況 (2012年12月期)

輸送システム部門
-2012年12月期の売上高は、前年比7.7%減少の3,561百万ドル (2011年12月期:3,859百万ドル)。

-約8%の減収の内訳は為替の影響が約5%、本来の売り上げの減収分が約3%。北米でガソリン車のターボ搭載率が上昇する一方、欧州では乗用車生産が減少したこと、補修部品の売り上げが落ち込んだことなどが響いた。

企業買収

-2011年、完全子会社のEgret Acquisitionが、EMS Technologiesの買収を完了したと発表。なお、Egret AcquisitionとEMS Technologiesを合併し、EMSを存続会社とする予定。 (2011年8月22日付プレスリリースより)

-2011年、EMS Technologies, Inc.を買収することで正式合意したと発表。EMSは米国を本拠とし、モバイルネットワーキングや衛星通信用のソリューションを提供している。買収金額は約491百万米ドル。EMSのモバイルリソース管理ソリューションには、多重無線システムや衛星による追跡・監視システムを搭載した車載コンピューターなどが含まれる。なお、買収手続きは2011年第3四半期に完了する見込み。 (2011年6月13日付プレスリリースより)

売却

-2010年10月、車載センサー製品事業をSensata Technologies (オランダ) に売却することで合意した。売却金額は140百万米ドルで、2011年初頭に手続きが完了する見込み。同事業ではカムセンサー、クランクシャフトセンサー、トランスミッションセンサー、ベーンセンサー、圧力センサー、ポジションセンサー、ホイールスピードセンサーなどを扱っている。年間売上高は約130百万米ドル。なお、この事業は同社のセンシング&コントロール (Sensing and Control) ユニットに含まれる。 (2010年10月28日付プレスリリースより)

合弁事業

-2011年、中国中化集団 (Sinochem Group) と中国に折半出資による合弁会社を設立することで合意したと発表。新会社は江蘇省の太倉 (Taicang) 市に位置し、非オゾン破壊性の硬質発泡フォーム「HFC-245fa」を生産する。建設・輸送・電化製品などの断熱材に使用されるもの。生産開始は2013年後半の見込み。また、Honeywellが発表した次世代のハイドロフルオロオレフィン (HFO) の発泡剤「Solstice Liquid Blowing Agent」も生産する予定。さらに、新会社はアジアにおける「HFC-245fa」の独占販売権も取得している。 (2011年10月10日付プレスリリースより)

受賞

-2012年、Fordより「World Excellence Award」で銀賞を受賞したと発表。同社のイタリアAtessa工場は、2011年にFordに納入したターボ50万台に関して、納期厳守率 99.5%・部品不良率6PPMを達成している。(2012年6月25日付プレスリリースより)

受注

<2012年>
製品 搭載モデル エンジン
ターボチャージャー Fiat 「Viaggio」 1.4L ガソリンエンジン
ディーゼル用可変ノズルタービン (VNT) 長城汽車 「Haval 5」 -
ディーゼル用可変ノズルタービン (VNT) 長城汽車 「Haval 6」 -
ターボチャージャー Chevrolet 「Cruze Eco」 -
ターボチャージャー Chevrolet 「Sonic」 -
ターボチャージャー Chevrolet 「Dodge Dart」 2013年モデル -
ターボチャージャー Fiat 「500 Abarth」 -
ターボチャージャー Chevrolet 「Silverado」 -
ターボチャージャー Volkswagen 「Touareg」 -
ターボチャージャー Tata 「Indica V2」 1.4L WGターボエンジン

<2011年>
製品 搭載モデル エンジン
ターボチャージャー 奇瑞汽車 (Chery) 「Riich G5」 2.0L ガソリンエンジン
ターボチャージャー 安徽江淮汽車 (JAC) 「Refine」 2.0L 4気筒ディーゼルエンジン
ターボチャージャー 安徽江淮汽車(JAC) 「Rein」 1.9L ディーゼルエンジン

<2010年>
 製品 搭載モデル エンジン
ターボチャージャー Chevrolet 「Cruze Eco」 1.4L
ボールベアリング Daimler 「Mercedes S350 BlueTec」 3.0L V6ディーゼルエンジン
2ステージ式パラレルターボチャージャー Land Rover 「Range Rover」 2011年モデル 4.4L V8ディーゼルエンジン
ターボチャージャー Daimler 「Mercedes S Class」 4.6L V8エンジン
ターボチャージャー Daimler 「CL Class」 4.6L V8エンジン
ターボチャージャー Chevrolet 「Cruze」 (2011年型、米国仕様) -
ターボチャージャー Volkswagen 「Polo」 (2010年型、欧州仕様) -
ターボチャージャー BMW 「X-6 ActiveHybrid」 -
ターボチャージャー 広汽フィアット (GAC-Fiat) -
ターボチャージャー 江准汽車 (JAC) -
可変ノズルタービン (VNT) 式ターボチャージャー Ford 「F-Series Super Duty」 6.7L ディ-ゼルエンジン
可変ノズルタービン (VNT) 式ターボチャージャー Volkswagen 「Polo BlueMotion」 1.2L ディーゼルエンジン
可変ノズルタービン (VNT) 式ターボチャージャー GM 小型ディーゼルエンジン 「Duramax」
ターボチャージャー Chevrolet 「Cruze」 1.4L

<2009年>
製品 搭載モデル エンジン
ターボチャージャー BMW 「760 Li」、「X6 M」、「X5 M」 -
ターボチャージャーシステム Jaguar 「XF」 3.0L V6ディーゼルエンジン

<2008年>
製品 搭載モデル エンジン
ターボチャージャー Ford 「Lincoln MKS」 (2010年モデル) 3.5L V6エンジン
ターボチャージャー BMW 「X6 xDrive50i」 V8ガソリンエンジン
ターボチャージャー Audi 「Audi A4」 3.0L ディーゼルエンジン
ターボチャージャー 起亜 (Kia) 「cee'd」 1.6L ディーゼルエンジン
可変ノズルタービン(VNT)式ターボチャージャー Tata 「Safari」 -
可変ノズルタービン(VNT)式ターボチャージャー Tata 「Xenon」 -

開発動向

研究開発費

(単位:百万米ドル)
  2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
全社 1,847 1,799 1,450
売上に対する比率 4.9% 4.9% 4.5%

-2010年、「米国再生・再投資法」 (American Recovery and Reinvestment Act) に基づき、米国エネルギー省から助成金27.3百万ドルを受領すると発表。この資金を元に、同社は六フッ化リン酸リチウム (LiPF6) 電解質塩の米国No.1サプライヤーとなることを目指す。LiPF6はハイブリッド車・電気自動車に使用されるリチウムイオン電池の主要原材料。同製品の製造プロセス開発は、米国ニューヨーク州Buffaloにある研究開発拠点が担当した。 (2010年5月24日付プレスリリースより)

研究開発体制

-同社のR&Dの活動拠点は、4か所:米国、欧州、インドおよび中国。

-2008年5月、チェコのBrnoに、ターボチャージャー技術に特化したR&Dセンターを開設。同社にとって5番目となるグローバルR&Dセンターで、統合エンジニアリング・マーケティングリサーチ機能を活用し、商用車/乗用車向け次世代ターボチャージャーの開発・検証などを行う専門施設。

製品開発

ターボチャージャー
-2012年、Honeywell Transportation Systems傘下のHoneywell Turbo Technologiesは、1.0L以下の超小型2気筒ディーゼルエンジン向けに、空気抵抗を最適化したターボ製品を開発した。インドにおいて、0.8Lエンジンに採用されている。また、Tata 「Indica V2」 の1.4L WGターボエンジン向けターボチャージャーなど、複数のターボチャージャー製品も発表。今後同社は、第3世代可変ノズルタービン (VNT) と回転式電動アクチュエーターを組み合わせた、可変ジオメトリーVNTターボなどの開発にも取り組んでいく。なお、インドにおいて同社は、2005年にPune工場を開設。その後、Bangaloreの技術センターで自動車用製品の製品開発・試験などを行い、インド事業を拡大している。 (2012年1月2日付プレスリリースより)

-2006年9月、世界初のパラレルシークエンシャルデュアルステージディーゼルターボシステムの生産開始を発表した。PSA 「407」、「607」 およびCitoroen 「C5」、「C6」 の4シリンダーエンジンに搭載される。この新しいターボ・システムは2006年のパリモーターショーで同社のターボ技術のスタンドに展示される。この新型 デュアルステージターボシステムのPSAとの共同開発は2003年に開始された。大型のターボの前に小型の高圧ターボを配置するシリアルシーケンシャル ターボチャージャーの構造を使わず、PSAと同社はこの新しいエンジン・プラットフォーム用にパラレルシーケンシャルの配置を選んだ。2基の小型ターボが 並列で配置され、高速回転時には同時に使用され、低速回転時には一基のみが働く構造になっている。 (2006年9月28日付プレスリリースより)

カーエアコン用冷媒
-2010年、カーエアコンの次世代冷媒としてデュポンと共同開発した「HFO-1234yf」が自動車メーカー各社に採用される見通しになった。欧州が 2011年から世界に先駆け開始する地球温暖効果の低い冷媒の使用義務化に合わせて開発されたフッ素系のガス。代替冷媒では二酸化炭素 (CO2) も有力候補の一つだった。しかし、車両の燃費、コストなどを勘案すると、1234yfに総合的なメリットがみられることから、冷媒の新しいグローバルスタンダードの座を手中にした。両社は2011年から新冷媒の生産を共同で立ち上げ、2015年をめどにグローバル供給体制を整える計画。 (2010年6月28日付日刊自動車新聞より)

-2009年8月、カーエアコン用の新規低GWP (低地球温暖化係数) 冷媒「HFO-1234yf」が日本での商業的用途で輸入許可が得られたと発表。国内での実用化については化学物質審査規制法関係当局が審査を行ってきた。その結果、1234yfは輸入数量の制限や特別管理、モニタリングを必要としないことが判定された。1234yfは、既存のカーエアコンシステムを流用できるため既存車両でも簡単に代替冷媒に切り替えられる。冷却効果が高く燃費削減につながるといったメリットも持つ。欧州では、2011年から発売される新車についてGWPが150未満のカーエアコン用冷媒を使用することが義務付けられている。現行のカーエアコン用冷媒 「HFC-134a」 のGWPが1300であるのに対して1234yfのGWPは4。325分の1という低水準を実現した。 (2009年8月17日付日刊自動車新聞より)

-2006年2月、地球温暖化 (GWP) 物質の使用量削減に関する2011年EU環境基準に適合する、自動車エアコン用冷媒を発表した。この新技術は最小限のシステム改造で、HFC-134aの直接代替物として使用可能なことが試験実証済み。同社では、二酸化炭素よりもさらに実用的でコストのかからない解決策であるとしている。この技術の更なる詳細は、3月に東京で開催される自動車技術会 (JSAE) 自動車空調会議で発表される。 (2006年2月16日付プレスリリースより)

技術提携

-2010年5月、DuPontとカーエアコン用の新冷媒を生産する合弁事業を立ち上げることで合意した。この新冷媒は、現行の冷媒に比べてGWP (地球温暖化係数) が99.7%低くなっている。両社は今回の合意に基づき、新冷媒「HFO-1234yf」の製造工場を建設する計画。「HFO-1234yf」は、2011年から施行される欧州連合 (EU) の規制に対応。2011年第4四半期から「HFO-1234yf」の供給を開始する予定となっている。 (2010年5月20日付プレスリリースより)

-2007年4月、 同社は、地球温暖化係数 (GWP) の低いカーエアコン用次世代冷媒の共同開発について米デュポン社と基本合意。欧州では2011年からGWPの低い冷媒の使用が義務付けられるため、その適合に向けて両社の開発資源を共同活用する。新冷媒は現行システムと技術的な互換性を保てるフッ素化ガスとする方針。自動車業界と連携を取りながら、2007年半ばをめどに具体的な仕様をまとめる。もう一つの次世代冷媒の有力候補であるCO2に対する性能、コストの優位性を確立し、幅広い採用を目指す。両社は、基本的には既存のカーエアコンをベースとした機構で活用できる新冷媒を開発、自動車メーカーの代替にかかるコストを抑えられるようにして普及に結びつける。 (2007年4月2日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万米ドル)
  2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
全社 884 790 644
輸送システム部門 93 48 89

海外投資

<スロバキア>
-2011年、スロバキアPresovにターボチャージャー工場を新設すると発表した。まず小型車および小型商用車向けに生産を行う。2012年までに操業開始となる予定。なお、同社は2010年に30億米ドルを超える新規受注を獲得している。2011年には100種類以上のターボ製品を発表する見込み。 (2011年3月31日付プレスリリースより)