Dana Incorporated (旧 Dana Holding Corporation) 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 増減率 (%) 要因
全社
売上高 5,826 6,060 (3.9) 1)
当期純利益 653 180 262.8 -
部門別売上高
ライトビークル 2,607 2,482 5.0 2)
商用車 1,254 1,533 (18.2) 3)
パワーテクノロジー 1,056 1,005 5.1 4)


要因
1) 売上高
-2016年12月期の全社売上高は、前年比3.9%減の5,826百万ドル。ライトビークル向けの売上は増加したが、為替の影響、およびオフハイウェイ車と商用車向けの売上減少が影響し、前年比マイナスとなった。

2) ライトビークル向け売上高
-2016年12月期の部門売上高は、前年比5.0%増の2,607百万ドル。為替による減収が141百万ドルあったが、ライトトラックの増産、および新規受注による増収幅がこれを上回り、前年比プラスとなった。

3) 商用車向け売上高
-2016年12月期の部門売上高は、前年比18.2%減の1,254百万ドル。減収の主な要因は、北米の大型トラック (Class 8) 向け売上の減少、ライトビークル部門への一部事業移管 (45百万ドル相当のプログラム)、ブラジル市場の需要減退。

4) パワーテクノロジー向け売上高
-2016年12月期の部門売上高は、前年比5.1%増の1,056百万ドル。為替によるマイナス影響があったが、北米、欧州のライトビークルエンジン向け増収幅がそれを上回り、前年比プラスとなった。

買収

-2016年11月、イタリアBrevini Groupのパワートランスミッション部門およびフルイドパワー部門を買収すると発表した。最初にBreviniの株式80%を取得し、残り20%は2020年までにオプション取得する計画。買収額は100百万ユーロの負債を含む325百万ユーロ。買収は2017年中に行われる見込み。1960年設立のBrevini Groupは約2,300名の従業員が在籍し、今回買収される部門の2015年売上高は388百万ユーロだった。(2016年11月18日付プレスリリースより)

-2016年10月、ブラジルの鍛造・機械加工部品メーカーSIFCOの製造設備やその他資産を取得することで合意したと発表した。取引額は69百万ドルで、2016年12月23日に買収完了。(2016年10月12日付プレスリリースより)

再編

-2016年8月1日付で社名を 「Dana Holding Corporation」 から 「Dana Incorporated」 へ変更すると発表した。社名変更後も引き続き、3つの主要市場において、電力伝達システムやエネルギーマネジメントシステムなどを中心とした4つの事業部門に注力する。(2016年7月21日付プレスリリースより)

最近の動向

-2016年11月、Spicer Electrifiedブランドの電動アクスルを発表した。モーター、コントロール、eドライブ技術を統合した電動システムで、同社の電気自動車およびハイブリッド車向け動力技術とドライブアクスルのポートフォリオが拡充される。現在生産している電動バン向けのSpicer EV Driveは、電気モーターからホイールまでの速度とトルクを管理する。2018年に発売予定の新たなeアクスルは、電動のトランジットバスや都市部配送車向けで、モーターとギアボックスを統合し、同社のシャシードライブトレイン技術を幅広く取り入れている。(2016年11月9日付プレスリリースより)

受注

-2016年12月、いすゞの米国拠点が2017年中頃に生産開始する中型トラック 「FTR」 2018年モデルにアクスルとドライブシャフトを提供すると発表した。新型 「FTR」 には、Spicerシングルリダクションドライブアクスル、Spicer 「E-Series」 ステアアクスルおよびSpicer 「Life Series」 ドライブシャフトが組み込まれる。同社ではこれまで、日本とタイのいすゞトラックにドライブライン部品およびサーマル技術を提供している。(2016年12月14日付プレスリリースより)

-Anand Groupの子会社Spicer Indiaは、Daimler Trucks Asia (DTA) より2016~2017年のアジアにおけるパートナーに選出されたと発表した。DTAは、三菱ふそうトラック・バスとDaimler Commercial Vehicles Indiaを傘下に持つ。今回の選出によりSpicer Indiaは、Daimler India向けのインドの軽量アクスルおよびドライブシャフト事業を確立するほか、アジア市場における三菱ふそうのプログラムにも参入することが可能になるという。DanaとAnandの合弁会社であるSpicer Indiaは、アクスル、ドライブシャフト、ドライブトレインなどを供給している。(Anand Group発表)

受賞

-2016年8月、納期遵守率100%の実績が認められ、日野より表彰されたと発表した。同社は、北米やアジアの工場からドライブシャフト、コンパニオンフランジ、ヨークなどを日野に納入している。これらのDana製品は、日野の中型トラックやトヨタのピックアップトラック 「Tundra」 に搭載されている。(2016年8月17日付プレスリリースより)

-2016年6月、Spartan Motorsより 「Spartan Diamond Award」 を受賞したと発表した。同社は、米国のケンタッキー州Henderson工場、オハイオ州Lima工場、イリノイ州Sterling工場において、商用車向けに 「Spicer」 のアクスル、ドライブシャフト、ステアリングシャフトを生産し、Spartan Motorsに納入している。(2016年6月8日付プレスリリースより)

-2016年6月、米国ミズーリ州のColumbia工場がFordより 「World Excellence Award」 の 「Gold Award」 を受賞したと発表した。同工場がこの賞を受賞するのは2年連続となる。同工場では、Ford 「Explorer」 および 「Lincoln MKS」 向けにドライブアクスルを生産している。(2016年6月7日付プレスリリースより)

2017年12月期の見通し

-2017年12月期の売上予測は6,200百万~6,400百万ドル。最近の事業買収やエンドユーザー向け売上の安定、為替による影響がプラス要因と見ている。

研究開発費

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
全社 196 183 176
売上高に占める割合 (%) 3.4 3.0 2.7

研究開発拠点

-2016年10月、ドイツNeu-Ulmにある研究開発施設に新たに試験センターを開設したと発表した。エンジンの試験能力を強化する。この1,440平方メートルの新センターには3台のエンジン試験台のほか、高温ガスや防音性能の測定が可能な試験台が設置された。これによりDanaは、ガスケット、バルブカバーシステム、空気/オイルセパレーター、ヒートシールド、防音製品を含む 「Victor Reinz」 のシーリング製品一式の試験を行うことができるという。(2016年10月3日付プレスリリースより)

製品開発

「Spicer Compact Series Plus」
-2016年9月、8~60トンのトラック・バス向けに軽量化・性能向上を実現したドライブシャフト 「Spicer Compact Series Plus」 を発表した。同社は現在、中型車向けにこのシリーズのドライブシャフトを生産している。全てのトルク容量に対応する6種類のモデルを2017年第2四半期に発売する予定。競合製品に比べて、最大10%の軽量化を実現している。(2016年9月21日付プレスリリースより)

シングルアクスル 「Spicer」
-2016年9月、グローバル市場向けのトラック・トラクター・長距離バス用シングルアクスル 「Spicer」 に関して、新たな詳細を公開した。このシングルリダクションドライブアクスルは6×2および4×2型で、連結車両総重量が32~45トン (70,000~100,000ポンド) 向けとなる。既存製品に比べて機械効率の向上や軽量化を実現した。すでに量産試作品の試験を開始しており、発売は2018年を予定している。(2016年9月21日付プレスリリースより)

エンジンダウンスピーディング対応ドライブシャフト
-2016年2月、エンジンダウンスピーディングに対応する新しいドライブシャフトを発表した。既存製品に比べ30ポンドの軽量化を実現し、商用車メーカー各社のトルクマネジメントへの取り組みをサポートする。この製品はClass 8の長距離輸送大型トラック向けで、現在OEMによる量産試作品の評価が行われている。(2016年2月29日付プレスリリースより)

EatonとCumminsのパワートレイン 「SmartAdvantage」 対応アクスル
-同社はEatonCumminsが新たに改良したパワートレイン 「SmartAdvantage」 の7つのバージョン全てに対応する新しいギア比を提供する。これらのバージョンには、従来のオーバードライブトランスミッションのほか、目標巡航速度が時速62マイル以下の小口トラック輸送および短距離輸送トラックで大幅な燃費向上を実現する新たなダイレクトドライブオプションが含まれる。このエンジンダウンスピーディングの導入により、400~475hpのCumminsの 「ISX15」 エンジンと10速自動マニュアルトランスミッション 「Eaton Fuller」 を組み合わせた 「SmartAdvantage」 パッケージは、従来のバージョンに比べて7.5%の性能向上を実現した。(2016年2月29日付プレスリリースより)

設備投資額

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
ライトビークル 208 140 129
商用車 34 33 38
オフハイウェイ 21 18 23
パワーテクノロジー 32 34 30
消去他 27 35 14
合計 322 260 234


-2017年12月期の設備投資額は350百万~370百万ドルになると予測。

国内投資

-米国ミズーリ州のJay Nixon知事は、Dana Light Axle Productsが同州のColumbia拠点を拡張すると発表した。投資額は39百万ドル。同拠点ではFord、GM、日産などの大手自動車メーカー向けに生産を行っている。プロジェクトの第1フェーズは2016年中に開始される予定。今回の拡張により、同拠点では現在の90名の雇用を維持しながら、今後数年間で135名に増員する計画。ミズーリ州はこれに関して、Dana Light Axle Productsが雇用創出基準を満たせば戦略的経済インセンティブパッケージを与えるとしている。(2016年8月30日付Missouri Department of Economic Developmentの発表より)

-2016年5月、米国のオハイオ州Toledoにおいて、新たにアクスル工場を開設すると発表した。もとは 「Jeep」 を開発したWillys-Overland Motorsの本拠で、FCA USのToledo Assembly Complexから3マイル弱の距離に位置する。Danaは、近年建設された10万平方フィートの工場を約30万平方フィートまで拡張する計画。今後数年間で約70百万ドルを投資し、2020年までに従業員300名超を雇用する。「Jeep」 への供給のほかに、別のグローバル自動車メーカー1社向けにもアクスルの組立を行う予定。2017年下期より、同社製アクスル 「Dana 30」 および 「Dana 44」 の改良版の組立を開始する。(2016年5月9日付プレスリリースより)

海外投資

<ハンガリー>
-2016年9月、ハンガリーGyorに新たにギア工場を建設すると発表した。2017年第1四半期に建設を開始する。工場面積は13,000平方メートル、投資額は約51百万ドル (46百万ユーロ) となる見込み。2020年までに従業員約200名を雇用する計画。「Spicer AdvanTEK」 のハイポイドリングギアセットまたはスパイラルベベルリングセット、ピニオンギアセットを生産する。Danaは、従来のバンジョーアクスル、ビームアクスル、四輪駆動システム向けにプライマリリングやピニオンドライブギアを生産している。今後、新工場でアクスルASSYの組み立てを行う可能性もあるという。同社にとってはGyorで4番目の拠点となる。(2016年9月8日付プレスリリースより)