Continental AG 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2016年
12月期
2015年
12月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 40,549.5 39,232.0 3.4 1)
EBITDA 6,057.4 6,001.4 0.9 -
シャシー・安全
売上高 8,977.6 8,449.7 6.2 2)
EBITDA 954.6 1,160.3 (17.7) -
パワートレイン
売上高 7,319.5 7,068.5 3.6 3)
EBITDA 756.2 730.7 3.5 -
インテリア
売上高 8,324.7 8,154.8 2.1 4)
EBITDA 904.2 1,082.2 (16.4) -
タイヤ
売上高 10,717.4 10,408.8 3.0 5)
EBITDA 2,828.7 2,604.3 8.6 -
ContiTech
売上高 5,462.5 5,367.8 1.8 6)
EBITDA 730.9 577.2 26.6 -


要因
1) 全社
-2016年12月期の売上は、前年比3.4%増。為替の影響を除くと前年比4.7%の増加となった。売上増の主な要因は、乗用車、ステーションワゴン、小型商用車の販売台数の増加。オートモティブ部門はアジアおよび中国市場で特に伸長した。

2) シャシー・安全
-同部門の2016年12月期売上高は、前年比6.2%増の8,977.6百万ユーロ。エレクトロニックブレーキシステム、ブレーキブースター、エアバッグコントロールユニットの売り上げが増加した。電動パーキングブレーキ付きのブレーキキャリパーの売上は、前年比48%の大幅増となった。先端のドライバーアシストシステムの売上は前年比36%であった。

3) パワートレイン
-同部門の売上高は前年比3.6%増の7,319.5百万ユーロ。ECU、インジェクター、ポンプ、ターボチャージャー、排気ガスセンサーの売上が増加した。バッテリーシステムは微増となったが、パワーエレクトロニクス、オンボードパワーサプライシステムは前年比減少となった。また、トランスミッション、フューエル&エキゾーストマネージメント事業の売上は増加した。

4) インテリア
-同部門2016年12月期の売上高は、前年比2.1%増の8,324.7百万ユーロ。インフォテインメント&コネクティビティ事業と商用車&アフターマーケット事業の売上が、生産中止や市場の低迷により減少。一方でボディ&セキュリティ事業、インスト&HMI事業は好調だった。

5) タイヤ
-同部門の売上高は、前年比3.0%増の10,717.4百万ユーロ。乗用車および小型トラック用の部品および交換タイヤの売上は増加したが、商用車用タイヤの売上は前年比4.0%減となった。同社のタイヤ売上本数は、2016年に初めて年間1億5,000万本を超えたとしている。

6) ContiTech
-同部門の売上高は、前年比1.8%増の5,462.5百万ユーロ。自動車OEM向けおよび補修部品の売上は増加したが、産業市場向けで、鉱業や石油産業向けの売上が低迷した。

企業買収

Hornschuch
-ドイツのバーデン=ヴュルテンベルク州Weissbachを本拠とする表面材メーカーHornschuch Groupの買収に合意したと発表した。北米の市場強化を狙う。Hornschuchはデザインフィルム、機能性フィルム、コンパクトフィルム、フォームラミネート、人工皮革などを製造している。2015年度の売上は410百万ユーロで、ドイツと米国の生産4拠点に1,800名以上の従業員が従事している。買収完了後、Benecke-KalikoはContiTech傘下に統合される予定。(2016年10月15日付プレスリリースより)

Hoosier Racing TireとZonar Systems
-米国インディアナ州のLakevilleを本拠とするレース用タイヤメーカーHoosier Racing Tireを買収したと発表した。また、米国ワシントン州のSeattleに位置するフリート管理システムメーカーZonar Systemsの過半数株式を取得する。Hoosier Racing Tireの従業員数は約500名で、2016年10月3日付で買収が完了した。一方のZonarの従業員数は330名で、北米における官民の商用フリート向けにシステムを提供している。今回の買収契約により、ContinentalはZonarの株式約81%を取得し、残りの19%超はDaimlerが保持する。取得手続きは2016年第4四半期半ばに完了する見込み。(2016年10月4日付プレスリリースより)

ASC
-米国のカリフォルニア州Santa Barbaraを本拠とするAdvanced Scientific Concepts (ASC) より、高解像度3Dフラッシュライダー (Flash LIDAR) 事業を取得すると発表した。この技術により、Continentalは先進運転支援システム (ADAS) のラインナップを強化し、高度自動運転や完全自動運転の実現に必要な周辺センサー群を拡充する。高解像度3Dフラッシュライダー技術の利点は、リアルタイムの画像認識と周辺環境認識を同時に実現できることにある。より詳細かつ正確な車両周辺の視界を実現し、昼夜を問わず、悪天候下でも堅牢な性能を発揮することができる。事業統合にあたり、その大半がエンジニアであるASCの従業員は、Continentalのシャシー&セーフティー部門ADAS事業部に加わり、カリフォルニア州Santa Barbaraにビジネスセグメントの本部を構えることになる。長期的には、同分野のエンジニアの数を100名超まで増員する計画。(2016年3月3日付プレスリリースより)

事業再編

-同社と横浜ゴムは2016年3月、合弁会社であるヨコハマコンチネンタルタイヤ (YCC) を2016年3月末で解消すると発表した。YCCは、日本および韓国の自動車メーカーのグローバル調達に対応するため、2002年に設立。その間、両社ともそれぞれのグローバル生産ネットワーク網を構築し、対応力を強化してきた。今後は、個々にビジネスを拡大していくことで合意。(2016年3月8日付プレスリリースより)

事業動向

-ホログラフィック光導波路技術・材料のリーダーである、シリコンバレーに本拠を置くDigiLens社と戦略的パートナーシップを締結した。このパートナーシップは、超薄型の拡張現実 (AR) ヘッドアップディスプレイ (HUD) を開発し、より広範囲な市場で様々なセグメントの自動車へ普及させることを狙いとしている。ContinentalとDigiLensの超薄型ホログラフィックヘッドアップディスプレイは、現在使われているシステムと比較して3分の1に小型化される。またこの技術は、ドライバーが自動運転をより早く受け入れることを容易にするという。ARヘッドアップディスプレイは、ラスベガスで開催されるCES 2017で初披露される。(2016年12月16日付プレスリリースより)

-スイスのテレマティクスプロバイダーLOSTnFOUNDは、Continentalのタイヤ空気圧モニタリングシステム「ContiPressureCheck」を既存のテレマティクスシステムに統合すると発表した。これにより、「ContiPressureCheck」が集めたタイヤの空気圧と温度に関するデータが、LOSTnFOUNDのユーザーインターフェースに表示される。テレマティクスシステムのネットワーク接続により、測定された値はモバイル機器でも受信が可能となる。(2016年3月23日付プレスリリースより)

受注

-Peugeot、Citroen、DSの各ブランドに新型インフォテインメントシステム「PSA Connect」を提供すると発表した。GENIVIソフトウェア標準に準拠したLinuxオープンソースオペレーティングシステムを使用し、オンラインサービスと幅広いスマートフォン統合ソリューションを提供する。(2016年11月28日付プレスリリースより)

-多機能スマートデバイスターミナルがMercedes-Benz 「E-Class」に採用。この多機能スマートデバイスターミナルは、センターコンソールにスマート機器を置くだけで充電できる。また外部アンテナと車載ヘッドユニットを組み合わせて、ワイヤレスbluetoothペアリングも可能。さらに、近距離無線通信(NFC)によってスマートフォンを車のデジタルキーとして使用することもできる。(2016年11月22日付プレスリリースより)

-2016年内にRenaultの新型「Scenic」および「Grand Scenic」のディーゼルモデル向けに、48Vハイブリッドシステムの納入を開始。これらのモデルには、量産車向けとして初めて48Vシステムを採用した「Hybrid Assist」システムが搭載される。従来のスタータージェネレーターの代わりに、連続出力6kW (最大10kW) の電気モーターを備え、ベルトを通じてエンジンのクランクシャフトを駆動させる。インバーター統合の電気モーターは、ドイツにあるContinentalのNuremberg工場から納入される。ContinentalとRenaultは、コスト効率の高いハイブリッドシステムの生産に向けて2013年から提携している。(2016年10月21日付プレスリリースより)

-宝沃汽車(Borgward) と提携し、Borgward BX7向けに4.2インチカラークラスターを開発した。このカラークラスターはサラウンドビューの高コントラストとQVGA高解像度(480X272)が特徴。オーディオ、エンタテイメントモジュールとのネットワークにより利便性に富んだHMI体験を提供することが可能である。(2016年8月4日付けプレスリリースより)

-同社のタイヤ空気圧監視センサー「VDO REDI-Sensor」の第5世代製品を発表した。同センサーは現代自動車、Ford、BMW、Mercedes-Benzの新型モデルに搭載可能なほか、BMWとMercedes-Benzの次期モデルにも対応する。搭載可能モデルは、現代自動車の「Tucson」および「i20」、Fordの新型「Galaxy」および「S-Max」、BMW 「7 Series」、Mercedes Benz 「E-Class」など。(2016年7月27日付プレスリリースより)

-Alfa Romeo 「Giulia」向けに統合ブレーキシステム「MK C1」を納入すると発表。このブレーキシステムの量産は世界初となる。「MK C1」では、ブレーキアクチュエーション機能、ブレーキブースター、コントロールシステム (ABSおよびESC) が小型・軽量のブレーキモジュールに統合されている。従来のブレーキシステムに比べて3~4kgの軽量化を実現したという。(2016年6月22日付プレスリリースより)

-Audi 「A3」の新型2.0Lガソリンターボエンジン「2.0l TFSI EA888」向けに、RAAX (ラジアル-アクシャル) タービン技術を採用した初のターボチャージャーの生産を開始した。このRAAX技術により、エンジン周りの稼働効率が最大3%向上するという。現在、この新型ターボチャージャーはチェコのTrutnov工場でのみ生産されているが、すでに中国で新工場を建設しており、2017年からこの製品の量産を開始する。さらに、北米でも工場を建設中で、2018年より新規受注対応に向け生産を開始する予定。(2016年6月20日付プレスリリースより)

-Volkswagen 「Tiguan」に同社の長距離レーダーセンサー「ARS 410」が標準搭載されていると発表した。このレーダーは、静止している物体と動いている物体を識別することができる。また、最長で170メートル先の歩行者などの対象物を認識し、ドライバーに警告する。霧や雨などの悪天候や強い太陽光の中でもロバスト性を発揮し、緊急時には自動ブレーキも作動させることができるという。(2016年6月15日付プレスリリースより)

-新型の自動車用トランスミッションアダプターを発売。BASF製のガラス繊維強化ポリアミド「Ultramid」を用い、従来のアルミ製に比べて55%の軽量化を実現した。「Mercedes-Benz E-Class」の新型に初採用されている。このトランスミッションアダプターは、トランスミッション「9G-TRONIC」に使用されているベアリングの主要部品で、今後「C-Class」や「S-Class」のモデルにも採用される見込み。(2016年4月4日付プレスリリースより)

-2015年にMANと大手欧州トラックメーカー1社がContinentalのeHorizonを採用したと発表。このシステムを搭載したトラックの生産は、この1年の間に欧州と北米で開始される予定。MANは、独自の技術とeHorizonを組み合わせて、「Efficient Cruise」とよばれるシステムを提供している。ドイツの認証機関TUVによると、「Efficient Cruise」では燃費を6%以上向上させることができるという。また、Continentalの試算では、2012年にeHorizonの量産を開始して以降、ディーゼル燃料の消費を195百万リットル超削減しているという。これは、金額で260百万ユーロ超、CO2で51.5万トン分に相当する。このセンサーシステムの開発にあたっては、地図情報を提供するクラウド開発会社HEREと提携している。(2016年1月19日付プレスリリースより)


-「Ward's 10 Best Engines 2016」に選出されたエンジンのうち7基に、同社のパワートレイン製品が採用された。採用された製品は以下の通り。

  • BMW 「340i」の3.0L 6気筒エンジン:自然真空漏れ検出 (NVLD)、キャニスターパージゲージ圧力センサー、電子スロットルコントロール (ETC)
  • GM 「Chevrolet Camaro」および「Cadillac ATS」の3.6L V6エンジン:直噴エンジンコントロールユニット、クーラント温度センサー、オイルレベルスイッチ、電圧安定化システム (Cadillac ATS)
  • GM 「Chevrolet Volt EREV」の1.5L 4気筒エンジン:クーラント温度センサー、ノックセンサー、EGRアクチュエーター、燃料供給モジュール
  • Ford 「Shelby GT350 Mustang」の5.2L V8エンジン:エンジンコントロールユニット、ノックセンサー、温度マニホールド絶対圧力センサー
  • 現代 「Sonata PHEV」の2.0L 4気筒エンジン:直噴パワートレインコントロールユニット、ガソリン直噴XL3.1ソレノイドインジェクター、クーラント温度センサー、自然真空漏れ検出 (NVLD) センサー
  • 日産 「Maxima」の3.5L V6エンジン:ノックセンサー
  • Volvo 「XC90」の2.0L 4気筒ターボ/スーパーチャージャーエンジン:オイルレベルスイッチ、燃料供給モジュール、密結合触媒コンバーター

(2016年1月14日付プレスリリースより)

受賞

-新しいAdBlueドージングシステムを採用した車両が、ドイツ環境支援協会 (DUH) による36のディーゼルモデルを対象とした試験場および実走行排気テスト (RDE) の両方で最優秀に選ばれた。受賞した4気筒ディーゼルエンジンは、排気ガス後処理に選択的接触還元 (SCR) 技術を使用しており、この技術では、インジェクターがAdBlue尿素を排気管に吹き込んで触媒コンバーター中での化学変化を起こすことで、窒素酸化物 (NOx) の大幅な削減をもたらす。ContinentalのAdBlueシステムは主に、インジェクター、ポンプを含むタンクフランジモジュール、専用の電子制御ユニットで構成される。電子制御ユニットはエンジンコントロールユニットと組み合わされ、インジェクターをコントロールし、ポンプの圧力を制御し、AdBlueタンクの充填レベルを確認する。タンクフランジモジュールに取り付けられたセンサーがAdBlueタンク尿素濃度を測定。SCRシステムはエンジン上にある水冷AdBlueインジェクションバルブの位置に直接取り付けられる。尿素溶液の凍結を避けるため、タンクフランジモジュールとインジェクター用の熱線も備える。 (2016年12月8日付プレスリリースより)

-Volkswagen Groupの2016年「Volkswagen Group Award」を受賞。(2016年6月2日付プレスリリースより)

-トヨタより「技術開発賞」を受賞したと発表した。トヨタの衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense C」の開発における貢献が評価されたもの。カメラとレーザーレーダーを単体のコンパクトユニットに統合したContinentalの統合センサーモジュールMFL (Multi-Function Camera with Lidar) が今回の受賞の対象となった。(2016年5月20日付プレスリリースより)

-トヨタよりアンチロックブレーキで「Excellence Award」を受賞。(2016年3月16日付プレスリリースより)

見通し

-2017年12月期の売上高は、430億ユーロを見込んでいる。内訳は、オートモティブグループが260億ユーロ、ラバーグループが170億ユーロと予想している。

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
シャシー・安全 773.4 691.2 629.5
パワートレイン 701.5 708.7 635.1
インテリア 956.0 697.3 570.9
タイヤ 260.9 244.9 216.9
ContiTech 119.7 107.5 85.3
合計 2,811.5 2,449.6 2,137.7

-全社売上の約6%が毎年研究開発費として投資されている。

研究開発体制
-2016年12月末現在、146拠点で研究開発を実施。

-シャシー&セーフティ部門取締役フランク・ジョーダン氏がソフトウエア開発要員を増強する方針を明らかにした。同社には現在、世界で1万3千人のソフトウエアエンジニアが在籍しているが、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転の技術開発を加速するのにソフトウエアのエンジニアが不足している。大学との連携を強化するなどして有用な人材を確保してADASや自動運転分野でトップランナーのポジションを維持する。(2016年11月28日付日刊自動車新聞より)

研究開発拠点
<中国>
-2016年8月、上海楊浦区 (Yangpu District) の新オフィスの運用を開始。このオフィスは楊浦区の尚浦中心(Shangpu Center) に置かれたもので、4フロアーから成り、面積は約8,000平方メートル。会議室、研究開発実験室もあり、就業員数は約730名。タイヤ部門はすでに移転済みで、パワートレイン部門傘下のハイブリッド・電気自動車用部品業務部、ボディ・電子事業部門傘下のインテリジェント交通システム業務部は2016年第3四半期と第4四半期にそれぞれ移転する予定である。新オフィスがオープンしても、楊浦区大連路の既存オフィスが同社中国本社としてそのまま機能する。(2016年8月9日付け各種リリースより)

-中国の江蘇省塩城 (Yancheng) 市に建設した試験センターが稼働を開始。中国汽車技術研究中心 (CATARC) と共同で設立した同センターは主に、電子ブレーキシステム、油圧ブレーキシステム、先進運転支援システム (ADAS)、タイヤなど、安全製品およびシステムの試験・評価をサポートする。第1フェーズでの面積は2,500平方メートルとなっている。(2016年7月11日付プレスリリースより)

-重慶に研究開発センターを新設し、2018年年初から運用を開始する。主に車載電子部品、新エネルギー車、工業の分野における製品開発、ソリューション開発を行う。2020年までに400名の研究要員を雇用する計画。(2016年6月30日付け各種リリースより)

技術提携
-同社は、Oxford大学との人工知能(AI)分野における研究パートナーシップを11月より開始。この提携の目的は、自動運転・自律走行、車輌アクセスシステムの改良、インテリジェント警告システムによる事故被害軽減、ドライバーと車両間の対話(ヒューマン・マシン・ダイアログ)など、将来的な人工知能使用の可能性を研究することにある。3年間のパートナーシップは、今後研究範囲の拡大と期間延長も計画されている。(2016年11月11日付プレスリリースより)

-同社と中国汽車技術研究中心 [China Automotive Technology & Research Center (CATARC)] は、戦略的提携の合意書を結んだと発表。両社は自動車の安全、環境保護、省エネなどの分野における提携関係を強めていくとしている。(2016年1月12日付け各種リリースより)

製品開発
生体認証を利用したアクセスシステム

-生体認証を利用したアクセスシステムをラスベガスのConsumer Electronics Show 2017で展示。同社は、キーレスエントリー/スタートシステム 「PASE (Passive Start and Entry)」 と生体認証を組み合わせて本人確認と車両のパーソナル化を目指す。運転者に車両の鍵に加え指紋も要求する二重の本人確認プロセスは、車両の盗難防止機能を格段に向上させる。また、カメラシステムが運転者の顔を認識し、自動的にシートやミラーのポジション、音楽、室内温、ナビなどのパーソナルセッティングが行われる。同社のIntelligent Glassも組み合わせることができ、運転者は窓ガラスを段階的に暗くしたり、車両に近づくときに自動的に明るくすることもできる。同社Body & Security事業部門トップのAndreas Wolfは、「このアクセスシステムはあたかもドアマンのように機能し、特定の装置を必要なときに思い通りに作動させることができる。」と述べた。これは各部品を常に作動させたままにする必要が無くなることを意味し、燃料の節約、燃費効率の向上につながる。(2016年12月15日付プレスリリースより)

アジア太平洋地域向けタイヤ
-アジア太平洋地域向けタイヤ「ウルトラ・コンタクトUC6」と「コンフォート・コンタクトCC6」を発表。ウルトラ・コンタクトUC6は、快適な乗り心地とオールラウンドで高いパフォーマンスを発揮することを目指して開発したタイヤ。サイズは15~19インチ。また、コンフォート・コンタクトCC6は、快適性を重視して開発したタイヤ。サイズは14~18インチ。(2016年10月25日付日刊自動車新聞より)

48Vハイブリッドシステム
-2016年内にRenaultの新型「Scenic」および「Grand Scenic」のディーゼルモデル向けに、48Vハイブリッドシステムの納入を開始すると発表した。これらのモデルには、量産車向けとして初めて48Vシステムを採用した「Hybrid Assist」システムが搭載される。従来のスタータージェネレーターの代わりに、連続出力6kW (最大10kW) の電気モーターを備え、ベルトを通じてエンジンのクランクシャフトを駆動させる。インバーター統合の電気モーターは、ドイツにあるContinentalのNuremberg工場から納入される。ContinentalとRenaultは、コスト効率の高いハイブリッドシステムの生産に向けて2013年から提携している。(2016年10月21日付プレスリリースより)

真空漏れ検査システムとアクティブパージポンプ
-中国市場に汚染物質排出の低減と国Ⅵ排ガス規制適合を叶える2種類の製品を提供する。1つは燃料蒸発ガスの漏れを検出するための真空漏れ検査システムである。同社が発売する自然真空漏れ検査センサーは0.5mm及びそれ以上の漏れを検出することが可能。もう一つの製品はアクティブパージポンプで、カーボンキャニスターが給油時に収集した揮発性有機化合物を洗い流すものである。このポンプは完全にエンジン真空状態の制限を受けずに脱離を行うので、エンジンがどんなコンディションでも脱離能力を保つことが可能である。(2016年10月11日付けプレスリリースより)

溝の深さを計測できるタイヤ空気圧モニタリングシステム
-タイヤの荷重やトレッドの溝の深さを計測できるタイヤ空気圧モニタリングシステム(TPMS)の新機能「eTIS」を開発したと発表した。地面との接地面積やタイヤの回転する動きから荷重や残溝を推定する。2018~19年にも新車装着向けに量産を開始する予定。現在、同社が生産しているTPMSで計測できるのは、空気圧やタイヤ内の温度だった。eTISでは、これらに加えて新たに荷重やトレッドの残溝が検知できるため、車両の過積載警告や、ゲージなどを使用しなくても自動で残溝を計測しドライバーに適切な時期にタイヤ交換を促すことができる。残溝の情報は、車両のテレマティクスなどを通じてタイヤの販売店に送ることも可能としており、データの幅広い活用が見込める。(2016年10月4日付日刊自動車新聞より)

LEDによるHMI
-LEDライトを用いたヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)システムを2020年をめどに実用化する。ダッシュボードを囲うようにLEDライトを配置するシステムで、自動運転車レベル3(自動運転で緊急時のみ手動運転)などでの手動運転から自動運転へ切り替えのタイミングを光で通知するなど、車両と人とのコミュニケーションに活用する。車内カメラと組み合わせれば、脇見運転しているドライバーに、運転に集中するよう促すことも可能。ドライバーによる手動運転と自動運転の切り替えが求められる自動運転車両での使用を想定している。新しいシステムは、ドライバーの目線方向や目の開き具合を検知する「インテリアカメラ」と組み合わせたシステムとして自動車メーカーに提案していく。このカメラは、ドライバーを監視する赤外線カメラで、17~18年に実用化する見通し。(2016年9月28日付日刊自動車新聞より)

商用車用の新型長距離レーダー
-商用車用の新型長距離レーダーシステム「Advanced Radar Sensor」を開発。視野が広く、最長で250メートル先の物体を検知できる。静止している物体と動いている物体を識別するほか、危険が迫るとドライバーへ警告し必要に応じて自動ブレーキを作動させる。また、体の一部が車の陰に隠れている歩行者なども検知できる点が特徴で、霧や雨、日光の眩しさなどにより視界が悪い状況でも物体を確実に検知するという。(2016年9月5日付プレスリリースより)

ジェスチャーコントロールシステム
-ステアリングホイールから手を離さずにジェスチャー操作ができるジェスチャーコントロールシステムを発表した。インストルメントクラスターにTOF (time-of-flight) センサーを統合することで可能となった。センターコンソール周辺でジェスチャーを行う従来のシステムでは、ドライバーがステアリングホイールから手を離したり、道路から目をそらしたりする必要があった。Continentalの新たなシステムでは、ステアリングホイール上でのジェスチャーに限定することで、ドライバーの注意散漫を最小限にしながら安全性を高めることができる。ステアリングホイールの裏に2枚の透明なプラスチックパネルを設置し、タッチパッドのように親指で操作する。電子部品は使用しない。現在は、ナビゲーションの設定、アプリの閲覧、音楽の再生、電話の応答、車載コンピューターの操作の4種類のジェスチャーを認識できるという。(2016年5月10日付プレスリリースより)

新型の自動車用トランスミッションアダプター
-新型の自動車用トランスミッションアダプターを発売した。BASF製のガラス繊維強化ポリアミド「Ultramid」を用い、従来のアルミ製に比べて55%の軽量化を実現した。「Mercedes-Benz E-Class」の新型に初採用されている。このトランスミッションアダプターは、トランスミッション「9G-TRONIC」に使用されているベアリングの主要部品で、今後「C-Class」や「S-Class」のモデルにも採用される見込み。(2016年4月4日付プレスリリースより)

車載ラジオプラットフォーム
-最先端の車載ラジオプラットフォーム「ソフトウェアラジオ (Software Defined Radio:SDR)」を開発。これにより、1つのプロセッサで多数の個別機能の制御が可能となり、ハードウェアを最小化することができるという。Continentalは今回、コストのかかるハードウェアを可能な限りソフトウェアに入れ替えるというシンプルなアプローチを用いた。そのためこのラジオプラットフォームは、高度に最適化されたSoC (システムオンチップ) 上で構成される。プラットフォームの中心には、ヒューマンマシンインターフェース、コネクティビティ、オーディオポストプロセッシング関連の全機能を処理するマルチコアプロセッサのほか、統合車両コントローラー、デジタルシグナルプロセッサ (DSP) が含まれる。DSPは、この新しいプラットフォームSDRのコアラジオ技術を実現する。(2016年2月12日付プレスリリースより)

尿素センサー
-ディーゼルエンジンの排ガス後処理をより効率化する尿素センサーの生産を開始。このセンサーは、SCRシステムをさらに最適化するほか、タンク内の尿素システムの品質、レベル、温度を測定することができる。複数の自動車メーカーに採用される予定。(2016年2月4日付プレスリリースより)

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
シャシー・安全 523.7 470.3 411.6
パワートレイン 544.4 468.4 428.0
インテリア 428.9 336.0 286.1
タイヤ 882.1 658.2 724.3
ContiTech 212.0 245.2 190.6
その他 1.9 0.7 4.8
合計 2,593.0 2,178.8 2,045.4

国内投資

-世界初となる48Vハイブリッドシステムの生産をドイツのNuremberg工場で開始。Continentalは現在、このハイブリッドシステムを使ったRenaultの新型「Scenic」および「Grand Scenic」のディーゼルエンジンモデルを電動化する一方、他の自動車メーカー向けのモジュール供給も促進している。Nuremberg工場への投資額は15百万ユーロ。48Vドライブシステムの年間生産能力は20万ユニット。同システムの生産ラインは3本あり、1本目のラインで整流器を生産、2本目のラインでステーターを生産、3本目のラインで最終組み立てを行う。(2016年12月15日付プレスリリースより)

海外投資

<インド>
-The Company announced that it inaugurated an electronic braking system manufacturing facility for four-wheelers at its Manesar Plant in India. This line produces a combined 600,000 ABS and ESC units a year for passenger cars. The Company is planning to increase production by 1.2 million units in the next fiscal year. The Company also plans to manufacture ABS for two-wheelers in the existing Brake Systems plant in Manesar. In 2018, the Bangalore plant will begin production of ECUs. (based on interview with Continental representatives)

-シャシー・安全部門が2016年中にインドでABSと横滑り防止装置 (ESC) の生産を開始すると発表した。ハリヤナ州GurgaonにあるContinental Automotive Brake Systemsの既存工場に、乗用車用ABSおよびESCの組立ラインを建設する。さらに二輪車用ABSの組立ラインも設置する計画。2018年には、BangaloreでECUの生産を開始する予定。(2016年1月21日付プレスリリースより)

<米国>
-米ミシシッピ州Clinton近郊で商用車用タイヤ工場の起工式を行ったと発表した。同プロジェクトの投資額は14.5億ドルで、2,500名の雇用を創出するという。2018年1月に建設が開始される見込みで、敷地面積は数百万平方フィートに及ぶ。ミシシッピ州議会は2月4日、今回の工場建設のために263百万ドルの助成金拠出を承認していた。(2016年11月4日付プレスリリースより)

-米国のミシシッピ州Clinton近郊に新たなタイヤ工場向けの用地を選定したと発表した。北米でのタイヤ事業拡大を進める。Continental Tire the Americasは今回、商用車用タイヤ工場の建設に向けて、ミシシッピ州との間で土地購入に関して合意した。新工場がフル稼働に達するまでの10年間で、投資総額は約14億ドル、従業員数は2,500名にのぼる見込み。2016年中に用地開発を開始し、2018年に着工する予定。生産は2019年末までに開始する計画。敷地面積は400ヘクタール超。広さ・立地の面で徐々に拡張していくことが可能だという。(2016年2月9日付プレスリリースより)

<アジア>
-アジアにおける先進運転支援システム (ADAS) 事業の拡大を目指す方針を表明。同社は、アジアの自動車メーカーからの周辺センサーの需要増に対応するため、2015年末にフィリピンのCalambaで短距離レーダーセンサーの生産を立ち上げた。さらに2016年秋にLidar付きマルチファンクションカメラの生産も開始する予定。将来的にCalamba拠点の生産能力は、短距離レーダーセンサー1,000万ユニット超、カメラシステム100万ユニット超になる見込み。また、中国では2018年に上海で長距離レーダーセンサーの生産を立ち上げる予定。年産能力は数百万ユニットを見込んでいる。(2016年8月29日付プレスリリースより)

<中国>
-中国の山東省青島 (Qingdao) における新工場の建設に関する了解覚書 (MOU) を締結。主に自動車用ホースを生産する。第一段階での投資額は20百万ユーロ超 (約200百万元) で、床面積は約15,000平方メートルとなる予定。ContiTechは今後数年間で、既存の加熱・冷却用ホースの生産ラインを数キロメートル離れた新工場へ移転する。新工場の第1フェーズにおけるフル稼働時の年産能力は、低圧パイプ約1,500万ユニットとなる見込み。市場の開拓状況に応じて、5年間でさらなる拡張を行う計画。2020年までに完了する見込み。現在、ContiTechは青島で500名超の従業員を雇用し、自動車用ゴムホースやホースASSYを生産・販売しており、主に中国自動車メーカーの国内拠点やアジア太平洋地域の拠点に納入している。(2016年7月19日付プレスリリースより)

-Audi 「A3」の新型2.0Lガソリンターボエンジン「2.0l TFSI EA888」向けに、RAAX (ラジアル-アクシャル) タービン技術を採用した初のターボチャージャーの生産を開始した。このRAAX技術により、エンジン周りの稼働効率が最大3%向上するという。現在、この新型ターボチャージャーはチェコのTrutnov工場でのみ生産されているが、すでに中国で新工場を建設しており、2017年からこの製品の量産を開始する。さらに、北米でも工場を建設中で、2018年より新規受注対応に向け生産を開始する予定。(2016年6月20日付プレスリリースより)

-ContiTech傘下のBenecke-Kalikoは、中国の江蘇省常州 (Changzhou) に新工場を開設したと発表した。自動車シートやアームレスト向けの内装材「Acella Eco」および「Acella Eco green」を生産する。2015年末に量産を開始した。従業員数は約100名で、今後数カ月でさらに50名を増員する計画。新工場への投資額は40百万ユーロ。Benecke Changshun Eco Trim (Changzhou) が運営する同工場では、表面材料「Acella Eco」を年間約1,000平方メートル生産する計画。新工場の開設により、中国における「Acella」の生産能力は倍増している。今後、需要が拡大すればさらなる拡張も計画される見込み。(2016年3月10日付プレスリリースより)

<韓国>
-ContiTech Fluid Ltd.は韓国・忠清南道の天安 (Cheonan) 市に自動車用エアコンホースの新工場を建設すると発表した。2020年までに1,900万米ドルを投資する。なお、新工場の敷地面積は53,762平方メートルの規模。(2016年3月9日付プレスリリースより)

将来的な投資

-2017年12月期の間に以下の設備投資を計画している:

  • ビークルダイナミクス部門におけるMK 100およびMK C1世代のブレーキの生産能力を世界的に拡張
  • 長距離および短距離レーダー、多機能カメラ等運転支援システム部門の生産能力を世界的に拡大
  • ルーマニアSibiu工場のトランスミッションコントロールシステムの生産能力を増強
  • ガソリン高圧インジェクションおよびガソリン高圧対応ポンプの生産能力を増強
  • 北米および中国におけるガソリンエンジン用ターボチャージャーの生産能力を増強
  • 48Vエコドライブプロジェクトの開発を中国、ドイツ、北米で推進
  • センターディスプレイの生産能力をドイツおよび北米で増強
  • 乗用車用タイヤの生産能力を東欧、中国、北米で増強
  • 商用車用タイヤの生産能力を北米で増強