The Goodyear Tire & Rubber Company 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2016年
12月期
2015年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 15,158 16,443 (7.8) 1)
営業利益 1,985 2,020 (1.7) 2)


要因
1) 売上高
-2016年12月期の売上高は前年比7.8%減の15,158百万ドル。主な減収要因は、ベネズエラ子会社の非連結化が531百万ドル、為替の影響が258百万ドル、価格・製品ミックスの悪化が230百万ドル、住友ゴム工業(SRI)との提携解消による米州での二輪車用タイヤの販売減少を主因とするその他タイヤ関連事業で188百万ドル、タイヤ販売本数減で75百万ドル。


2) 営業利益
-2016年12月期の営業利益は前年比1.7%減の1,985百万ドル。主な減益要因は、ベネズエラ子会社の非連結化(119百万ドル)、SRIとの提携解消による二輪車用タイヤの販売減少を主因とするその他タイヤ関連事業(61百万ドル)、為替の影響(30百万ドル)、タイヤ販売本数減(24百万ドル)、2012年から2015年における米州の社内カンパニー事業の消去に関連した過年度事象の修正(24百万ドル)。減益分の一部は原材料価格の低下(346百万ドル)、価格・製品ミックス(178百万ドル)、販売管理費の減少(56百万ドル)等の増益要因により相殺された。

住友ゴム工業との提携解消

-同社は2015年6月4日付で住友ゴム工業とのアライアンス契約及び合弁事業の解消について合意したと発表した。合意に基づき 「ダンロップ (Dunlop)」 ブランドの使用権は、住友ゴムが北米の日系自動車メーカーの新車向けタイヤ、ロシア、中近東アフリカなどの33カ国で獲得。北米の市販用と欧州では同社が使用する。欧州タイヤ製造拠点Goodyear Dunlop Tires Europe B.V.および日本国内の市販用グッドイヤー・ブランド・タイヤ販売合弁会社 (日本グッドイヤー) は同社が買い取る。一方、住友ゴムは北米タイヤ製造拠点Goodyear Dunlop Tires North America, Ltd.およびテストコース、日本国内の新車向けタイヤ販売会社 (ダンロップグッドイヤータイヤ) を買い取る。共同購買合弁会社および共同技術開発合弁会社は解散する。住友ゴムとのグローバルアライアンス契約解消手続きは2015年10月に完了した。

事業再編

-2015年12月、北米事業およびラテンアメリカ事業を2016年1月1日付で米州事業として1つに統合すると発表した。製品開発や市場予測、製品供給などのプロセスを統合することで、顧客や消費者に向けてより効率的なサービス体制を構築する。メキシコのSan Luis Potosiに2017年に開設予定の新工場を含め、今回統合される地域にある全工場で、メキシコ、ラテンアメリカ、北米の全ての顧客向けに生産を行う計画。(2015年12月1日付プレスリリースより)

事業提携

-2015年6月、住友ゴム工業と日本国内における 「グッドイヤー」 ブランド補修用タイヤの開発および生産に関する新たな長期委託契約を結んだ。両社はグローバル事業に関する提携解消に合意したものの、国内の補修用タイヤ事業では住友ゴムの開発力や供給体制を活用し、市場ニーズに適したタイヤを供給できる体制を構築する。グッドイヤーは補修用タイヤの安定供給を通じて、国内におけるブランドの存在感を高めていく。(2015年6月9日付日刊自動車新聞より)

受賞

-環境サステナビリティおよび環境スチュワードシップにおける実績が評価され、富士重工の米国子会社Subaru of Indiana Automotiveより2つの賞を受賞したと発表した。Goodyearはスバル 「Legacy」向けに新車装着用タイヤを納入している。(2016年5月19日付プレスリリースより)

主な受注

カーメーカー/ブランド

モデル タイヤ
トヨタ 「Auris Hybrid」 EfficientGrip 205/55R16 91V
ホンダ 「CR-V」 n.a.
Ford 「F-150」 Wrangler
「Super Duty」

n.a.

「Kuga」

Assurance

GM Cadillac 「CT6」 n.a.
BMW 「5 series」 n.a.
Audi 「A4」 n.a.
Mercedes 「E-Class」 Eagle Sport
Jaguar Land Rover Jaguar 「F-Pace」 n.a.
現代 「Creta」 EfficientGrip SUV

2017年12月期の見通し

-2017年12月期のタイヤ販売は、2016年12月期実績の166.1百万本に比べて、1%増加すると見込んでいる。

研究開発費

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
全社 388 382 399

研究開発拠点

-イノベーションセンターを2カ所 (米国Ohio州Akron、ルクセンブルグColmar-Berg)、研究開発センターを2カ所 (米国Ohio州Hebron、ドイツHanau)、タイヤ性能試験場を7カ所保有している。

製品開発

Lexus 「UX Concept」向けに開発したコンセプトタイヤ
-2016年9月、Lexusの新型コンセプトカー「UX Concept」向けにコンセプトタイヤ「Urban Crossover」を開発したと発表した。このタイヤには、オープンセル・ポリウレタン発泡体をタイヤ内側に使用したサウンド・コンフォート・テクノロジーや、パンク時に空気圧が完全に失われた状態でも、強化サイドウォールで車両重量を支えて最高で時速80キロの走行が可能なランオンフラットテクノロジーなど同社の最先端技術が採用されている。(2016年9月30日付プレスリリースより)

2016年ジュネーブモーターショーに出展したコンセプトタイヤ
-2016年3月、2016年ジュネーブ・モーターショーで2種類のコンセプトタイヤを発表した。「Eagle360」は球型デザインを特徴としており、優れた操作性、コネクティビティ、バイオミミクリー(生物模倣技術)、安全性を実現。「IntelliGrip」は最新センサー技術により路面や天候条件を診断。また、車両制御技術と連携することで安全性や走行性能を高めることができる。いずれも自動運転の実用化に貢献するタイヤ技術であるという。(2016年3月1日プレスリリースより)

特許

-2016年12月末時点における製品、工程、設備などに関する特許数は、米国で約1,900件、米国以外で3,600件。さらに、米国で約400件、米国以外で1,900件の特許を申請中。

設備投資額

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
米州タイヤ 618 618 434
欧州/中東/アフリカタイヤ 191 223 266
アジア太平洋タイヤ 137 124 154
その他 50 18 69
合計 996 983 923


-2016年12月期の設備投資は、主に米国、ブラジル、中国およびメキシコ工場の改修・拡張に充てられた。

海外投資

<中国>
-2016年11月、Goodyearは遼寧省大連の普蘭店 (Pulandian) 工場の第5期拡張建設に着工した。投資額は485百万米ドル。増築延床面積は5.67万平方メートル。2020年完工の予定。完成後、乗用車用ラジアルタイヤの年産能力は500万本に拡大する。今回の投資により大連普蘭店工場への総投資額は16億米ドルに達する。(2016年11月4日付けプレスリリースより)

<メキシコ>
-2015年4月、メキシコのSan Luis Potosiに新たにタイヤ工場を建設すると発表した。米州の顧客向けに供給する。米国やカナダの既存工場への投資と合わせて、北米およびラテンアメリカにおいて乗用車向けの高付加価値タイヤの需要増加に対応する計画。新工場は2017年半ばに生産を開始し、年間約600万本のタイヤを生産する予定。フル稼働時には、従業員約1,000名を雇用する。このプロジェクトへの投資総額は約500百万~550百万ドルを見込んでいる。(2015年4月24日付プレスリリースより)