Adient plc (旧 Johnson Controls Inc.の自動車用シート事業部門) 2017年9月期の動向
業績 |
(単位:百万ドル) |
2017年 9月期 |
2016年 9月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 16,213 | 16,790 | (3.4) | 1) |
純利益 | 877 | (1,546) | - | 2) |
部門別売上高 | ||||
シート事業 | 16,213 | 16,790 | (3.4) | 3) |
内装部品事業 | - | - | - |
要因
1) 全社売上高
-2017年9月期の売上高は、前年度比3.4%減の16,213百万ドル。北米でのボリューム減と97百万ドルの為替の悪影響による。
2) 純利益
-2017年9月期、877百万ドルの純利益を計上した (前年度は1,546百万ドルの純損失)。前年の分離に関連した1回払いの課税額不足に起因した2016年会計年度に比べ2,423百万ドルの増収。
3) シート事業
-2017年9月期のシート事業の売上高は前年度比3.4%減。北米での販売減による減収が544百万ドルと、為替差損 97百万ドルなどが中国の関連会社の合併による収益(64百万ドル)に相殺された。
中国事業
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出典: Adient |
-中国市場で圧倒的なプレゼンスを確保することが、同社の成長戦略の柱の1つ。すでにシートのジャストインタイム (JIT) 供給でトップであり、中国シート市場で45%のシェアを有する。
-上海汽車、東風汽車、第一汽車、長安汽車、北京汽車、広州汽車、華晨汽車等とそれぞれ合弁事業を設立したことにより、各OEM向けの納入シェアは高い。
-2017年9月期、同社の中国市場における売上高 (合弁事業を含む) は8.1億ドル。中国における事業規模は以下の通り:
- 合弁会社: 19社 (YFAIを除く)
- 技術センター: 4拠点
- エンジニア: 1,300名
- 生産拠点: 73工場 (32都市)
- 従業員数: 33,000名
-延鋒汽車内飾系統有限公司 [Yanfeng Automotive Interiors Co., Ltd.] に30.0%出資している。Johnson Controlsからのスピンオフ後も持分を保持。
事業再編
Futuris Groupの買収
-2017年8月、Futuris Groupの買収の合意に至ったと発表した。買収額は負債18百万ドルを含む360百万ドル。Futurisはミシガン州Oak Parkを本拠とし、シートと内装システムの設計および製造を手掛け、北米およびアジアに15カ所の生産拠点を設け、シートシステム、シートフレーム、ヘッドレスト、アームレスト、シートボルスターなどを製造する。同社の顧客はTesla、Ford、GM、Geely、Chery、Brillianceと自動車用シートサプライヤーなど。今回の取引は、9月30日までに完了する見込み。(2017年8月21日付プレスリリースより)
シート事業を「Adient」としてスピンオフ
-2016年10月31日、AdientはJohnson Controlsからの分社化が完了し、ニューヨーク証券取引所に上場したと発表した。大手シートサプライヤーとして、自動車メーカーに高品質の製品や優れた技術を提供する。従業員数は75,000名で、33カ国に230の生産・組立拠点を有する。特に中国市場では、17のシート合弁会社が32都市に60の生産拠点を運営している。(2016年10月31日付プレスリリースより)
受注
-グループ会社RECARO Automotive SeatingがMANから受注を獲得し、ポーランドSkarbimierz工場で増産すると発表した。オーストリアのMunichとSteyrにあるMAN工場向けに、MANの全モデル (TGL、TGM、TGS、TGX) 向け商用車用高級シートを供給する。増産開始予定は2020年。今回の運転席および助手席シートの受注は、年間約10万台分のMAN車両への供給に相当する。この受注により同工場におけるシートの生産量は年間30万台に引き上げられる。 (2017年1月12日付プレスリリースより)
受賞
-日本法人アディエント(横浜市西区)は、ホンダから2017年優良感謝賞の一つ「開発賞」を受賞したと発表した。16年10月に米ジョンソンコントロールズから独立したアディエントがホンダからサプライヤー賞を受賞したのは初めて。受賞した製品は、ホンダが中国市場で展開するアキュラのクロスオーバーSUV「CDX C-SUV」の17年モデルに搭載されたカップホルダー付収納式リアセンターアームレスト。ワンタッチ操作で収納できるリアセンターアームレストや、3人着座が可能なセンター席、高い質感、上級感と利便性を両立したデザインなどが評価された。 (2017年4月25日付日刊自動車新聞より)
-Toyota Motor North America, Inc. からサプライヤー賞(Supplier Diversity Excellence award)を受賞したと発表した。3月に開催されたトヨタの定例サプライヤー会議で表彰された。(2017年4月11日付プレスリリースより)
2018年9月期の見通し
-同社は2018年度の売上予想を1.7億ドルと発表した。
研究開発費 |
(単位:百万ドル) |
2017年9月期 | 2016年9月期 | 2015年9月期 | |
合計 | 488 | 460 | 599 |
研究開発拠点
-下記11カ所に主要なエンジニアリング開発センターを保有。
- 米国 ミシガン州 Plymouth
- ドイツ Burscheid
- ドイツ Kaiserslautern
- ドイツ Solingen
- スロバキア Trencin
- 中国 上海市
- 中国 長春市
- 中国 重慶市
- 日本 横浜市
- 韓国 安山市
- インド Pune
-日本法人アディエント(横浜市西区)は研究開発体制を強化する。研究開発拠点のジャパンテクニカルセンター(同市金沢区)に、前後や左右など6軸で走行時と同じ振動の状態を再現できる実験設備を導入するなど、試験設備の充実を図る。自動車各社が開発する自動運転車では、乗員の車室内での過ごし方が変わるとされる。異音や振動が少なく、乗り心地の良い自動車用シートを開発して競争力を強化する。(2017年9月12日付日刊自動車新聞より)
製品開発
最新乗員保護ソリューション
-最新の乗員保護ソリューションを北米国際自動車ショーに出展すると発表した。Adientが出展する自動運転コンセプト車「AI18」は、フロントシートに座席位置を正しい場所に保持する安全機能付きシートベルトを装備している。180度回転する助手席には、座席位置に応じて前後両方で作動するエアバッグを組み込んでいる。また衝突時には、予測補助システムとつながる自動座席修正システムが起動する仕組みとなっている。Adientは最近、セーフティシステムの大手サプライヤーAutolivとの提携を発表した。(2018年1月16日付プレスリリースより)
自動運転車用シート
-同社は自動運転車用シートを開発する。上級モデルの自動運転車向けシートのコンセプトモデル「AI17」を開発したのに続き、新しいコンセプトを採り入れた自動運転車用シートを開発して、9月のフランクフルトモーターショーに出展する。AI17は座席の旋回やシート傾斜角度の拡大など、自動運転車で重視される車内空間の快適性を向上する機能を備えたほか、シート構造の軽量化も図った。日本法人がAI17のデモ機を使って自動車メーカーに提案するとともに、各社の要望を今後の製品開発に反映させることで受注につなげる。(2017年7月21日付日刊自動車新聞より)
Vision Seatコンセプト
-2017年デトロイトモーターショー (NAIAS) で、Vision Seatコンセプトを発表した。新たなシートのメリットは、高品質で薄くて軽いシートプロファイル、より優れた乗員の運動性、簡単なシート調整など。Vision Seatの設計は、デザインの人間的側面の考察 (人間の体は座席に座っているときにどのような動きをするかという研究と対策) から始まった。その結果、相互に依存し切り離せないサブコンポーネントの構築で独自のコンセプトになった。AdientはVision Seatを設計する中で開発した原理を将来のシート生産に適用する。同社はまた、NAIASにおいてAI17自動運転シートシステムを発表した。AI17は、レベル3とレベル4の自動運転車へ向けた革新的なソリューションを提起すると同時に、将来のカーインテリアがいかに楽しいものになるかを表している。(2017年1月9日付プレスリリースより)
設備投資額 |
(単位:百万ドル) |
2017年9月期 | 2016年9月期 | 2015年9月期 | |
全社 | 577 | 437 | 478 |