Johnson Controls Inc. 2013年9月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
2013年
9月期
2012年
9月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 42,730 41,955 1.8 1)
セグメント利益 3,293 2,497 31.9 -
自動車部品部門
売上高 21,781 21,334 2.1 2)
セグメント利益 1,299 803 61.8 -
バッテリー部門
売上高 6,358 5,906 7.7 3)
セグメント利益 1,006 784 28.3 -

要因
1) 全社売上高
-2013年9月期の売上高は、前年比1.8%の増加 (為替差益を除いた場合、前年比2.0%の増)。自動車部品部門およびパワーソリューション事業の売上高が増加したことが寄与。一方で、為替差損およびビルディングシステム事業が軟調であったことで一部相殺。

2) 自動車部門
<シート事業>
-主要OEM顧客への生産量増加、買収効果および製品ミックスが寄与し増収。一部、為替差損や事業売却などのマイナス要因により相殺。

<内装事業>
-主要OEM顧客への生産量増加および為替差益が奏功し、増収となった。

<エレクトロニクス事業>
-一部で主要OEM顧客への生産量が増加したが、不利な決済条件・価格修正および為替差損が影響し、前年比で減収。

3) バッテリー部門
-優位な決済条件、製品ミックス、生産量の増加、銅価格上昇の価格転嫁が寄与し、増収。一部、為替差損により相殺。

売却

エレクトロニクス事業を売却
-2014年、自動車用エレクトロニクス事業をVisteonに売却することで合意したと発表した。売却金額は265百万ドルで、手続きは2014年第2四半期に完了する見込み。今回売却するのは、インストルメントクラスター、インフォテインメント、ディスプレイ、ボディエレクトロニクスの関連事業。また、欧州・北米・アジアにおける7つの研究開発センターに勤務する技術者約1,000名を含む従業員約4,800名が対象となる。今回のVisteonとの取引により、一連の自動車用エレクトロニクス事業の売却は完了するという。

-2013年9月、GentexにHomeLink事業の売却が完了したと発表した。売却金額は701百万ドル。「HomeLink」は自動車をベースにした制御システムで、ガレージドアオープナー、ドアロック、家庭用照明、セキュリティシステム、正面ゲートのほか、さまざまな無線装置を遠隔操作することが可能になる。

企業買収

-Tata AutoCompとの折半出資による合弁会社Tata Johnson Controls (TJC) を完全子会社化したと発表した。TJCは、大手自動車メーカー向けのシートシステムおよび部品サプライヤー。インド国内でPuneのエンジニアリングセンターを含む11拠点を保有し、従業員約2,100名を雇用している。(2013年5月28日付プレスリリースより)

合弁会社

-中国の浙江省海寧 (Haining) 市にZhejiang Wanfang New Materialsと自動車用ファブリックの合弁会社を設立することで合意した。新会社「Zhejiang Johnson Controls Wanfang Textile Technology Co., Ltd.」は、自動車用シートおよび内装製品向けのファブリックを生産し、中国および海外の大手自動車メーカー向けに納入する。2013年末までに設立する計画。(2013年8月28日付プレスリリースより)

海外事業

<中国>
-今後数年間で、中国の生産拠点を57から68に増やす計画を発表した。同社は1997年に中国での操業を開始し、現在は24のパートナーと32の合弁事業を展開している。現在は27都市に57の生産拠点を保有しており、エンジニアリングセンターは8都市、10カ所で稼働している。(2013年9月12日付プレスリリースより)

受注

-GM 「Chevrolet Corvette Stingray」の2014年モデルに先進クラスターディスプレイを供給。

-GM 「Chevrolet Malibu」の2014年モデルにAGM (吸収ガラスマット) バッテリーを納入する。同バッテリーの採用により、同モデルの燃費は約5%向上するとみられる。バッテリーの生産は米国ミズーリ州のSt. Joseph工場および同国オハイオ州のToledo工場で行う予定。

-米国エネルギー省が電化政策の一環として使用する大型プラグインハイブリッドトラック120台に、同社のリチウムイオン電池が採用されたと発表した。公共施設や自治体の電力会社などが使用するこれらのトラックには、Odyne Systems製のハイブリッドパワーシステムを搭載。このハイブリッドシステムにJohnson Controlsの電池を使用する。従来のディーゼルエンジンやガソリンエンジンに比べて、このハイブリッドシステムは用途によって最大50%の燃費向上を実現する。Johnson Controlsは、この電池の生産をミシガン州Holland工場で行う予定。(2013年6月6日付プレスリリースより)

-AGM (吸収ガラスマット) バッテリーを奇瑞捷豹路虎汽車 (Chery Jaguar Land Rover) に納入すると発表した。中国で生産・販売されるアイドリングストップ機能搭載車およびその他のモデルに採用されたもの。(2013年4月19日付プレスリリースより)

-セルビアの2工場からFiat 「500」向けにシート一式、ドアパネル、インストパネル、フロアコンソール、リアクウォーターパネル等の内装部品を供給している。

-GM 「Cadillac ATS」に以下部品を納入している:
  • シートASSY
  • シートフォーム
  • シートトリム
  • ヘッドライナー
  • オーバーヘッドコンソール
  • リアパーセルシェルフ
  • ワイヤレスコントロールシステム「HomeLink」
  • AGMバッテリー
なお、同モデルに採用されたレザーシートは、暖気・換気機能、クッションエクステンダー、ランバーアジャスター、4段階調整が可能なヘッドレストの他、無意識に車線を外れた際にドライバーへ警告を行なう触覚フィードバック機能を備えている。

-Chrysler 「Ram 1500」に以下部品を納入している:
  • シートASSY
  • シートメタル
  • シートフォーム
  • シートトリム
  • インストパネル
  • ドアパネル
  • ハードトリム
  • フロアコンソール
  • ワイヤレスコントロールシステム「HomeLink」
  • AGMバッテリー

受賞

-同社のメキシコ・Matamoros工場がFordより品質賞「Q1」を受賞したと発表した。2006年に開設されたMatamoros工場は、金属製フロントシートアジャスターを生産し、Fordのさまざまなモデルに納入している。同拠点がFordの品質賞を受賞するのは今回が初めてとなる。(2013年2月7日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2013年9月期 2012年9月期 2011年9月期
合計 1,006 1,025 876

研究開発拠点

自動車部品部門 技術センター
-米国 ミシガン州 Plymouth
-米国 ミシガン州 Holland
-ドイツ Burscheid
-ドイツ Solingen
-ドイツ Kaiserslautern
-ドイツ Remscheid
-ドイツ Monheim
-ドイツ Karlsruhe
-フランス Cergy
-ブルガリア Sofia
-スロバキア Trencin
-中国 上海
-中国 吉林省 長春市
-日本 神奈川県 横浜市
-韓国 京畿道 安山市
-インド マハラシュトラ州 Pune

バッテリー部門 バッテリー技術センター
-米国 ミシガン州 Holland
-米国 ウィスコンシン州 Milwaukee
-ドイツ Hannover
-メキシコ Monterrey
-ブラジル Sorocaba
-中国 上海

製品開発

先進クラスターディスプレイ
-GMと「Chevrolet Corvette Stingray」の2014年モデル向けに、先進クラスターディスプレイを共同開発すると発表した。このクラスターディスプレイは、多数の先進技術を備えるほか、インタラクティブパフォーマンスタイマーやタイヤ温度ゲージなど最大69の独自の情報を表示することができる。クラスターの中央に配置された8型の液晶ディスプレイは、運転シナリオに応じて情報の優先性を決めるテーマ設定が用いられている。これにより、ドライバーは以下の異なるテーマに沿ってゲージを再設定することができる:
  • レースカーのように性能データを優先する「track」
  • 日常の運転で使用する情報を優先する「tour」
  • スポーツカーの雰囲気を体感できる「sport」の3種類
(2013年9月12日付プレスリリースより)

ヘッドライナー
-Opelと、新型Opel 「Adam」向けにヘッドライナーを共同開発した。このヘッドライナーには複数のLEDが組み込まれ、星のように光る構造となっている。同モデルにオプション採用されたこの機能は、欧州のエントリーレベル車向けとしては初めてとなる。ぼんやりとした光でドライバーに眩しさを感じさせないため、停車中だけでなく運転中でもライトのスイッチを入れることが可能。重さはワイヤーを含めても200gと比較的軽量。また、カーラジオが60Wの電力を消費するのに比べて、このライトの消費電力は4Wのため車両のエネルギー管理にも大きな影響はないという。Johnson Controlsは、このヘッドライナーをドイツのUberherrn拠点で生産し、同国EisenachにあるOpelの工場へ納入している。(2013年5月6日付プレスリリースより)

48Vのハイブリッドバッテリーモジュール
-国際産業技術見本市「Hannover Messe」において、48Vのハイブリッドバッテリーモジュール「Micro Hybrid」を展示し、欧州で初公開する。この48Vバッテリーは、12Vのスターターバッテリーと組み合わせて使用されるもの。アイドリングストップシステムに比べて大幅に燃費が向上するほか、HV・EVシステムより費用対効果が高いとしている。この48Vバッテリーを使用した車両は、15~20%の燃費向上を実現するという。(2013年4月10日付プレスリリースより)

ヒップポイントマネキン
-自動車用シートの設計・生産において使用するマネキンとして、3つの国際基準を満たす「ヒップポイントマネキン」を開発した。今回、同製品が準拠するのは、自動車技術者協会 (SAE) の「SAE J 826」、ユーロNCAPの衝突試験における「GLORIA」規格、ドイツ自動車工業会 (VDA) の「VDA 304」。ヒップポイントマネキンを使用することで、試作車や実際の車両における乗員の位置を測定し、設計時と比較することができる。また、カーボン製の胴部は頭部拘束測定装置 (HRMD) の装着が可能で、これによりヘッドレストから頭部の位置も測定する。同社は2011年6月よりこの新型マネキンを使用しており、今後は自動車メーカー、自動車シートメーカー、外部の試験機関などに販売していく予定。(2013年2月19日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2013年9月期 2012年9月期 2011年9月期
全体 1,377 1,831 1,325
-自動車部品部門 754 777 638
 ・シート事業 467 549 446
 ・内装事業 235 171 146
 ・エレクトロニクス事業 52 57 46
-バッテリー部門 425 875 519

海外投資

<ドイツ>
-ドイツのZwickauにあるAGM (吸収ガラスマット) バッテリー工場を拡張した。投資額は1億ユーロ。今回のプロジェクトでは、新たに生産棟と物流棟を建設したほか、生産ライン4本を追加した。これにより、年産能力はこれまでの4倍となる660万個に増加。また、従業員数はこれまでの約200名から400名に倍増している。(2013年9月30日付プレスリリースより)

<南アフリカ>
-南アフリカのEast Londonにある内装部品工場を拡張。同工場では現在、ヘッドライナーやインストパネルなどの内装部品をDaimler 「Mercedes Benz C-Class」向けに納入している。今回の拡張により従業員200名を増員するほか、今後ドアパネルの生産も行う予定。新たに建設した建屋の面積は13,000平方メートルで、組立ライン3本を設置する。(2013年3月19日付プレスリリースより)

<セルビア>
-セルビアで以下の通り、2工場を開設した。両工場ともに納入先は、「500L」が生産されるFiat Automobiles Serbia (FAS) 工場:
  • シート工場:Kragujevac近郊のGrosnicaサプライヤーパーク内に位置し、ジャストインタイム生産システムでシート一式を生産し、Fiatの新型「500L」に納入
  • 内装部品工場:Magneti Marelli傘下のPCMAとの合弁会社でFASの工場内に建設された。ドアパネル、インストパネル、フロアコンソール、リアクウォーターパネルなど内装部品一式を納入する。
(2013年2月6日付プレスリリースより)

<ハンガリー>
-ハンガリー Mezolakの金属メカニズム工場において、新たな施設を開設したと発表。新たに建設した建屋には、ハイトアジャスターおよびリクライナーの生産ライン用に1,500平方メートル、倉庫用に1,500平方メートル、さらに400平方メートルの追加スペースが設けられている。同工場では過去2年間で約200名を増員し、従業員は現在600名超となっているが、今後半年間でさらに50名を増員する見込み。(2012年10月2日付プレスリリースより)