Federal-Mogul Corporation 2012年12月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万ドル) |
2012年12月期 | 2011年12月期 | 増減率 (%) |
要因 | |
売上高 | 6,664 | 6,910 | (3.6) | 1) |
EBITDA | 483 | 683 | (29.3) | - |
パワートレイン部門 | ||||
売上高 | 4,118 | 4,316 | (4.6) | 2) |
車両部品部門 | ||||
売上高 | 2,937 | 3,033 | (3.2) | 3) |
要因
1) 全社
-2012年12月期の売上高は、3.6%減(246百万ドル減)の6,664百万ドル。米国外の売上が60%を超えるため、主に対ユーロドル高による為替差損(288百万ドル減)が売上を押し下げた。
2) パワートレイン部門
-2012年12月期の売上高は、4.6%減(198百万ドル減)の4,118百万ドル。米国外の売上が70%を超えるための為替差損(191百万ドル減)、および不利な販売価格の影響(4百万ドル減)、前年保有在庫未消化による部門間取引の減少(44百万ドル減)が、外販売上増(21百万ドル増)と、BERUの取得による売上増(20百万ドル増)の増加要因を上回った。
3) 車両部品部門
-2012年12月期の売上高は、3.2%減(96百万ドル減)の2,937百万ドル。米国外の売上が50%を超えるための為替差損(97百万ドル減)。北米において製品ミックスがプレミアムからミドルグレードにシフトされたが、売上においては前年と変化が無かった。
受注
-同社は、「Ward's 10 Best Engines」に選出されたエンジンのうち8つに同社の製品が採用されていると発表した。これらのエンジンは、2013年モデルの車両に搭載されている。同社製品が採用されているエンジンは以下の通り。・ 2.0L N20直列4気筒ターボ (BMW 「328i」)
・ 3.0L N55直列6気筒ターボ (BMW 「135is」クーペ)
・ 3.6L V型6気筒Pentastar (Chrysler 「Ram 1500」)
・ 2.0L 直列4気筒EcoBoost (Ford 「Focus ST」および「Taurus」)
・ 5.8L V型8気筒スーパーチャージャー (Ford 「Shelby GT500」)
・ 2.0L 直列4気筒ターボ (GM 「Cadillac ATS」)
・ 2.0L 水平対向4気筒FA Boxer (スバル 「BRZ」)
・ 3.0L V型6気筒TFSIスーパーチャージャー (Audi 「S5」)
なお、同社はこれらのエンジンに様々な部品を納入しており、ピストン、リング、ライナー、スパークプラグ、バルブシート、バルブガイド、スライディングベアリング、インテークマニホールドガスケット、エキゾーストマニホールドガスケット、ダイナミックシール、サーマルマネージメント、摩耗防止スリーブなどがこれに該当する。 (2012年12月17日付プレスリリースより)
-同社は、同社のピストン、ピストンリング、エンジンベアリングを現代 「Elantra」の2012年モデルに供給していると発表。また、2012年モデルのLand Rover 「Range Rover Evoque」向けにピストン、ピストンリング、エンジンベアリング、ダイナミックシール、焼結部品を納入。この「Evoque」に搭載されるエンジン部品には、同社の耐熱カバー・機械カバーが採用されている。(2012年1月10日付プレスリリースより)
買収
-同社は、BorgWarnerのスパークプラグ事業を買収することで正式合意したと発表。この事業は、BorgWarnerが2005年に買収したBERUの1部門にあたる。今回の買収には、フランスのChazelles sur Lyon工場とドイツのNeuhaus工場が含まれる。この2工場の従業員数は約500名。現在、BERUブランドのスパークプラグを生産し、欧州自動車メーカーおよび自動車アフターマーケット向けに供給している。この買収により、Federal-Mogulの年間売上額は約80百万米ドル増加するとともに、スパークプラグの年産能力は350百万ユニット超に拡大する。また、買収する工場は、Federal-Mogulのイグニッション製品ブランド「Champion」を含む同社のイグニッション事業に統合される予定。このブランドの製品には、小型庭園用機器、モータースポーツ、乗用車、商用車、産業用機械で使用する燃焼型エンジン用スパークプラグが含まれる。なお、現在Federal-Mogulは米国・中国・インド・メキシコにおいて、イグニッション部品に関する生産工場を6拠点、テクニカルセンターを3拠点稼動している。一方のBorgWarnerは、グロープラグ、ディーゼル用冷間始動システム、その他のガソリン用イグニッションシステムなどBERU Systemsの中核製品の拡大に引き続き注力する計画。(2012年7月2日付プレスリリースより)新会社
-TPRは24日、フェデラル・モーグルと合弁で、米国にシリンダーライナーを生産する新会社「TPRフェデラル・モーグルテネシー」を設立すると発表した。資本金は2千万ドル(約16億円)で、出資比率はTPRアメリカが53.9%、フェデラル・モーグルパワートレーンが46.1%とした。2013年5月に生産を開始、年間の生産規模は14年に1200万本を予定する。(2012年4月25日付日刊自動車新聞より)事業再編
-同社は、2012年9月1日付けで同社の事業区分を「パワートレイン(Powertrain)」と「自動車部品(Vehicle Components)」の2つのセグメントに再編したと発表。パワートレインセグメントは、自動車用および大型・産業製品用のOE部品を生産する。対象はピストン、ピストンリング、シリンダーライナー、バルブシート、バルブガイド、ベアリング、スパークプラグ、ブッシュなど。一方の自動車部品セグメントは、アフターマーケット向けに様々な製品を販売するほか、自動車メーカーおよびサプライヤーにもブレーキ摩擦材、シャシー、ワイパーなどの部品を納入する。なお、同社はパワートレインに関して、世界に79の生産拠点と12のエンジニアリングセンターを保有。自動車部品についても31の生産拠点、8つのエンジニアリングセンター、20の物流センターを有している。(2012年9月4日付プレスリリースより)-同社は、2012年第2四半期に生産拠点の再編計画を開始した。ブレーキ摩擦材製品およびワイパー製品の生産を、同社のグローバル生産ネットワークにおける低コスト生産拠点へ移転する計画。最近行われたメキシコのブレーキ摩擦材工場の買収もこの再編計画の一環となる。同社は今後18ヶ月の間に、複数のブレーキ摩擦材工場とワイパー工場を閉鎖または大幅に縮小する見込み。この再編プログラムにかかる費用は総額60百万米ドル。2012年第2四半期の決算において、プログラムの一部としてまず7百万米ドルが計上された。(2012年7月26日付プレスリリースより)
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万ドル) |
2012年12月期 | 2011年12月期 | 2010年12月期 | |
合計 | 179 | 172 | 156 |
売上高に占める割合 | 2.7% | 2.5% | 2.5% |
研究開発拠点 |
(2012年12月31日現在) |
米国・カナダ | 欧州 | その他地域 | |
テクニカルセンター | 8 | 6 | 2 |
<米国>
-ミシガン州Plymouth、イリノイ州Skokie、ミシガン州Ann Arbor、ペンシルバニア州Exton
<海外>
-ドイツ:Burscheid、Nuremberg、Wiesbaden、Bad Camberg
-英国:Chapel
-フランス:Crepy
-中国:上海
-インド:Bangalore
-日本:横浜
製品開発
ピストン-軽量で高強度のアルミ製ピストン「Advanced Elastoval II」を開発した。ガソリン直噴エンジンの出力密度および効率性を高めるもの。この「Advanced Elastoval II」ピストンは、従来のピストンに比べて最大20%の軽量化を実現。また、壁部分の厚さをこれまでの4mmから2.5mmと薄型化した。このピストンは、2012年中に欧州の乗用車向けに量産が開始される計画。(2012年7月10日付プレスリリースより)
-高出力ディーゼルエンジンでの高強度・高熱に対応するアルミ製ピストンを開発した。BMWが3.0Lトリプルターボディーゼルエンジン(N57D30S1)に初めて採用する。このエンジンは、1リットルあたりの出力が93kW(124bhp)となる強力な軽量ディーゼルエンジン。同社のアルミ製ピストンは、同社の生産プロセス「Durabowl」を用いて燃焼ボウル縁部を強化することで、機械的負荷・熱負荷に耐えることが可能になった。アルミピストンの生産・開発拠点であるドイツのNurembergセンターで開発が行われた。なお、同社は小型・大型ディーゼルエンジン向けに、スチール製およびアルミ製のピストンを生産している。(2012年6月19日付プレスリリースより)
摩擦材
-トライボロジー的フィンガープリントプロセスを用いて、銅の使用を低減またはゼロにした様々なブレーキパッドを開発した。銅使用に関する法的規制の開始に向けて各社が代替材料の導入を目指すなか、同社の「Eco-Friction」は顧客試験において既に成果を挙げている。このフィンガープリントプロセスは、ブレーキパッドに使われる個々の原材料に関してデータセットを作成するもの。銅のフィンガープリントデータを用いて、ブレーキパッドの加熱・冷却による機能の変化を調査。1,500種類の原材料を選別して、同じ温度範囲において銅と同様の磨耗・摩擦パターンを持つ材料を特定した。その結果、単一で銅の代替となる原料はなく、同社のブレーキパッドは20から30の異なる機能を持った材料を組み合わせたものとなっている。様々な種類の金属硫化物、鉱物、研磨材、繊維、セラミック粒子、グラファイトを用いることで、「Eco-Friction」は銅含有のブレーキパッドと同じ磨耗・摩擦特性を実現した。なお、米国の数州では、ブレーキパッドにおける銅の使用を段階的に制限する方針で、まずパッド全体の重量に対して銅の使用量を5%以下に規制する。最終的に規制値は0.5%以下となる見込み。(2012年6月25日付プレスリリースより)
システム保護
-エキゾースト絶縁スリーブ「Thermflex」の製品群を拡大した。新たに開発されたこの製品は、エキゾーストパイプとエキゾーストチューブを結合した際のあらゆる形状に合うように調整が可能。また、熱をエキゾーストシステムに閉じ込めることで、エミッションコントロールシステムの効率性を高める。玄武岩糸で作られたこの製品ラインは最高750℃までの耐熱性を持ち、周辺の部品に対する放熱を軽減する。さらに、スリーブの直径を最大1.5倍に拡大することで、エキゾーストシステムに通常使用するフランジやベンドを用いることが可能になった。試作品の検証が終了すれば、同社のSystems Protection工場で生産を開始する計画。(2012年5月23日付プレスリリースより)
ライト
-LEDアンビエントランプの新製品を開発した。同社製のライトパイプに容易に組み込み可能で、少ない光源でも均一で広範囲な照明を提供。インストパネル、センタースタック、コンソール、ドアパネル、スピーカー、カップホルダーなど決まったエリアをはじめ、車体全体に取り付けできる。同社はまた、金属メッキ処理を施したLED照明も新たに開発。光源がオフの時は金属風の外観となり、オンの時は照明が見える。アルミ、銅、ニッケル、クロム、チタンなど様々な金属でのメッキが可能。(2012年1月4日付プレスリリースより)
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万ドル) |
2012年12月期 | 2011年12月期 | 2010年12月期 | |
パワートレイン部門 | 285 | 266 | 175 |
車両部品部門 | 86 | 68 | 58 |
全社 | 16 | 14 | 18 |
合計 | 387 | 348 | 251 |