Eaton 2006年度(2006年12月期)の動向

ハイライト

業績(12月期)

単位:百万ドル 2006年度 2005年度 増減率
(%)
要因

全体

  売上高 12,370 11,019 12.3 下記1)参照

自動車部門(Automotive)

  売上高 1,683 1,733 (2.9) 下記2)参照
  営業利益 137 225 (39.1) 下記3)参照

トラック部門(Truck)

  売上高 2,520 2,288 10.1 下記4)参照
  営業利益 448 453 (1.1) 下記5)参照

要因
1)
-2006年度は継続的な好況に支えられ、業績は好調。電気機器部門、液圧制御部門及びトラック部門は、前年度を上回り、過去最高となった。 自動車部門は北米並びに欧州市場の落ち込みにより前年を下回った。
-2006年度の売上は12%増であり、これは6%の有機的成長、5%の企業買収効果、及び1%の為替差益からなっている。

2)
-2006年度の自動車部門の売上は3%減となった。 この売上減は、事業買収による2%の売上増、為替差益による1%の売上増があったにもかかわらず、6%に及ぶ販売量の減に起因している。 この売上減はNAFTAの自動車生産対前年比3%減、並びに、欧州での1%の生産減が大きく影響している。 又、国内自動車製造業市場でのシェアダウンも影響している。

3)
-2006年度営業利益は39%ダウンであったが、それは、営業利益率を3.1%減少させた、52百万ドルのExcel 07関連経費に大きく左右されたためである。 この営業利益減は北米及び欧州での自動車生産量の減にも影響を受けた。

4)
-2006年度トラック部門売上は記録的で対前年比10%増であった。 今年度の売上増は8%の有機的成長、2%の為替差益によっている。有機的成長は末端市場の根強い需要に支えられ、特にNAFTA大型トラックは11%増の378,000台に達した。 NAFTA中型トラック生産は対前年比9%増、欧州トラック生産は5%増、ブラジル自動車生産は2%増であった。

5)
-営業利益は販売増があったにも拘らずExcel 07の経費増に影響され、1%減となった。

受注

-2006年3月、International Truck and EngineとFreightliner Custom Chassis Corporationが製造するステップバンタイプの配送車50台にハイブリッド動力システムを供給すると発表した。 これらの配送車は、世界最大手の宅配業者UPSが購入する。 UPSでは、従来の動力方式と比べてこの車は、燃費が35%優れていることに加え、車両排気物も大幅に削減できると見込んでいる。
-Cheryから、II型バルブアクチュエーションの長期契約を受注した。
-高効率のTVSスーパージャージャーを発表し、欧州の大手OEMから受注した。>>>"開発動向"参照

業務提携
2006年3月、モバイルリソースマネジメント(MRM)の大手次世代ソリューションサプライヤーである@Road, Inc.と、同社のビークルソリューション事業部門が戦略的協定を締結したと発表した。 協定に基づき、@Roadと同社は、包括的なフィールドアセットマネジメント(FAM)ソリューションの開発を協力して進めることに加え、世界の商用車市場において共同マーケティングや共同配送を行なっていく。

企業買収
2006年10月、Catalytica Energy Systems Inc.よりディーゼル燃料加工技術及びその関連事業資産を2.4百万ドルで買収したと発表した。この資産買収契約によれば、EatonはCatalyticaのディーゼル燃料加工システムに関連した知的財産所有権を取得すると共に、一定の資産を取得する。更にEatonは、Catalytica Energy Systemsのカリフォルニア州Mountain Viewにある研究開発設備を取得する。ここでは12人が排気制御ソリューションに関する設計開発を行っている。

リストラクチュアリング
2006年の第一四半期に、"Excel 07"プログラムを発表、開始した。このプログラムは、2005年に不振であった、また2006年後半から2007年にかけて減速が予測される事業の資産水準や業績に関して取り組み、2006年に完了する一連の対策。
Excel 07プログラムの一環として、同社は、3か所の大規模な工場閉鎖を発表した。
・英国 Manchesterの大型トラックトランスミッション工場
・ミシガン州Saginawのエンジンバルブアクチュエーション工場
・スペインMontornes del Vallesのエンジンバルブ工場
また、2006年10月には、欧州トランスミッション及びエンジンコントロール製品工場をBprgWarner, Inc.へ売却した。モナコにある同工場は、2006年度で57百万ドルの売上が予測される。同工場はオートメーテッドトランスミッション、コモンレールディーゼル及びガソリンエンジンなどの高圧コントロールソレノイドを生産していた。


展望
2007年度NAFTAの大型トラック生産は2006年度から44%落ち込み、205,000台から210,000台とみている。よってトラック部門の営業利益率は減少することが予測されるが、06年度に実行したExcel 07の方策が全体の業績の落ち込みを緩和するものと見込んでいる。
自動車生産は、NAFTAは減少し、欧州は横ばいと予測。同部門の利益は06年度に実行したExcel07が大きく作用し、改善するものとみている。

開発動向

研究開発費用(12月期)

(単位:百万ドル) 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度 2002年度

研究開発費

321 285 259 223 203


製品開発
-2006年6月、同社はクラス8の大型商用車マーケット向けに、ハイブリッド・エレクトリック・パワー・システムの開発を開始したと発表した。走行時の効率性、及び大幅な燃料の節約、排気ガスの減少のためのアイドリングの減少の双方を目指す。この大型車用のシステムは、同社の既に成功しているクラス4-7車用の中型ハイブリッド・エレクトリック・システムと類似の設計で、多くの部品を共用するが、クラス8の車両の道路走行用に適応させる。同社の大型ハイブリッド・システムを使用するフリート・ユーザーは、走行中及び停車中の両方で燃費の節約をすることが出来る。最近の独自のテスト結果によれば、従来のクラス8の車両に対し、走行時で5-7%の節約、停車中で一時間当たり一ガロンの節約となっている。これは通常の操業状態では、年間一台のトラックあたり、約9,500米ドルの節約に相当し、1,000台保有の典型的なトラック輸送業者であれば、年間950万米ドルのコスト削減が出来る。

-2006年8月、同社と米国環境保護庁(EPA)は、初の運搬車両用ハイドロリックハイブリッドディーゼルエンジンを発表した。EPAが特許を保有するハイドロリックハイブリッドディーゼル技術は、燃料効率を60-70%上昇させ、且つ二酸化炭素の発生を40%抑えることができることを大型UPSトラックによる初期実験室試験で実証している。

-2006年10月、同社は最新世代型ルーツ式スーパーチャージャーを公表した。搭載車はよりコンパクトで高性能なコンプレッサーでエンジン出力をより高めることができる。新型スーパーチャージャーの名称はTwin Vortices Series (TVS)、パテント取得済のTVSはfour-lobeローター方式、高流動性インレット、アウトレットを導入しており、熱効率が格段に向上した。TVSは拡張・縮小が可能でほとんどすべてのエンジンに搭載ができる。