八千代工業 (株) 2015年3月期の動向

業績

(IFRS、単位:百万円)
2015年
3月期
2014年
3月期
増減率
(%)
備考
全社
売上収益 150,225 146,441 2.6 -自動車部品および自動車組立における受注の減少などはあったが、為替換算上の影響により増収
営業利益 14,497 17,021 (14.8) -原価改善効果や為替換算上の影響はあったが、受注の減少や国内での減損損失により減益
税引前利益 14,521 16,541 (12.2) -
親会社の所有者に帰属する当期利益 8,341 11,575 (27.9) -
日本
売上高 40,148 45,216 (11.2) -自動車部品および自動車組立における受注の減少
税引前利益 3,430 8,323 (58.8) -原価改善効果はあったが、受注の減少や減損損失により減益
米州
売上高 36,939 31,147 18.6 -為替換算上の影響により増収
税引前利益 2,613 909 187.5 -原価改善効果
-メキシコの操業準備費用の減少
中国
売上高 19,586 17,696 10.7 -八千代工業 (武漢) における受注の減少はあったが、為替換算上の影響により増収
税引前利益 3,938 3,486 13.0 -
アジア
売上高 53,553 52,383 2.2 -タイにおける受注の減少はあったが、為替換算上の影響により増収
税引前利益 4,426 3,669 20.6 -

-2015年3月期より国際会計基準 (IFRS) を適用。

事業再編

東プレに国内プレス部品事業を譲渡
-2015年5月、東プレと国内プレス部品事業の譲渡協議を開始する基本合意書を締結。10月の譲渡を目標に協議を進める。連結子会社のワイジーテック (三重県東員町) と、四日市製作所 (三重県四日市市) のプレス部品工場を譲渡する。軽自動車の受託生産の減少や受注競争の激化を背景に、同事業の採算確保が難しくなっていた。(2015年5月12日付日刊自動車新聞より)

ユニプレスに米国板金事業を譲渡
-米国連結子会社Yachiyo Manufacturing of Alabama (YMA) の板金事業を、2014年10月1日付でユニプレス子会社のUnipres Alabamaに譲渡したと発表した。(2014年10月1日付プレスリリースより)

-YMAの樹脂製燃料タンク事業はジョージア州の新工場に移管され、YMAは社名を「Yachiyo Manufacturing of America, LLC」に変更。新工場の樹脂製燃料タンクの生産能力は年産40万台で、主要顧客であるホンダのアラバマ工場向けに現地から全量供給する体制を整える。また、新工場では、北米でのサンルーフ事業拡大を見込んで、年産20万台規模のサンルーフ製造ラインを併設する。(2014年3月14日付日刊自動車新聞より)

カナダのプレス部品事業を譲渡
-2014年6月、カナダのプレス部品事業を現地企業に譲渡すると発表した。カナダの連結子会社 「Yachiyo of Ontario Manufacturing, Inc.」 (オンタリオ州バリー市) を現地のプレス部品メーカー、Matcor-Matsu Group of Companies (オンタリオ州ブラントン市) に6月27日付で譲渡する。(2014年6月23日付日刊自動車新聞より)

英国部品事業を譲渡
-2015年6月、八千代工業とエイチワンは、両社の英国関連会社で自動車部品の製造・販売を行っている 「UYT Ltd.」 が、2015年6月15日付で同社の全事業を英国の自動車部品メーカー 「N Press Assembly Limited」 へ譲渡すると発表した。両社はこれに先立ち、折半出資による英国関連会社で土地・建物のリースを行う 「Hirata Yachiyo Leasing Limited (HYL)」 の株式全てをUYTへ売却する。八千代工業の連結子会社 「Yachiyo Industry (UK) Limited」 とエイチワンは、それぞれUYTの株式35%を保有。「Honda of the U.K. Manufacturing Ltd.」 が25%、「Honda Trading Europe Ltd.」 が5%を出資している。UYTはホンダの英国工場にプレス部品などを供給していたが、事業環境の変化を踏まえ全事業の譲渡を決めた。譲渡先のN Press Assemblyは2015年2月に設立した自動車部品メーカーで、中国の化学品会社が75%を出資している。

中期事業計画

-「ヤチヨ2020年Vision」: 卓越した技術と特長ある製品で真のワールドワイドプレーヤーになる

  • 第11次中期事業計画 (2011~2013年度) 「変革と仕込みの期」: グローバルで存在を認知される技術・製品の競争力を身につける
  • 第12次中期事業計画 (2014~2016年度) 「育成の期」: グローバルでトップクラスの技術・製品の競争力を獲得する
  • 第13次中期事業計画 (2017~2019年度) 「収穫の期」: グローバルでトップの技術・製品の競争力を実現する 

<部品事業>
-国内外の板金部品事業を終了し、経営資源を主力製品である樹脂製燃料タンク (PFT: Plastic Fuel Tanks) とサンルーフ (Roof Systems) に振り向ける。
>>>上記の「事業再編」を参照

PFTと部品の一体成形
-タンクと付属部品を一体成形する新製法の樹脂燃料タンクの生産を2015年から始める。これまでの工法では、タンク本体をブロー成形した後、本体に穴開けなどの加工を施して部品を取り付けていた。新製法は燃料透過を防止する性能を向上させることを狙って開発した。タンク成形時に部品を一緒に成形したり、内蔵させることで、タンク本体への加工を不要にした。新製法の樹脂燃料タンクの生産は、2015年から米ジョージア州の工場で始める。同工場は旧アラバマ工場で行っていたタンクの生産を引き継ぎ、年間40万台の生産能力で2014年秋に稼働した。成形機を2台保有しており、既存の成形機を一部改造して生産する。既存設備を活用して生産できる工法を開発したことにより、グローバルで早期に展開できるようにした。第1弾を米国で生産し、一体成形できる部品を段階的に増やす。17年頃にはタンクへの加工がほとんど必要ない加工レスを実現する。(2015年3月12日付日刊自動車新聞より)

ホンダ以外への販路拡大
-PFTおよびサンルーフで、ホンダ以外の自動車メーカーへの売り上げ台数比率を、それぞれ2020年に27%に引き上げる。2014年度実績はPFTが1.3%、サンルーフが4.5%。2016年度の目標はPFTが4.0%、サンルーフが13.0%。

-PFTのホンダ以外の売上高比率を、2016年度に13年度の数%から20~30%に引き上げる。同社は樹脂燃料タンクをホンダ向けに納入してきたが、新たに国内で三菱自動車、タイでいすゞ自動車に納入を始めた。ホンダの新型 「Odyssey」 には、同社製の厚さ15センチメートルの超薄型燃料タンクが採用されるなど、薄型燃料タンクの技術に強みがある。 (2014年5月14日付日刊自動車新聞より)

-ホンダ以外へのPFT納入

  • 三菱自動車 1車種: 日本で量産中
  • いすゞ 2車種: タイおよび中国で量産中
  • 2014年度までの受注確定は3車種: 2015年度から中国生産、2016年度から中国生産、2016年度から米国生産開始を予定
  • 受注活動中: タイで4車種、日本・インドネシアで各2車種、米国・ブラジル・中国で各1車種

-ホンダ以外へのサンルーフ納入

  • 吉利汽車向け 2車種: 中国で量産中
  • 受注活動中: 中国で4車種、米国で2車種

<完成車事業>
ホンダ 「S660」 の受託生産増強
-ホンダの軽自動車 「S660」 の受託生産に合わせ、少量生産車を効率良く作る手法をラインに取り入れた。新型車は車体後部にエンジンを搭載するミッドシップ構造になっており、これまで同社が受託生産してきた軽乗用車とは車体構造が大きく異なる。専用ラインを新設することなく、既存ラインの一部改造によって生産することにより、少量生産車のコストアップを抑制する。同社は新型車の生産を四日市製作所 (三重県四日市市) で始めた。1日当たり40台、月間800台のペースでロット生産する。(2015年3月31日付日刊自動車新聞より)

-2015年5月、受託生産しているホンダの軽オープンスポーツ 「S660」 の生産能力を増強することを明らかにした。現在1日当たり40台を生産しているが、2割増の48台に引き上げる。発売以来積み重なっている受注残の早期納車へ生産体制を強化する。(2015年5月27日付日刊自動車新聞より)

2016年3月期の見通し

(単位:百万円)
2016年3月期
(予測)
2015年3月期
(実績)
増減率
(%)
売上収益 150,000 150,225 (0.1)
営業利益 9,400 14,497 (35.2)
税引前利益 9,200 14,521 (36.6)
親会社の所有者に帰属する当期利益 3,900 8,341 (53.2)


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 3,083 4,837 4,721



研究開発拠点

拠点名 所在地
第1研究開発部
(栃木研究所)
栃木県さくら市
第2研究開発部
(埼玉研究所)
埼玉県狭山市
合志技研工業 熊本県合志市
北米研究開発センター
(Yachiyo of America Inc.)
米国オハイオ州



研究開発活動

  • 新型車用の燃料タンクの量産化
  • 新型車用のサンルーフの量産化
  • 新型車用の燃料タンクの開発
  • 新型車用のサンルーフの開発
  • 国内・海外の排ガス規制対応の二輪車用メタルハニカム高密度セル担体の開発
  • 新構造樹脂製燃料タンクの研究と開発
  • 新型サンルーフおよび周辺技術の研究と開発
  • 自動車部品の環境対応技術の研究と開発
  • 福祉車両の運転補助装置の研究と開発
  • 新事業参入のための研究と開発

設備投資額

(単位:百万円)
2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
日本 3,885 2,546 5,060
米州 2,554 3,720 4,451
中国 957 1,405 946
アジア 1,517 2,091 3,580
合計 8,913 9,763 14,038


-2015年3月期の設備投資

  • 日本: 省力・合理化、設備更新、新規受注対応等
  • 米州: 新工場建設、設備更新等
  • 中国: 新規受注対応、設備更新等
  • アジア: 能力拡充、新規受注対応、設備更新等

-2016年3月期の設備投資額は8,500百万円を計画。

  • 日本: 2,200百万円 (体改/能拡 1,000百万円、新機種 300百万円、更新 900百万円)
  • 海外: 6,300百万円 (体改/能拡 1,900百万円、新機種 3,200百万円、更新 1,200百万円)

設備の新設計画

(2015年3月31日現在)
会社名・事業所名/
所在地
設備の内容 投資予定総額
(百万円)
着手 完了予定 備考
柏原工場
(埼玉県狭山市)
生産関連設備 314 2015年
4月
2015年
12月
新規受注対応、試験装置等
四日市製作所
(三重県四日市市)
生産関連設備 914 2015年
3月
2016年
3月
設備更新、環境改善等
鈴鹿工場
(三重県鈴鹿市)
生産関連設備 36 2015年
4月
2015年
8月
環境改善、設備更新等
亀山事業所
(三重県亀山市)
生産関連設備 117 2015年
3月
2015年
9月
設備更新、省力・合理化等
栃木研究所
(栃木県さくら市)
研究開発設備 108 2015年
4月
2015年
12月
試験装置
埼玉研究所
(埼玉県狭山市)
研究開発設備 185 2015年
5月
2016年
2月
試験装置、設備更新等
合志技研工業株式会社
(熊本県合志市)
生産関連設備
研究関連設備
516 2015年
3月
2016年
3月
新規受注対応、試験装置等
Yachiyo Manufacturing of America, LLC
(米国 ジョージア州)
生産関連設備 766 2015年
4月
2016年
3月
能力拡充、新規受注対応等
AY Manufacturing Ltd.
(米国 オハイオ州)
生産関連設備 476 2015年
4月
2016年
3月
新規受注対応、設備更新等
Yachiyo Do Brasil Industria E Comercio De Pecas Ltda.
(ブラジル サンパウロ州)
生産関連設備 304 2015年
2月
2016年
3月
新規受注対応等
八千代工業 (中山) 有限公司
[Yachiyo Zhongshan Manufacturing Co., Ltd.]
(中国 広東省)
生産関連設備 1,209 2015年
4月
2016年
3月
新規受注対応等
八千代工業 (武漢) 有限公司
[Yachiyo Wuhan Mfg. Co., Ltd.]
(中国湖北省)
生産関連設備 897 2015年
4月
2016年
3月
新規受注対応等
Siam Goshi Manufacturing Co., Ltd.
(タイ ラヨン県)
生産関連設備 595 2015年
4月
2016年
3月
新規受注対応、省力・合理化等
Goshi-Thanglong Auto-Parts Co., Ltd
(ベトナム ハノイ)
生産関連設備 442 2015年
4月
2015年
12月
新規受注対応、能力拡充等
Goshi India Auto Parts Private Ltd.
(インド ハリアナ州)
生産関連設備 323 2015年
4月
2016年
3月
省力・合理化、能力拡充等