住友電気工業株式会社 2006年度の動向
ハイライト
単位:百万円 | 2007年 3月期 |
2006年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 |
全社 | ||||
売上高 | 2,384,395 | 2,007,134 | 18.8% | 組織再編・合理化を進めるとともに、原材料価格の高騰に対応するため、コスト低減や品質向上に取り組む。また、新製品・新技術の開発・拡販を行い、増収増益を達成。 |
営業利益 | 128,745 | 105,495 | 22.0% | |
経常利益 | 145,368 | 113,194 | 28.4% | |
当期純利益 | 76,029 | 58,346 | 30.3% | |
自動車関連事業 | ||||
売上高 | 1,095,852 | 883,924 | 22.4% | ワイヤーハーネスについては、独Volkswagen Bordnetze GmbH買収に加え、対象車種の販売増加や銅価格上昇により国内外で売上が増加。また、防振ゴムの売上も増加。 |
営業利益 | 58,048 | 52,567 | 10.4% |
新会社設立
同社と日亜鋼業は、鋼線製造・販売子会社の事業統合に最終合意し、両社の子会社3社を統合した「ジェイ-ワイテックス」(本社=大阪府貝塚市)を発足すると発表した。シナジー効果で、自動車など各分野で世界トップレベルの競争力を持つのが狙い。日亜鋼業の興国鋼線索と同社の関東鋼線、メタックスを統合した新会社の設立は2007年4月1日の予定。出資比率は日亜鋼業が55%、同社が45%。資本金は4億5千万円。決算期は3月。年間売上高は160億円規模の見通しだ。(2007年2月5日付日刊自動車新聞より)
事業譲渡
同社と三陽商事株式会社は、2007年4月1日に同社の産業機械用ブレーキ事業を三陽商事に事業譲渡することで合意した。この合意により同社の産業機械用油圧ディスクブレーキ装置及び関連部品の開発、製造、販売等に関する事業は三陽商事に移管される。三陽商事は1966年より同社の特約店として、産業機械用油圧ディスクブレーキの販売を行うとともに、グループ会社において産業機械用クラッチ、各種ブレーキ製品を製造している。(2006年12月22日同社プレスリリースより)
その他
2007年3月期にもワイヤーハーネス(WH)で世界シェア20%を達成する見込みとなった。当初は2010年度の目標として掲げてきたシェア20%だったが、フォルクスワーゲン子会社のWH製造会社を2006年度に買収した効果などもあり、目標到達が大幅な前倒しとなることが確実となった。2006年3月期には世界シェアは18%程度だったが、来春には21%程度を見込んでおり、3ポイント程度の上乗せとなる。一方、日本国内のシェアは2006年3月期には40%だったが、2007年3月期には1ポイント増の41%になると予測している。(2006年11月9日付日刊自動車新聞より)
開発動向
単位: 百万円 | 2007年3月期 | 2006年3月期 | 2005年3月期 |
全社 | 68,373 | 64,427 | 56,480 |
自動車分野 | 40,891 | 38,019 | 29,945 |
主な研究内容
ワイヤーハーネスおよび車載エレクトロニクス機器のほか、防振ゴム等の開発にも注力。
研究開発体制
大阪製作所に研究開発棟を新築し、高温超伝導など新規の研究開発分野の強化を図る。周辺の緑地帯などを含めた一連の投資額は約80億円の予定。110周年事業の一環として位置付け、今夏に着工し完成は2009年4月の予定。新築する研究開発棟は「WinD
Lab(ウインド・ラボ)」で、建屋の規模は鉄筋7階建て延べ床面積1万550平方メートル。同製作所内に分散する研究部門を集結し従来の電線・エレクトロニクス・自動車などの研究分野から、環境と資源分野における超伝導や新素材、自動車と情報通信分野におけるユキビタス分野など、新規事業領域の拡大を推進する。完成後は、現在の約530人の研究スタッフのうち、6割の約330人が新開発棟で研究に従事する見通し。屋上などに緑地を確保するほか、周辺の緑地帯約2,200平方メートルを整備する。(2007年3月20日付日刊自動車新聞より)
研究開発活動
ワイヤーハーネス/車載エレクトロニクス機器
・同社、住友電装、および両社の共同出資によるオートネットワーク技術研究所を中心に、安全・快適・環境のニーズに対応した新製品の開発を行っている。
・車載エレクトロニクス機器はIT化、高機能化、ネットワーク化に対応すべく、PD(Power Distributor)等のエレクトロニクス機器や、CDU(Center Display Unit)システム、次世代の車載LAN、およびそれらのソフトウェア開発を推進しており、これに適したハーネスシステムの開発も併せて行っている。
・環境対応の観点から、以下の開発を行う。
- ワイヤーハーネスの軽量化
- HEV(Hybrid Electric Vehicle)用高圧ハーネスの開発
- ワイヤーハーネスに含まれる環境負荷低減物質の低減技術(ハロゲンフリー電線、鉛フリー半田、半田レス接続端子など)の開発
-新製品の品質確保と開発期間短縮に対応すべく、要素技術開発に不可欠な試験・分析・評価・解析技術の開発を推進。ワイヤーハーネスの寿命推定や電子モジュール製品の熱・振動解析等、CAE(Computer-Aided Engineering)技術を用いたシミュレーション機能を充実させるなど、試作レス開発を指向した技術開発に取り組む。
防振ゴム
・東海ゴム工業において、低コスト化、乗り心地性向上、さらにはグローバル対応を目指して先進的な技術開発に取り組み、あわせて地球環境保護の面からガソリン等の低透過対応やバイオマス材料技術および有害物質の削減等、環境対応技術の研究を進めている。
また、省資源・温暖化対策に向けた取り組みとして、CO2排出量削減を目的とした高容量電池用積薄膜電極材の製造技術開発(地球環境産業技術研究機構の技術開発促進事業テーマ)、車両の軽量化による燃費向上を目的としたマグネシウム合金展伸材の高強度・高靭性化技術開発(新エネルギー・産業技術総合開発機構の実用化研究)を進めた。
設備投資
単位: 百万円 | 2007年3月期 | 2006年3月期 | 2005年3月期 |
全社 | 119,887 | 121,830 | 102,107 |
自動車分野 | 69,075 | 75,263 | 56,389 |
・自動車関連事業では、ワイヤーハーネス・防振ゴムの増産、効率化のための投資を行った。
2008年3月期投資計画
・全社で130,000百万円の投資を計画
・自動車関連事業では、ワイヤーハーネスと防振ゴムの製造設備等に76,000百万円の投資を予定