タカタ (株) 2011年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2011年
3月期
2010年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 390,876 350,914 11.3 -一部で大震災の影響も受けたが、世界の自動車生産台数の回復基調に歩調を合わせ、堅調に推移したため
営業利益 26,818 14,654 83.0 -全社を挙げての原価低減、固定費削減効果などもあり増益。
経常利益 27,008 15,672 72.3
当期純利益 18,237 6,942 162.7

 

地域別動向

日本
上半期はエコカー補助金制度打ち切りを見越した駆け込み需要による自動車販売が好調であったこと、更に継続して取り組んでいるコスト削減効果などもあり、順調に推移。一方、9月初旬の補助金制度打ち切り後は国内の自動車販売は一転して7ヶ月連続して前年同月比で減少に転じたが、影響は軽微に留まっていた。しかし東日本大震災の影響により3月の売上高は大幅に落ち込んだ。
米州
自動車販売は好調に推移し、全米の自動車販売台数は前年度に比べて2桁の増加となった。それに伴い北米での販売も好調に推移。また、南米ブラジルでも自動車販売が好調に推移し業績に寄与した。
欧州
ドイツ、フランスの自動車販売が期の後半に立ち直りを見せた反面、財政不安により景気が低迷している一部の国の自動車販売は低迷を続けた。このような状況下、ユーロ安の恩恵を受けたドイツ車の米国、中国向け輸出が好調に推移。欧州主要顧客であるドイツ系自動車会社への販売が好調に推移した。
アジア
世界最大の自動車市場である中国が今年度も拡大を続け、昨年度に引き続き自動車生産、販売とも世界一となった。インド市場での生産、販売とも2桁の伸びとなった。更にタイでも自動車生産は伸張した。アジア各国の自動車生産、販売増加に合わせ順調な業績推移となった。


受注

-2011年に発売された車両では、ダイハツ「Mira e:S」にシートベルト、エアバック、GM Chevrolet 「Volt」にエアバック、シートベルトが採用された。(2011年11月 聞取り調査による)

受賞

-Fordはキーサプライヤー13社を新たに選定したと発表。今回認定されたのは曙ブレーキ、Automotive Lighting、Benteler、Brembo、Federal Mogul、Gentex、GKN、Hayes Lemmerz、Key Safety Systems、Michelin、Ronal、Samvardhana Motherson Reflectec、同社。Fordは主要サプライヤーとの協力体制強化のため、2005年に「アラインド・ビジネス・フレームワーク(ABF)」を設 立。ABF認定サプライヤーは今回発表された13社を含め90社となった。(2010年4月23日付プレスリリースより)

-2011年2月、トヨタから「技術開発賞」を受賞した。「Lexus LFA」向けエアベルトが評価されたもの。この製品は、衝突時にエアバッグのように膨らむシートベルト。(2011年2月28日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2010年3月期 2009年3月期 2009年3月期
合計 16,058 14,158 18,781

研究開発体制

-研究開発拠点は、日本(滋賀)、米国(デトロイト)、欧州(ベルリン)の3極に設置。
-製品化活動は、アジアを含む各セグメントにおいて実施。

研究開発活動

エアバックの小型化
-エアバックでは、搭載スペースの小型化にあわせエアバック自体の小型化も進んでいる。同社では、ガス発生装置の小型化やパッケージング工程における新工程の導入で小型化に対応する。エアバック製造工程では、「バキュームホールディング」技術を導入した。真空によりエアバックをパッケージングすることで小型化に寄与するとしている。(2011年11月 聞取り調査による)

-前面衝突乗員保護システム、側面衝突およびロールオーバー乗員保護システム、歩行者保護システム、モーターサイクル乗員保護システム、衝突回避・運転者サポートシステム等、衝突形態、システム機能ごとのアプローチにより、調査、研究開発、及び、保護システムを構成するデバイス(インフレータ、エレクトロニクスを含む)の開発を推進。さらに、幼児拘束システムの研究開発も推進。

 

技術提携

生体アルコール検知システム
-北米子会社TK Holdings Inc.は、TruTouch Technologiesと資本提携を含む技術提携を行ったと発表した。両社は自動車市場向けに、呼気を必要としないアルコール検知システムの開発を行 う。これは、人の皮膚から反射される光を素早く分析することで、運転手の潜在的な飲酒レベルを測定するシステム。なお、TruTouch Technologiesは米国ニューメキシコ州に本拠を置き、生体アルコール検知システムの開発・製造を行っている。(2011年1月17日付プレスリ リースより)


SRSシートベルトエアバッグ

-衝突時にエアバッグのように膨らむシートベルト「エアベルト」を乗用車用として世界で初めて市場投入したと発表した。「SRSシートベルトエアバッグ」の名称で、トヨタ自動車が12月から発売する「LEXUS LFA」に初搭載される。SRSシートベルトエアバッグは、衝突時にシートベルトのベルト部分(ウェビング)に内蔵されたエアバッグが肩部、頭部を中心に 膨らみ、前面衝突と側面衝突の二つの事故形態に対して一つの製品で対応する。前面衝突時にはベルト部分が直接膨らみ、乗員の胸部との接触面積が広がり胸部 にかかる衝撃を分散、緩和する。側面衝突時には膨張部が乗員の側頭部を保持し、側面異動量を制御することで、サイドウインドーや車内構造物などとの衝突か ら守る。 (2010年11月26日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2011年3月期 2010年3月期 2009年3月期
合計 15,712 10,221 19,129

2010年度の設備投資
-中国天津工場を新設した他、インドの2工場への投資も継続。また各セグメントにおいて、生産ラインの新設等を行った。

設備の新設

会社名/事業所名
(所在地)
設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手年月 完了年月
TK Holdings Inc.
(米国 アーバンヒルズ)
Servo Sled衝突試験機 1,052

2010年4月

2011年8月

Takata India Private Limited (India) Incorporated
(インド チェンナイ及びニムラナ)
シートベルト、エアバッグ及びステアリング生産設備 4,382

2008年1月

2014年3月

Takata Petri RUS LLC
(ロシア ウリヤノフスク)
シートベルト、エアバッグ及びステアリング生産設備 2,200 2010年11月 2012年4月
PT. Takata Automotive Safety Systems Indonesia
(インドネシア ジャカルタ)
シートベルト、エアバッグ及びステアリング生産設備 1,600 2011年4月 2012年1月