Pirelli & C. S.p.A. 2006年度の動向

ハイライト

業績
単位:百万ユーロ 2006年12月期 2005年12月期 増減率 要因

売上高

3,949.5 3,632.9 8.7% (1)

営業利益

342.3 328.8 4.1%

(2)

要因
(1) 2006年度の売上げは前年比;8.7%の増加で3,949.5百万ユーロ。販売量及び製品価格ミックスによる効果が、各々3.9%、3.1%あった。 又、為替差益が1.7%。

(2) Pirelli Tyre S.p.A.の上場に関する一過性の費用(7.4百万ユーロ)負担の発生による影響はあったものの、営業利益は342.3百万ユーロ(売上比率8.75%)を計上。 これは2005年の営業利益328.8百万、売上マージン率9.1%と比較して4.1%の増収。
販売量増加、製品ミックス、効率の向上並びに為替差益の好影響に伴う増益は、原材料費(111百万ユーロ)の増加や中国トラック・タイヤ工場の立上げ費用などのマイナス要因の相殺以上の効果があった。

製品別事業概況
乗用車用OE
米国および欧米では、米国ビックスリーからの受注増加と、高性能タイヤ分野での受注バランス(Alfa Romeo, Audi, Bentley, BMW, Ferrari, Maserati, Mercedes, Jaguar, Land Rover, Peugeot, Porsche, Saab, Volvo, VW.)の改善で、販売数量は同等、売上げは増加。
南米ではMercosur地域の全メーカー向けが(Fiat, Ford, GM, ホンダ, Peugeot. トヨタ, VW),販売数量および売上げともに前年より増加。


トラック用タイヤ
欧州、地中海沿岸、南米と関連市場すべてでシェアが拡大。中国では、拠点設置後初めて通年を通して活動し、販売ネットワークの構築、地域のカバー、製品開発に注力した。
SATT技術(MIRS技術の派生)を利用した新サイズの開発や、この技術の導入をブラジルまで拡大させ、製品ミックスを強化。

スチールコード
厳しい競合に晒されたが、スチールコード事業の業績は前年度より伸張。
販売量は、社外の取引先向けおよび多様なアプリケーション向けで増加した。

2006年に、ブラジルSumare工場と、ルーマニアのSlatina工場(2005年開設)で大規模な生産能力増強を行った。

開発動向

研究開発費
(単位:百万ユーロ) 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度 2002年度
研究開発費 147 146 124 123 122
売上対比 3.7% 4.0% 3.8% 4.1%

-同社の研究開発は、伝統的に新規の高性能製品(ランフラット、SUV及び二輪車用タイヤ等)の開発に重点を置いており、そのために材料、デザイン、プロファイル、トレッド・パターン並びに生産工程分野における徹底的な研究の成果である先進的なノウハウや技術的構成部品を活用している。
製品ポートフォリオの改革・革新を継続するために、新しいタイプのポリマーやナノテクノロジーの調査・適用を通して革新的なソリューションを開発するための研究が進行中である。

技術提携
-2006年5月、同社とSchrader Electronics社は、初のタイヤ内装着型検知システムに関する開発販売契約を締結した。 これは、タイヤ内に直接組み込まれ、温度、空気圧に加え他のあらゆるデーターを検知することができるシステム。このシステムの中枢をなす小型センサーは、自己発電機能があるため、バッテリーが不要である。この新しいセンサーにより、タイヤが車両とインタラクティブに作動することができる。センサーから受領する情報に対応してパラメーターを適合させ、車載電子システムを最適な条件・状態にすることにより、安全性と性能の改善をはかることができる。
このシステムはOE用として開発されたものであり、パンクによるフラットタイヤでの走行中のパラメーター管理に最適で特にランフラットタイヤに適している。

製品開発
- 日々の開発の中では、自動車メーカーとの密接な共同開発が続けられている。この結果PZero製品群が多くの大手自動車メーカーの最新モデルに採用された。イタリアメーカーではFerrari, Lamborghini, Maserati 及び Alfa Romeo (パリモーターショーではAlfa Romeo 8C Competizioneに採用されている)、海外メーカーではPorsche, Bentley, Audi, Aston Martin, Volvo 及び Jaguar。

- SUV部門では、5月にチュニジアで、同社は4X4車(SUV及びピックアップ)用に新しいScorpion ATR製品ラインを発表した。この特別な製品は同社の同部門での長い経験と一流の自動車メーカーとの共同開発により開発された。 同製品は、その特性から色々な活用が出来、オフロード及びアスファルトのどちらにも最も安全に使用することが可能。 同製品は真にグローバルな製品であり世界中のマーケット(北米、南米、欧州、アフリカ及びアジア)で広く販売される。


- 同社の研究グループは、又、カルフォルニア大学バークレー校と、車の走行性と安全性を更に改善するために、タイヤに採用するワイヤレスのセンサーを開発するために、戦略的コラボレーションをはじめている。

設備投資

設備投資
(単位:百万ユーロ) 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度 2002年度
タイヤ部門 224 208 190 173 182


乗用車向け
- 生産工程の革新領域では、ドイツ、米国、英国で既存の生産ラインを最大限に活用し、MIRS (Modular Integrated Robotized System) の生産能力を増やしている。従来の生産工程では、高性能製品の生産能力改造並びに既存機械設備の更新を進めている。生産コストを引き下げることにより拡大する市場のニーズに対応することを目的に、低コスト地域での生産を大きく拡大した。特にルーマニアSlatinaで新しい工場をオープンさせ、中国Yanzhou州で工場建設を開始した。セミ・オートマチックの生産設備を具えている、ブラジルl,Bahiaでの工場生産能力の拡大を継続中。

大型トラック向け
- ブラジルGravataiの新しいAll Steelの工場が完成し、中国Yanzhou州の新規設備がフル稼働に入った。MIRS技術より生まれた革新的なSATT (トラック向けSpiral Advanced Technology)技術を応用した新しいAmaranto製品ラインの生産拡大がSettimo Torinese工場でおこなわれている。この生産拡大はトルコのIzmit工場並びにブラジルのS.Andre工場から始まった。更に、グループでは、製品ラインアップの戦略的更新を続けると共に、全工場での生産効率と品質の改善プログラムを実施中である。

スチールコード

- ルーマニアのSlatinaの新工場、及び、ブラジルでの生産拡張計画が継続中であり、イタリアでは、新製品の試作品開発と材料の開発の研究に集中して努力している。