Plastic Omnium S.A. 2014年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2014年
12月期
2013年
12月期
増減率 (%) 要因
全社
*売上高 4,437.2 4,335.2 2.4 -アジアおよび西欧での自動車部品部門の伸びが寄与。
純利益 229.5 197.5 16.2 -
自動車部品部門
**売上高 4,882.5 4,655.7 4.9 1)

* IFRS第11号に基づき、2014年12月期より合弁会社の連結方法を全部連結もしくは比例連結から持分法に変更。2013年12月期にも遡及適用。
** 同社の事業管理用のマネジメントアカウントベース。IFRS基準では同社の合弁会社は持分法により連結されているのに対し、同社の事業管理用のマネジメントアカウントでは全部連結もしくは比例連結されている。

要因
1) 自動車部品部門の売上高
-2014年12月期の自動車部品部門の売上高は、マネジメントアカウントベースで前年比4.9%増加。

-地域別では欧州売り上げが同7.4%増加。テールゲートなどの軽量化製品、SCRなどの排ガス抑制装置の投入により特に英国とドイツが好調だった。中国での売り上げも同23%増の430百万ユーロに達した。2013年に開設した5工場の増産に加え、2014年に4つの新工場が稼働したことが寄与。

買収

-2015年12月、同社はFaureciaより自動車外装部門 (バンパーおよびフロントエンドモジュール) を買収することで合意したと発表した。買収金額は665百万ユーロ。複合材事業としてFaureciaが 「Smart」 向けに納入しているフランスのHambach工場、ブラジルと中国の合弁会社2社は、今回の買収に含まれていない。買収手続きは2016年に完了する見込み。(2015年12月14日付プレスリリースより)

2014-2018年成長・革新戦略 (2014年12月発表)

売上高目標
-マネジメントアカウントベースで売上高を2014年12月期の53億ユーロから2018年には70億ユーロに引き上げる。
-2018年の地域別売上比率は欧州50%、北米29%、アジア18%を目指す。中国では2018年までに28工場を稼働し、売り上げを倍増させる。

投資計画
-2014~2018年の間に総額17億ユーロを投資する計画 (2009~2013年実績は10億ユーロ)。これにより2014~2018年の間に20工場 (アジアで12工場) を新設する。
-2018年までにバンパーの世界シェアを2014年の10%から15%に、燃料システムの世界シェアを2014年の21%から24%に引き上げる。

新製品開発
-世界的な排ガス規制強化の流れを受けて、軽量化部品 (樹脂製テールゲート、複合材部品、炭素繊維部品)、空力特性を向上させる部品 (可動式エアグリル「LightAir」)、NOx除去装置 (SCRシステム「DINOx」)の開発を進めている。
-2018年までにこれらの新製品の売り上げでおよそ10億ユーロを目指す (新製品の売上比率は2013年の5%から2018年には15%に引き上げる)。

新工場

-2015年は中国に3工場、欧州に1工場、北米に2工場を新設する計画。

-主な新工場の稼働計画

場所 量産開始時期 生産品目 納入先
中国湖北省武漢市江夏区 2015年初め バンパー 上海GM
中国湖南省長沙 2015年半ば バンパー 上海VW、広州Fiat
中国北京 2015年半ば フロントエンドモジュール 北京ベンツ
中国重慶 2016年半ば 燃料システム 北京現代
米国テネシー州Chattanooga 2015年半ば バンパー VW
米国カンザス州Fairfax 2015年末 燃料システム GM
英国Warrington 2016年半ば バンパー Jaguar Land Rover
ロシアSt. Petersburg 2015年初め 燃料システム 日産、Ford、トヨタ


<中国>
-2014年は中国で4工場を稼働。車体部品では煙台、常熟で、燃料システムでは瀋陽、寧波でそれぞれ新工場が稼働を開始した。これらの工場は2015~2016年にかけて拡張する予定。さらに、外装部門の武漢、常熟、北京のフロントエンドモジュール工場とAuto Inergy部門の重慶の工場も2015~2016年にかけて拡張する予定。2016年には中国工場を25工場に増やす計画。

<ロシア>
-サンクトペテルブルクで工場を建設中。2015年前半に稼働を開始し、燃料システムを日産、Ford、トヨタに供給する。ロシア工場は3工場に増やす予定。ロシアでは現在、燃料タンクがスチール製から樹脂製に切り替わっており、これが同社にとって追い風となっている。ロシアの樹脂製燃料タンクの比率は2014年の66%から2018年には77%に上昇するとみられている。

<米国>
-米国で2工場の建設を開始。1つは、テネシー州Chattanoogaの自動車用外装部品工場で、近隣のVolkswagenの工場に納入する。もう1拠点はカンザス州Fairfaxに建設予定で、近隣のGM工場に燃料システムを納入する。この2工場への総投資額は70百万ドル。両工場とも2015年下期に稼働を開始する予定で、最終的に売上高140百万ドルを目指す。このプロジェクトは、同社が2013~2016年に行う12億ユーロ規模の投資計画の一環となる。(2014年5月22日付プレスリリースより)

<英国>
-英国で外装部門がLand Roverの複数モデルのバンパーを受注したため、すでにバンパーの新工場を建設中。2016年半ばに稼働を開始する予定。

受注

-主な新製品の納入計画

新製品 納入開始時期 納入モデル
軽量テールゲート(複合材使用) 2014年半ば 長安PSA (CAPSA) 「DS6」、Volvo 「XC60」、Land Rover 「Range Rover Evoque」
軽量テールゲート (熱可塑性樹脂のみ使用) 2015年 神龍汽車 (DPCA) 「308」
燃料タンク (ツインシートブロー成形技術TSBMを使用) 2015年半ば 上海GM
2017年 Volvo-吉利 (Geely) のハイブリッド車


-2014年12月期は102の新車投入プログラムに係る。2015年は2015年2月25日時点で133件を予定。

(件)
地域 2015年12月期 2014年12月期実績
西欧 51 21
東欧 7
北米 19 12
南米 5 4
アジア 58 58
合計 133 102

(注) 2015年2月25日時点

-2015年12月期の主な新車投入プログラム

  • 欧州:Volvo 「XC60」、Renault 「Espace」、Audi 「Q7」、Audi 「A4」、日産 「Qashqai」、日産 「X-Trail」
  • 北米:GM Chevrolet 「Malibu」、VW 「Passat」、Ford 「F 650/750」
  • 南米:ホンダ 「HR-V」、トヨタ 「Hilux/Fortuner」
  • アジア:トヨタ 「Prado」、トヨタ 「Hilux/Fortuner」、吉利 (Geely) 「Haoqing」、Peugeot 「308」、北京汽車 (Beijing Auto) 「Senbao X65」、GM Buick 「Excelle GT」、GM Cadillac 「ATS」、BMW 「3 Series」
  • アフリカ:トヨタ「Hilux/Fortuner」

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
合計 270.7 247.4 243.7

研究開発体制

-R&Dセンターは21カ所、全従業員の9%に相当する2,000名超のエンジニアおよび技術者が研究開発に従事。中国では500名のエンジニアおよび技術者を抱える。

-2014年12月期はマネジメントアカウントベースで全社売上高の5.1%を研究開発費に充当。

-3,121件の特許を保有、うち137件を2014年12月期に取得。

研究開発拠点

-65百万ユーロを投じてフランスのVenetteに設立したAuto Inergy部門のグローバルR&Dセンター「α-Alphatech」が2014年9月に稼働を開始。450名の従業員を抱える。

研究開発活動

-自動車部品部門ではCO2およびNOxの排出削減に注力するため、以下の3テーマに関する研究開発を実施。

  • 車両の軽量化、空力設計の最適化
  • 排ガス制御システム
  • HVおよびEV用パワートレインの開発サポート

製品開発 (空力設計の最適化)

アクティブグリルシャッター
-エンジンの回転速度や温度に応じてシャッターを自動的に開閉。

アクティブフロントスポイラー
-時速60キロを超えるとスポイラーが下がり、車体の空力特性を最適化する。

アクティブサイドシャッター
-リアバンパーに付いているサイドシャッターが時速60キロで開き、空力特性を高める。

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
合計 350 338 261