Plastic Omnium S.A. 2011年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2011年
12月期
2010年
12月期
増減率(%) 要因
全社
売上高 4,220.4 3,249.6 29.9 -全ての地域で売上が増加。特に北米とアジアが力強く伸張。
純利益 171.4 150.7 13.7 -
自動車部品
売上高 3,720.1 2,778.0 33.9 -世界の自動車生産台数が前年比3%の増加に対し、同33.9%の増加。
-売上高の58%は西欧以外での売上が占めており、特に北米およびアジアは堅調に推移。北米が同27%、アジアが同16%を占める。

企業買収

-完全子会社Plastic Omnium Auto Exterior(POAE)は、自動車用プラスチック部品のサプライヤーPlastal Polandの株式を100%取得することで合意したと発表。これにより、Plastal Polandのポーランド2工場(Gliwice・Poznan)を取得する。両工場には従業員600名が勤務し、2010年の売上額は60百万ユーロ超。納入先は、Fiat、Volkswagen、BMW、Audi、Fordなど。今回の買収によりPOAEは、ポーランド、チェコ、スロバキアをはじめとする東欧の生産拠点を強化し、Volkswagen、Audi、Porsche、Skoda、PSA Peugeot Citroen、GMなどへの供給を行う。(2011年10月12日付プレスリリースより)

-完全子会社Inergy Automotive Systemsは、米国ミシガン州Milanに拠点を置くFord傘下のAutomotive Components Holdings LLC (ACH)より、樹脂製燃料システム・燃料タンク製造事業を買収すると発表。同拠点は年間1.3百万個の燃料システムを生産。2011年6月1日付けで、買収手続きが完了する見込み。Inergy Automotive Systemsは、北米に3工場(ミシガン州Adrian、サウスカロライナ州Anderson、メキシコRamos)を保有しており、GM、現代、日産、Chryslerを主要納入先としている。今回の買収により、同社は北米生産拠点を強化する。なお、ACHのミシガン州Milan工場における生産は、同州に建設される新工場へ2013年に移管となる予定。Inergy Automotive Systemsは、2012年に燃料システム15百万個超の生産を見込んでいる。(2011年5月19日付プレスリリースより)

合弁会社

-完全子会社Inergy Automotive Systemsは、ロシアの自動車部品メーカーDetalstroykonstruktsiyaと、ロシアに合弁会社を設立することで合意したと発表。Inergyが51%出資する新会社は、樹脂製燃料システムを生産し、ロシア市場に供給する。また、InergyのStavrovo工場、DetalstroykonstruktsiyaのTogliatti工場を使用する計画。燃料システムの供給先は、AvtoVAZ(Togliatti)、Ford(Saint Petersburg)、Avtoframos(Moscow)のほか、将来的にはロシアで生産予定の日産、Renaultモデルにも供給する予定。(2011年10月18日付プレスリリースより)

-完全子会社Inergy Automotive Systemsは、北京汽車工業(BAIC)子会社の北京海納川汽車部件(BHAP)と、中国に合弁会社を設立すると発表した。BHAPが40%、Plastic Omnium Auto Inergyが60%を出資する。新会社は、現代自動車向け燃料システムを生産しているPlastic Omnium Auto Inergyの北京工場を使用する予定。なお、Plastic Omniumは現在、自動車事業2部門(外装部品・外装複合材料部門、燃料システム部門)の12工場を中国に保有している。(2011年7月11日付プレスリリースより)

受注

-複合材料関連部品をJaguar-Land Rover、PSA Peugeot Citroenより受注。
-Audiに選択的触媒還元システム(SCR)を36,000ユニット供給。GM、Chryslerからも同製品を受注。

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2011年12月期 2010年12月期 2009年12月期
合計 206 144 110

研究開発体制
-2カ所のR&Dセンターおよび12カ所の開発・エンジニアリング拠点で、全従業員の6%に該当する1,200名以上のエンジニアが研究開発に従事。

-自動車部門ではCO2およびNOxの排出削減に注力するため、以下の3テーマに関する研究開発を実施。

  • 車両の軽量化、空力設計の最適化
  • 排ガスコントロールシステム
  • HVおよびEV用パワートレインに関する支援

-特に車両の軽量化に関して、高性能複合材を使用した車体構造部品の開発プログラムを実施。それに伴い、英国およびスペイン工場で製造体制を強化。

-フランスLyon近郊のインターナショナルR&Dセンター「Σ-Sigmatech」では、複合材を使用した車体構造部品の製品開発スピードを強化している。


製品開発

炭化水素、NOx、CO2排出の抑制
-Inergy部門は、TSBM(Twin Sheet Blow Molding)や、SCRで炭化水素、NOx、CO2等の削減を推進。
  • TSBM:燃料タンクを製造したあとに部品を溶接するのではなく、ブロー成形時に燃料タンク内に多くの部品を組み込むことで炭化水素の排出を抑制する技術。
  • DINOx Premium:第二世代のSCRシステムはディーゼルエンジン車のNOx排出を95%、CO2排出を最大8%削減することが可能。サイズの最適化や性能強化により、2014年に欧州で発効予定のEURO VIを含む排出・燃費基準に対応できる。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
2011年12月期 2010年12月期 2009年12月期
合計 228 138 48

海外投資

-自動車部門において5工場(中国2、ブラジル1、ポーランド1、モロッコ1)を建設中と発表した。また2013年には、Inergy部門がフランスに燃料システム・燃料タンクに関する研究開発センターを開設する予定。(2011年7月21日付プレスリリースより)

-複合材使用部品、ハイブリッドおよび100%熱可塑性樹脂製テールゲートの需要増加に対応するため、スペインおよび英国工場の生産能力を強化。また、フランスLyon近郊のインターナショナルR&Dセンター「Σ-Sigmatech」の開発を強化している。

<中国>
-世界の自動車生産は2011年から2015年の間で24%増加、その内新興市場は70%を占め、中国は世界最大市場と予想。同社は2015年までに11工場を新設し、中国における生産拠点を合計23拠点とする予定。

-2011年に2工場を新設。さらに、外装部門のR&Dセンターの開設準備が進んでおり、2013年に開業予定。

<ブラジル>
-Inergy部門はサンパウロ近郊のSorocaba工場を開設。トヨタ向けに燃料システムを製造。

<モロッコ>
-Inergy部門はTangiers工場を開設。Renault-Daciaのモロッコ新工場向けの燃料システムを製造。

<ポーランド>
-外装部門はチェコおよびスロバキア工場を含む東欧拠点を強化しており、2011年にポーランドのGliwice工場を新設。同社は東欧拠点より、Volkswagen、Audi、Porsche、Skoda、PSA Peugeot Citroen、GMに製品を供給している。