Plastic Omnium 2006年度の動向

ハイライト

業績

単位:
百万ユーロ
  2006年度 2005年度 増減率 備考
連結 売上高 2,326.6 2,054.0 13.2% (1)参照
営業利益 99.9 90.0 11.1%
Automotive Equipment(自動車部門)
自動車部門合計 売上高
2,005 1,739 15.3% (2)参照
  Plastic Omnium Auto Exterior 売上高
1,384 1,095 26.4%
Inergy Automotive Systems 売上高 621 644 (3.6%)

(1) 2006年度の連結売上高は前年比で13.2%の増加。為替レートと連結対象範囲を一定化した場合では3.5%の増加。2004年7月のHBPO設立(出資比率33%、2006年度の連結売上として566百万ユーロを計上)に引き続き、Inoplast社への持ち株比率を引き上げて大株主となり、外装モジュール戦略をさらに強化した。Inolplast社は、複合材料を使用したリヤハッチバックの市場の大手で、2006年度の連結売上として217百万ユーロを計上した。

(2) 自動車部品事業は世界業界成長を上回る業績をおさめた。新興市場での競争力強化を目的として、同社ではアジア地域を重点市場と設定している。2001年度の売上比率は2%であったが2006年度には5%にまで上昇。この数値はさらに増えるものと推察される。2006年度、アジアの自動車メーカーからの売上は8%に達する。

部門別ハイライト
1. Plastic Omnium Auto Exterior
フェンダーモジュール誕生
7種類の機能の異なる部品を統合したフェンダーモジュールを世界に先駆け発表した。あらかじめ組み立てられたこモジュールは取り付けが簡単で歩行者保護と知覚品質を向上しながら車両重量を低減するというメーカーの要望を満たす製品。同製品は新型BMW X5に搭載された。

3工場の立ち上げほか、各生産拠点の動向
2006年度は、3拠点の生産開始を含む、合計22の生産立ち上げを行った。
-フランスRuitz工場:Renault Scenicのモデルチェンジ用にリアバンパー
-米国Andersonと Duncan両工場:新型BMW X5向けのフェンダーモジュールとフロントとリアバンパー
-メキシコSilao工場:GMのGMT 900用のフロントとリアバンパー

また、 2006年には現代から初受注し、アラバマ州Montgomery工場に外装品を供給する。

仏国国内では生産拠点の見直しを行った。Ruitz工場は生産ラインをその隣接するBruay-la-Buissiere工場から撤収移設した。Bruay-la-Buissiere工場は2007年度末までには閉鎖する計画。

成長を続けるHBPO事業
HBPO事業では7点の新製品の立ち上げがあり、持続的成長を遂げた。2006年度の売上高は570百万ユーロ。英国のBanbury工場では、Plastic Omniumが供給するフロントエンド構造システムと統合したフロントエンドジュールを新型BMW Mini用に生産している。


モジュール化における主な動き
Inoplast社の持ち株比率を84%に引き上げた。 Inoplastはファイバーグラスで強化したポリエステルやその他混合物を材料とした自動車部品の欧州大手メーカー。 売上の3分の2は自動車メーカー向けのハッチバック、フロアモジュール、フェンダー構造、トランクリッドなどで、3分の1はVolvo Truck、DaimlerChrysler、Scaniaなどのトラックメーカー向けにラジエターグリル、フェイシア、フェンダー、ドアなどを供給している。

2006年度にスタートした主要製品と搭載車種
<欧州>

-フロントバンパー(Peugeot 207)
-フロント及びリアバンパー、フェンダー(Peugeot 307モデルチェンジ)
-フロント及びリアバンパー、デックリッド (Peugeot 407 Coupe)
-ハッチバック (Peugeot Expert)
-フロントバンパー(Renault Scenic モデルチェンジ)
-フェンダーブラケット(Renault Clio III)
-外装品 (Volvo S80)
-ハッチバック (Volvo XC 90)
-フロントエンド構成部品 (BMW Mini)
-フロントエンド構成部品 (Audi Q7)
-フロント及びリアバンパー (Porsche CayenneとVW Touareg)
-フロント及びリアバンパー (Opel Corsa)
-フロント及びリアバンパー (Nissan Cabstar)

<米州>
-フェンダーモジュール・フロント及びリアバンパー (BMW X5)
-フロント及びリアバンパー (Saturn Sky)
-フロント及びリアバンパー (Chevrolet Avalanche)
-外装品 (Hyundai Santa Fe)

<HBPO : フロントエンドモジュール>
- BMW Mini
- Ford Lincoln
- Skoda Fabia
- Restyled Hyundai Terracan
- Kia Cerato
- Porsche Cayenne and Volkswagen Touareg

Inergy Automotive Systems
クリーン・ディーゼル・エンジンの開発技術
Inergy Automotive Systemsでは排気ガス規制の分野でも製品を提供している。厳しい排気ガス基準に適合した、PZEV式燃料タンク、キャップレスフィルターシステム、2層式ブロー成型技術、などの排気ガス削減製品に加え、新たに Smart Additive System (INSASTM) 並びに DINOXTMを発表したことで、同分野の製品ポートフォリオが拡大された。
双方ともにディーゼルエンジンから排出される煤煙と亜酸化窒素ガスを削減するもの。

中国での事業開始
中国国内でのポジションを盤石なものとするため、Inergyは中国に初めての生産工場を建設している。中国における大手メーカーが集まる地域のひとつである河北省武漢市に構え、操業開始は2007年下期に予定。まずはXiangfan 市にある東風日産向けに燃料タンクを供給する。同社はすでに日本、タイ、韓国で事業を行っており、この中国拠点の設立によってアジアにおける生産、技術資源がさらに増強されることになる。

欧州では生産拠点の統廃合が継続
年間を通して欧州生産拠点の統廃合を行った。英国ではTelford工場でのブロー成型を中止、スペインではValladolid工場を閉鎖し、一方スペインのVigo工場では施設を刷新した。


2006年度にスタートした主要製品と搭載車種
<欧州>
- Citroen C4 Picasso
- Peugeot 207
- New Peugeot Partner
- BMW 3-Series Coupe and Cabriolet
- Audi Q7
- Porsche 997 C4
- Opel Corsa
<北米+南米>
- New Yukon Suburban
- Saturn Outlook, Buick Enclave and GMC Acadia
- Buick Lucerne (PZEV fuel tank)
- Buick Lacrosse/Allure (PZEV fuel tank)
- Nissan Altima (LEV 2 and PZEV fuel tanks)
- Renault Megane
<アジア>
- Saturne Daewoo
- Nissan Tiida

展望
2007年初頭の自動車生産は仏国も米国も同様に下降傾向が続いた。こうした厳しい事業環境の下で、同社の2007年度上半期は売上が減少。しかしながら、すでに受注した分から推測すると下半期には回復基調となる予定。この好転傾向は2008年には加速する見込み。

2007年度は成長が著しい市場での自動車関連事業の拡大を図る。中でも中国は同社にとっての最重点市場
(a) Inergy Automotive Systemsは、フューエルシステム工場を武漢市に建設中。
(b) 2007年3月1日、Plastic Omnium Auto Exterior社は上海汽車の子会社Yanfeng Visteonと合弁会社YFPOの設立を決定。同社は、Yanfeng Visteonの外装部品事業を統合する予定。

アルゼンチンでは、Plastic Omnium Auto ExteriorがPSAグループの受注を受け2008年の稼動をめざし工場を建設中。
同様にポーランド、インド、イランとロシアでも新工場の建設が進められている。

開発動向

研究開発費用
-2006年の研究開発費用は105百万ユーロで連結売上の4.5%に相当。(2005年度:82百万ユーロ)

研究開発体制

-2006年末時点で、9ヶ所のR&Dセンターと24ヶ所の技術センターを保有。エンジニアと技術者は900人。
-同じく2006年末の取得特許件数は565件でそのうち89件が2006年度内に取得。

2006年度の研究開発のハイライト
-2006年2月、共同技術改革計画を実施して知覚品質、安全、快適、軽量化といった方面での改良点共有化を図るため、PSA Peugeot Citroenと協力協定を締結。同社は、プラスチック外装部品についての専門知識を梃子にしながら、計画をPSAが開発している新しいコンセプトの要求に調和させる。おもに、オープニングモジュール、ルーフモジュール、フェンダー、フロントエンドおよびフェイシアの開発に注力する。

-2006年4月、Webastoとの間で技術協定を締結。これは、Plastic Omnium Auto ExteriorとInoplastのプラスチックソリューションやモジュール構造についての技術力/専門知識と、Webastoが持つルーフやボディーモジュール用の運動学、電子、駆動を統合するシステム専門知識を蓄積することにより、自動車メーカーにハッチバックやルーフの完全なモジュールを供給していくのが目的。

設備投資

設備投資費用

単位:百万ユーロ
2006年度 2005年度
グループ合計 94 117
国内投資
-2007年1月、米国Cadence Innovation社所有のVernon工場の、Plastic Ominium社による買収申請が承認された。Vernon工場では現在Citroen C2およびC3、Peugeot 1007、 ならびにRenault Twingo用のバンパーを生産している。PSA Peugeot Citroenが中期的な発注量維持を確約、その支援を取りつけたことで、Plastic Ominium社はこの買収を機にフランスでの地位強化を図る。

海外投資
-2007年1月、Plastic Omniumは、同社自動車関連製品部門(Plasstic Omnium Auto Exteriors)とYanfeng Visteonとの間で2007年3月1日付けで締結された事業合併合意に基づき、中国政府当局に新会社Yanfeng Plastic Omnium Automotive Exterior Systems Co (YFPO)設立の認可申請をしていたが、このたび中国政府から正式認可が下りたと発表した。 Plastic Omniumは、YFPOの株式49.95%を取得、米Visteonと中国「上海汽車」(SAIC)との合弁会社であるYanfeng Visteonの外装部品事業部門の統合を図る。YFPOは、2007年下旬に操業を開始する見通しで、上海(安亭)および重慶のトリム工場から複数顧客向けに製品を供給する。2工場を合わせた総従業員数は500名程度となる予定。