Faurecia S.A. 2012年12月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万ユーロ) |
2012年 12月期 |
2011年 12月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
売上高 | 17,364.5 | 16,190.2 | 7.3 | 1) |
EBITDA | 1,009.4 | 1,104.5 | (8.6) |
要因
1)
-2012年12月期の売上高は、Fordから買収した米ミシガン州のSaline工場が2012年6月1日より連結対象となり、281.3百万ユーロの売り上げを計上。
-2012年第1四半期には、米ミシシッピ州Madisonの日産向けシート工場が売り上げ43.8百万ユーロの貢献。同工場は、2011年4月4日から連結対象となっている。
-2012年上期に買収した新しいインテリアモジュール拠点が売上を計上。Borgersから買収したフランスのSaint-Quentin工場やMecaplastから買収した仏Mornac工場、チェコのPardubice工場が合計42.5百万ユーロの売り上げ。
-2012年7月13日に買収した新しい外装部門は17.3百万ユーロの貢献。
-2012年8月30日に買収したHambachにあるPlastal Franceの工場が26.8百万ユーロの貢献。
顧客別売上高
2012年12月期 売上 (単位:百万ユーロ) |
2012年12月期 売上増加率 (%)* |
全社の製品売上高に 占める割合 (%)* |
地域別成長率 | |
VW Group | 3,365.3 | 3.9 | 25.3 | -欧州:1.4% -北米:54% -アジア:20.2% -南米:4.9% |
PSA Peugeot Citroen Group | 1893.6 | 10.4 | 14.2 | -欧州:(11.7%) -南米:(9.7%) -アジア:33.5% |
Renault-Nissan Group | 1,402.7 | (6.5) | 10.5 | -北米:31.0% -欧州:(13.4%) |
Ford Group | 1,754.8 | 6.6 | 13.2 | -北米:85.7% -欧州:(8.9%) |
BMW Group | 1,066.4 | 2.2 | 8.0 | -北米:4.7% -欧州:(7.3%) |
GM Group | 1,119,0 | 0.2 | 8.4 | -アジア:47.0% -北米:6.0% -欧州:(8.2%) -南米:(9.1%) |
Daimler Group | 710.2 | 15.7 | 5.3 | - |
Fiat-Chrysler Group | - | 17.4 | - |
- |
Geely-Volvo | - | (5.6) | - |
- |
現代/起亜 (Hyundai/Kia) | - | 18.5 | - |
- |
トヨタ | - | (22.1) | - |
- |
企業買収
-2012年8月30日付けでPlastal France (Plastal S.A.S.) の買収を完了。Plastal Franceは、Daimlerの「smart」ブランド向けに樹脂製車体部品を納入している。この車体部品は、着色成形 (MIC) 技術を用いた熱可塑性プラスチックを使用したもの。なお、Faureciaは2010年にPlastal GermanyおよびPlastal Spainを買収している。これに次ぐ今回の買収に含まれるのは、フランスHambachに位置する生産・組立工場および事業本社。同拠点の従業員数は250名で、年間売上額は約50百万ユーロに達する。(2012年9月3日付プレスリリースより)-フランスのSora Compositesより自動車事業部門を買収。Sora Compositesは、複合プラスチック分野および自動車用のガラス繊維・炭素繊維に関する技術を有している。今回の買収には、フランスのTheillayおよびSaint-Meloir-des-Ondesの2工場のほか、同国Changeの事業本部が含まれる。同事業の従業員数は500名で、年間売上額は約70百万ユーロ。両工場では車体構造部品を生産し、Renault、PSA Peugeot Citroen、Aston Martin、Audi、Lotus、McLarenに納入している。Faureciaは今後、自動車の量産部品に複合材料を採用していく計画。これに向けて同社は、ドイツKarlsruheのFraunhofer研究所やフランスの研究センターCEMCAT (Center for Advanced Studies in Composite Materials for Transport)、ESTACA技術学校、国立中央理工科学校Nantes校などと共同で、多数の研究開発プロジェクトを立ち上げている。(2012年7月19日付プレスリリースより)
-Ford傘下のAutomotive Components Holdings (ACH) より、米国ミシガン州Salineの内装部品事業を買収。同事業の年間売上額は11億ドル (8.35億ユーロ)。コックピットモジュール、インストパネル、ドアパネル、センターコンソールなどを、Fordの北米8工場で生産される12モデル向けに納入している。 (2012年5月3日付プレスリリースより)
合弁事業
-同社は米国のRush Group Ltd.との間で合弁事業を開始。新たに設立する合弁会社Detroit Manufacturing Systems (DMS) は、ミシガン州Detroitの新工場において内装トリム部品の射出成形・組立などを行う。Rush Groupが過半数を出資する一方で、Faureciaの出資比率は45%となる。DMSの設立により、Saline工場は射出成形・発泡作業・外板製造などの中核技術に注力する。年間売上額は約4億ドル (3億ユーロ) となる見込み。DMSへの事業移管は、2012年夏に開始する計画。 (2012年5月3日付プレスリリースより)事業提携
-同社と豊和繊維工業は、折半出資で「フォルシア豊和インテリア」(FHI) を神奈川県厚木市に設立。ドアパネル、インシュレーション、ソフトトリムなどのインテリアシステムを開発する。この提携により、同社は日本における日産向けドアパネル、ソフトトリムの主要サプライヤーになる。同社と豊和繊維工業は、各国のそれぞれの拠点で、日産向けの部品の製造を分担する。メキシコと中国では、新会社が共同生産拠点を設立する。(2012年4月20日付日刊自動車新聞より)-同社と韓国のLG Hausysは、次世代の自動車用内装装飾フィルムの共同開発に関して、戦略的提携契約を締結した。LG Hausysは、住宅・エレクトロニクス・自動車産業向けに、特殊装飾材料およびフィルムの開発・生産を行っている。今回の提携により、Faurecia Interior Systemsは塗装、リアルメタル、繊維、木材、フィルムなど様々な内装装飾品に関して、製品群・技術の拡大を目指す。(2012年1月11日付プレスリリースより)
受賞
-Renaultより「Quality Award」を受賞したと発表。(2012年7月18日付プレスリリースより)事業展望
-2016年の売上高の目標は、2011年比35.8%増となる220億ユーロ (約2兆2200億円)。欧州市場が低迷するなか、北米とアジア地域を重点地域と位置づける。売上高に占める欧州地域外の比率を2011年実績の37%から2016年に18ポイント増の55%まで引き上げる計画。 (2012年11月27日付日刊自動車新聞より)開発動向
研究開発費 |
(単位:百万ユーロ) |
2012年12月期 | 2011年12月期 | 2010年12月期 | |
合計 | 943.0 | 759.6 | 689.1 |
研究開発体制
-5,500名のエンジニア・技術者が在籍。R&Dならびに設計開発センターは30カ所。研究開発拠点
<フランス>-フランスBrieres-les-Scellesの技術センターに、新たにエレクトロニクス研究所「e-lab」を開設。同施設を自動車シート用エレクトロニクスに関する中核拠点にする計画。床面積は約1,000平方メートルとなる。また、現在約20名の従業員は、2014年までに50名に増員する見込み。さらに、この「e-lab」は米国・ドイツ・中国における技術者のネットワークによるサポートも受ける予定。 (2012年10月8日付プレスリリースより)
<中国>
-同社と一汽大衆 (FAW-Volkswagen Group) は、中国の吉林省長春 (Changchun) 市に新たに研究開発センターを開設した。同センターでは、自動車用シート、インストパネル、ドアパネルをはじめとするさまざまな製品の設計・開発・試験を行う予定。このほかにも同社、長春旭陽 (Changchun Xuyang) グループ、吉林大学の合弁で設立されたChangchun Faurecia Xuyang Automotive Technologyの本部としての役割も果たす。さらに、吉林大学の協力を得て、同センターでは新素材の研究開発にも注力する計画。 (2012年9月19日付プレスリリースより)
<インド>
-インドPuneに新たに技術センターを開設したと発表。同社の4部門のうち自動車用の内装システム、シート、外装の3部門を対象とする。新センターでは、現地の自動車エンジニア800名を雇用する計画。なお、既存のインド技術センターにおける研究開発チームは、年間200超のプロジェクトを計画しており、世界では2011年に300件の特許を取得している。 (2012年6月21日付プレスリリースより)
<日本>
-日本法人フォルシアジャパンは、日本で自動車用シートの試作と実験評価を今夏から開始する。本社内に専用設備を新たに導入、専任の技術者を配置してシートの開発を行う。日本に開発機能を持たせることで開発に必要な時間の短縮とコストを削減する。日産自動車を始めとする日系自動車メーカーの受注量を増やして、事業規模の拡大に結びつける。2012年2月に移転した横浜市内の本社に約700平方メートルの専用施設を新設する。三次元測定機やシートを組み付ける溶接機などシートの開発に必要な設備を導入する。同社は、日本を含むアジア地域の売上高を現在の15億ユーロ (約1575億円) から15年までに40億ユーロ (約4200億円) へと倍増以上にする計画を持ち、日本での新規投資も重視する姿勢を打ち出している。シート事業で提携関係にある日本発条との合弁会社フォルシア・ニッパツとの間でのアライアンス強化策も展開している。今後は、開発技術者の増強を視野に入れるなど日本でのシート開発機能をさらに高める考えだ。(2012年5月10日付日刊自動車新聞より)
研究開発活動
-同社とFraunhofer ICT (化学技術研究所) は、自動車製品に応用できる先進複合材料のエンジニアリングおよび試作に向けて、共同で研究開発を行うことで枠組み合意したと発表。両社は、複合材料の製品開発を促進し構造部品に適用することで、従来の材料を使用した場合に比べて20%から50%の軽量化を図る。また、Fraunhofer ICTは既に、新たな複合技術・加工の検証を行う独自のパイロット生産ラインを備えている。今回の提携によりFaureciaは、2020年までに新たに開発した材料が自動車用の量産部品として採用されることを目指す。 (2012年11月8日付プレスリリースより)-同社と三菱化学は5日、自動車内装部材に使用するバイオプラスチックを共同開発することで合意したと発表した。両社は2014年に、自動車内装部材に適した植物原料由来のポリブチレンサクシネート (PBS) を開発、早期実用化を目指す。(2012年11月7日付日刊自動車新聞より)
製品開発
商用車用コックピット-同社とContinentalの合弁会社SAS Automotive SystemsとContinentalは、商用車用コックピット「T.Dash」を開発した。SAS Automotive Systemsは、カスタマイズ用コックピットの開発・組立・物流を専門としている。このT字型コックピットは、モジュラー式でフレキシブル構造になっているため、センターコンソールとグローブボックスの位置は簡単に変更が可能。さらに、計測器にも新技術が採用されており、関連する運転・車両情報を2Dおよび3Dで表示する12型のデジタルインストルメントクラスターなどが含まれている。(2012年9月18日付プレスリリースより)
設備投資
セグメント別設備投資額 |
(単位:百万ユーロ) |
2012年12月期 | 2011年12月期 | 2010年12月期 | |
内装モジュール | 292.7 | 247.7 | 172.5 |
その他モジュール | 241.5 | 190.4 | 124.4 |
その他 | 23.1 | 13.3 | 7.4 |
合計 | 557.3 | 451.4 | 304.3 |
国・地域別設備投資額 |
(単位:百万ユーロ) |
2012年12月期 | 2011年12月期 | 2010年12月期 | |
フランス | 72.5 | 85.2 | 63.2 |
ドイツ | 55.0 | 49.2 | 27.1 |
その他欧州諸国 | 152.3 | 106.8 | 52.6 |
北米 | 104.7 | 76.1 | 72.4 |
南米 | 87.2 | 43.9 | 23.2 |
アジア | 82.6 | 65.3 | 42.6 |
その他 | 3.0 | 24.9 | 23.3 |
合計 | 557.3 | 451.4 | 304.4 |
海外投資
<インド、インドネシア>-2012年11月、同社と日本発条は共同で、インドとインドネシアに日産自動車向けのシート生産拠点を近く新設すると発表。日産が新興国で生産する低価格車向けに製品を供給する。 (2012年11月26日付日刊自動車新聞より)
<ブラジル>
-ブラジルのサンパウロ州Limeiraにおいて、エミッションコントロール製品工場、関連の技術センター、同製品グループの南米本社を開設したと発表。新工場では、マニホールド、触媒コンバーター、ディーゼル粒子フィルター、マフラーなどエミッションコントロールシステムおよび部品を生産し、排出ガス基準「Euro 5 (P7)」対応の乗用車・商用車向けに納入する。新工場と技術センターへの投資額は60百万レアル (約30百万ドル)で、工場面積は30,000平方メートル。ブラジルにおいて、乗用車1.4百万台・商用車6万台に搭載するだけの部品の年産能力を持つ。なお、新技術センターでは、南米を本拠とする自動車メーカー向けに先端エンジニアリング・開発を行う予定。(2012年7月5日付プレスリリースより)
<USA>
-米国イリノイ州のBelvidereに自動車用の外装部品工場を新たに開設したと発表。新工場ではChrysler 「Dodge Dart」向けに、フロントエンドモジュールを生産する。(2012年6月19日付プレスリリースより)
<韓国>
-韓国子会社Faurecia Automotive Seating Korea, Ltd.は、慶尚北道の永川 (Yeongcheon) 市にシートフレーム工場を建設する。2012年9月に建設開始し、2013年9月から年間60万台分のシートフレームを量産する計画。投資額は21百万米ドル。(2012年5月18日付プレスリリースより)
<中国>
-中国広東省の東莞 (Dongguan) に新工場の建設を開始。工場面積は2万平方メートルで、同社のInterior Systems部門、Automotive Seating部門、Emissions Control Technologies部門の拠点となる。新工場では2012年末より、長安PSA汽車 (CAPSA) 向けに部品の供給を開始する計画。 (2012年3月7日付プレスリリースより)