Bosch [Robert Bosch GmbH] 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2016年
12月期
2015年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 73,129 70,607 3.6 1)
EBIT 3,335 4,587 (27.3) 2)
モビリティー・ソリューションズ
売上高 43,936 41,657 5.5 3)
EBIT 2,047 3,216 (36.3) 4)


要因
1) 全社売上高
-2016年12月期の売上高は、前年比3.6%増の73,129百万ユーロ。為替の影響は13億ユーロの損失となっており、それを除くと同5.5%増となる。さらに、連結対象の変更により売上高は約1億3,000万ユーロ増加した。北米および南米地域の売上高は減少したが、欧州およびアジア太平洋地域における売上増により一部相殺。

2) EBIT
-2016年12月期のEBITは、前年比27.3%減の3,335百万ユーロ。収益の減少は主に、研究開発費の増加、資本の減価償却費の増加、リストラ費用および先行投資の増加によるものであった。

3) モビリティ・ソリューションズ 売上高
-同部門の売上高は、前年比5.5%増の43,936百万ユーロとなった。オートモーティブステアリング部門は、事業統合後初めての通年決算となったが、約3億2,000万ユーロのプラス効果をもたらした。 最新のガソリン直噴システム、エンジン管理システム、トランスミッション制御システム、各種センサー、運転支援システム、排ガス処理システム、アクティブ/パッシブセーフティシステム等に対する需要の増加により、売上高が増加。

4) モビリティ・ソリューションズ EBIT
-同部門EBITは、36.3%減の2,047百万ユーロとなった。この減少は主に、資産価値の再測定による減価償却ならびに研究開発および設備投資に対する投資の増加によるもの。

買収

-ドイツのラインラント=プファルツ州Rulzheimを本拠とする開発会社ITK Engineeringを買収することで合意。ITK Engineeringはモデルベースシステムおよびソフトウェアの開発会社で、自動車エンジニアリング分野に特化している。従業員数は800名超。Bosch Groupはカスタムシステムやソフトの開発を専門とする完全子会社Bosch Engineeringを通じて、小規模生産向け開発サービスを提供している。今回の買収でITK EngineeringはBosch Groupの完全子会社となり、Bosch Engineeringの管轄下に置かれることとなる。(2016年10月13日付プレスリリースより)

提携

-独シーメンスPLMソフトウェアは、Boschの電動システム部門がCADソフトウエアと製品ライフサイクル管理(PLM)ソフトを2016年夏から導入すると発表。ボッシュではすでに他部門で同ソフトを導入している。導入拡大によりデータ共有や「インダストリー4.0」への対応強化など、開発や生産に関する効率化を進めることが可能となる。今回導入が決定したのは、同社の主力CADソフト「NX」と、PLMソフト「チームセンター」。(2016年3月23日付日刊自動車新聞より)

-安徽全柴動力股份有限公司は、博世汽車柴油系統有限公司 [Bosch Automotive Diesel Systems Co., Ltd.] と戦略的全面提携の枠組み合意書を結んだと発表。両社は排ガス基準 「国5」 以上のエンジンフューエルシステムと 「国5」 以上の後処理システム、 「国3」 以上のエンジンフューエルシステムの分野で全面的に提携し、中国市場に適したハイエンドディーゼルエンジンの技術研究と普及を加速させるとしている。(2016年1月25日付けプレスリリースより)

-Bosch (中国) 投資有限公司は、傘下の博世工程技術有限公司 [Bosch Engineering Technology Co., Ltd.] が北京長城華冠汽車科技股份有限公司 [CH-AUTO Technology Co. Ltd.] と戦略的提携合意書を結んだと発表。両社は長城華冠の「前途 (EVENT)」の電子スタビライザーを共同開発する。(2016年1月19日付け各種リリースより)

事業動向

-2015年9月、Volkswagenが米国でディーゼル車の排出ガス規制を不正に逃れていたとされる問題で、Volkswagenのモデル向けにコモンレール噴射システムおよび排ガス後処理システム用のドージングモジュールを納入していたと発表した。同社によれば、これらの部品はVolkswagenが定める仕様に基づいて供給したもので、部品のキャリブレーションや車両システム全体への統合に関しては各自動車メーカーの責任になるとしている。(2015年9月24日付プレスリリースより)

-2015年6月、同社日本法人は定例の年次会見を開き、2014年の売上高が前年比9%増の約2750億円(20億ユーロ)だったと発表した。二輪・四輪用のアンチロックブレーキシステム (ABS) や横滑り防止装置 (ESC)、無段変速機 (CVT) 用ベルトなどの販売が好調だった。ヴォルツ社長は 「15年は売上高の伸びが鈍化するが、前年を上回ることができる」 との見通しを示した。(2015年6月23日付日刊自動車新聞より)

-同社にとってタイ政府のThailand 4.0イニシアチブはさまざまな産業に対して同社スマートソリューションを紹介できる、非常に大きな機会になりそうだとタイ現地紙The Nationが報じた。Boschは、世界的なトレンドに沿って、センサー、ソフトウェア、サービスに注力する3つの「S」戦略を採っている。Boschは、MEMS (micro-electromechanical systems)センサー技術で先行しており、これらMEMSはさまざまな部品との接続を可能にする。同社ソフトウェアは、センサーからデータを収集し、解析することが可能となる。タイはこれら新技術の採用では初期段階にあり、タイ政府の施策はとても良いニュースという。同社は、自動運転技術の開発を進めながら、2018年には自動駐車技術の完成を目指している。さらには、スマートホーム技術にも注力しているが、これらは市場および消費者が受け入れるかどうかにかかっているという。(2016年11月28日付 The NATIONより)

-ラジャスタン州公害規制委員会(RSPBC)より1ヶ月間の操業停止命令を受けていたインドのJaipur工場の操業を再開したと発表した。同社が操業を停止していたのは1日だったので重大な影響はなかったとしている。同社は10月28日、RSPBCから廃水処理に関する違反を指摘され、Jaipur工場の操業停止を余儀なくされていた。(2016年10月28日付証券取引所報告書より)

-Bosch Indiaは、2017年度よりChakan工場で二輪用ABSの生産を開始すると発表した。インド政府は、2018年4月よりABSの装着を義務付ける予定。今回のプロジェクトにより、Boschは今後見込まれるインドでの膨大な需要に対応する計画。(2016年8月2日付プレスリリースより)

受注

-2016年10月、同社の最新エアバッグECU AB12(開発コード)を搭載した吉利汽車の博越(Bo Yue)が、中国自動車技術研究センター(CATARC) が発表した2016年度新型車評価規定第3弾(China-New Car Assessment Program, C-NCAP)で安全評価の5つ星を獲得した。同時にSUV衝突試験では、C-NCAP 2015年度版実施以降最高の記録を打ち立てた。このエアバッグECUは中国で現地開発され、グローバル市場向けに量産された初めての製品である。一世代前の製品と比べ、チップの集積度がより高くなり、演算速度がより速くなっている。前方と側方に配した加速度センサーが危険発生の状況に応じてエアバッグの膨らむ時間とシートベルトのプリテンショナーをコントロールし、衝突時の乗員に対する衝撃を緩和する。(2016年10月28日付けプレスリリースより)

-2016年7月、Detroit 「DD15」6気筒エンジンを搭載したFreightliner 「Cascadia Evolution」トラック向けに、コモンレール噴射システム「CRSN4」を納入している。システムの高圧ポンプおよびレールはチェコのJihlava工場、高性能インジェクターはドイツのHomburg工場で製造されている。ポンプの最大圧力は1,200バール。油圧増幅器を統合したインジェクターにより最大噴射圧を2倍以上に拡大することができる。同システムは「Cascadia」のほかに、北米をはじめとするグローバル市場において商用車数百万台に搭載されている。(2016年7月20日付プレスリリースより)

-2016年5月、北極圏近くの雪道や凍結路において、Pagani 「Huayra BC」向けに開発したブレーキシステムの性能試験を行った。最大出力750馬力を超える12気筒エンジンを搭載した「Huayra BC」には、Boschのアンチロックブレーキシステム (ABS)、トラクションコントロールシステム、横滑り防止装置 (ESP) が採用されている。今回、北極圏から数キロメートル南に位置する試験路で、初めて走行実験が行われた。BoschとPaganiは長年にわたり技術面で協力関係にある。(2016年5月10日付プレスリリースより)

受賞

-Bosch Indiaは、Mahindra & Mahindraの2016年「Annual Vendor Meet」において4つの賞を受賞したと発表した。「Mahindra Supplier Excellence Award」のほか、MahindraのSUVやトラクターの最新モデルへの貢献が評価され、複数の賞を受賞している。(2016年7月10日付Bosch India発表)

2017年12月期の見通し

-2017年12月期の売上高は前年比3%~5%増と予測。モビリティ・ソリューションズ部門と民生製品事業がけん引するとみている。

-長期的には年率平均8%の成長率を目指す。買収に伴う増加分は最大3%ポイント増。EBITマージンは売上高の約7%を目指す。

-技術およびサービスの提供について、アジア太平洋地域が2020年も引き続き著しい成長原動力であるとの予測を発表した。特に、アジア太平洋地域のIoT(internet of things)市場は急速に成長しており、「Made in China 2025」イニシアチブ、「Make in India」プログラム等の政府計画や各種投資案件により、コネクテッドソリューション分野でビジネスチャンスが生じているため。Boschは総額約12億ユーロをアジア各地に投資する予定。また、Boschは現地化政策もコネクティビティの一環と捉え、現地で技術力を強化し、現地とのパートナーシップを強化する。Boschのアジア太平洋地域での従業員数は、2016年末までに12万人に増える見通し。(2016年11月3日付プレスリリースより)

-ボッシュ日本法人は8日、日本の自動車メーカーへの全世界売上高の伸び率が、2021年までの6年間で年平均10%以上になるとの見通しを示した。電動化、自動運転、コネクティビティ(外部との接続性)の3つの分野で売上高が増える。15年の日本のボッシュの売上高は、前年比3.8%減の2700億円だった。中国の景気減速が影響したとしている。一方、日本メーカー向けの全世界売上高は同17%増と大きく伸びた。(2016年6月9日付日刊自動車新聞より)

事業戦略

地域別計画

-同社の設備投資は以下の地域の事業に投じられた:

  • 欧州: 28億ユーロ
  • アジア・太平洋地域: 10億ユーロ
  • 米州: 4億6,000万ユーロ

<欧州>
-欧州地域の設備投資は、半導体、センサー、ガソリンインジェクションシステムの生産能力を増強。また、独Reutlingenの新拠点への設備投資も行っている。独Abstattにおける開発にも資金を投じた。

<アジアパシフィック>
-同社のアジアパシフィック地域への設備投資は、主に、中国、インド、東南アジアに投じられた。中国では、蘇州のエンジニアリングセンターへの投資も行った。インドでは、BidadiとNashikの工場に投じ、規模を拡張した。また、タイで新工場の建設を開始。同工場では、ガソリン直噴インジェクションシステムの生産を行う。マレーシアおよびベトナムの工場の生産能力も拡大した。

<米州>
-米州への設備投資は、米国およびメキシコの拠点増強に投じられた。

自動車市場向けの開発方針
-モビリティ・ソリューションズ部門は、コネクテッド、自動運転、電動化分野におけるリードポジションを維持していく目標を掲げている。

-電動化分野には毎年約400百万ユーロを投資する。

-自動車の電動化、自動運転、コネクティビティ分野に注力するため、スターターモーターおよびジェネレーター部門をスピンオフすることを決定、提携先または売却先を探している。

-同社はエレクトロモビリティ事業を立ち上げると発表。新しいパワートレインソリューション部門の一部となる。2018年初めには、パワートレインソリューション部門は、2018年の初めに、エレクトロモビリティ、ガソリンシステム部門、ディーゼルシステム部門を対象とし、乗用車、商用車、完全電気自動車の3つの分野に焦点を当てる。

-電動化、自動運転、コネクティビティに注力するため以下の事業再編を発表

  • MahleグループとターボチャージャーのJV Bosch Mahle Turbo Systems (BMTS)を設立
  • Bosch Emission Systemsは閉鎖
  • 日本の商用車用トランスミッション部品事業はKnorr-Bremse AGに売却予定

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
グループ全体 6,954 6,378 4,959
-モビリティ・ソリューションズ 5,285 4,784 4,066

-2016年12月期の研究開発費は、前年比9.0%増の6,954百万ユーロで、売上に占める割合は9.0%から9.5%に増加した。主にモビリティ・ソリューションズ部門に投じられた。運転支援システム、自動車用マルチメディア、センサー等の開発に重点が置かれている。2016年12月期のモビリティ・ソリューションズ部門の研究開発費は全社の76%を占める。

研究開発体制

-2016年12月末時点の研究開発要員は約58,700名。

研究開発拠点

-メキシコのSan Luis Potosi拠点でパワートレインのエンジニアリングセンターを開設。同時に自動車部品の生産能力も増強する。2015年から2018年にかけて、同社は約72百万ユーロを投じて同拠点の拡張を行っていく。さらに、San Martin Obispo拠点にも約9百万ユーロを投資。油圧システムの生産能力拡大に向けて、生産棟の建設も行っている。同社はメキシコに4拠点を保有しており、2016年の設備投資計画は90百万ユーロを超える見通し。(20161025日付プレスリリースより)

-43百万ユーロ (17億バーツ) を投じて、タイに新工場と研究開発センターを建設する。2016年中に完成し、2017年に稼働を開始する予定。新工場ではフューエルインジェクターを生産する。年産能力は100万ユニット。今回の投資は、同社が2016年にASEAN地域で実施する80百万ユーロの投資プロジェクトの一環となる。プロジェクトには、インドネシア、マレーシア、フィリピンにある生産・販売拠点の拡張が含まれる。(2016年10月6日付 Bangkok Postより)

-米国における研究開発事業を強化している。ペンシルベニア州Pittsburghの拠点を拡張し、新たに技術センターを開設した。面積は5,000平方メートルで、200名が勤務可能。現在は、これまで市内のいくつかの建物に分散していた従業員130名が勤務している。同拠点では、IoT向けのインターネットおよびセキュリティ技術の開発に注力している。基礎研究のほか、MEMS (micro-electromechanical systems) マイクロフォンを開発・販売するBoschの子会社Akusticaも入居した。(2016年9月16日付プレスリリースより)

-インドBengaluruにあるAdugodi拠点において、開発センター拡張計画の第1フェーズが完了。同社は2014年に、インドで保有する最も古い施設を技術開発センターに改修する工事を開始した。これまで35億ルピー (約47百万ユーロ) を投じている。今回新たに開設した2つの建物は実験施設を備え、3,000名超が勤務可能。Bosch Limitedの研究開発センターを含め、現地開発能力の大部分がAdugodi拠点に集約される。予定されている拡張計画の第2フェーズでは、今後数年間でさらなる投資を行い、同拠点を最先端の研究開発施設にするとしている。さらに、2016年はインドに117億ルピーを投じると発表した。(2016年9月2日付プレスリリースより)

-米国のミシガン州Plymouth Townshipにある技術センターの拡張が完了。2007年に開設された同センターの敷地面積は75エーカー。今回のプロジェクトでは、220,500平方フィートを拡張し、面積は約2倍の445,000平方フィート超となった。最大で従業員1,400名が勤務できるという。拡張により同社は、自動車エレクトロニクス、電気駆動装置、自動運転向けの安全運転支援システムなどさまざまな主要技術の開発を加速する。(2016年8月24日付プレスリリースより)

-イスラエルのTel Avivに研究・技術オフィスを開設。新拠点では、科学学術機関や大学と緊密に提携し、機械学習 (深層学習)、ロボット工学、サイバーセキュリティ、コネクティビティ、IoTなどの分野の新規企業を早い段階で見出したいとしている。(2016年6月22日付プレスリリースより)

-スウェーデンのLundに新たにエンジニアリングセンターを開設。すでに技術者50名が勤務しており、コネクテッドカー、車載セキュリティシステム、電動二輪車などの分野において、ソフトウェアおよびハードウェアの開発に取り組んでいる。(2016年5月2日付プレスリリースより)

研究開発活動

-自動運転関連のシステム開発力の強化に向け、20162月に「システムエンジニアリング」部門を設立。製品ごとだった既存の組織の枠組みを超えた、一つのユニットとして包括的に開発に取り組む体制を整えた。日本での自動運転技術の新たな開発体制として、シャシーシステムコントロール事業部内にシステムエンジニアリング部門を設立。60人以上のエンジニアが所属し、従来の製品に横串をさしたシステムを開発する。一方、親会社のロバート・ボッシュは、ドイツや米国で複数のテスト車両を使って走行実験を進めており、1510月には日本でも公道で試験走行を開始している。28日には、現在開発を進めている自動運転用のテスト車両をマスコミに初公開した。高速道路での完全自動運転を目指したテスト車両で、今年、2台目のテスト車両を導入した。 (2016929日付日刊自動車新聞より)

-日本で自動運転車の公道試験を開始。栃木県の東北自動車道、神奈川県の東名高速道路と、栃木県那須塩原市と北海道・女満別の2カ所のテストコースで実施する。日本での公道試験によって、日本の自動車メーカーをサポートする。(2016年1月25日付日刊自動車新聞より

-日本においては、IoT推進ラボの活動に参画している。

-2016年9月、Mercedes Benzと共同で駐車スペースをより速く簡単に探す新しいスマートなサービス「コミュニティ ベース パーキング」のテストを両社が協力して進め、シュトゥットガルト都市圏でメルセデス・ベンツのテスト車両を使ったパイロットプロジェクトを開始した。これらの車両に搭載されたセンサーは、路肩の空き駐車スペースに関するデータを生成します。テスト車両には、こうしたデータの送受信に必要な通信用インターフェースも装備されている。

技術提携

-博世汽車柴油系統有限公司 [Bosch Automotive Diesel Systems Co., Ltd.] は、安徽華菱汽車有限公司 [Anhui Hualing Automobile Co.,Ltd] と提携協定書を結んだ。両社は国Ⅵ排ガス基準適合製品を共同開発する。華菱汽車はエンジン「漢馬(Hanma)」にBoschの高圧コモンレールシステムと後処理システム、"EGR DOC DPF SCR ASR"テクノロジーロードマップを採用する。またBosch製の最新HPD (High Power Density) エンジンブレーキを採用する漢馬CM6D30 60 国Ⅵエンジンは、制動力が50%以上アップし、燃料消費量が5%以上減らすことができるとしている。2016年、華菱はすでに漢馬エンジンを7,800基販売したが、2017年には2万基にまで増やしたいとしている。(2016年11月3日付け各種リリースより)

製品開発

eCall自動緊急通報サービス
-日本で2016年末からクラウドを使った自動緊急通報サービス「eCall(イーコール)」を始めると発表した。新車用に加えて、後付け用でのサービスも視野に入れる。ボッシュグループは現在、同サービスを世界41カ国で提供している。日本にも拠点を設け、クラウドベースでサービスを始める。エアバッグの展開など、事故の発生をセンサーが検知すると車両が自動でコールセンターに通報。ボッシュのオペレーターが緊急通報を確認し、最寄りの救急隊や警察に出動を要請する。ドライバーが手動で支援を要請することもできる。(2016年6月9日付日刊自動車新聞より)

自動駐車システム
-最新の自動駐車システム「Home zone park assist」を発表する。2019年までに北米市場に導入される予定。このシステムでは、スマートフォンを通じて車外からも駐車操作が可能になる。最大100メートル離れた駐車スペースまで自動で車を誘導し、駐車させることができるという。(2016年6月6日付プレスリリースより)

3Dカーナビソフトウェア
-カーナビゲーションシステムに内蔵した衛星写真を使い、地形の高低の差を写真のようにリアルに表示するカーナビゲーション用ソフトウエアを開発したと発表した。同ソフトを使うと高層ビルが立ち並ぶ環境でもドライバーは自車位置を簡単に把握できるようになる。ナビゲーションデータ規格(NDS)適合のデータを3Dレンダリングモジュールで処理、映像マップをつくる同社のソフトウエアによって実現した。(2016年2月29日付日刊自動車新聞より)

輸送管理システム iTraMS
-インド子会社Bosch Limitedは、Noidaで開催する「Bosch Technology Exposition」において、輸送管理システム「Intelligent Transport Management System (iTraMS)」を展示する。このシステムは、車両位置の追跡、状態監視、性能分析などの機能を備え、乗用車、商用車、オフハイウェイ車に搭載が可能。この他に現地開発された製品として、Bosch Indiaのエンジニアリングチームが開発に参加した「e-Call」がある。安全システムを搭載した車両は、衝突時に自動緊急通報システムを作動させることができるという。なお、Bosch Groupは、2015年にインドで200件超の特許を申請した。(2016年2月2日付プレスリリースより)

アクティブアクセルペダル
-穏やかな振動によってアクセルの踏み込み具合をドライバーに伝えるアクティブアクセルペダルを開発した。車両に運転支援システムが搭載されていれば、このペダルは警告インジケーターとなる。ナビゲーションシステムや道路標識を認識するカメラに接続することで、高速で危険な急カーブに接近すると触覚信号によりドライバーに警告する。また、ドライバーがアクセルを踏む力を弱めることにもつながるため、最大7%の燃費向上が実現するという。(2016年1月25日付プレスリリースより)

eアクスルドライブシステム
-同社はNAIAS 2017で電動アクスルドライブシステム「eAxle」を発表。「eAxle」は拡張可能な、Boschのパワートレイン部品を一つのシステムに統合したモジュラープラットフォームで、自動車メーカーが電動化を進めるにあたり、個々の部品を使用する場合に比べ、5-10%のコスト削減を図ることができる。 (2017年1月10日付プレスリリースより)

特許

-2015年、約5,400件の特許を申請。

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
グループ全体 4,252 4,058 2,585
-モビリティ・ソリューションズ 3,300 3,100 2,200


-2016年12月期のモビリティ・ソリューションズ部門への設備投資額は、前年の31億ユーロから33億ユーロへと増加した。増加した主要因は、ガソリン直噴インジェクションシステム、運転支援システム、インフォテインメントおよびディスプレイシステムへの需要の高まりに応えるためとしている。また、半導体、センサー、ECUの需要増に応えるため、これら製品の生産能力も拡大している。

国内投資

-「コネクテッド・マニュファクチャリング (ネットワーク化された製造)」を推進しており、世界ではすでに100を超えるプロジェクトを展開している。これにより、特に機械設備の稼働率が増大し、生産性と競争力が向上するなど、多くの改善を実現した。Boschは、同社のグローバル製造ネットワークを通じて、Industry 4.0ソリューションを展開することで、ABSおよびESPブレーキシステムの生産性を1年足らずで25%向上させた。この成果が評価され、ドイツのBlaichach工場は、2015年に「Industry 4.0 Award」を受賞している。生産性向上の理由の一つは、工場の生産ラインに沿って設置した無数のセンサーからデータを収集していることにある。センサーは、シリンダーの動きやグリッパーのサイクル時間、製造工程における温度と圧力を測定する。こういった大量の情報は、膨大なデータベースにインプットされる。さらに、Blaichach工場ではRFID (無線自動識別) 技術を取り入れ、内部での製品の流れをデジタルマップ化している。実在の工場をコンピュータで生成した仮想表現「デジタルツイン (Digital Twin)」を作り上げることで、バリューストリーム全体を通じて透明性を確保し、さらに多くのIndustry 4.0ソリューションの実現が可能になるという。(2016年3月10日付プレスリリースより)

海外投資

<メキシコ>
-メキシコのJuarez工場にて、新規受注に対応するため、2017年中に500人を新たに雇用すると発表した。この増員により、2017年末の総従業員数は4,500人になる予定。BoschJuarezに複数の生産工場を所有しており、北米最大の電子制御部品工場も含まれる。各工場では主としてセンサー、距離制御ユニット、アンチロックブレーキ(ABS)部品、電動パワーステアリング制御、サンルーフモーター、ウィンドリフター等50以上の自動車電子関連製品を生産している。他の新製品も今後Juarez工場にて生産する予定。(20161220日付けMexico-Nowより)

-メキシコのSan Luis Potosi拠点でパワートレインのエンジニアリングセンターを開設。同時に自動車部品の生産能力も増強する。2015年から2018年にかけて、同社は約72百万ユーロを投じて同拠点の拡張を行っていく。さらに、San Martin Obispo拠点にも約9百万ユーロを投資。油圧システムの生産能力拡大に向けて、生産棟の建設も行っている。同社はメキシコに4拠点を保有しており、2016年の設備投資計画は90百万ユーロを超える見通し。(20161025日付プレスリリースより)

-メキシコ中部のケレタロ州Queretaroに新工場を設立すると発表した。Boschの自動車用ステアリング (Automotive Steering) 部門にとってメキシコ初の拠点となる。近日着工し、2016年中に完成する予定。新工場の面積は15,000平方メートルで、Boschは今後4年間で約80百万ドルを投資する。2017年1月に生産ラインを設置し、2017年12月より生産開始となる見込み。2019年末までに従業員約600名を雇用し、その後もさらに増員する予定。新工場ではまず、乗用車向けにマニュアル式ステアリングコラムのほか、コラム式電動パワーステアリングシステム (EPS) 「Servolectric」とデュアルピニオン式EPS 「Servolectric」の組み立てを行う。(2016年4月25日付プレスリリースより)

<米国>
-国での事業拡大のために2016年に4億ユーロを投資すると発表した。2015年と比較すると、約20%の増額となる。また同社は、米国で最も古いサウスカロライナ州Charleston工場の拡張についても継続的に行っていく旨を発表した。同工場では1,700名超の従業員がABS、ESPなどセーフティシステム関連の部品を製造している。同社は最近、車載エレクトロニクスやADAS関連の開発を行うミシガン州Plymouthのテクニカルセンターや、ペンシルベニア州Pittsburghのエンジニアリングセンターを拡張した。Boschは米国の従業員数を現在の17,800名から2017年までに18,800名に増員するという。2011年から2015年まで同社は米国に約12億ユーロの投資を行ってきた。買収も含めて、今後も引き続き米国での拡大戦略を進めていく。同社は最近、ビルオートメーションとシステムインテグレーションのスペシャリストであるニュージャージー州CliftonのSkyline Automationを買収した。(20161116日付プレスリリースより)

<タイ>
-43百万ユーロ (17億バーツ) を投じて、タイに新工場と研究開発センターを建設する。2016年中に完成し、2017年に稼働を開始する予定。新工場ではフューエルインジェクターを生産する。年産能力は100万ユニット。今回の投資は、同社が2016年にASEAN地域で実施する80百万ユーロの投資プロジェクトの一環となる。プロジェクトには、インドネシア、マレーシア、フィリピンにある生産・販売拠点の拡張が含まれる。(2016年10月6日付 Bangkok Postより)

<東南アジア>
-2016年に東南アジア向けに約80百万ユーロを投じる計画を発表した。2016年上期は、フィリピンとインドネシアに新たにオフィスを開設している。この他にも東南アジア地域での生産能力を拡大するとともに、マレーシアとベトナムにあるモビリティソリューションズ (Mobility Solutions) 部門の工場を拡張する計画。さらにタイにも新工場を建設する予定。Boschは、過去10年間で東南アジアの生産・開発拠点の拡張に約500百万ユーロを投じている。(2016年9月19日付プレスリリースより)

<日本>
-埼玉県志木市に日本初となるサービスセンターを開設すると発表した。日本のモビリティサービス市場に参入する。新しいサービスセンターは2016年末から業務を開始し、従業員数は2020年末までに約50名になる見込み。日本で提供する最初のサービスは緊急通報サービス「eCall」になる予定。その後、コンシェルジュサービスや盗難車両追跡、故障時の支援要請コールなど、そのほかのモビリティサービスも導入する。(2016年8月25日付プレスリリースより)

<中国>
-2016年8月、Bosch の子会社「羅伯特博世電機(中国)有限公司 [Robert Bosch Motor (China) Co., Ltd.]」は湖南省長沙経済開発区で独立営業を開始した。同社は2016年4月に設立されたBoschの全額出資子会社。主にスターターモーターとオルタネーターの研究開発と生産を行う。これに先立ちBosch 中国のスターターモーター、オルタネーター事業部と電動ドライブトレインシステム事業部は博世汽車部件 (長沙) 有限公司 [Bosch Automotive Products (Changsha) Co., Ltd.] と博世汽車部件 (長春) 有限公司[Bosch Automotive Components (Changchun) Co., Ltd.]の2つの拠点で生産を行っている。(2016年8月3日付け各種リリースより)

-2016年7月、蕪湖鳩江経済開発区 (Jiujiang Economic and Technological Development Zone, Wuhu) でカーマルチメディア拠点の建設を開始。投資総額は30百万米ドル。用地総面積は約61,333平方メートル。自動車インストメーター、ナビゲーションシステム、コネクティングコントロールユニットなどの開発、生産、販売を行うとともに、関連するサービスを提供する。本格生産開始後5年で売上高80億元に達する見込み。(2016年7月14日付け各種リリースより)

<イラン>
-イランの首都Tehranに現地事務所を開設する。Boschは今後、同国で全ての事業分野を展開していく。2016年末までに従業員約50名を雇用する計画。(2016年5月9日付プレスリリースより)